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表題作窓の灯とおく

灰谷新,向いに住む義肢製作者
葛井築,企業の遺伝子研究者

その他の収録作品

  • 鍵の音ちかく
  • 胸の音いずこ(あとがきにかえて)

あらすじ

人間関係の一切が面倒くさく、まして恋愛なんてと思っている遺伝子研究員の葛井。電車で痴漢に遭っていた女の子を庇う新と出会い…?
(出版社より)

作品情報

作品名
窓の灯とおく
著者
一穂ミチ 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
街の灯ひとつ
発売日
ISBN
9784344823761
3.6

(71)

(22)

萌々

(24)

(11)

中立

(4)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
10
得点
243
評価数
71
平均
3.6 / 5
神率
31%

レビュー投稿数10

窓の灯とおく

街の灯ひとつのスピンオフ。
初鹿野がちらりと出てきます。
新は過去に父親からの虐待を受け、家庭を持つことを頑なに拒絶というか、恐れているかんじ。 
人当たりもよく、性格も明るくて、優し過ぎて踏み出すことができないのかな? 
築は独特な自分の世界を持っていて、人に対して冷めていて、我関せずを貫いているのに、新たとであって少しずつ変化していく。
くっついてからはどちらかと言うと築が不安がっているような。
人と関わってこなかったからなのか、でも、そんな築にホッとしたり。
読み終わる頃には築のことが可愛くて可愛くて、たまらない気持ちに。

0

蚕がゆっくりと羽化するような恋

遺伝子研究、義肢製作など興味深いお仕事の様子と絡めた読みごたえのある作品でした。
他の作品同様、テンポ良く、するする読ませてくれます。

痴漢騒ぎで知り合いになった二人がどんどん距離を縮め、
お互いをわかり合い恋愛感情が芽生える様子にほのぼのとさせられます。


内容もですが、表現もとても素晴らしかったです。


蚕の飼育や義肢の表現など
目の前で蚕が本当に育ち羽化しているのを見ているような気持ちになりました。

リアリテイのある表現によって、蚕の羽化と主人公の気持ちが育ってくるようにも思えて、じれったいけれども静かな芽生えにその成就を待ち遠しく思う気持ちにさせられます。

0

不器用な受の恋

「窓の灯とおく」
築(受)は最低な登場をします。
痴漢に合っている女の子を見て見ぬふりをする(>_<)
対して新(攻)は、嘘をついてまで女の子を助ける。
相反する登場の仕方です…
痴漢にあった女の子が勇気を振り絞って声を出すと、痴漢は開き直って証拠を求める。新は見てもいないのに見たと嘘をつき、築に見てただろうと同意を求めるが築は見ていないと嘘をつく。
その理由が面倒に巻き込まれたくないと…最低の男です…なんだこの男は…から始まりました。
でも読んでいるうちに築は、人に対して不器用な男だと気づきます…
人と接するのが苦手で、人と接することの少ない研究職を仕事にしている。
でも決して、冷たく最低でない男とわかっていきます。
そして、嘘をついてまで女の子を助けようとした新に対して、心の中で羨望と持っていたのではないのかと思いました
だから、帰りに新に電車であった築は、寝込んでもたれかかってきた新に電車を降りるまで肩を貸します(^^)
本来なら相反する相手同士で距離を置くはずなのに、距離は縮んでいくばかり(^^)…部屋も向かい合わせでした(^^)

築は、最低な男で登場するけれど、蚕を押し付けられても最後まで面倒見ようと覚悟します。
蚕も一生懸命生きている…命を粗末にしない築はちゃんと愛のある人です…不器用で口が悪いけど…(^^)

新は、心の中に父親から受けた深い傷がありました。その傷を抱えても前向きに生きてきた。自分の中に父親と同じ血が流れていることを恐れます。
それでも、新は家庭を作りたいと望む…
新に惹かれ始めていた築は、新が好きな人と結ばれるように手を貸そうとすると話は進んでいきます。

築はツンです…デレはないけれど、ツンツンの中に優しさがあります
新はそこを判っていて、惹かれていったんだと思いました。

新の心の傷は簡単には癒えないけれど、その傷を理解し少しでも癒そうとする築がいる
そんな二人は、あーでもない、こーでもないと言い合いながら、人生を歩んで行くんだなと感じました
そして、一緒に歩んで行くことお互いの足りない部分を補っていけるのだと思います(^^)

「鍵の音近く」
築と新がお互いを思いやる気持ちにほんのりとします。
でも二人ともちょっとエッチが……
新が築に無茶を言い…築が…おいおい怒らないのか~やるのね~でした(^^)

一穂先生の本の中で私が一番好きな話です(^^)。
…でも…蚕は苦手です。



2

『街の灯とおく』よりも、さらに良かった

『街の灯~』では、葛井のことを、眼鏡で何故かぽよんとした小太りな人を想像してたもんで、こんな可愛いツンツン猫だったとは意外でした。
こちらの作品のほうが『街の灯』よりも、さらに良かった。
一穂さんの比喩には毎回感心するけど、引力の話には感銘を受けました。
似たくないと思ってる父親と、違う道を歩いて行こうとするのに、足に強力なゴムが巻き付いてて、遠くへ長く伸びるほど引っ張る力を強くなって、ちょっとつまずいたら引き戻されるという話。
からっと明るい新が子供時代ひどい目に遭っていたその詳細には胸が悪くなったけど、こんな劣悪な環境で育ったのに、まっすぐでしっかりした大人になってよかったなと思うばかりです。

7

スピンオフ

「街の灯ひとつ」のスピンオフです。
読み手として、気になる登場人物だった葛井のお話です。

BL作品で、よくあるスピンオフものだと、
あるメインカプがくっついた「後」に、
そのメインカプの周りの人たちが
またBLな恋愛を繰り広げるものが多いのですが、
この作品のカプの恋愛は、
メインカプが繰り広げていたのと同じ時系列に進みます。
なので、それぞれ悩みながら恋愛している2人が
仕事場で交差するってのが、一穂さんにこだわりのように感じて、
(私が勝手にそう思っただけですが)
物語に深みが出て、より楽しむことができました。

内容としても、人と交わることを避けてきた葛井が、
徐々に新に惹かれていく様子が、丁寧に描かれていました。
ただ、最後の両思いになるところが、少々性急に感じてしまい、
勿体ない!と思いました。

しかし、丁寧な作品を読みたいときには、是非お勧めです。

0

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