丸木文華 ホワイトハート初登場!

罪の蜜

tsumi no mitsu

罪の蜜
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神25
  • 萌×212
  • 萌10
  • 中立5
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
5
得点
208
評価数
55件
平均
3.9 / 5
神率
45.5%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
講談社
シリーズ
X文庫ホワイトハート(小説・講談社)
発売日
価格
¥600(税抜)  ¥648(税込)
ISBN
9784062867009

あらすじ

平凡な雄介は、天才的才能を持つ水谷に嫉妬心を抱くが……。
もっともっと、俺を欲しがってくれ。

予備校で講師のバイトをしている美大生の嘉藤雄介(かとう ゆうすけ)は、天才的な芸術の才能を持つ高校生・水谷宏司に出会い、羨望と仄暗い嫉妬心を抱く。高名な芸術一家に育ちながら落ちこぼれの雄介は、人知れず深いコンプレックスに苦しんでいた。しかし、そんな雄介に水谷は好きだと告白する。雄介は天才である彼に欲されていることに優越感と歪んだ快感を抱きつつも、自分の過去の罪を水谷に隠していることに怯えていて……。

(出版社より)

表題作罪の蜜

才能を持つ美術予備校生 水谷宏司18歳
美術予備校講師バイトをする美大生 嘉藤雄介25歳

その他の収録作品

  • 家「苛立ちの秋」「諦めの春」「雪解けの冬」
  • 世界
  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数5

丸木さんの魅力いっぱい

丸木さんに笠井さんの挿絵ということで購入しました。まさに丸木文華さんワールド、といった内容でした。執着しすぎる攻めに、ネガティブな受け。

わんこで一途な攻めって個人的に凄くツボなのですが、丸木さんのわんこちゃんはわんこを通り越して執着しすぎて怖い。でもそれが怖いだけではないのはやっぱり根底に受けに対する揺るぎない愛情があるからなんですよね。そしてこの作品の攻めの水谷。彼もいい具合にドロドロな執着心を持つ攻めでした。
それと彼の生い立ちにも激しく萌えてしまいました。彼が望めば欲しいものは何でも手に入りそうなのに、それらを一切排除しても欲しいのは雄介だけ。まさにわんこの鑑でした。

対して受けの雄介。彼の鬱屈としたコンプレックスも良かった。芸術関係で才能が無いのなら別の道もあったはず。なのにどうしてもそちら方面で活躍したいと願う彼の根底には家族への愛情があったのでしょう。それをああいう形で負い目を感じている、というのが可哀想で…。

相変わらず美しい笠井さんの表紙ですが、中の挿絵は今の絵柄と比べると若干可愛らしさが漂います。というか、今の絵柄が妖艶すぎると言ってもいいと思う続きのですが。

文中で所々出てくる日記風の文章がとても怖かった。そしてその文章があるがゆえにこの作品のレベルを上げているとも思いました。オチはそうなのか、というストーリー展開も素晴らしかったです。

丸木ワールドをたっぷりと堪能させていただいた作品でした。



2

展開に衝撃

私は卑屈な性格の受けがあまり好きではないので、最後まで読めるか心配でしたが全く問題ありませんでした。
受け屈折した性格ですがその屈折さもほどほどで、純粋だからこそ才能のなさに卑屈になっているのではと感じたことと、クズのような性格ではないので受けにマイナス感情を抱くことなく読み終えました。

基本は受けの心理描写で進み、雄大が水谷の執着にとまどい、受け入れていくのが丁寧に描かれています。
最後は攻めの水谷の心理描写でなぜ雄大に惹かれ執着するようになったかしっかりと分かるので、受けの心理描写では分からなかったストーリーの謎が解き明かされます。
雄大の視点では水谷の執着はわかっても、病んでいる感じはそこまで伝わってこなかったです。
だからこそ水谷の視点で実はこうだったってことが分かったとき、かなり衝撃を受けました。
最後の水谷の病み具合は私のツボをつきまくりです。

この作品は最後に攻めの心理がしっかり分かるのでも、もやもやが残りませんでした。

1

丸木ワールド王道CP

これぞ丸木文華。

受をとことん追い込む悪いイケメン執着攻 × 人間性に難のある脆い受。
丸木作品の黄金比、“破れ鍋に綴じ蓋CP”です。
さらに、挿絵が笠井あゆみさんという豪華さ。
私の求める要素が全て盛り込まれているので、文句なく神認定にさせて頂きます。
ホワイトハートでは初お目見えということで、あえて丸木色全開にしたのだと思いますが、キャラ・内容・挿絵いずれも、高いベルでまとまった一作になっていると思います。

丸木受キャラの特長はなんと言っても、性格の悪さ。
…とだけ言っては語弊がありますが。(笑)

若年層向けの物語の主人公は読者の共感を得るため、必要以上に性格良く描かれるのが普通だと思います。
BL作品でも然り。
ところが丸木作品の登場人物はみんな、ネガティブな意味で等身大なんですよね。
人間の弱さ、脆さ、自己を確立するための防御本能や攻撃性。
そういった後ろ暗い感情を登場人物たちすべてが抱えていて、それぞれのエゴイズムが複雑に絡み合ってお話が進んでいく。

特に顕著なのは受キャラである主人公。
本作の主人公・雄介も弱さから生じる攻撃性がた続きびたび発露するので、ことあるごとに相手を傷つけたり、踏みにじったりします。
攻はそうされるたびに雄介に対しての執着心を深めていくといった展開になるのですが。
読み手自身は果たして雄介のあざとさ、姑息さ、矮小さを許容できるのかどうか。
そういった主人公の性格を「暗い、好ましくない」と思うか「人間くさくて愛おしい」と思うか、それだけが丸木作品を評価する全てになってくるのだと思います。
読み手を選ぶ作家と言われる所以ですね。
もちろん私は、後者です。

つまるところ、雄介は表向きでは水谷を拒絶しながらも、深層心理では流されたい、隷属したいと望んでいる“どM”なんですよね。
隠された性質を、執着心むき出しの攻に暴かれていく展開は、うすら怖いながらも爽快感があります。
帯のアオリ文『もっともっと、俺を欲しがってくれ。』というのは雄介の心理と思わせておいて実は、水谷の方の心理だということが、読み進めていくうちに分かります。
本編「家」では雄介視点で物語の本筋が、同時収録作「世界」では、水谷サイドから種明かしが語られます。
果たして、一番重い罪を犯しているのは誰なのか?
勧善懲悪ではない。その判断は読み手に任せるといった手法は、大変お見事でした。

普通に生きていれば誰しも真っ白ではいられないもの。
読者と言う第三者の立場にいながら、いつの間にか自分の心理を無理やり暴かれて共感させられてしまい、実にソリッドな読後感をもたらしてくれる。
丸木作品の受キャラに共感しすぎる私自身もおそらく、“どM”なのだと思います(笑)

4

ある意味新鮮。

今回の「罪の蜜」は、一言でいえば病んでいるがテーマな感じです。
丸木先生の作品は初めてなのですが、最初あらすじを読んだ時は「芸術感性の乏しい受けと天才の攻めの話かぁ」と思ったのですが、そして読み始めた時点でもそう思ったのですが、読み進めていくうちに「あれ?」となりました。

(ネタバレ…になるのかな?)
二人の出会いは美術関係の予備校です。
当初受・雄介には恋人…というにはあまりにも淡白な関係というか、セフレと言った方がイメージ的には近いかな、そんな女性がいます。
彼女には攻・水谷から告白されたこととかも話しています。アドバイスとかしてますけど、まぁ実行しませんww

最初は断る雄介ですが、次第に思いを寄せてくる水谷に対して優越感を抱いていきます。それが多分歯車が動くキッカケかなと思います。

途中謎の文章が出てきます。それは最後に明かされますが、それが更に雰囲気を持っていきますね。

やがて水谷はもの凄い出世をしていきますが……まぁそこも放っておいてww
そのあたりで雄大は水谷に「姫野(講師仲間)がお前に合コン頼みたいって」と言ってしまいます。水谷ももう当初続きのイメージから中身がかけはなれていてかけはなれていて…ww 暴走ですね、無理やりですね、そして絶縁宣言されちゃいますね、雄大に。
中間すっとばして、ある日雄大が倉庫の整理とかするんですけど、その時にクロッキーが出てきて(そういえばなんであるんだろうと思いましたが)、その中に描いてあったのは雄大でした。その持ち主が水谷だと分かった雄大は水谷のところに行きます(その辺は読んでみて~)。

そのクロッキーを渡された水谷は、無理やりやったことを謝り、それでも諦められない意志を伝えるんですが、雄大はそんな水谷に自分の罪を話します。それが衝撃的でした。「うそ!?」って思わず叫びそうになるほどww

すべてを話した雄大は、それでも自分を想ってくれる水谷にとうとう堕ちます。
よかったね、と思ったらさ……、水谷病んでるのが最後に発覚でしたよ。
予想外予想外。予想外すぎて面白かったです。
そして雄大の元恋人の正体というか…が分かった時も予想外。最後に本当に爆弾持ってきました、この作品。

最後の方は説明じみたとこが多いので、そこをどう評価されるかがこの作品のネックかな、と。
個人的には全然大丈夫でした。よかったです。

0

暗いクライくらい

ホワイトハートで丸木文華!?
今回は近親でも3pでもなく、イラストも自らではなく笠井あゆみさん。
しかし、どよ~んと暗い雰囲気のその作風はそのままに、かえって読み終わったあとに悶々モヤモヤ、、、
執着と、壊れた人と、深いトラウマと、謎と、あまり後味のよいものではないですが、それもまたこの作家さんの持ち味で、好きな部分ではあるのですよね。

主人公は母は元モデルのデザイナー、父は高名な日本画家、姉は新進気鋭のマルチクリエイターという芸術一家で、自らも芸術の道に進むと決めつけ芸大に固執したがそれが叶わなかった4浪のあげく私立美大へ入学した雄介。
そんな彼が、もう受験体制まっさかりの高校3年の秋に雄介がバイトする美大予備校へ入って来た突出した才能を持つ水谷に、執着され、拒否するものの、次第に彼にとりこまれていくお話です。

このお話には謎がたくさんあります。
それは話の中でじょじょに明かされ、そして『世界』において明白にされることになるのです。

雄介は、芸大に入れなかったこと、家族とのありかたにおいて、激しいコンプレックスの固まりを抱いている少し人生をあきらめたような続き、余り情熱を感じられない人のような気がします。
しかし、そのコンプレックスがゆえに才能に嫉妬する。
その刺激をするのが水谷なんですが、上辺はいい人を装えるので、やけに雄介になついてくる水谷と一定の距離を取りながらも、それでも気になるからつきはなせないという感じもなきにしも。
水谷も、カリスマ性のある人を引きつけるという人のようだという描写がしばしば出てくるのですが(それは彼の生い立ちと育ちに関係)、ただ、具体的にどうなのかは文中ではよくわかりません。
とにかく、ぼんやりと、うっすらと、この二人に掴みどころのなさを感じて、決定打みたいのが見えない。
とにかく水谷が雄介に執着しているにかかわらず、しつこくまとわりつくと思えば、1カ月も不通になってみたり、どこまでその執着が深いのかよくわからない。
そして、その執着の理由も後々あかされるにしてもそうなのかな~?
と、はっきりした形がみえないのが悶々とした雰囲気をつくっているのかもしれません。

ただ、全体を通して暗く重く根深く、彼等の抱えるもの(ラストに種あかしされる真実)が全ての鍵なことは確かなので、そこがネタバラシできないのがもどかしいのですが・・・
肉体的にも、雄介には一応身体の関係のある彼女がいて、水谷を拒否するものの、襲われて、経験して、女性で勃たなくなって、男との性行為に激しい快感を見つけて、ラストではどろどろにまるで依存症のようなセックスをするまでになっている部分が彼の気持ちの変化かもしれないとは思うのですが。
水谷が人を惹きつけて虜にするという、その術中に無意識にはまったと取ってもいいのかどうか?自分には判断できませんでした。

とにかく、雄介・水谷・雄介の彼女、この3人がそれぞれに抱えるもの自体が1冊の本になってもいいほどの重深いものがあるので、それがてんこ盛りすぎて、それらを絡み合わせるにはあまりに複雑すぎたと見えたのですが。
でも、それもまた後味のモヤモヤ感を感じさせる原因になっているかもしれません。
このお話は萌えとかそういう次元じゃなかったな。
読後も複雑な気持ちです。

1

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