偽りから生まれる真実の恋。

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表題作ダブル・ダウト

時田直純,29歳,カフェで知り合った公務員
藤沢真広,24歳,会員制クラブの従業員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

立ち寄った店で相席になった男・時田と連絡先を交換した真広。恋人と別れたばかりで疑り深くなっていたが、一緒に過ごす時間が増え徐々に惹かれていく。しかし、時田がある計画のために自分に近づいたと知り……。
(出版社より)

作品情報

作品名
ダブル・ダウト
著者
清白ミユキ 
イラスト
コザキヨネ 
媒体
小説
出版社
ムービック
レーベル
DolceNovels
発売日
ISBN
9784896018233
3.5

(2)

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萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
7
評価数
2
平均
3.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

スリリングな展開で惹きこまれます

人間不信で、警察を毛嫌いしている受け様と公安の刑事との嘘から始まる恋です。
受け様は、子供の頃から大人に虐げられて来たんです、それも父親からは
性的虐待をされそうになり、家出をして逃げ出すのです。
そして、受け様が居場所を求めても安心して住めるところもなくて、
一般に言えば不良や犯罪を犯すような人間の側しか居場所がないんです。
それでも、自身が犯罪に手を染めるのは出来ない、正義感なんかもあるんです。
でも、そんな生活も続かず、受け様は警察に保護される形で家に戻される。
そして、再び父親からの魔の手に怯え逃げる、その度に、いくら警察に話しても
受け様を助けてくれることすらしてくれず、悪魔の父親へ引き渡される。
まるでいたちごっこなんですが、ただ一人だけ、警察の人間で信頼できる人に出会う。
実父よりも父親らしい無償の優しさをくれた刑事、この刑事のおかげで道を
踏み外さずに済んだ受け様、でも刑事は何者かに殺害されてしまう。

そして、刑事を殺した犯人を捕まえる事も出来ない警察に、今まで以上の怒りが・・・
そんな時に、刑事が殺された時に係っていた内容を知らせる手紙が届く
それを頼りに受け様の犯人探しが始まるんです。

日々殺伐とした日常で、攻め様と行きつけのカフェで出会うのですが
警戒心の強い受け様は相手にもしなかったのですが、攻め様が自分と同じで
大事な人を殺されたと知ってから二人の距離が徐々に縮まるのです。

そんな時に、刑事を殺した犯人であると思われる組織が経営している店で仕事を
しながら証拠を探していた受け様なんですが、店のオーナーにセクハラされ・・・
かなりしつこく言い寄られることになるんです。
その度に躱していた受け様なんですが、受け様を追いつめる様に策を講じられ・・・
証拠を探している受け様ですが、オーナーに抱かれることだけは避けたくて
しかし、テロ集団を影で操るオーナーに自分でも気が付かない内に罠に嵌められ

助けを求めたくても、亡くなった刑事の為にも逃げる事は出来ないと・・・
それでも、亡くなった刑事のように自分を心配してくれる攻め様の姿ばかりが浮かぶ
でも、受け様は信じてた攻め様が警察の人間で、更に公安の刑事で、受け様を
2年も監視して利用する為に近づいてきたことを知り裏切られた事にショックを
それでも、敵である組織をつぶす為に受け様は攻め様に協力するのです。

信頼していた相手の裏切りに傷つき、でもいつの間にか好きになっていた受け様
攻め様も、騙していた事に苦しみながら、それでも受け様を守りたいと思う気持ちに
嘘はない、すれ違ってしまった二人が心を再び通わせるまでのお話です。
事件の背景も細菌テロなんてありそうで怖い設定で、かなりスリリングでした。

2

以外にも壮大で以外にも小さく

この主人公にはトラウマがあるんです。
母親を失くして、その母親に似ていたために父親に性的虐待を受けそうになる。
それが嫌で家を出ては戻されて、また虐待されそうになっては家を出て。
警察に訴えてもまともに取り合ってくれなくて、不良扱いされるだけ。
男性の性的対象にされることに或る程度の嫌悪感を抱いている人なんですね。
そんな彼がBLの主人公ですから、一体どうやって男性と恋人になりうるのか?
そんな点に注目して読み進めたお話です。

父親から逃れるために家を出た主人公・真広を受け入れてくれるのは、世間からはぐれたヤクザめいた集団しかなく。
しかし、悪事に手を染めるのは嫌でそんな場面からは逃げいていた。
やさぐれている真広が唯一心を許して、父親の様に思い、慕う存在になったのが、嫌っていた警察の刑事。
色々と親身になって世話をしてくれたこの刑事がある日何者かに殺されて死体で発見されたのだが、その捜査は遅々として進まず、自分で何とかしたいと思っていた真広はある日ポストに入っていた殺人事件の真相をにおわす手紙に、そこに書かれていた店に従業員として潜入して独自に探っているのでした。
その店は会員制のクラブで、最近そこの常連客である社長が襲われたりとか、オーナー自身にも黒い噂のあるワケアリそうな場所なのです。
そして真広はオーナーに気に入られて、セクハラを受けたりしているのだが、それを我慢しているのです。
真広がいつも通っているカフェである日、隣に座った男が声を掛けてくる。
気さく過ぎていぶかしく思うのだが、再び出会った時に、彼が殺された恩人の手がけた仕事をやり遂げたいと話すのを聞いて、親近感をもつのだが、それからも何かと偶然とであってしまったりして、友人のようになるのです。
その男は自らを公務員の時田直純だと名乗ります。
そのうち、店ではオーナーがきな臭い事に真広を誘いこむような話を持ちかけたり、体を奪われるのも時間の問題かもと真広も苛立ってきます。
やりきれない想いを爆発させた晩、時田にキスをされ、互いに欲情していることに気がつく真広。
男は嫌なはずなのに・・・
そして、時田は自分の秘密を真広に打ち明けます。

物語は復讐を含んだサスペンスものとなりました。
テロという言葉が出てくるのですが、ちょっと考えてしまうと、こんな店のオーナー1個人でそんな大それたこと、、、そして事件的にありえるのか?みたいな疑問は生まれてしまうのですが、物語の比重はそれではなくて、やはり真広のトラウマを抱えながらも自らの時田と同じ目的を達成するために体を張って頑張るその時田との信頼関係の部分にあるのかな、と思います。
だから愛情の始まりは真広には、一人の寂しさと、時田と目的が同じという部分での同士愛と、そして一人で突っ張って生きてきた彼なので、心を預ける事のできる愛情。
ひょっとするとつり橋効果的ものもあるかもしれないですね。
時田の出自は全く不明なので、プライベート部分はわかりませんが、やはり同士愛と、守ってやりたい愛情が発端かな、と思います。
モノガタリの中では、二人が心を寄せ合っていくのは、とても自然な流れでしたので、後後で考えてそうなのかな?と思うことでありました。
却って自然過ぎて、そう言う意味で説得力はあるのかもしれません。

人物的魅力の部分としては、二人とも男前である以外、特徴的な萌え部分は・・・初めてのデートでのトマトをあ~んするシーンの真広の以外なかわいらしい一面でしょうか?
ひょっとすると、時田よりも真広のほうが男前かもしれませんねw

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