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新装版で久々に再読しました。
依田さんの魅力が詰まってると思います。
まだ完成されてない感がいい。そして可愛いだけで終わらないのがいい。
しかし短編ゆえどれもあともう1~2話見たい!と思ってしまうので、そういった物足りなさがあります。
私は『スイートソウルレビュー』と『白い魚の夢』が大好き。この2作品は依田さん流のJUNEではないでしょうか。苦くも美しい。切なさに溢れてるけど笑わせてもくれる、そんな匙加減が素晴らしいです。
この2つの話に出てくる勲というコがどうにも気持ちと行動が伴わないコで、やってることが結構最低なんだけど、、私は好きなのですよ。子供と大人の境目で、自身の感情を捉えきれずに振り回される。はたして彼の感情は恋愛なのかどうなのか疑わしくもあるけど執着は本物という、こういうアンバランスさって学生ならよくあることなんじゃないでしょうか。ラストは彼を抱き締めてあげたくなります。
彼だけでなくこの作品にでている学生達の、深く考える前に行動しちゃうなどのスレてない感とか、そういった若さに懐かしさといいますか、憧憬というのでしょうか、そういった気持ちを抱いてします。
そしてどの作品も男のコ同士の友情が効いてるのがいいです。ツボです。
あとがきに「もうこのような作品は描けない」ということに近いことを書かれていて、私は書き手でもなんでもないけど、ひどく納得してしまいました。
学生というほんの一時の輝きを切り取っていると思うのです。
憧れの対象としてではなく、画面にいる彼らと同じ視点を感じるのです。
依田さんという方は、実はBLだけに留めておくのは勿体ない才能をお持ちだと思ってます。
実際に他ジャンルにいかれてしまったら寂しいですけどね。
旧版に単行本未収録だった作品を1本加えた新装版。
タイトルといい、桜舞い散るカバー絵といい、桜の季節にふさわしいきれいな本。
旧版も持っているけど、この新しい本の方が断然美しい。
表題作は、高校生のお話。
高校生の3年間って、実は1年生と3年生じゃ全く違う。
まだまだ全くの子どもの15歳の新入生と、肉体的にも性的にもほとんど大人の18歳の3年生。
その体格差と性欲の差。
そこをきっちりと作品にして見せてくれるのが依田さんの魅力。
作品自体はかなり以前の物です。
でも、依田さんが、繰り返し描くテーマ「感情の有り様や高まる早さはそれぞれ違っても、愛し合っているならば、お互いに歩み寄って、乗り越えていく」が、可愛く、わかりやすくつまっています。
新装版で再版されるだけの価値がある、不朽の名作。
オススメです。
旧版にレビューしてるんですが、改めて。
短編集です。
やっぱり依田沙江美さん好きだー!と思いました。
『さくらのくちびる』
先輩×後輩
ヤンチャ受けが人気者の先輩に気に入られ、エコヒイキされて。
で、周りのヤッカミにヘヘンって感じの猫目になって、攻めの腕に抱きつくとこが好き。そのままキスされてしまうとこが好き。キスされたあとポカーンとしてるとこが好き。
「へんなことするし」と言って受けが泣き出す場面が好き。受けを囲んで責めてた先輩たちがオロオロする場面が好き。
場面場面での、依田沙江美さんのさりげないセンスが大好きなんです。
『スイートソウルレビュー』
兄の友人×受けくん
主役カップルの二人も大好きなんですが、話のポイントとなってるお兄ちゃんのツンデレなブラコンっぷりも大好きです。弟に冷たい態度をとってるんだけど、実は、ってヤツ。
ブラコン萌えの理想の形がココにある。
もうちょい長いページ数で、じっくり読みたかった話でした。
『白い魚の夢』
↑のブラコン兄ちゃんが主役の学園モノ。
教師と先輩がセックスしてる場面を目撃してしまうところから話がはじまります。
その先輩を助けるために奔走するんだけど。けど。
あたたかいけどほろ苦いラストが好き。
『眠れば来る朝』
留年した同級生くん×受けくん
受けくんは攻めの、一番の親友になりたかった。周りの友人にライバル意識すら持っていた。でも相手は友情ではなく、恋心を打ち明けてきた…。
学生らしい、恋と友情の境界線があいまいな関係性から一歩踏み出す感じにキュンとしました。戸惑ってパニックしてオロオロして攻めを無視してしまう受けも、その様子を見て迷惑がられたと思ってへこむ攻めも、どっちも可愛い。
『墓守りの憂鬱』
く、黒い…!
でもかなり好き。
これシリーズ化して欲しいほど好きです。
カップルは、占い師×死んだ猫かな(謎の多い二人ですが、なんとなく分かる)。優しげな占い師の黒さに萌え。
短いけどキレ味のいいブラックな短編です。
『蛍の骸』
こちらも若干ダークな話。で、話が分かりにくいかも。でも好き。
もうちょい長めの話で読みたかったな。
【よろめき番長】の、ほっこりした中に見え隠れするダーク感が気に入り、本作購入。
ああ・・有りますね見えますね、この中にも。^^
それに何て可愛い表紙絵、額に入れて飾っておきたい位です。
≪さくらのくちびる≫
生徒会長×可愛いめ1年
いくら可愛いからって、3年の攻め攻めは好きじゃなかったけど、キスに泣く受けにオロオロしたり、受けが双子の弟を使って意地悪したりする所で、とんとんになったような?
受けは、弟へのコンプレックスや生徒会長の周辺に文句言ったり、こっちの方が複雑で好ましいキャラでした。
付き合いが長くなれば、2才上の攻めを手の平で転がせるようになるかもと期待大です^^
≪スイートソウルレビュー≫
兄→弟⇔兄の親友。
兄のもどかしさが紙面に滲んでいてとても切なかったです。
弟の可愛いさと純情さは、この兄でなくても惚れる!もう絶大!
3者3様、悩んで泣いてまとまって良かったです。
でも、ラストの、兄友が弟にいちいち言い訳して脱がしていくアレ、「好きっ!ガバッ!」じゃダメだったのかな?
≪白い魚の夢≫(スイート~の続編・兄また失恋話)
兄→キレイで儚気な先輩→先輩の同級生。
依田先生のダークが強く出てました!
トラウマ持ちのか弱い先輩の、ぶっ飛んだ行動がっ!解離性障害!
ラストの兄の涙は何だろう。
ショックを受けつつも理解したかったんだろうとは思うけど。
≪蛍の骸≫('97.8 茜新社キャラメルBoy's掲載)
20才の浪人生×中3のいとこ同士。
無気力な攻めの気分転換に付き合わされ別荘へ来た中3受け。
嵐の夜、怖がる受けにする怪談話が効いて、それから同じベッドで寝る2人。
そして、攻めに残る傷痕の話題から、20才と15才の「キス→夜空→終了後」の3コマのHシーンが。
たった18ページなのに、受け攻めのキャラや、何が攻めにあったかの匂わせ方がとても上手いなと思いました。
話の流れがスムーズで絵も充実している。
透けている人物(亡くなった恋人?)が出てくるけど、オカルトホラーじゃなくて、心の残像ですよね。
この作品、すごく好きです。
自分のように依田先生を知らない読者には恰好の本ではないでしょうか。
読めて良かったです。
実を言うと自分は依田沙江美作品が苦手だ(汗、)
昨年でた「よろめき番長」は大変に面白く好みだったのだが、他の作品とのその差は?と言われてもよくわらない。
今回この本を手にとってわかったのは、多分に小説的だからなのかな?その部分が苦手なのかな?とも思ってみたり、でも小説風の漫画も好きだし、、ということでやっぱりよくわかんない!
ということで実に2ヶ月放置の末やっと読破(トホホ、、、)
読んでみて、これは苦手じゃない、になりました。
後半2本以外は高校生のお話。
どれもかわいらしいのですが、それに共通するのはいずれも”友達以上の特別な感情”なのかな?
恋だの愛だのと、彼等は小難しく考えていない。
ただ、友情以上のその先にある感情を素直に受け入れて、若さで突っ走っている。
だから彼等はホモなのだ、と決めつけるにはまだ時期尚早。
ひょっとすると、一時の気の迷いかもしれないし、そうでないかもしれないし、そこにその先まで見据える作業は全く必要ない。
入学式で出会った先輩はその新入生が好きになり、ただ自分のペースで彼を巻き込んでいくその流れに
新入生は彼なりのコンプレックスから引き挙げてくれる、頼れる腕が欲しくて、
という温度差から新入生と先輩がアタフタする様が実に可愛らしいのです。
また兄の友人がその弟を好きになるが、兄も実は弟を好きでいて、でもだからこそ離れなくちゃという必死の葛藤の苦しみが、実にライトに友人と弟のカプの出来上がりの影にチラ見せするウマいリンク具合。
そして、その兄が学内の先輩の純真に人を愛する気持ちに触れて成長する姿。
仲の良い4人だけど、留年した同級生の仲間がひょっとしてライバルかとけん制しあいそしてケンカして、そんなワサワサした愉快なお話の中にその仲間の一人が実は脳腫瘍でなんて伏線も含む以外な見せ方。
そんな、色んな青い青春が恋愛未満だけど、男の子同士というものに対する萌え部分というのを実にうまくついて見せているんだな~と感心しました。
やっぱり食わず嫌いはよくない、料理法を変えても一度食べてみるべきというのを改めて思うのです。