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表題作≠ ノットイコール 2

芦塚凉,母方に引き取られた息子
末続果,銅版画家の父

その他の収録作品

  • 4コマ
  • あとがき
  • =equal

あらすじ

「自分の息子だって知ってたら寝たりしなかった」
22年前から現代に戻った涼の前に現れたのは22年後の愛する人だった。時を経て現れた涼、つまり息子に対し果は頑なに拒絶する。しかし先ほどまであんなにも愛し合っていた余韻を忘れられない涼は強引に果に迫る!
(出版社より)

作品情報

作品名
≠ ノットイコール 2
著者
池玲文 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
スーパービーボーイコミックス
シリーズ
≠ ノットイコール
発売日
ISBN
9784799710708
4.6

(191)

(137)

萌々

(36)

(15)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
29
得点
877
評価数
191
平均
4.6 / 5
神率
71.7%

レビュー投稿数29

​ 父にかけた呪いとは

 あの夏、果と愛しあい、このままずっと一緒にいたいと願ったのに、現在に戻って来てしまった凉。父と知っていたのか?と問いかける果に・・・。

 凉が生まれた日のことを、凉の名付けを思案した日々を、凉が消えてからの22年間をすべて覚えている果にとって、禁忌に対する恐怖ははかり知れない。方や父親としての果を知らない凉は、母との会話で近親相姦を自覚しても、それでも果が好きなんだとより強く思い、倫理や禁忌についていくら考えても、答えが見つかるわけもなく、再びタイプスリップしようとしたり、個展のために東京に来た果に会いに行っては、ただ愛されたいと願う。
 ある日、果が多額の養育費を長年仕送りして来たことを知り、自分が子供としてずっと愛されていたことを、複雑ながらも嬉しく思う凉は、果を苦しめたくない。果には笑っていて欲しい。14歳の果に出会ってから、それだけが俺の真理だったのだと思い出して「果を諦める」と告げるのです。
 ここから数年の二人の距離が切なくてたまりません!お互いに気持ちがあるとわかっているのに、離れなくてはいけないと思うのに、どうしても離れられない。親子の振りをしてでもそばにいたい。会えば余計に思いは募るのに、会わずにはいられない。凉が果の住む町の近くに就職したことで、毎週のように食事を共にする二人ですが、東京への異動の話が持ち上がり、淋しさに耐えきれなくなった果は、大雨の中、とうとう自ら凉の元へやって来ます。このシーンで、物語の冒頭の「明日、俺は父親に呪いをかけた」という言葉の意味がわかったような気がします。あれは「一人ではいられなくなる呪い」だったのだと。ひとりぼっちの果が、2度と一人にならないようにと願った凉の呪い。だから一人になった果は、凉の母と結婚して凉が生まれたんだと思う。そして今、たとえ倫理に背いた関係だとわかっていても、それがどんなに苦しくても、再び凉を激しく求めてしまう。
 自分のせいで凉の人生をめちゃくちゃにしたと悩み、2度目の精霊流しの夜に「死にたくない、今が一番幸せだから」とすがる果に、凉がかける力強い言葉が、解けない2つ目の呪いになればいいのにと思う。世間の倫理観と彼らの幸せはノットイコール、互いの幸せがイコールなら、それでいい。
 この先ずっと二人が苦しむことになったとしても、世間が彼らの関係を認める日が来なくても、誰からも理解されなくてもいい、もう一人じゃないから・・・。
 どんな終わりになるのかと怖かった。二人が幸せなら私も満足です。どうかあの夏の呪いが永遠でありますように。絶対に解けませんように!

追伸
2012年のサイン会で配られたノットイコールの小冊子が、池先生のブログで公開されています。あまあまの二人が見られますよ!

18

迷宮のリコリス

snowblackさま

コメントありがとうございます!
あの小冊子、いちゃいちゃ可愛いし、設定裏話とかも楽しくていいですよね~( ´艸`)クフ
池先生のブログはお気に入りなのですが『MANGA』のページが特に好きです。
18禁の『Sajen』が恐ろしいのに目が離せなくて、何度も読んでしまいます。

snowblack

迷宮のリコリスさま、こんにちは。
今更なのですが、先ほどこちらのレビューに気がつき
2012年のサイン会で配られた小冊子が筆者ブログで拝見できると知り、
「え?きゃ〜!」と早速みて参りました。
う〜ん、甘くって可愛い♡
教えてありがとうございました!!

タブー

待ってました!第二巻。ようやく完結ですね。
タイムスリップで過去にとんだ攻(息子)が出会ったのは、若かりしころの受(父)。
いけないこととはしりつつ恋に落ち、二人は結ばれた。
何も知らなかったまだ若い父と身体を重ねてしまう。
禁忌の重さより~なお話から、現代に戻ってなところからですね。

あるいみパラレルワールドという感じではあります。
ありますが、父にしてみれば、過去に自分が味わった恋しい気持ち。
けれど、長い年月の経過があるわけで
けれど、息子にしてみれば、少し前まで全身全霊をかけて愛した相手なわけで。
この複雑怪奇な気持ちをどう表現していいのかわからないのですが
胸が騒ぎました。
このザワザワした感じって、気持ち悪いんだけど
なんか凄くいいよね+.(・∀・).+゚.。oO

22年。突然目の前から消えた恋しい人。
忘れるために努力してきた22年。
似た女性との間の子供。けれどそれが実は・・・
というか、理想の恋人を自らが・・・どこかで聞いたような(笑
ではありますが、しょうみ「実は血のつながりが無くて」よりも
ずっとこの終わりでよかったのかなとすごく読後思いました。
禁忌の色があるからこそ、重くてイイ。

心で否定しつつも、攻に若くみられたい
と、なんだかんだでかわいい父も良かったですな。

第一、17年も離れてくらしてて、顔もしらなかった相手。
よもや出会ったのは父だって存在をしらなかった22年も前。
血のつながりさえあれど、実際他人もかわらんのじゃ・・と思ってみたりはするんだけどな

12

2人の世界

≠、完結巻。

「小さい頃からずっと果に会いたかった」。
「昔から会いに来てくれていたらこんな気持ち持たなかった」。
……この間、男女ではあるけれどそんな内容の番組を見ました。
【GSA】という「幼少期に何らかの原因で一緒に暮らさなかった近親者が再会した時、恋に落ちる心理現象」ものらしいのですが、凉の言葉はまさしくそれに近い気がする。
けれど。
本当にそうなのでしょうか。凉の感情は、それだけじゃない気がします。


二人の幸せは、彼らのみが知っている。
それが周りがとやかく言う筋合いなどない。常識なんてくそくらえな訳で。
……でもそればかりじゃいられない。
だから、凉も果も葛藤しているんですよね。

ずっと変わらず20年以上思い続けた果。
将来の自分の父親だと知りつつ、昔の果を抱いた凉。
心はお互い繋がったままだけれど、それは既に「親子」愛じゃない事が分かります。

『子供をつくる訳じゃないのに』という、凉の言葉が物凄く頭に残っています。
世間の倫理観、当然本当の血の繋がりのある親子。
どれを取っても、果の言葉を借りて言うところの「正気の沙汰じゃない」訳で。
それでも、それらを覆す訳ではなく、お互いの気持ちあらば、と自分らを納得させている気がします。


この作品を読んで最後まで気持ちがもやついたままです。
でもそれがいいのです。だからこそ素晴らしい作品です。
池先生も仰ってますが、最後まで「実父子」だったのが良かった。
ここまで読んで、最後の最後で『実は血は繋がっていませんでした』という展開では興ざめだったことでしょう。


最後の描き下ろし、【=(イコール)】。
果目線で話が進められています。
2人で暮らし始めた後のお話。
致していても、甘い空気が感じられないのはやはり、背徳感にまみれているからでしょうか。
世間の常識を切り捨て、息子との愛を手に入れた果。
凉よりずっと苦しんできた果。
そんな彼が手放したものはきっと大きかったのじゃないかと思えて仕方ありません。
それでも凉を選んだ事に意義があり、そしてそんな自分に底なしの愛情を与えてくれる恋人へ身を委ねる。


手離しの幸せはやって来ないかもしれない。
でも、2人の世界は幸せに満たされているといいなと願っています。

12

問題作なタイムスリップものの結末

現在に戻ってきた凉が最初に感じたこと、
それは若かった果(父親)に対してしてしまったあまりにも重い罪の意識でした。
それなのに自分が果を好きだと思う気持ちが止められません。

それでもやがて二人はお互いに普通の親子の振りをしようとします。
もちろんひかれ合っていることはどうしようもない事実としてあるけれど、
忘れるべきこととして、お互いに距離を保とうとします。
まぁ凉のお母さんが二人の事を知ったときの気持ちを考えるとそりゃそうするべきでしょうね。

しかし、あふれる想いは止められず。
寂しくて、果のほうから凉のところへ飛び込んで行きます。
そして親子という事実がきっとこれからも二人の首を絞めることになっても、
この絆を手放さないという選択をするんですね。

いや~よく考えたらすごく重いテーマでした。
でも果がどう見ても父親年代に見えないし、凉も父親に全く似ていないから、
近親相姦という部分があまり感じられないんですよね。
ま、そこが画面的に救いだと思います。

前の巻の時、あとがきにて池先生が「父子ものだし、タイムスリップだし、万人受けしない」というようなことを仰っていたんですが、万人受けしなくてもこうして私にヒットしたんで池先生は私にとって貴重な方であります。
そして「才能がなくてもしつこくやってれば良いことがある」と。
才能はあります!むしろこのファンタジー路線でしつこくやって頂きたい!!←何様か!?
本当にこの作品含め、池先生の路線が好きだ~という話です。

そして1、2巻を通して気になったことが一つ。
だんだん修正がひどくなっている!!!
なぜなんですか!?
2巻の最後なんて果のアレが白くなってる・・・。
い、いんですけど・・・いや・・・やっぱりそこは・・・ごにょごにょ・・・。
と思ったりしました(笑)

12

凉は自分の父親の幸せを願って「呪い」をかけたけど、

1巻に引き続いての雑感的なレビューではありますが、こちらはセリフの引用などもしているので未読の方はご注意ください。

***


この作品には1巻と2巻の両方に一度ずつ、果と凉が2人で精霊流しを見に行く場面が登場します。(この作品は長崎が舞台)
物語の肝になっているシーンです。

1巻では、14歳の果が流れる精霊の光を見ながら「早く人生を全うしたいな」と言い、「何となく末続果という人間が解ってきた気がする」と思った17歳の凉が、そんな果に「俺と…友達になる…?」と提案します。
ここから「俺が守ってあげるね──」に繋がるまでの果の心の中は、果と同類の人達にはおそらく難なく手に取るように分かるんじゃないかなと思います。
果と凉の一つ目の始まりの場面です。

そして2巻では、1巻の〈現在〉の方の時間からさらに数年が経って40歳を過ぎたであろう果が、あの日と同じように無数の魂が流れて行くさまを見ながら今度はこんなことを言います。
「死にたくない」「だって今…生きてて一番幸せなんだ…‼︎」
そこからの凉のセリフがタイトルである「≠」の意味へと繋がっていきます。
果と凉の二つ目の始まりの場面です。

この二つのシーンが大好きなんです。
心に留めるように何度も読み返しています。
「早く人生を全うしたいな」が「死にたくない」に変わるなんてことは現実的にはそう簡単にあることではないからこそ、お話の中だけでも果がそう思えたことが良かったねと思うし、救われた気持ちになれるのかもしれません。


ルールや秩序というのは元からあったものじゃない。
だから「正しいこと」「正しくないこと」(つまりは倫理観)が一から十まで世の中と必ずイコールである必要はないんだよと。
自分にとっての「幸せ」が狭い世界でしか存在出来ないものだとしても、幸せは幸せ。それが真理。
外に出してあれこれ言われるのなら自分だけの小さな世界に大事に閉じ込めておいたらいい。誰かに認めてもらわなきゃいけないもんでもない。

この作品が教えてくれるのはそんなこと。
凉は自分の父親の幸せを願って「呪い」をかけたけど、読者はこのお話を読んである種の呪いを解いてもらえるんじゃないかな。
囚われていた心がこの作品を読んですーっと溶けました。
ずっと大切にしたい神作品です。

9

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