お前につっこみてぇ… んなカッコで説得力ねえよ!!

In Our Hands!!

In Our Hands!!
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神2
  • 萌×20
  • 萌4
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
24
評価数
8件
平均
3.3 / 5
神率
25%
著者
 
作画
 
媒体
コミック
出版社
東京漫画社
シリーズ
発売日
価格
¥619(税抜)  ¥669(税込)
ISBN
9784904101971

あらすじ

高校2年の始業式、二郎の目の前に現れたのは、
女子制服を身に包んだ幼馴染の大介だった。
唖然とする二郎にキスをかまして、
清々しい顔でその場を去る大介。

「何でそんなカッコしてんだよ」
「似合うから」
「あのチューは」
「好きだから」
はあ?もう意味わかんねぇ!!!
走り出した2人の恋、果たしてどーなる!?

デビュー作含む短編で彩られた、
松本ケンタロウ待望のセカンドコミックス!
二郎と大介、気になるその後の描き下ろしも収録です☆

(出版者より)

表題作In Our Hands!!

二郎,ケンカ三昧の高校生2年 
大介,女顔の幼馴染 

同時収録作品冷たい花

同時収録作品game

同時収録作品幻の光

同時収録作品トキオ

同時収録作品奏者の右腕

その他の収録作品

  • You Win!

評価・レビューする

レビュー投稿数5

目に見えない衝動を

松本ケンタロウさんの二冊目です。

今回は短編集。表題作の描き下ろしを含めた七作を収録。


表題作『In Our Hands!』

悪魔顔の二郎と女顔の大介。
どうしようもないコンプレックスを持った二人は似た者同士の幼馴染。
高二の夏休み明け、久しぶりに会った大介は女子高生の制服姿で現れた。
顔のせいで不良に絡まれ、弱いくせに喧嘩ばかり。
そんな日々を送っていた二郎に大介は言う。

「もうさ、やめよーぜ。そうゆーの」

どこか清々しい大介の態度。
大介も女顔のせいで嫌な思いをしてきたはずなのに。
そんな彼を変えたのは夏休み前、二郎が言った何気ない言葉にある。

二郎が受、大介が攻のようですね。
大介の恋愛感情を含めつつ、お互いのコンプレックスと向き合うお話。
個人的に二郎の兄ちゃんが好きです。ちょろっとしか出てきてませんが。


『冷たい花』

幼い頃から体の弱い悟。
ひとつ下で幼馴染の大地はそんな悟を毎日過保護なまでに心配する。
それは高校生になっても変わらない。
昔はそんなことなんて気にせずに遊んでいたのに。

「震え続きる花の開花を あの日公園で見た」

このモノローグから始まるこのお話はお気に入りの一つです。
大地の与える温もりが心地良いと感じる悟。
寝込んだ悟に大地が触れ、悟も触り返すシーンはどこか艶めかしいです。
大地が悟へ向ける感情が描かれたラストシーンも見所。
大地は背が高くつり目で見た目が強面気味ですが、悟を心配する姿は誠実でどこか微笑ましいです。悟のクラスメイトも何気に好きです。


『game』

お気に入りの二つ目。

四年前の高二の春。
ある時安田は同じ学年の高杉と親しくなる。
悪い噂ばかりが飛び交う高杉だが、それは周りの憶測と勘違い。
実は苦学生で、話せば割りと友好的だし、年相応の高校生だった。
彼の周りはいつも賑やかなのに、高杉の何にも興味のなさそうな冷たい目。

その目が、こっちを見た。

高杉と安田、二人の間の水面下で行われているとあるゲームを描いています。
現在の大学二年の夏と、過去の高校時代を互いが回想しながら進むストーリーですがいい感じにスムーズです。
安田の人を食ったような雰囲気や、高杉の表情。そしてラストシーンにはもう、ゾクゾクしてしまいました。素晴らしいですね。
身の内の燻りを決して口に出さず、冷ややかなナイフを突きつけ合うような彼らのやりとりは何度読んでもにやっとしてしまいます。


『幻の光』

宇野慧が死んだ。滞在先の国で起きた暴動に巻き込まれて。
彼は画家で、神谷はかつて彼のパトロン(出資者)だった。
ひとり、死の知らせを受けた神谷の前に突然、宇野の幽霊が現れる。

お気に入りの三つ目。
画家の夢を掴んだ男と、夢の代わりに成功を掴んだ男。
宇野と神谷、彼らの出会いと、秘めた気持ち。その想いの行先までを、光と闇、それぞれを交互に分けながら描いています。
宇野の死という真っ暗なシーンから始まり、宇野と出会い、神谷が段々と変わっていく様は光のように白く、そして幽霊として現れた宇野との再会は再び暗闇に包まれます。

そして物語りの構成と同じように、宇野と神谷、彼らにはどことなく対照的な部分を感じます。宇野はいつも朗らかに笑い。神谷は冷淡で人を信じられずにいる。対照的でありながらも同じものを見つめていた二人の迎える結末にほっと息をつきました。
因みに私は宇野みたいな人好きです。髭で長髪。ヒッピーみたいな雰囲気も好きです。


『トキオ』

アンドロイド工学の第一人者「天馬博士」の息子、時夫と幼馴染の信太郎。
時夫の父は幼い頃から実の息子に冷たく、時には暴力すら振るった。ある時信太郎はその理由を博士自身に問い詰めるがその理由の"意味"を理解できずにいた。
数年後、自分に泣きすがる時夫を目の前に彼は突然その"意味"を理解した。
しばらくして時夫の父が急死する。信太郎は酒に酔った時夫から「面白い話」を聞かされる。セクサロイドを買った、とあるおとこの話を。

「悲劇だよ。代用品なんて」

時代は近未来。ドロイドやアンドロイドが広く普及している感じです。時夫と信太郎はアンドロイドを扱う会社の研究員かなにかかと。
一言で言うと、とてもやるせないですね。交錯する劣情や歪んでしまった彼らの愛情に打ちのめされそうになります。本当は何よりも愛されながらも、現実では愛されない、愛せない。その悲痛なまでの気持ちが鋭利に煌くある意味劇的なお話です。


『奏者の右腕』

右腕を失った陶芸家の男が生体移植で手に入れたのはあるピアノ奏者の右腕。
ある日彼を訪ねてきた青年は、かつてその右腕の、ピアノ奏者の生徒だった。
青年が右腕に触れた瞬間、右腕に刻まれた記憶が微かに蘇る。
男は自ら青年を訪ねる。右腕の記憶を知るために。

人の記憶はどこに宿るのか。かつては他者の一部であったその右腕を通して、その答えが明かされます。描き下ろしを除けばこのお話が一番短いです。手がたくさん描かれており、陶芸家の大きな手と青年の小さな手の違いにちょっとした萌を感じます。

余談ですが松本ケンタロウさんの描かれるもじゃ毛ツボです。高杉も陶芸家の先生もナイスもじゃ毛!


『You Win!』

表題作の描き下ろし。その後の二人です。
大介が本気を出して二郎を襲いに掛かります。泣いちゃう二郎かわいいですね~。


短編集で厚さも他の本と対して変わらないですが、読み応えのある本です。お話の一つ一つの土台がしっかりとしていますし、どれも傾向の違うものなので一冊で様々な顔を覗かせてくれます。人の内側に潜む目に見えない衝動を巧みに描く松本ケンタロウさんの魅力にどっぷり浸かれる作品でした。

2

一読だけじゃ、許容しきれない。

ニッチな印象の短編集だなぁ、
というのが第一読印象。
前作『Clean a Wound』の雰囲気に
どハマりして本作も読んでみたのですが、
これは、前作よりも読者を選ぶように感じた。

各話のストーリーは其々に魅力的ではある。
作者さんは描きたい物語のイメージが
頭の中に明確にある方なのだと思う。
しかし、「行間を読む」系の表現傾向が強い方。
絵の勢いと雰囲気で魅せる部分が多い為、
一読だけではその魅力の端々までは
伝わりにくいんじゃないだろうか?
逆にいえば味がある、というのかもしれない。
ただ、「よくわからん」で終わってしまう可能性も
高い作品だと思ったのだ。

物語自体は全て、どこか鋭利でチクリとして。
一筋縄ではいかない香りがムンムンとしており、
世に言うBLとはイメージがかけ離れている。
腐要素はあるものの、作者さん自身が
どっかナナメに世界を見ているような感じ。
この世界がハマれば「神」なんだろうけれど…
本作は本当にレビューが難しいです。

そして、前作よりも線に勢いがあり過ぎて、
雑な印象が強いように思います。
それ続きも読みにくさ、理解しにくさを助長する一因。
ただ、個人的にはこの絵は好き。
感情が爆発してる感じが、
痛みの強いストーリーにぴったりだ。


痛い話スキーさんは好きかもしれない。
雰囲気系のお話に抵抗ない人にも
かっちりハマる人がいると思う。
若干SF風や近未来設定がありますが、
クローズアップされているのは
特殊な設定ではなく、人間の複雑な心理のほう。
BL王道派さんや痛い話NGな方なら、
悶々とした感想を残してしまう可能性アリ。

2

BLに椎名林檎の空気を持ち込んだかのようだ

この本、読むたびに評価が変わってどうしようかと思う。
心がささくれ立ってるときに読むと染みるけど暖かいときに読むと「雑だし何が言いたいのかわかんない」という認識をしてしまう。同じ本なのに。

人相と性格、さらに能力のアンマッチと戦おうとする表題作はその中では分かりやすいほうかも。
殴り合いや取っ組み合いが異常に多く、少々ならず荒くれた筋だとは思うけど大雑把に言うと「少年たちが殻を破って大人になる」ストーリーと認識できる。

これがさらに病気をテーマとした「冷たい花」や駆け引きをテーマとした「game」ともなるとお互い実は愛しているんだろうけど、その背後を流れる挑戦的な冷たい空気に背筋が凍るものがある。
芸術家とパトロンをテーマとした「幻の光」はさらに難解で「この二人の愛は何なんだ」から考え込むことになってしまう。
アンドロイドをテーマにした「トキオ」も父子愛と同性愛のクロスする情景のなか、結局愛されているのか?について改めて考え直すところがある。

なんにせよどのお話も背後に凄く荒々しい感情が見え隠れしつつそれを鋭利に押さえつけてるような感触を感じる。

大半の続きBLがハピィだったりスイートだったりする中ケッ!とかいいながら
クールに明後日を向いている作家さんのような気がするなぁ。
なんというか、実に骨っぽいし男っぽい(実際の性別は知りませんよ?)

なんにせよ「殴り書き」と言っていい絵柄は好きかもしんない。心の叫びがよく現れてるし。
変にうまくなろうとか考えたりデジタルで線整えたりすると本当の下手になりそうなので、このまま行ってほしいかも・・・。

どう評価していいか分からないので、取り合えず真ん中の評価「中立」で。萌えるとか滾るとかいう安い言葉をこの漫画に使うのは失礼かもしれない。しいて言えば「凍る」漫画だ。

ちなみに自分はこのコミックを読んだ後、彼にすぐ別れのメールを打った。
結構読後に浮ついた現在や人生について考え直してしまう本かもしんない。

2

大好きな世界観

「お前につっこみてぇ…」
「んなカッコで説得力ねえよ!」という帯。

なにそれ!買うしかねーだろ!!

と即行レジへ(笑)元々松本先生の作品は大好きなので買う予定だったのですが予想外だった(笑)

表紙の二人が最初から始まります。

喧嘩ばかりしてる主人公二郎。
2学期の始業式に突然女のカッコをした幼馴染の大介が現れる。
いやーありえないけど受け入れられるさすがマンガの世界(笑)

もともと大介は小さいころから女顔だとバカにされてて、それを生まれ持ったアクマ顔で守って(?)きた二郎なんですね。

何かを悟ったように自分を好きだと言う大介に困惑し、置いて行かれたような気分になる二郎。
少しでも成長したくてでもやっぱ二郎も大介もそれがわかんなくて「一緒に大人になろうぜ」ってお互いを確かめ合うようにキス。

たまらなく好きな雰囲気です。別の世界に持っていかれるというか独特。

書き下ろしでその後の二人が収録されているんですがこっちはこっちで萌える。可愛すぎるだろ二郎!そして大介ベタ惚れなんだね!!


心配性×ちょっと病弱

見目派手な苦労続き人×見目地味な悪魔

社長(出資者)×画家

博士の息子×幼馴染の学者

陶芸家×ピアノ教室の生徒

短編5本収録されてます。

どっぷりと作者の雰囲気にのまれ込みたい人にオススメ。

2

読むほどに味のある・・・映画的作品

殴り描きのような絵で評価が分かれてしまう作家さんですが、やはり短編でもそのストーリーはまるで映画のようで、シーンやコマの見せ方もやっぱり映画なんです。
頭の中でその映像が浮かぶので、例え雑を感じる絵だろうと、それを凌駕してしまう何かがある作家さんなんだな~と、思います。
一読だけでは味がわからないかもしれません。
内容は、08年のものから現在のものまで。
ひょっとして過去作品のほうが描き込みが丁寧なのかと思いきや、別段そうでもなく、むしろ、ムラがある!?
表題などは、黒ベタが少なく登場人物も黒髪がいないので、白けた絵になっているので、最初は見にくく、とっつきにくい。
しかし、黒の多い作品になると途端に見やすくなる。
それは意図してやっているものなのか、それともそうでないのか、全く持って不明なので、その最初の雑な印象を引っ張ってしまうと、受け付けなくなってしまうのでしょう。
しかし、映画好きな人には、絶対気になる展開のさせ方を描く作家さんなのは確かだと思います!

表題は、悪魔顔のヘタレの二郎と、おんな顔の大介の幼馴染同士。
超不良だった兄が不良を卒業すると頭もよく続きて、腕も顔も頭も、という自分への丸っとコンプレックスになっているという二郎。
小さい頃から女顔で、それがコンプレックスの大介。
夏休み明け、突然女装して登校しだす大介と、ケンカ三昧でやられっぱなしの二郎が、互いの存在をありのままの自分でいいのだと認めようとする思春期の成長の話でした。
この大介の女装の意味が、一見不可解なのですが、それは二郎に二郎自身をみとめさせようとする手段だったということと、自分の気持ちを伝えようという二重の意味を持っている部分、回りくどい方法であるが、ユニークだなと思う。

『冷たい花』では病弱な年上の幼馴染を守ってあげたい年下の欲望

『game』では、互いの本音を隠し、互いへの執着と欲望を騙し合う姿に歪んだ愛情を。

『幻の光』では画家とパトロンの運命の出会いと邂逅

『トキオ』では・・・これってアトムですか~~!?セクサロイドアトム!?と、ちょっと興奮してしまった近未来モノですww

『奏者の右腕』では移植した右腕の記憶・・・この漫画が一番見やすい絵でした。

そんなバラエティに富んだ内容ですが、どれも、一ひねりもふたひねりもされた内容で、素直でないちょっと病んだ感じのする人々が織りなす、素直でない姿が魅力的だとは思うのです。
実際、一度読んで『幻の光』からぐいぐい引き込まれ、3、4、5度と読み返して全ての作品に、うならされたのであります。
じっくりと時間をかけて味わってほしい、そんな作家さんです。

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