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表題作セーフティ・ゲーム

香島成貴,26歳,製薬会社のMR
友村理史,31歳,個人開業内科医

その他の収録作品

  • デンジャラス・ゲーム
  • あとがき

あらすじ

内科医の友村(ともむら)は担当MRの香島(かしま)に想いを寄せていたが、
もう三年、仕事上だけの付き合いを続けていた。
ある日友人に連れられゲイバーを訪れた友村は、成り行きで女装させられる。
そこを通りかかった香島にナンパされ、正体がばれていないと思い込んだ友村は、
罪悪感を抱きつつも香島との女装デートを重ねることになる。
それが香島自身の策略とも知らず……。

騙したはず、騙されたはずの二人の恋は?
製薬会社の性悪MR×天然内科医の年下攻ラブ・ゲーム!!

作品情報

作品名
セーフティ・ゲーム
著者
砂原糖子 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403522857
3

(28)

(2)

萌々

(5)

(12)

中立

(9)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
75
評価数
28
平均
3 / 5
神率
7.1%

レビュー投稿数10

臆病とずるさは同義語か

うわー!何だ、この面白さ!!
愉快痛快の面白さじゃなくて、主人公達の性格からくるこの物語の心理戦の面白さとでもいいましょうか。
臆病なのかヘタレなのか、はたまたずるさなのか、そんなものが混然一体となって、素直じゃねぇなっwwって、そういう愉快さなんですよ。
ちょっぴり痛いけど、酷い痛さでもない。程良いピリっとしたものなのでそれが物語に味を与えています。

製薬会社のMRの香島は、個人開業医の友村が気になるほどには好きだ。
ある晩、友人が働いているゲイバーで女装ナイトをやっていて、そこに友村が来ているのを見つけた香島は、友人を使って友村を女装させて、偶然の出会いを装う。
友村もゲイで、本当は香島が好きだった。
女装姿が自分だとバレていないと思いこんで、女装姿のサトミとして、香島とデートをするようになる。
サトミが友村と知っている香島。
バレていないと思っている友村。

この時点で、香島がとてもズルい人で、友村をもてあそんでいるように思うのです。
どう見ても友村の女装は、傍から見ても微妙なので友村は全然それに気がついていない@@!
気を使っているのは香島なんだが、それすらも好意の気遣いだと思っている友村。
この辺りの二人の、互いを勘違いと思いこんで、互いが互いを騙していると思い込んでいる下りが、実に面白い!
押し倒されて、貧乳とごまかすほどに胸を弄られて、それでも女装でいる友村も大概に無神経な臆病だと思うが、知ってて友村を困らせる香島も狡い臆病だ。
女装の友村にしか大胆になれないからだ。
そのくせ、二人とも本当は好きなのに言えないし、香島に至ってはつっぱらからかって、イライラしてるしwww
ある晩の出来事で香島の騙しを知ってしまった友村が、男装のままでデートにあらわれても、その後に及んでも「サトミさん」という香島に、お前!どんだけヘタレなんだ!!アホやろーー!!と読者の自分が突っ込ました(ハイ)
しかも、友村に向かって「もう女性の振りは辞めてください」って・・・お前も悪いんだろうがーーー!!
という具合に、二人のすれ違いが絶妙で、ヘタレもひねくれていて、それが最高でした。
きっかけは結局、友村の友達が作ってくれたんですが、彼惜しいよね。
I.Sの人だったから、、絶対趣向がゲイ寄りだったら、友村は花村がよかったはずv香島なんか全然はなにもひっかかりませんでした、よっぽど男らしいよv

そして『デンジャラス・ゲーム』において、やっと恋人になれた二人のその後なんですが・・・
清いお付き合いをしてますww
本来の恋愛に対する臆病というかヘタレが素直に出たとでもいいましょうか?
ここでつまらない嫉妬のしあいをしたりして、おりまして、あ、これはバカップルの入り口一歩手前wwなんて楽しくなりましたv
そして、酔った勢いが女装エッチ!!
うん、いいよ、これからこの二人は時々こうやって女装エッチしてればいい(爆!)

決して平坦ではなくて、山あり谷ありばかりで、互いにヘタレ同士なんだけど、違うタイプのヘタレ型という、こういうのが楽しいです。
ものすごく楽しませてもらいました!
ので、久々に神をばv

4

人でなしの恋

テーマは人でなしの恋。
自分だけ安全な場所にいて相手をだます…。

人でなし
とだけ聞くと、とてもひどいことを想像してしまいますが
相手をだます……それも臆病さゆえにと聞くと
まあ、ありかなぁと。

香島の姑息さが目につきましたが、友村の自虐っぷりも度を越していて。
なんとなく似た者同士だなぁと思いました。

女装という設定が特殊な印象です。
ただ、そこまでこだわりがある感じではなく、あくまで、女装をすることで、安全な場所から危険な場所に変わるための手段の一つだったと思います。

香島は、人間臭くてリアルに近いかも。
女装の下手な友村のことを友達に語る露悪的な攻めがあまり見当たらないタイプ。
これはこれで結構楽しい。

本音と建前が全く違う攻めが見たい人にオススメ。

2

ひとまず

設定としては面白い。
お互いが同じ性癖で、同じ気持ちを抱いているのだけれど
相手にそれを伝えるのが怖い臆病者。
お互いに、お互いをだましているつもりでの恋の駆け引き。
それがどーいう結果になりますか・・・!?
なお話なわけです。

すんなり告白してしまえばすむものを、お互いに3年も胸にひたかくし
引きこもっていたわけなのです。
たまりにたまった気持ちが!!!!!!な展開を期待していたのですが
いかんせん、あの攻・・・・・
気持ちの爆発的なものが乗り切れなかった。
たえしのぶ恋をしていたものが一気にという感じでもない気がしたり。

というか、あの攻に乗り切れなかったのだヨ(≧ヘ≦) ムゥ
受も受で、女装姿で出会った自分を好きになってくれたと思い、がんばる姿はかわいかったのだけれど、視点が攻受コロコロ動くのでこれもこれで乗り切れませんでした。

ん~・・設定はおもしろいなと思ったのですが
乗り切れなかったのが一つ残念だったかなという感想。

5

狡さがちょっとばかりいとおしい

人を騙すというのは、もしそうせざるを得ない場合だったとしても
好ましくないと私は思っているのですが…。

攻めの香島は製薬会社の医薬情報担当者、通称MRで
三年前から通っている小さな内科医院の医師・友村に好感を持っていました。
まだおぼつかない説明と応対の頃でも丁寧に接してくれて、
お茶まで出してくれたりして
友村の誠実で優しい態度、カルテに書き込まれる綺麗な字に惹かれ、
飲みに誘いたいけど取引先相手に無茶は出来ないのです。

ところが、同級生の輝美が雇われているゲイバーで飲んでいると
こんな所にいると思わなかった友村を発見します。
その日は女装イベントを催しているということで
こっそり輝美に協力してもらい、友村に女装をさせ
店外の階段で偶然出会ったようにみせかけ、
そこからどう転ぶかわからないゲームが始まるのです。

友村は友村で、香島を好きでしたが行動を起こすことも出来ず
女装で出会った為、香島を騙したままだと気を重くするのですが
優しく声をかけられ、デートに誘われ、嬉しい気持ちもあって複雑です。

デートの際、車内で深いキスをされ、胸を愛撫されて
真っ平なのに「可愛い」なんて香島に言われて
感じ過ぎてイッちゃうとか先生ぇぇぇぇ!!!
普段穏やかな人のそういう姿って、やっぱりエロいです!

まだかろうじてバレていないと信じていたのに、
思いがけなく輝美から真実を聞かされる事になって…。

香島、普段は愛想が良くて明るくソツのない男ですが
素は意地悪で嫌なやつなんです。
でも、臆病だし、立場上という事もあり、
友村に素直に正面切って好きだと言えなかったから
友村をも傷つけ、自分でも落ち込んでしまって…。
(自分がどうこうは自業自得なのでしょうがないのですが)
結局情けないところも見せてきっちり謝ったし
騙した事も傷つけた事も無かった事には出来ないけど
本音をやっと吐き出したから
私は普段こういうタイプは好きじゃないはずなのに
友村のように多少ほだされてしまいましたw

友村がホント、いい人で途中何度も気の毒になり胸が痛みました。
嫌いになりたいのに忘れられないツラさにもずきずきして…。
香島からもらったお菓子や販促の文房具を机にしまっておいてたとか
なんて可愛らしいの!31歳なのにスレてなくて!!

友村の友人、花山もサバサバして良い味を出してくれていました。
素性を知った時には「えっ!」と驚いたのですが
香島をこきおろしてくれてスッとしましたw

女装ものってそんなに反応しないのですが
友村の健気さが何とも言えずきゅんとしましたし
Hがね…控えめなのにしっかり感じていてムラっときましたww
そこだけはすごく香島に感情移入してしまった!
(行為の最中に「先生…」って呼ぶのも良かったw)

どちらも臆病者だけど、お互い好きだったというシンプルさ。
香島の小狡さと友村の誠実さは
結構バランスがとれているのかもしれないと思いました。
これからは正直に、素直に、ね!

3

攻めを許せるかがポイント

2014年に香坂あきほ様の著書で、コミカライズされています。そちらは未読なのですが、どこまで原作に忠実なのかが気になるところです。

表題作と、それよりちょっと短めの続編「デンジャラス・ゲーム」の、中編2本が収録されています。

両作品とも、香島(攻め)と友村(受け)の両方の目線で語られているので、心情の動きが分かりやすいです。それなのに、どうにも香島の思考には共感しづらかったです。友村は健気で可愛かったのですけれど。

女装姿の友村を初対面で気がついたものの騙されたフリをしてというのならともかく、女装すること自体を仕組んだというのが、どうにも臆病の範疇に収まらず性悪にさえ感じさせます。「俺に打ち明ける気なんてなかったくせに」って香島は友村を責めますが、遡っても言い出せそうな話題ふりもしてなかったので、私の中の好感度はますます低下した場面でした。

どちらも勇気を出すのが怖い、臆病者二人の恋愛という点では、「セーフティ・ゲーム」の題名ぴったりだと思います。続編「デンジャラス・ゲーム」は、友村的には題名どおりかもしれませんが、香島的にはそうでもなかったかも。女装姿で香島を襲う友村がナイスでした!もっと香島を怯えさせたら個人的にはなお楽しかったのですが、結局香島に責め苛まれてしまったのが残念です(笑)

香島の言動が許せるのなら、楽しめる作品だと思います。シリアスでないので辛くもなく、両者それぞれの友人・花山と照美も良いキャラで、読みやすいですよ。

3

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