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表題作ただ一人の男(2)

尾崎一雅・元ヤクザの組長の不動産会社社長
如月巳波・ある事件で感情の起伏がないバーテンダー

その他の収録作品

  • セラピストの考察

あらすじ

幼い頃のトラウマで、人間を『もの』としか見られなくなった如月巳波。だが、同居人の元極道・尾崎一雅が敵対する組織から命を狙われながらも死の淵から蘇ったことから、彼を“この世でただ一人の人間”と認識し、恋人として結ばれた。初めての感情に戸惑いつつも尾崎との平穏な日々を過ごす如月。しかしふとした出来事で、尾崎は自分の気持ちを刷り込みだと思っているのではないかという不安が如月の中で頭をもたげる。そしてそんな中、尾崎を再び極道の世界へと引き戻そうとする男が出現し──。大好評ビター・ロマンス第二弾文庫化。

作品情報

作品名
ただ一人の男(2)
著者
火崎勇 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
シリーズ
ただ一人の男
発売日
ISBN
9784778111885
4

(15)

(5)

萌々

(6)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
61
評価数
15
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数4

健気になった受け様

シリーズ物の2作目になります。前回様々なトラブルに
見舞われながらも、恋人同士になった二人のその後です。
さぞやラブラブかと思いきや、やっぱりデロ甘にはなりません。
如月は尾崎をただ一人の男と認識してはいますが
相変わらずそれ以外は人形状態にしか思えない状態。
1作目にかかわった尾崎の昔の舎弟と勤め先のマスターだけは
例外になりつつ、それ以外には興味も関心もないです。
それでも尾崎の為に普通になる努力を健気にしてます。
見た目も言い方もツンデレ系の如月ですが尾崎だけって感じです。
でも尾崎にはなかなか通じてないようで・・・・
尾崎がインプリンティング(雛の刷り込み現象)を知ってる
ってだけで、如月は自分の思いを尾崎が疑っているのではと
思い悩むように、自分自身でも不安を抱くようになります。
偶然再会したカウンセラーへ自分から助けを求める如月。
今回はこのカウンセラーがキーポインターになります。
尾崎がらみでまたまたトラブルになりますが
結果的には二人にとって思いの再確認になる出来事です。
是非読んで頂きたいので感想は抑え目にしてますが
如月のトラウマと尾崎のやくざ時代の出来事が相反するのに
結果の過程が似ているって事になるほどって思いました。
興味深いキャラも増えて3作目が楽しみです。

1

誰かを思うという事

本シリーズは強面な元ヤクザの組長で現不動産会社社長と
ある事件で感情の起伏がないバーテンダーのお話です。

攻様を極道に引き戻そうとする男を絡めながら
受様の気持ちの深まりを描く本編と
受様の主治医兼友人視点で回想を絡めた番外編を収録。

受様は強盗に両親を殺された事から
人としての感情が欠けていて
どんな人でも生きた『人間』として捕らえず
動く『人形』にしか思えませんでした。

しかし前巻で死地から蘇った攻様を人として認識し
彼への恋を自覚した事から
単なる同居人だった攻様と恋人同士になります。

そんな受様のお相手はというと
今は不動産会社の社長をしているとはいえ
極道の組長までおさめた男だけあって
不遜で豪胆で唯我独尊な俺様系(笑)

初めての感情に戸惑う受様に対して
やっと彼を恋人に出来た攻様は
恋人ならではのイベントに超積極的♪

今回も受様に強引に一週間の休みを取らせ
昔馴染みだと言う高級旅館に向かいます。

本当はマンションで二人きりでも
高級旅館に二人でもどちらも同じな受様なので
攻様を喜ばせたいから喜んだようなモノですが

過ごしてみれば
朝から晩まで攻様を独占できる毎日は
意外な程に楽しいものでした。

しかし出立の日に起きた二つの出来事が
二人の未来に暗い影を投げかける事になります。

一つは攻様が
水鳥のヒヨコが犬の後をついて回っている姿を
インプリンティング(刷込み現象)だと断じた出来事で

一つは
攻様が極道時代に関わりのあった元総会屋で
現IT企業社長との出会いです。

長く精神科の治療を受けてきた受様は
攻様が初めての恋だという自分の気持ちを
インプリンティングだと疑っているのかと
不安に取り付かれることになります。

幸いにも受様の気持ちは
かつて受様の治療をしていたカウンセラーの
助手をしていたセラピストとの再会で
落着きを見せるのですが

攻様の友人だという男は
攻様を自分の世界に引き戻そうと画策し
受様にちょっかいをかけてきます。

受様がなびかないと知った男は
徐々に受様を取り巻く人々にも手を出してきて?!

ショコラノベルズのリメイク版2巻目の本作も
書き下ろし2本の為に発売日GET♪

前巻は受様が攻様を唯一の相手として
恋を自覚するまででしたが

本巻は攻様によって世界が開いた受様が
徐々に周りを見始めたことによって
他人の気持ちにまで意識を広げるお話になります。

その過程で
自分の気持ちが疑われているのではと悩んだり
周りの人を巻き込まない為にと
IT社長のもとに単身で乗り込んだりするのですが

受様は感情が動かない為に
自身を大切にしない面もあるので
IT社長が極道だと判っていても
単身で向かう事の無防備さを判っていません。

攻様が間に合ったので良かったものの
今回もかなりヤバい目に会ってしまうのです。

このあたりは
極道モノの王道展開なので
お約束としてハラハラできないと
山場が楽しくないかもないかも(苦笑)

攻様にちょっかいを出すIT社長や
過去の受様を知るセラピストは
次巻以降も二人に大きく関わって行くので
初読みの方には次巻もぜひ読んで頂きたい♪

今回の書き下ろしは
受様の主治医兼友人視点で
回想と本編の裏事情が語られています。

こちらの彼も
某キャラとの未来が確定しているので
この時点ではこんなだったのねって感じで
既読ファンには別種な楽しみも味わえました。

初版鋏み込みのペーパーは
攻様視点で幕間的なお話になります。

次の書下ろしは
誰の視点でどんなお話なのかな?!

今回は極道×バーテンダーで一本、
妃川螢さん『ツァリーヌの接吻』をご紹介します。

1

ハッピーエンドのその後

トラウマを扱った長編シリーズの長所は、ハッピーエンドのその後を描いてくれる点にあると思います。

恋を知ってすぐトラウマが治るとは限らないし
そもそも無理に治す必要があるとも限らない。
「普通」でない恋人に、相手が苛立つこともあるかもしれない。

この第2巻では、そんな彼らの「その後」が描かれます。


攻めの尾崎は、受けでトラウマ持ちの如月(語り手)が「普通」になることを望む。
如月が尾崎以外の人間と交友を持つことで、多数の人間の中から自分を選んだのだと証明してほしいし、
自分の元セフレには嫉妬してほしい。

しかし如月は、尾崎の知人や元セフレに絡まれても、いつものように飄々と返すだけ。
そのことが尾崎を苛立たせます。


この巻の尾崎は、健常者の常識を押しつける傲慢さがあり、実はあまり好きになれませんでした。
如月が誰かと親しくなったらなったでヤキモチを焼き、怒りのまま如月を乱暴に抱くなど、身勝手さも目立ちます。

しかし、このような尾崎の子どもっぽさも、如月を成長させる一つの要因となっているのではないかと思います。

1巻読後はてっきり、今後如月は尾崎の庇護下で「普通」になっていき、彼の超然とした魅力は失われていくのだろうと思っていました。

でも実際は、実はそれほど堪え性のない尾崎にときに悩まされ、
尾崎のヤクザ時代の知人にも付きまとわれ、如月は基本的に孤立無援。
ほぼ一人で考え、対応していく如月には、1巻と同じ思いきりの良さが感じられました。

強姦されかけのところを尾崎に助け出されたり
絡みで尾崎に色々されちゃったりと
フィジカルな面では受け受けしいですが
精神的には、簡単には人に頼らない芯の強さが感じられました。


そんなカッコよさがあるのに、恋愛スキルは赤ちゃん並で、尾崎が自分から離れていくことを想像しただけで涙してしまうようなピュアさも。
これは間違いなく尾崎との恋愛の影響で、彼の感情が育っている証拠だと思います。

そんな如月の内面の変化を理解してくれるのが、心理カウンセラーの多和田。
如月の気持ちを引き出すという意味で重要な役割を果たす彼は、
なんとスピンオフで尾崎の元舎弟・篠塚とくっついちゃう模様。
本書ですでにフラグが立っている彼らの話も読むのが楽しみです。

1

第二作

うーむ。やはりpart.2は今ひとつというジンクスをくつがえせなかった。。

ただ一人の男、から恋人同士になった二人。しかし如月のトラウマは尾崎以外の人間には残ったまま。

今回は脇役が絡んできます。かつての精神科医の助手、尾崎の元部下たち。そんな人との交流を通じて如月も次第に人間らしい感情を取り戻す、そんなストーリーでした。

しかし、唯一の男として如月に絶対的な存在を与えた前作からすると、くっついた後のトラブル、当て馬が登場しての最後に仲直り、という本当のテンプレで何かおなかがいっぱいに。。

しかし火崎さんはいつも後書きが楽しいですね。今後の構想もあるよ、という宣伝かもしれませんが、だいたい二人のその後やスピンオフになりそうなカップルの妄想(ご本人なのでやはり構想だろうとは思いますが)が書かれていて、意外な心情だったり萌えな妄想系だったりと楽しませてもらっています。

たぶん篠塚と多和田さんのスピンオフくるだろうなあ。

1

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