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表題作されどご主人様(マスター)

スヴェイン・カレルが創り出した使役 
カレル・師の魔法使いの急死で光景となった魔法使い

その他の収録作品

  • 絶対に本編の後に読んでいただきたい巻末小話

あらすじ

寂しさに耐えかね、使役を創ろうとしたカレル。主従契約は交わしたものの、スヴェインと名乗った彼は使役らしからぬ態度でカレルに触れてきて・・・。ほのぼの可愛い主従ラブ!
敬語で大真面目、無自覚タラシ(カレル限定)なスヴェインの言動が甘すぎますv
(出版社より)

作品情報

作品名
されどご主人様(マスター)
著者
椹野道流 
イラスト
ウノハナ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
従者にあらず
発売日
ISBN
9784829625118
3.5

(17)

(1)

萌々

(8)

(8)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
61
評価数
17
平均
3.5 / 5
神率
5.9%

レビュー投稿数6

マスターの資質

今回は受様が師匠の記録を基に土から作った使役と
師匠の死で魔法使いになる魔法使いの養子のお話です。

自分に自信の無かった受様が
攻様との出会いで独り立ちできるようになるまで。

受様は10才で村の魔法使いに売られて
彼の養子となります。

しかし
受様は独立を控えていた兄弟子の代りの
新しい労働力として引取られただけで
魔法使いには親子の情などなく

まる六年が過ぎても
短気で偏屈な養父が受様に話しかけるのは
用事を言いつける時と叱る時くらいでした。

ところがそんな養父が突然急死、
受様が光景の魔法使いとなるのです!!

高齢の養父の弟子としても家事をしつつ
護符や簡単な薬やまじないなどは受様の仕事で
かなり多忙な日々を送っていたつもりでしたが

魔法使いの仕事は
受様が思っていた以上に多岐に渡っていて
何もかも一人でするしかない受様は
朝から深夜まで仕事に追いまくられます。

村に欠かせない存在でも
村人にとって魔法使いは自分達とは違う
闇に近い物騒な存在であり・・・

受様は独りきりでの生活に
徐々に寂しさを募らせていき、
受様は兄弟子が使っていた精霊の使役を
自分も持とうと思い立ちます。

受様は養父が過去に
土くれを使役としたときいた事があり
養父の書きつけに
ソレらしい記述を見つけた受様は
仕事の合間に使役創りを開始します。

全ての過程を終えて
受様が唱えた呪文で現れたのは
人間そっくりな攻様だったのです!!

しかも攻様は
生まれたばかりだからか使役だからか
反応が鈍く、受様のいう事もききません。

それでも創った責任で
攻様のマスターとして色々と教えながら
二人で暮らすうちに
攻様が土くれから出来たモノでも
受様にとって大切な存在になっていくのです。

そんな時、
領主の求める石材調達の為
竜を封印しているといわれる大岩を
村人たちが割ろうとしている事を知ります。

受様は村人達を止めようとしますが
単なる伝説だと取り合わずに大岩を割り、
竜の封印が解かれてしまいます!

魔法使いとしての使命感で
竜を再び封印しようとする受様ですが
そんな力量がない事は明らか!!

果たして受様に秘策はあるのか?!

椹野作品は
不思議が溢れたファンタジーが多いですが
新シリーズは魔法使いが主人公になります。

いらない子として養父に売られた受様は
魔法使いの弟子となってからは
友人も持てずに生きてきます。

それでも養父がいた頃は
あまり寂しさも感じずにいますが

彼の後継ぎとして
独りで魔法使いの仕事を始めると
孤独を感じるようになり

兄弟子のように使役を持とうと考え
使役創りに挑みます。

結果できた使役が攻様なのですが
二人のほのぼのとして交流から
封印の大岩を割られた竜の再捕獲で
攻様の正体がバレるまで
とっても楽しく読めました♪

なりたくてなった魔法使いじゃないのに
村人の盾になる強さを持った受様だからこそ
攻様が正体をさらす気になったと思うし、
そうじゃなかったらバットエンドですよ。

受様の芯の強さが
攻様を魅了する原動力なのでしょうね。

後書きのあとに
本編のその後を描いたSSがあります。

受様が怪我をしてしまった兄弟子にかまう事に
ヤキモチをやく攻様のお話なのですが

兄弟子と迎えに来るらしいパン屋さんの仲が
とってもアヤシイですね(笑)
次作は彼らのお話なのでしょうか?!

今回は本作同様、魔法使いの受様の恋物語で
森本あきさん『落ちこぼれ魔法使いと意地悪マスター』を
ご紹介作とします。

3

牧歌的でノスタルジックなファンタジー

孤独な見習い魔法使いカレルと、使役するために作られた土人形?のスヴェイン。
ハーブをとってきて調薬したり、村の子どもにお守りを作ってあげたり、
ほっこりするスローライフを送りながら暮らしています。

ほっこりと思いきや実は村の人に畏怖されて、微妙に村八分にあっていたりと
意外とシビアなところはありますが、全体的にあたたかい雰囲気です。
でも、イベントが多い分、主人公カレルがスヴェインに惹かれていく過程は省かれ気味。
「孤独だったから、一緒にいてくれるだけで嬉しい」のは分かりますが、
スヴェインのよさが伝わりにくかったのは残念。
スピンオフの「従者にあらず」も読んでみたいと思いました。

1

和むファンタジー

大好きなウノハナさんの挿絵で前から気になってはいたのですが、
なかなか手が出ずにいた1冊。
もう少しで続編(というよりスピンオフかな)の「従者にあらず」が出るようで、
またウノハナさんが挿絵だし、これは読まねば!!と急いでコチラを買ってきました☆

椹野道流さんの本は3冊目、「茨木さんと京橋君」の1と2を読んだことがあります。
コチラはファンタジーで外国モノなので、だいぶ違う印象でした、
こいうのも書かれる方なのですね~
でも、読みやすい本という点では一緒かな。
それなりの厚さながらサクサク~~っと読めて、気持ちを和ませてくれる本でした♪


生活苦のために10歳の時に親に売られ、魔法使いの養子となった少年カレル。
その魔法使いが突然死に、
今度はカレルが代わりに村の魔法使いとして、ひとりで生活しなくてはいけなくなり、
やることがいっぱいあって大変&寂しくて、土から使役を創ろうとしたら、
35歳くらいの寝ぼけたオッサンが出てきて~~というお話。

その使役、文章ではオッサンらしいのですが、
ウノハナさんの挿絵では美しい青年という印象ですw

亡くなった魔法使いや兄弟子とのやり取りとか、村人たちとの距離感や交流とか、
魔法使いの仕事のこととか、そいうものが多く描かれていて、
BL色はそんなに強くはないなぁと感じました。
あ、でも、
受けのカレルが使役(攻め)を守ろうとして言う、
自分は骨が丈夫だから~のセリフは、とてもいじらしく可愛かった♪

物語の雰囲気はとてもよく、心温まるお話でしたし、
使役だと思って創ったのに実は~~という展開も面白かったです♪
ただ、
文章からメインふたりのキャラの魅力をイマイチ強くは自分は感じられず…残念…
多分、単にふたりの喋る言葉の言い回しが好みではなかったのだと…
特にカレル、いい子なんだけれど、
攻めへの話し方がちょっと生意気すぎる気がして(攻めが使役だからなんだけど)…


BLとしては、
今度出るクールな兄弟子の話「従者にあらず」の方が楽しめそうな予感☆
兄弟子が寝ている同じ屋根の下で、ヤっていたカレルと使役のふたりでしたが、
新刊ではそのあたりの事も触れられるのかな~と楽しみw

3

児童文学のようなBL

椹野道流先生と言えば、「奇談」シリーズや「にゃんこ亭のレシピ」、「貴族探偵エドワード」シリーズなどファンタジー作品の印象が強いのでこの作品も楽しめました。性描写が無ければ児童文学として出版できそうな、温かなファンタジー小説です。

主人公のカレルは17歳。魔法使いアレッサンドロの養子ですが、親子には家族の情愛などなく、カレルはもっぱら無給の労働力として扱われていました。独立した兄弟子ロテールのように魔法使いの才能があるわけでもありません。そんなある日、高齢だったアレッサンドロが亡くなってしまいます。そしてカレルはアレッサンドロのローブと杖を受け継ぎ、師匠の後継者として村の魔法使いになることになりました。
魔法使いの仕事は多岐に渡ります。護符作り、まじない、葬式、調薬…。何もかも自分一人で行わなければなりません。カレルは村人たちのために昼夜仕事に追われる日々。しかし村人たちは魔法使いを頼りにしているけれど、自分たちと違う闇に近い存在として魔法使いを忌んでいるので、カレルと親しくなろうとする人はいない。忙しく、友達のいない淋しい生活に耐えかねたカレルは土くれから使役を創ることを思いつきます。師匠が残した本の記述を頼りに呪文を唱えたら、寝惚けたおっさんが現れて…。
魔法使いの主人・カレルと使役のスヴェインの生活が始まります。

椹野先生お得意の日常ほっこり系。深く人と関わる機会がなかったカレルがスヴェインとの同居を通して温かな感情を知る過程を描きます。物知らずで天然のスヴェインにカレルが家事や常識を教えていくことで新しい発見があり、日常がキラキラと輝き始めます。何でもない日常が好きな人と過ごすことで幸福なものへと変わっていくのです。

やがてほのぼのとした日常から一転、二人はお互いの感情に向き合わずにはいられなくなりシリアスな展開に。それでも信頼と愛情を持って、二人は相手を思いやります。ところが村では竜を封印した大岩を村人たちが切り崩そうとする騒動が起きて、魔法使いであるカレルは窮地に立たされるのでした。
淡々としたお話かと思わせて、クライマックス近くなるとファンタジーらしい冒険も待っていて物語に緩急がついているのが高評価できます。

あとがき後には「絶対に本編の後に読んでいただきたい巻末小話」を収録。
兄弟子ロテールのお相手の存在が仄めかされます。

3

この世界観を理解するための作品かな?

約二年後に刊行された続編(スピンオフ作品)「従者にあらず」まで読んでの感想です。

本作の主人公は魔法使いの弟子・カレル。師である魔法使い・アレッサンドロが急死したことで村の魔法使いとして独立することになった彼は、あまりの寂しさに耐えかねて「使役」――魔法使いの手となり足となる精霊を造ろうと、アレッサンドロの遺した指南書に従って覚束ないながらも奮闘します。果たして…カレルの前に現れたのは想像した使役とはかけ離れた存在でした。自ら「スヴェイン」と名乗った使役は言葉遣いこそ不思議なものの、意思を持って行動し、時には寂しいカレルを慰めるように触れてきます。自分は彼のご主人様(マスター)だから威厳を持たないと…と複雑な心境のカレルですが、ついついスヴェインに甘えてしまう日々。ある時、平和な村を揺るがす大事件が起こって――…というお話です。

優しい雰囲気のファンタジー作品で、童話を読んでいるような気持ちになりました。カレルが頑張る様子も微笑ましかったし、謎に包まれたスヴェインの正体と彼のキャラクターも面白かったです。ただ、BL的な展開はちょっと唐突に感じました。二人がやがて肉体関係に発展するとしても、もうちょっとメンタルな絆を深めてからのほうが自然だったんじゃないかなぁ。

あと、すごーく根本的なツッコミですが…「使役」って動作を表す名詞であって「使役するための存在」を表す意味はないと思うんですよネ。いやまぁファンタジーなんでいいですけど。

さて、本作でカレルが窮地になると現れて助けてくれる兄弟子・ロテールは「従者にあらず」の主人公です。二作続けて読むと、本作はこの世界観を理解するための作品という位置付けという気がします。魔法使いが畏怖と尊敬の対象でありつつ職業として成立していて、その認識は集落によって異なっている。そんな、どこかリアルに感じられる設定が面白いシリーズだと思いました。

3

この作品が収納されている本棚

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