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表題作愛は裏切らない

槙島篤志,39歳,相棒で上司
奥村友希,28歳,所轄生活安全課の捜査員

その他の収録作品

  • もう悪夢は見ない
  • あとがき

あらすじ

上司に想いを寄せる刑事・奥村。猟奇的な事件に巻き込まれた二人の運命は・・・。刑事×刑事のサスペンスロマン!

作品情報

作品名
愛は裏切らない
著者
井上ハルヲ(オハル) 
イラスト
宝井さき 
媒体
小説
出版社
大誠社
レーベル
LiLik文庫
発売日
ISBN
9784904835319
2.9

(30)

(3)

萌々

(8)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
8
得点
79
評価数
30
平均
2.9 / 5
神率
10%

レビュー投稿数8

”可愛い毛”ってどこの毛?www

待ってました!実に3年ぶりの新刊2冊目(涙、、)
今回も警察を舞台に、自虐的受けが主人公でありますが、確かに甘さは前作より増しています。
なんだろう、このハードさとか痛さとか、精一杯突っ張って強がっている受けに、それを何とかしてあげたいと思う攻め、この組み合わせがツボなのかな?
”相棒の絆”の延長にある関係。
決して、愛なのかどうかそれは断言できないんだけど、互いを必要とする関係というのが、男同志らしくて好みなのです。
前作に比べても若干痛さも和らいで、ラブ度も高いし(?)読みやすくなってます。

ある日突然何者かに拉致され、3日間監禁された上に刺青を彫られ犯された刑事の奥村。
救出された彼はPTSDを抱えながらもそこでまだ刑事として当時の相棒で上司の槇村と仕事をしている。
彼等はその事件以降、槇村は奥村を事件に巻き込んでしまった罪悪感から、そして奥村は事件にあった自分を責めるかのように関係を持っているのです。
そして、奥村を深く傷つけた犯人が刑期を終え出所し、再び奥村を脅かし始めるのです。

奥村があんな酷い目に遭い、同僚刑事に蔑まれても警察を辞めないでいるっていうことがひょっとして彼の総てを物語っているのかな?と思います。
彼は女王様受けです。
いつも槙島を誘い、押し倒して自分は淫乱な男なしでいられない体なんだと自虐的にいながら、救出が遅れた槙島を責めながらも彼にすがりついている子供みたいでした。
でも彼はMじゃないんです。
そして槙島は、最初に奥村を抱く時に嫌悪感がなかったわけじゃない。
本当は女性が好きなはずなのに、奥村を助けられなかった罪悪感から彼の思うようにさせているのですが、3年後の関係はそれでけではない彼もこの関係を楽しんでいる雰囲気があります。
槙島は正直です。
奥村を好きかと言われれば、自分でもよくわからない。
どちらかが無理をしていればそんな3年も続かないはず。
一見いい加減でだらしない男なのに、フットワークは軽く熱血な部分を見せる四十路手前のオヤジは、とても魅力的です。

奥村に執着する犯人は、変質者とか変態とか言うより異常者です!
彼は奥村を「愛してる」と言います。
そして彼の動向をつけ回し、槙島と寝ていることを知ると「オレを裏切った」と言うのです。
しかし、彼の言う愛は本物の愛じゃない。
彼はタトゥーの素材への愛、自分の作品への愛を、キャンバスとしている奥村への愛だと言い張る、歪んだ性質の持ち主。
怖いです!!
犯罪者って、ちょっと狂った犯罪者ってこんな感じじゃないだろうか?とひしひしと感じます。
犯人は事あるごとに「愛している」を乱発して主人公達が自分たちの「愛」は一体何なのかを考える元になっているのです。

結末は互いが愛してるとか、やはりそんな安易な回答には納まりませんでした。
この不安定な答えが、それでも何より安心できる存在としてとても心地がよいものでした。
甘くない結末。
完全なるハッピーエンドとは言い難いものかもしれないけれど、こういう互いの存在というのは自分にとってのあこがれですw
自分には槙島の態度はとても好感が持てる人物に映ります
やっぱり、この作家さん好きです!!

5

BLのLOVEが無いBL

痛い。痛い。とにかく痛い。
BLでここまで痛くしなくてもと思うくらい痛くて怖い。
怖いんですよストーカーが。
たぶん作者さんが一番力を入れて書いているんじゃないかと思うくらいストーカーの描写が怖い。
甘さがほとんど無いBLです。BLのLOVEの部分がどこかに飛んでいってます。
でも好きなんですね。
槙島と奥村の繋がりはいつ切れてもおかしくない状態で、お互いそれをどこかでわかっていながら微妙な関係を続けているところが、読んでいていヒリヒリする。
ものすごくビターなBLです。
甘いBL好きにはオススメできませんが、苦み走ったものがお好きな方にはいいんじゃないでしょうか。

2

『回復する力』を信じる人間賛歌ではないかと(大げさかな?)

電子書籍で読了。挿絵無し(表紙絵が甘くない美しさを持っているので見たかったのですけれども)。

レビューされた皆さんが書いていますけれど、これは痛い。
監禁陵辱の最中にやられることが肉体的に痛いのはもちろんそうなんですが、被害者に繰り返し訪れる過去の性的暴行の記憶がすごく痛い。
おまけにその被害者の勤務先が警察で、二次被害がとんでもなく痛い。
事件後も勤務を続ける奥村の精神的強さと表裏一体の脆さが哀しくも痛々しい。

想像通り、刑期を終えた加害者が再び奥村を付け狙うのですが、この緊迫感!
と、同時に、明らかに狙われているのに、事が起こってからでないと対処出来ないジレジレ感!
怖いのに、嫌な感じ満載なのに、読むのが止まりません。

奥村は事件の後、上司でありバディでもある槙島と体の関係を持っています。奥村は「被害者に仕込まれた体がうずくから」と言っていますが、体の問題よりも精神を安定させるために必要な行為なのだろうと思いました。
本編の中頃で「自分と関係を続けるのは罪悪感のせいか」と奥村に問われ、槙島はそれを否定しません。
ここがねー、グッと来たんですよ。槙島、正直だなって。
多分、自分の気持ちを表現する言葉が無かったんでしょうね。言葉は感情よりも数が少ないから。
でも、安易な、聞きやすい言葉を口にしない槙島は、その誠実さ故に信用できる人なんだろうな、だからこそ奥村が自分の傷と向き合う時に選んだろうな、と。

暴力に晒された人は、以前の自分に戻ることは無いのだろうと思います。何らかの生きづらさを感じつつ暮らしていかなければならないのだろうと。
でも、このお話のラスト(それがタイトルになっているのですが)にたどり着いた二人なら、これからも奥村に襲いかかってくる障害を乗り越えていけるだろうと感じさせてくれる素敵な終わり方でした。
あまりにも痛すぎて萌えられなかったんですけれど(萌えたら不謹慎な感じがするんだもの)よく言われる『レジリエンス(人が持っている回復させる力)』について考えましたよ、マジで。
こういう本があるからBL読みを止められないのです。
痛いのが大丈夫な方は、是非読んでもらいたいな。

2

犯罪者にもっと凄い制裁を与えてほしかった

すっきりしない結末でしたよ!
あの変態のクソ犯罪者、もっと痛い目に合わせて欲しかった!なんなら別に殺してくれても構わないよ。いや、殺して楽にするなんてダメだ、殺す以上の苦痛を…!!

主役二人は警察官です。
受けがキモ男に監禁されて、ひどい目に合うんですよ。歪んだ男の執着はこわい。緊縛されてのスタンガンに刺青、レイプ、乳首ピアスにアレも刺されて…描写にねちこさはないんですが、かなり痛いです。
トラウマ背負った受けを助けるのはオッサン攻めの先輩警官です。全身からかっこいいオッサン臭が漂ってるかのようなイイ男でした。
二人の関係性に萌えました。

前半はすごく良かったんですよねぇ。
とくに話の構成の仕方が上手くて、ぐいぐい引き込まれました。
えっ?と思うようなエピソードがあって、そのあとに詳しい説明が入る。はたまた、なにげない退屈な場面が続いて、その最後にえっ?と思うような一文が入ってくる 。
うひーと思いました。
こういうセンスって、天性もかなりあるんだろうなァ。
まったく同じプロットだったとしても、ある作家さんが書くとつまらなくなり、別の作家さんが書くと面白くなる。オハルさんは明らかに後者だと思います。

ただ後半が!
何度も言うようで恐縮ですが、あのキモキモ犯罪者をどうにかしてくれ!ちょっと殴られて逮捕って、そんな程度じゃコッチはすっきりしないんだよう!!
攻めが突入した場面も、もうちょいカッコよさが欲しかったなァ。突入してすぐ殴るとか拘束するとかしたほうが良かったんじゃね?前科持ちで悲鳴まで聞いてるのに、突入後スタンガンされるまでの行動には間抜けさを感じました。

9

もっと書いて欲しい

オハルさんの作品は今のところ三冊のみです。
その中でも個人的には『SH』がダントツの面白さで、だんだんその後、尻窄みになってきてしまっていて残念です。

こちらの作品も警察もの。


受けは西大久保警察署、生活安全課の捜査員である奥村。
華奢ながら、警官らしい引き締まった体躯の持ち主。

攻めは奥村の先輩刑事で一回り歳の違う、槙島。
大型の肉食獣を思わせるという、男臭い人物です。


奥村が見知らぬ男からストーキングされ、三日間拉致され、槙島が救い出すという流れが最初にあり、その後のふたりの苦悩がメインに描かれていきます。

とにかく、奥村がかなり酷い目にあいます。
ストーカーからも、警察からも。
性犯罪の被害者ってきっと、被害者なのにまるで加害者のごとく扱われることもあるのだろうなあと、悲しい気持ちになります。
そして痛いシーンもあります。
その辺りは読む人を選んでしまうかもしれません。

この作品は、受けと攻めの視点が切り替わって進みます。
こういう手法は好きなのですが、ハッキリわからなくて読み進めるうちに「あ、ここは槙島視点か」と気づくということも。
その辺り、もう少しわかりやすくして欲しかったなと思います。

三冊の共通点は、攻めキャラがワイルド系なことでしょうか。
しかも、不器用な優しさを持っている辺り。
オハルさんのそんな攻めキャラはわたしも大好きなので、また、作品が読めると良いなと思います。

最後に、細かいことですが編集チェックが甘いのか、誤字、まったく同じ文章が繰り返してしまう箇所、そして裏表紙のあらすじの槙島の字が間違っている……と、なんだか筆者にお気の毒な間違いが多いです。

6

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