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最初のページだけでこれは当たりかも!という期待が高まりました。
実際、もう期待以上に良かったです。面白かった~!
とにかく受けの須田がもの凄くツボでした。世話を焼こうとする寺岡に対してそっけないところも良いのですが、たまに垣間見せる弱さがたまらないんですよ。これは構いたくなっちゃう!
闇夜が恐くいつも悪夢にうなされ目覚める理由。抜け落ちた幼い頃の記憶。そしてその頃の同級生だと言い、何かとつきまとっては世話を焼く寺岡。
この一つ一つが少しずつ繋がっていく様子が上手く描かれていると思いました。
次の展開が気になって夢中になって読み進めてしまいました。
須田のトラウマが思った以上に辛かったですね。寺岡にいじめられていた、というのは何となく想像ついていたんですが。しかも一時的なものじゃなく、2日間も酷い目に合っていたというのが…もうなんと言えばいいのか。
寺岡が本当に最低すぎる。最初に話しかけた時は須田が記憶を失っていることを知らなかったはずですよね。よくもまあ、あんな風にいけしゃあしゃあと。自分がどれほど須田を傷つけたか自覚してんのかな。ある意味、見殺しにしたのと同じようなものじゃないですか。
須田が慰謝料請求して、だんだんやつれていく寺岡にちょっとスッキリ。やられっぱなしで終わらないのが須田ですよ。
須田が許さなくても、寺岡は嬉々として一生尽くすんでしょうね。
寺岡のこと結構ボロクソに言いましたが、攻めキャラとしては好きなんですよ。
我慢できずに須田に手を出したり、情けなく縋ったりするのにはすごく萌えました。
どもるのが良いんですよ。余裕がなくて須田しか見えてない!ってかんじで。
ホタルの所では少し泣いちゃいました。
重くて痛い話ではあるんですが萌えるシーンもたくさんで、最初から最後まで飽きることなく楽しめました。読んで良かった!
おまけのペーパーの須田が可愛かったです。
終盤思わず泣いてしまいました。
重くて痛くて悲しくて切ないそしてその奥に甘さが潜んでいるというか。
もともと記憶をなくす前に因縁があった記憶喪失もの。
BLでは割とよくあるテーマですが、それをこの作者さんが書くとこうなるのか!と。
佐田さん作品を読むのは今作が初だったのですが、一気にはまりました!!
何気なく購入してあまりにツボだったので、ペーパー読みたさにちるちるでもう1冊買ってしまったほどですww
ペーパーもよかった!2種とも本編後のお話でほっこりきゅんとしました。
小学生時代のつらいできごとがきっかけで、その前後の記憶をなくしている主人公の真市が、大学で当時の同級生だった寺岡と再会することで物語ははじまります。
つらい出来事を忘れることで自分を守っていた真市と、昔の負い目と罪悪感にくるしむ寺岡。
寺岡の想いはもはや執着の域といえるほどですが、あまりにもまっすぐでひたむきで、真市の心もいつしか、寺岡に傾いていくのにそのたび徐々に思い出す過去の記憶。
読んでいて胸が苦しいほどでした。
両思いになっても、真市が素直になりきれていないのが、もどかしくもあり、萌えます。
終盤の怒涛のタネあかしと真市の心境の移り変わりと、立場の逆転の展開に胸が揺すぶられる思いでした!!
私にとってはまさに神作品でした。
「痛いだろう」「苦しいだろう」その期待を見事に裏切ることなく、胸をギュっと掴まれる苦しさを一冊まるごと味わわされました。
憎しみ、後悔、そんな負の感情がドワーっと押し寄せてくるのは「純粋な萌え要素」という次元にはほど遠いものなのではありますが、そういうものが好きなだけに、のめり込み方は一気です。
悪夢に苦しめられて眠れない須田。
彼の抱えているものが、記憶がすっぽり抜けている小学校時代の事、そして家の事が絡んですごく嫌な性格に仕立て上げています。
色々な事情があることで、自分は運が悪いというか必要とされていないと思うようなネガティブ思考。
ただ生活のためのバイトで疲弊して一体彼には何の目標があるんだろうか?生きる希望とか目的はあるんだろうか?
欲しいモノさえ我慢して、切りつめて、そして卑屈になって、自分よりもしくは自分と同じくらいかわいそうな人と思う人には少し優しくできる。
何か、全然イイところのない人なんです。
そんな彼に、どうして寺岡は犬のようにまとわりついてくるのか?
須田の過去が明らかになった時、
せっかく面倒だな、と思いながらも自分の不安を取り除いてくれる寺岡の優しさを信用し始めた矢先の過去の裏切りを知った時の須田の豹変は、自分にはものすごく納得できるものでした。
償っても償いきれない罪悪感。
寺岡は、ある意味ズルい奴でした。
だから素直に罰を受けたのか、
すっかり弱り果てても、それでも「やっぱり好きだ」とつぶやく、彼の姿に思わず胸がギュっと掴まれて何ともやりきれない気持ちが押し寄せてきました。
須田に暗い感情を植え付けたもう一つの原因である義姉の存在も、その行状さえ違えど須田と同じ存在だったのかな?と思わせます。
ホームレスへの無意識の憎しみも過去への伏線となっています。
色々な要素が満載でちりばめられてはいますが、回収されているのではないでしょうか?
この話のエンドは、過去を全てキレイに清算したわけではなく、その過去をそれぞれが踏まえて改めてスタートラインに立った始まりなんだと思います。
自分に安心を与えてくれる存在として寺岡を好きと認めながらも、ツンデレ(?)なのか傲慢に出て誘う箇所が、何かかわいかったのです。
「い、いらないんだよ!金なんか」
虐められて過ごしてきた人づきあいの出来なくなっていた彼が、初めて自分から欲しいと思った瞬間の言葉だったのですよね。
思わず、須田はきっと女王様に育つに違いない、と思わず将来を思う時楽しくなるのでした。
今回は記憶喪失+再会ものということで、このベタな題材を佐田さんがどうやって料理するのか、ワクワクしてページをめくりました。
結果、ストーリーは自分が最初に予想したものと大体同じでした。でもおそらく種明かしがテーマの本ではないので、やっぱり注目部分は執拗な心理描写にあると思います。
最後まで読むといろいろ腑に落ちない部分があって、もう一回最初から読み直したりしました。
小学生時代苛めていた相手(須田)が自分のせいで2日間行方不明になってしかも発見後すぐに転校してそのまま所在不明になったのに、なぜ苛めた側の寺岡は再会時悪びれもせずに須田に話しかけられたのか。
そこだけがちょっと寺岡がよく分からないのですが、そのほかの曖昧な点は、須田の記憶喪失による不安感と同調することができて、いい感じに、読んでるこっちもずっと不安でした。ほぼ須田目線からしか語られないので。
たぶん寺岡は須田が行方不明になったとき一体何があったのかまでは知らなかった(んですよね?きっと)。「罪滅ぼし」させて欲しかったのは昔の『いじめ』の部分何だろうと思います。それにしてはその2日間の出来事を須田が思い出して告げたときの寺岡の反応は、いささか冷静だなーとは思うんですが。あの過去は一生のトラウマもんですよ。
いやーでも須田視点からなので、もしかしたら顔に出ないだけ?でもそんな出来事を知ってたら、あんな簡単にセックスに持ち込めないと(心情的に)思うんですよね・・・。
などなど、そんな感じでずっとグルグルしながら読んでました。
この主役2人がいい具合に、こずるいというか、せせこましいというか、善人にも悪人にもなりきれないところがとても親近感湧きます。
須田に記憶が無いのをいいことに「付き合って」光線出しまくりの寺岡とか、忌まわしい記憶を思い出した須田の寺岡への復讐(金をせびってみる)とか、2人ともとても小市民です・・・。私的にはこの復讐部分に超期待をしてたので(鬼)、やや肩透かしではありました。もっとひどいことして欲しかった。でも結局この2人は昔から両想いだったんで、こんなもんかな、とも思ったり。
前2作品に比べるとあっさり味ですが(前が濃すぎたのかも)、でもやっぱり佐田さんの文章は読みやすくて好きです。
攻めが「す、好きなんだよ・・・」とかよくドモってるのにひどくキュンときます。
執着の果てを見せてくれる作者様として有名な佐田三季先生作品。意を決して読みました。
噂にたがわず。すごかった。
主人公は人嫌いの大学生・須田。
ある日、大学で隣の席に座った男・寺岡にまじまじと顔を見られ、「俺のこと、覚えてない?」と必死に聞かれる。
しかし、須田は子供の頃の数年間分、記憶が抜けているのだ…
…という設定。
須田は毎日毎日悪夢にうなされており、須田の過去に関するイメージは非常に陰惨で、ホラー的なテイストも感じられる。
須田は他人と馴れ合わず、バイトに明け暮れて疲れ切り、金は足りず。
何度母親に抜けた記憶の事を尋ねても教えてもらえずにイラついている。
そんな時に出会ってどうやら須田の過去を知っているらしい寺岡は、度を越した好意を須田に示してくる。
寺岡に素っ気ない須田と、諦めずに構ってくる寺岡のやり取りはなかなかの緊張感がある。
須田の見る悪夢の断片で過去何があったのかは予想でき、そして実際思った通りの出来事が起きてしまっていたが、その根底には子供の地獄・「いじめ」が大きく横たわっている。
そしてそこには寺岡も関わっていて、すべてを思い出した時に寺岡に復讐心を持つ須田だったが…
この作品は登場人物が男性2人で、友情とその裏切り、罪悪感と表裏一体の強い恋愛感情、存在の不安定さに負けて男の愛のようなものを受け入れてつかの間安らぐ心を抱く須田を描いて確かに「BL」として読めるけれど、消えた過去を探っていくサスペンス的な要素と、何か恐ろしいことを暴くホラー的な要素も大きく感じた。
さて、ラストは須田を好きだ好きだと言い募る寺岡にどうしてもすがってしまう須田の姿で終わり、この後の2人はどう関わっていくんだろう?と思わせたのだが。
続く書き下ろしの「夜が明けたそのあとに」では須田が寺岡にはっきりと「そばにいてほしい、離れていくのは嫌だ」と伝えている。
これは非常に苦痛に満ちた過去に苦しんだ2人に訪れたある種のハッピーエンドで、まあ良かったねという展開なんだろうけれど、2人がどうなったのかわからない、という結末のままの方が良かったのではないか、という気がした。
この結末になった以上、寺岡は一生をかけて須田を包み癒し愛すべき。そう感じる。