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表題作情熱の温度

高校3年生 吉川隆一
英語教師 泉野和昭・35歳

同時収録作品情熱の温度Ⅱ

元教え子の大学生 吉川隆一
高校の英語教師 泉野和昭

その他の収録作品

  • ありふれた日常
  • あとがき

あらすじ

吉川の家に、父の入院をきっかけに同じ高校の教師である泉野が彼の世話をしに来るようになった。自殺をしようとした泉野を助けた父親が、目を離したくなくて頼んだのだ。数日前に泉野と問題を起こしていた吉川は、暗い泉野に嫌気がさしながらも、自殺の要因が自分にもあるかもしれないと、心配で傍を離れられない。そのうち泉野の意外な一面も見えてきて、吉川は彼を好きになるが……。

作品情報

作品名
情熱の温度
著者
木原音瀬 
イラスト
山田ユギ 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
アイスノベルズ
発売日
ISBN
9784872784800
4

(21)

(9)

萌々

(9)

(0)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
83
評価数
21
平均
4 / 5
神率
42.9%

レビュー投稿数7

なんでこんな男に惚れちゃうんだよ!やめとけ!というのが木原イズム

教師と生徒で年下攻め。
これだけで萌えてしまう方がたくさんいるかと思いますが、木原さんの手で料理すると、このオイシイ設定でも、単純に萌えさせてはもらえません。
教師が本格的なダメダメのアホアホで可愛くなくて、「なんでこんな相手に惚れちゃうわけ?」と、生徒の胸ぐら掴みあげて問いただしたくなること受け合い。
またこの生徒がワンコタイプで包容力のあるいいやつなもんで、余計にそう思う。
中盤まではこの教師もちょっと可愛かったんですけどねー、途中から可愛くなくなっちゃって、ったくバーカバーカ。

でも年下攻めの彼は、めちゃくちゃ一途です。
キュンキュンさせられつつ、教師にムカつきつつ、彼の想いが実ることを、彼自身のために祈らずにはおれませんでした。

いいなー、この攻め。
木原音瀬さんの作品のなかでは、「結婚したい攻めナンバーワン」です。
や、木原作品の攻めで萌えるのは、『箱の中』とか『薔薇色の人生』とかの攻めなんですが、こういう攻めとは結婚したくないしさw

5

むつこ

>>菊乃さんへ
分からないです、ごめんなさい(´Д`)
そういえばまだ、オークラ出版版のほうには情熱入力がないですねぇ。
オークラ出版版を持ってる誰か、情熱入力してください…!
木原音瀬さんの今までのパターンからすると、新装したものに書き下ろしを追加されてる可能性が高いとは思います。
なので、よほどユギさんにこだわりがあるのでなければ、なるべく新装されたほうを買うほうがいいと思いますが、でも書き下ろしが無い可能性もあるし、こればっかりは何とも…。

お金持ちになりたいですよねー。
そしたら迷わず両方ともを揃えちゃうのにw
宝石も服もいらない、ただBLがほしい。

菊乃

むつこさん、こんにちは~。
実はこれ、先日手に入れ損ねたんですよ。。。OTZ
ちょっとねばって、無理にでも手に入れとくべきだったかも。

この作品、あとにイラストレーターが変わってますよね?
個人的には山田ユギさんが好きなので
読むならこっちがいいな~って思いますけど
新装版(?)は描き下ろしとかついてるんでしょうか。。。

むつこ

>>かにゃこさん
おはよーございます♪
入手が難しいだけでなく、残念ながら万人向けのお話ではないと思うんですけどね~。
私は面白かったんだけど、絶版の艱難辛苦を乗り越えてぜひ手に入れてちょ!とオススメするにはビミョーなんです。
でも木原イズムを制覇したいならぜひぜひw

山田ユギさんの挿し絵は良かったです。
ユギさんの絵って、最初はあんまり好きじゃなかったのが不思議なぐらい、今は大好きです。

こんな風に愛されたら、さぞや幸せだろうと思った

 本当この受けは女のことばかりに囚われてるし、不器用だし、もうどうしようもない奴。いつ素直になるのー?と思いながらずっと読み進めていたけど一向に明るい兆しが見えない。
 木原先生はとことんまで突き落とすのが本当にうまい。
 お金も仕事も健康な体もすべて失って、初めて最後のほうに救いが見えた。
 胸が震えた。
 盛り上がり身も蓋もないくらいに突き落として、最後少しだけ浮上する。
その最期がたまらなくいい。
 仕事もお金もなくなり体が不自由になって初めて先生が手に入る。尚も教え子の子はもっと体が不自由になればいいと思う。
 もうキュンキュンした。
 木原先生の作品は本当にクセになる。
 先生の作品によって気分を左右される私は、どうやら今は二人が幸せになったことで穏やかでいられそうだ。

4

エゴイスト

99年の作品でイラストのユギ氏もまだ靫という漢字のPNだった頃の作品(ユギ絵狙いで入手)
この恋愛の不毛さ!あとがきで木原さんが、割とスタンダードで王道でしょ?っていわれてるけど・・・いや、王道じゃないから(爆!)
王道なのは生徒×先生っていうカップリングだけだからねwww
というのも、生徒の一途で健気で優しい根気強さがあればこそ。
先生に至っては、過去を引きずり女にこだわり、自分しか見てない、非常に困ったさんな大人なわけですよ。
最後だって、これは恋愛感情?ひょっとしてそうかもしれないけれど、ものすごーく依存した感情で、いわゆる普通に考えるところのまっとうな愛し合う恋人とはちょっと違うような。
でも、その過程を読むに至り、うんそうそう、この進行は木原作品なればこそなんだよね、うんうん、、とwww
萌え?と聞かれるとやっぱりそういう簡単な萌えじゃなくて、普通のノーマルな男が、相手が男に至る経緯とか、その痛すぎるほどの独りよがりの人間臭さが気に入った、というべきでしょうか?

高校生・隆一の父親の働く工事現場で自殺未遂をしようとした男がおり、父親はそれが放っておけず、自分がそれのせいで怪我をして入院している間、その男を家に通わせて家事をさせることにします。
その男とは隆一の学校の英語教師の泉野。
彼は隆一の付き合っている彼女に告白し、それを彼女の頼みで隆一が断りにいったという気まずい間柄。
実はそれが発端で噂が誇大され泉野は激しく傷ついてそれで自殺をしようとしたのでした。しかも手首には自傷の傷跡も。
最初は仕方なく家に入れた隆一ですが、彼の不器用さ、繊細でエキセントリックな面を見、彼がまた自殺するのでは?と心配になりつい彼を家に来るようにしむけていきます。
母と弟を事故で亡くし父子家庭できた隆一にとって、不器用でまずい食事ながら自分の後ろで家事をする誰か、一人でない誰かと食卓を囲むあたたかみ、そんな憧憬もありだんだんと泉野といるのが楽しくなるのです。

このⅠの部分では隆一の執着が強くなっていくさまが描かれますが、放っておけないという彼の庇護欲を刺激されたんだろうか?
隆一には彼女がいますが、その彼女に対してうんざりしている面も見せながら、そこに執着は全くない様子を見せます。
父親が発端ですが似た者親子なのかw
しかし、Ⅱにおいて泉野と再会した隆一は泉野との距離の取り方をきちんとわきまえて、彼の気持ちの良いようにしている、本当にできた年下ワンコなんですよ♪
こんないいやつどうしてあんなくらい泉野がいいんだろう?って本当に思っちゃいますよ。

とにかく泉野という先生です!!
この人、高校の時に現国の先生と付き合って結婚まで考えたのに振られた。という過去を持っていて、どうもそれを引きずっているのです。
女子高生に告白したのもその先生に似ていたから。
自殺未遂するほどの彼は、隆一の家で本当は彼女が噂を流した本人だと聞いてまたエキセントリックになって超ショック状態に陥ります。
その後もⅡにおいて、それに近い行動を起こしたりするのですが、彼の周りには人がいないような気がします。
人のつながりが希薄。他人に関心がなく、自分基準。
隆一に先生と生徒の恋愛はない、とか言っておきながら、自分はどうだった?
その後も実は結婚詐欺みたいのにひっかかりそうになるのに、女性を信じて大丈夫?と忠告する隆一を責めている。
そのくせ激しく自分で傷ついて、隆一にそばにいてほしいとか思ったり。
とにかく自己中心的でわがままでエゴイストなんです。
だけど自分でそれがわかってなくて、いつも自分は悪くないと思って他を攻める。
で、自分がどうしようもなくなると死のうとする。
はっきり言って、最後彼は生まれ変わったのかもしれない。
隆一が自分に必要だったことを思い出す。思っていたんだけど、ありえないと思っていた。
でもことごとく失敗し、何もかも無くしたから彼に残されたのは隆一しかなかったんだよね。
40近い大の大人が、やっと、、、本当にダメダメな大人です。
ここまで泉野を落とすとは。。。さすが木原音瀬だった。と思ったのです。

3

三十路といえば今は若いはず…

ユギさんのお名前がまだ漢字の靫ですよ。1999年て。
当時はどうだったんだよオヤジ受と思わずにはいられない。それも何の魅力もない、しょうもないもいいとこの枯れ枯れ教師、泉野。
攻の吉川が魅力的な男の子だけに、虚しさはひとしおです。
今でこそ、報われない攻パターンは木原さんのお家芸かなと思うのですが、当時はBLでこういうのって、センセーショナルだったんじゃないかなあ。
なんでこんなオヤジ、どこがいいんだよ?絶対なんか勘違いしてるよ吉川!って当の泉野自身も、吉川に言い聞かせたりしてるんだけど、恋は盲目というかなんというか。
もう私なんて「出たっ、木原さんちのダメ男!」って声に出して言っちゃいました。
いつまでたっても気持ちは一方通行なのに、健気だししつこくて諦め悪いしで、ほんとにかわいそうな吉川なのですが、これが報われるところまで行き着くセオリーが、お上手なんですよね~。
一気読みですもの。先が気になって途中でやめることができない。
オーソドックスな設定でも、やっぱり木原色が濃くて、忘れられないキャラとなってしまうのがスゴイとこ。
読み終えてもしばらくは、吉川と泉野が私の中に棲んでしまうのです。

3

何でこんなダメ男にひっかかるのか

暗い、重い、しんどい、と心理面にクリティカルヒット系でした。
【振り向かない相手を無条件に想い続ける】という、攻の吉川の健気でせつなすぎる行動が見ててつらいです。
そして教師である受の泉野がもの凄く嫌な奴なんですよね……。
自分はノンケなのに吉川の一途な想いに甘えきって、それを自分の寂しさを埋めるために利用し続けるんです。
ただ本当は吉川の事が好きなのに、保身や体裁を考えて他の人と付き合ったり結婚したりするっていうのが、何だか分かりすぎるだけに泉野を嫌いきれないというか……最後の選択がもの凄く好きだったりします。

弱りに弱り切った泉野が、ようやく見栄体裁全てを投げ捨てて、本当に身一つで新幹線に乗って吉川に会いに行く。
それも姿を見ることが出来ただけでもう十分だと引き返し、足を引きずりながら雪の中で家路につくこのシーンで、なぜかぼろりと。
読後感はすっきりはしないけれど、一筋の光が差し込んだ感じのラストで救いがあります。

2

この作品が収納されている本棚

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