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表題作アロー

元中学の同級の居候 湯浅麦(25歳)
バー「底」を営む 葛西草(25歳)

その他の収録作品

  • スロー
  • フロー(あとがきにかえて)

あらすじ

バーを営む草の元に転がり込んできたかつての同級生・麦。来るもの拒まずのようで誰からも距離を置いている草だが…?
(出版社より)

作品情報

作品名
アロー
著者
一穂ミチ 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344822849
2.9

(43)

(6)

萌々

(12)

(8)

中立

(6)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
11
得点
108
評価数
43
平均
2.9 / 5
神率
14%

レビュー投稿数11

アロー

過去に囚われた草が、麦と再開して少しずつ、今を生きていくことに理解。
何もかも諦めているようで、森のことだけ、固執していて、触れないことで忘れないとは、切なすぎる。
子供の拗らせのまま年月だけが過ぎて。
得体の知れない麦との暮らしで少しずつ草の心が柔らかくなっていくのにホッとして。
あと、金子と彼女が良い仕事したよ。
脇役ながら、金子の生き方はよく頑張ったと、褒めてあげたい。そして、なんて良い子なんだー!!
口は悪くても、弱っている人に気づくことができる優しいやつ。
じーんと良いものを見たなあ。

0

浮世離れした二人が歩き出す話

一穂先生の以前の作品では、「 」が続くあまり、誰が何を喋ってるのか分からないというのがあって、この作品もそうでした。
特に序盤では、草と麦と、名前が似ていることに加え、人物造形も似ていて(どちらも自由にふんわり生きている)どっちがなんだっけ、と何度か前に戻って確認する必要があり、とても読みづらかったです。
途中、草が兄との関係に悩んでいる描写が登場して、そこから少し理解できるようになりましたが、でも全体的には私はあんまり入り込めなくて残念でした。
(兄はキャラが全然違うので混乱はしませんでしたが、名前が森で、やっぱり字面が似ている)

イラストの金ひかる先生の絵も、あんまり作品に合っていないと思いました。イラストでは麦が随分大きくて、こんなに体格に差があるようには読み取れなかったです。

0

舌の上に、あかい鬼灯。

このレビューには盛大なネタバレがあります。お気をつけ下さい。

物語の前半部分、読みづらさに挫折しかけました。
今作のメイン2人が、話し方や考え方が似ているところがあり、どちらの台詞なのかわからなくなったり、出て来る名前が草・森・麦なので、脳内変換が厳しい所が多くあったりしました。
一穂先生のネーミングセンスが好きですし、いつも見ていて楽しめるのですが、今回の漢字は訓読みのイメージが強すぎたかな…

なんとなく始まって、なんとなく過ぎていく時間をとても上手に表現されていたと思います。
特に前半部分は、メイン2人が溌剌としていない所から始まるので、現在の自身の心持ちと合わなかったのか、少々退屈に感じました。
麦の心の動きをうまく追う事ができず、置いてけぼりにされてしまいました。

中盤から後半にかけて、なぜそうなってしまったのかの理由がわかってくるあたりから、褪せた背景に色がつき始めるような印象でした。色で言えば、草の部屋のベランダに、鬼灯の鉢が置いてある描写が印象的なのですが(表紙にもありますね)、ストーリーの平坦さゆえか、初めは鬼灯の色をうまく想像出来ませんでした。ストーリーに2人の感情が乗り始め、緩急がついてくると鬼灯のイメージが鮮明になってきて、不思議でした。小物の使い方は、流石一穂先生といったところでしょうか。


また、ぶっちゃけてしまうとメイン2人よりも草のお兄さんとの話が好みでした。草はお兄さんに長く、拗れた片想いをしていました。

草の幼少期の回想で、音を鳴らそうと口に含んだ鬼灯が苦くて、それを兄の手に吐き出した場面が特に強烈でした。
草はその行為を、家族ゆえの全てを許し受け入れる動作と認識していましたが、私は、細くも骨ばった少年の"男の手"と、幼気な舌、小さな前歯、唾液に絡まる赤い屑を想起して、鮮烈なエロティシズムを覚えました(ムッツリか)

他にも2、3、子どもの頃の草と兄の描写があって、その都度胸にキュンときました。
お兄さんの真面目な人柄も素敵で、草にもっと困らされて欲しい、この2人の話が読みたいと思ってしまい、読後は若干の失恋気分でした。
麦と草が幸せそうなので、まぁ良かった。これで良かったのさと諦めました。

非常に惜しくはありますが、前半の読みにくさ、お兄さんへの好意が大きくなりすぎたので萌評価に致します。はぁ…お兄さん…

0

そんな生活で大丈夫か!?と勝手に心配したけど、そういう人がいてもいいよ

浮世離れした二人の話。

他作品と比べると、大体自宅とその周辺で話が展開するので地味なお話かもしれませんが、ちゃんとそれぞれの人生を持った人たちが生きていると感じる作品でした。

他人を受け入れる方が、否定するよりも楽なんだ、という一文があって、なるほどなと思いました。
何事にも執着しない方が楽なんだけど、そうすると人を信用できなくなったり、諦め癖がついたりしてしまうような気がします。
私も気を付けないとな。
はっとするフレーズがあるのも一穂先生のよいところですね。

0

一般小説のようです

一穂ミチ先生の作品はイエスノーが初読みで主人公にドン引きした訳ですが、まあ他の作品も読んでみようと思いました。

出だしから雰囲気が一般小説ようです。

この作品の葛西草てどこかのアパートみたいですよね。
ひらがなにすると、かさいそう で、かさい荘。
そんなことを思ってしまったもんだから、そればかり気になってしまってます……。

で、会話や文章にも読みにくい所がけっこうあって……けっこう頭を捻りました……。

2人の会話なのに誰がどれを喋ってるのかわからなくなります……。
そして、前半……草が黒髪か茶髪か、麦が茶髪か黒髪かも分かり辛かった……。

BLかって言われたらBLでなくても良いような内容です。
一般小説でBLっぽい要素がある感じです。

面白いなと思う部分はありましたけど……淡々とし過ぎていて、特に何もない感じです。(見せ場がない)
なんか、読み終えるのに疲れました。

5

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