名作が新装版で、しかも2冊同時に!!(感涙)

花扇

hanaougi

花扇
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神15
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
75
評価数
15件
平均
5 / 5
神率
100%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
白泉社
シリーズ
花丸単行本(コミック・白泉社)
発売日
価格
¥1,100(税抜)  ¥1,188(税込)
ISBN
9784592862765

あらすじ


人気落語家・山九亭感謝は何の未練もなく男を使い捨てた師匠・山九亭初助の孤独な生涯を芸に生きた人生と考えていた。しかしその裏には真(まこと)を貫いた驚きの愛情物語が秘められていた──。

表題作花扇

恋人 寒也
山九亭感謝(森野要)

その他の収録作品

  • 子別れ
  • 花扇
  • 夫婦茶碗

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レビュー投稿数3

芸人も一人の人間

師匠がその生き様でもって、芸の磨き方、愛するものとの向き合い方を弟子に示す。落語の師弟関係を軸に人間模様を描いた『座布団』の続編です。

山九亭初助は、落語で女を演じさせたらピカイチだが、弟子は感謝一人だけ、生涯独身。若い頃から頭角を現し、それなりの固定ファンを抱える彼は、上辺だけ見れば全く私生活の見えない落語家ではありました。初助が亡くなって一年。彼の評伝を書きたいというライターが現れ、初助の胸のうちだけに秘めていたある物語が徐々に暴かれていきます。

本作を読むことで「落語と心中した男」初助が、「人を思うってのはね。自分ばかりが辛く思えるのが本当だよ。」と語った、彼の生き様丸ごとが芸に生かされている所以がわかります。その芸に別の者が感銘を受け、同じように己の人生を賭けてその人なりの芸に塗り替えて次へ繋いでいく。芸の中に故人が生き続けていくと思うと、感動的です。

物語の構造や作品の素晴らしさについては、しの様のレビュー以上に申し添えることは何もございません。JUNE作品ですので、いわゆるBL小説とはいえないのかもしれませんが、このような作品に出会えると、細々とでも腐活動続きを続けて来てよかったな、としみじみ思うのでした。

1

俺の俺の俺の話をきけ~

前作は読んでません~。

先に花扇を手に入れたので我慢できず読んでしまいました。

たぶんですが、「座布団」の二人のその後からはじまります。
師匠の愛人だった攻めが弟子をやめ父親のあとを継ぐため植木屋になり
愛嬌のあった受けはテレビに出るようになり二人の間で格差・・・すれ違いが大きくなっていきついにあるきっかけが原因で受けが別れを切り出します。
師匠に慰められ励まされ男同士という難しい関係に逃げずに向き合うことを決意する二人
そしてその親のように大事にしてくれた師匠の過去へとつながっていきます。

「一人がさびしいなんて思ったことないよ。」
一人をさびしいとは思わないのか、女とは寝ず男と寝るのか
一番弟子の受けにも何も昔話をせず一人で死んでいった師匠の最初で最後の恋が明かされます。
師匠の過去はなんというか昭和の艶かしさがありドキドキでした。
成り上がるため男と寝てきた師匠にとって唯一利益のためじゃなくほしいとおもった男があわられます。
ずっと一緒じゃなくてもいい。最後まで愛したい。
普通のカップルのような関係じゃない二人の最後の恋が始まり終わるまで続き・・・。
剛しいらさん作品は本当波があるんですけどこれはとてもよかったと思いました。
blというより男の生き様のように思えました。

1

神以上の評価はないですか、ちるちるさん!

と言いたくなったのは読後ずっと経ってで、読み終わった直後はただただ呆然としてしまいました。
言葉がでない…。本当に、ただただ呆然としてしまいました。

山九亭感謝の元に、師匠であり「座布団」で亡くなった山九亭初助についての本を書きたいという男が現れたのをきっかけに、お話は過去へと掘り下げられます。

初助の人生は、それはそれは壮絶です。
初助は感情の起伏を表に出さないというより、起伏が少ない人のように感じました。根無し草みたいに、流れに身を任せて、よくも悪くも悪あがきをしないんです。
それはそれなりの幼少の頃の下地があって、ある種の諦めでもあります。

そんな初助が、ただひとつ、固執したのが…。

これまで初助は、「芸」を手放さないのでさえ、情熱というよりも、流れに身を任せていることが芸に活きているって感じでした。
けども、彼が「芸」に拘る理由が、ちゃんとありました。
「芸」のために生きていたわけではなく、ある理由(ネタバレしたくない!)のためにだけ「芸」を続けていたと言えます。
そのためだけに、生きてきたと言ってもいいのかも。

そして、初助の過去は過続き去として描かれていながら、その結末が弟子たちの視点で描かれていたことに、私は鳥肌が立ちました。
あれだけの出来事の幕引きを、あくまで他人からの視点で描いてあるって…。

結局初助の気持ちは、「弟子の目に映る初助の気持ち」でしかないんですよ。
最後の最後まで、初助という人は、手の届かない場所に居続けるんです。


もちろん、初助の人生を辿るだけでも充分素晴らしい作品でした。
けども、このお話の語り部や幕を弟子や孫弟子にゆだねたことで、この作品は言葉にならない読後感を私に与えてくれました。

誰にも心を語らず、手の届かない存在であり続けた初助の壮絶な生き様が、ちゃんと次世代に受け継がれています。
初助の残したものは多く、芸は弟子や孫弟子に、そして世間に、時代に、刻まれています。
だからこそ見える光もあれば、大衆芸能の終焉を肌で感じる侘しさみたいなものも伝わってきます。
初助が芸のすべてを与えた感謝が、初助とはまた別の形で幸せで居ること、初助の芸を感謝のものとして消化し自分の芸を身に付けていること、初助とは違ったスタンスで弟子を取っていること。すべてがもう、心に響きます。
これがあくまで「人の歴史」であって、こんな物語が人の数だけあるのだろう…と思わされます。

戦後から昭和、平成と時代を通して、受け継がれるものの儚なさに、身震いしました。
これを「山九亭初助の物語」とせず、「山九亭感謝が感じた山九亭初助の物語」であったからこその読後感です。
神がかっていました。

4

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