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表題作後は灰になってもいい

人材派遣会社社員 黒澤圭吾・23歳
人材派遣会社社長 大嶋智幸・32歳

その他の収録作品

  • 巴里の屋根の下で
  • あとがき

あらすじ

欲の無い人生を送るつもりで人材派遣会社の面接に向かった黒澤。だが社長大嶋の不思議な魅力に惹かれ修羅の世界に踏み込んでゆく…。
(出版社より)

作品情報

作品名
後は灰になってもいい
著者
斉藤まひる 
イラスト
九號 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344822627
3.3

(3)

(0)

萌々

(1)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
10
評価数
3
平均
3.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

やさぐれて、派遣切りそして戦場カメラマン~時事満載!

実はこの作家さん、ちょっと一筋縄でいかない人物を、ちょっとBLには珍しい人間を描くので密かに注目している作家さんです。
お話自体も、職業についてかなり詳しく経済の話しを盛り込んで、この話の設定と経過年数にふさわしい背景を持ってきているところがユニーク。
主人公にかんしても、今回は経済ヤクザが主人公ですが、よくあるスマートで冷酷で頭が切れてイケメンで、、、という格好いいイメージを覆す?
確かに頭もよくキレもので見目もいい設定ではあるのですが、口調がやさぐれているのと枯れたおっさんクサイ部分を持ち、九號さんのイラストもあいまって(これが実にドンピシャのぴったり!)スマートではない。
一方、もう一人の主人公はワンコなんですが、これもまた他で見かけるワンコとは一味違う、どこがっていわれてもワンコなのに主導権を握るワンコというか、やはり一筋縄でいかないワンコ。
自分の好きな、キャラ立ちが滅茶とがって突出しているという設定が目を惹きます。
何だか、普通のBLの主人公はおならもう●ちもしません!みたいな綺麗なイメージをまっとているのですが、この人達はそういうのもすればひょっとして足が臭かったりするんじゃにかと思うほどに、何かものすごーく人間くさいんですよ!
小説中でワンコが中出しにこだわるあまり受けが腹を下すシーンとか、鎮痛剤は空き腹に飲むほど効くとかいって一度に6錠飲んでスッキリ!なんていう目を疑うようなシーンもありますがwww
物語的には明るく爽やかではありません。
何となくジメっとしたほの暗さとか、主人公達に似てやさぐれた雰囲気をまとっているので、好き嫌いがはっきり分かれるお話だとは思います。
でも、自分にはこういう影のある話は好物!
読み終わったあと、ちょいモヤモヤしたものも残りますが、それはこの話にふさわしいモヤモヤであり、何かオプションじゃなくて通常装備って感じww
この話の中には、商品名やブランド名が多数出てきますが、見事に一字変えて描かれているので思わず笑っちゃいます(←え?そこが笑いどころww)

そして、この本分厚いです!
主人公の出会いから離れられない存在になるタイ編までの序章の話しですでに1冊分あります。
そこをクリアすると、怒涛の3年後の話しが。
タイの話しは、一見こんなに必要あるんかいというほどに、たった10日間の出来事が濃密に凝縮してつまってるので、そしてそれは長すぎると思いながらもその後に必要なものでもあるので、頑張って読んでください!
救いなのは、活字のフォントが少し大きいことですw

あるスポーツカーに惚れて、それに関わっていれば幸せと大学生の本分そっちのけで期間工の仕事をする黒澤が、派遣会社の社長・大嶋に出会い、それに乗ってみるという考えはないのか?と言われた出会いから始まり
欲のない一途バカ黒澤は車から社長の大嶋への盲信的崇拝がやがて欲情をもったものに変わる。
大嶋は黒澤のその一途さに珍しい生き物のつもりでいたが、その盲信が自分の仕事に仕えるものと確信して彼を側におくようになる。
元来、裏の日本を牛耳る大きな暴力団組織のフロント企業を経営する大嶋は系列組の若頭代行としての地位も持つが、その容貌から彼に欲情を持つ目で見る男は多く、全てかわしてきた大嶋であったが何を思ったか男に抱かれてみようかと酔狂のように思う。
そして裏の顔がバレるのを承知で10日間のタイへの交渉へ黒澤を同伴してやってきた大嶋はとうとう黒澤に抱かれることになる。

えっと、、ですねw色気の欠片もありません!!
痛さが優先します。
大嶋があまりにおっさん臭すぎます(←そこがすごくいい!!)
むしろ、黒澤の車に乗り280キロのスピードにエクスタシーを感じる描写のほうがどれだけ色っぽいか☆
そして、黒澤は天然ワンコなのにそこの部分は大嶋をリードします。
そして盛り過ぎてます。
はっきり言って大嶋でなくてもウザいです(爆)
彼のこの純粋でまっすぐなところが、のちのち裏切りと幸運をもたらすのではありますが・・・
怒涛の部分はテンコ盛りすぎて言及しますまい。
とにかく面白みは100%彼等のキャラで成立していると自分にはおもわれましたから。
その後の展開で、一部黒澤のことについて納得いかない部分がありますが・・・本当に納得いかない!!これは声を大にして言いたい。
しかし、大嶋が思わず健気でかわいくて、大嶋が幸せならいいか、、って思えるのです。
ここで、数年前の年末大きな社会問題になった派遣切りを背景にしているのですが、それが面白いですね。

書き下ろしは、更にそれから数年後、今度は戦場カメラマンなのか!?に大爆笑しましたからww
お茶目な作家さんだ♪
多分、本編が殺伐としてやさぐれていた分のお返しだとおもうんですが、ま、いいじゃないかww

ある意味いっぷう変わった本だと思います。
新しい、面白くて珍しいものにチャレンジしたい方、是非にこの作家さんの作品オススメします♪

4

何で最後そうなるのって突っ込まずにいられない

いや、なんていいますか、どっからツッコミ入れたらいいのか。
兎に角カオスなお話でした。
色んな意味でカオスなんだけれども、話を破綻せずに終わらせる筆力が凄いです。
文庫でぶ厚い感じですが、この厚さにしても詰め込みすぎ盛り込みすぎ。
上下巻にした方がよかったんじゃない? という感じですが、知名度から無理だったのでしょうか。

この作家さんの作品を読んできて思ったのが、どうも『社長』設定がお好きみたいです。
やさぐれ系が特徴といいますか、今作はそういった特徴に更に磨きを掛けてきた感じがしますが、一歩間違えば一昔前のBL本。
ちょっと昭和なにおいもしてきますので、好き嫌いは分れると思います。

なんというか、そうきて、こうきただけでも驚いてんのに、最後に何で戦場カメラマン!?

って、目ん玉飛び出ました。飲んでたお茶吹きそうになった。
現代の社会問題にも切り込んで皮肉ってるあたり、この作者の博学ぶりが垣間見えるというか、グローバルというか。
面白かったけれども、萌えがあるかと言われるとちょっと悩みました。

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