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表題作やさしい傷跡

関西出身中古車ショップ店員 宇多田志朗・19歳
童話作家兼イラストレーター 槙原宙彦・27才

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

出会いは真夏日。
貧血で倒れかけた宙彦を抱きとめたのは、武朗の力強い腕だった―。
過去のトラウマから、人付き合いを避けてきた宙彦。
故郷から『逃げてきた』志朗。
心に深い傷を持ちながらも、互いの優しさに触れるたび、いつしか相手に惹かれてゆく自分に戸惑うのだが…!?移り変わる微妙な心情を豊かに描いた著者の意欲作。

作品情報

作品名
やさしい傷跡
著者
崎谷はるひ 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
桜桃書房
レーベル
ヴァリオノベルズ
発売日
ISBN
9784756711304
3.5

(6)

(1)

萌々

(1)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
21
評価数
6
平均
3.5 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数3

かなり青くさいテーマではありましたが・・・やさしいおとぎ話でした。

崎谷はるひさんの初期作品です。
挿絵を描かれているのが石原理さんなんですよ。
それだけですごく印象が違って新鮮でした。

志朗・中古車ショップ店員(19)
宙彦・童話作家(27)

というCP

関西弁をしゃべる19歳の青年志朗が故郷を離れて東京へ逃げてきた傷跡
家族を事故で失って大きな屋敷に独りで住む美貌の童話作家の傷跡

タイトルの『やさしい傷跡』というのがじつにしっくり。
カバーに崎谷さんが
「疲れたあなたにやさしいおとぎ話を。」と書かれているのですが
まさに大人のためのやさしいおとぎ話。
かなり青くさいテーマではありましたが
石原理さんの挿絵とともに、ちょっと昭和ノスタルジックな雰囲気です。

どこか世捨て人のような美貌の童話作家をやさしく包み込む
年下攻めが関西弁なんですよ?ねぇ!癒されるわぁ。
バイクなんか乗っちゃってちょっとヤンチャだった雰囲気もあるけど
生活能力があるガタイのよい19歳。たまらんです。
そんな年下攻めにも傷があるんですよ。

いまだに年齢不詳で生活能力がない儚げな年上受けというのは
崎谷作品でちょいちょいみかけますが、これは初期作品だけあって
キャラがしつこくなくてよかったなぁ。
石原理さんの挿絵効果は大!
バイクのイラストとかかっけーっ!
やさしい話だけど軟派になりすぎず、ちょうどよい硬度がある感じが
ほんとにすごく私好みでした。
石原理さんもあとがきを描いてるんですよv

1

近頃の崎谷さんより好きかも。。。

宙彦も志朗も、ともに過去に心を痛める経験に見舞われて心身ともに傷を持っている。
けれど、内にこもる宙彦とは違い志朗の方はポジティブで、それまで人を寄せ付けないようにして生きてきた宙彦のテリトリーにするりと入り込んでいく。
年下ではあるが懐の深い志朗に惹かれていく宙彦の気持ちが自然に伝わってくる。
ふたりが体を重ねるシーンでは、互いの傷跡を慈しむように触れ合うさまが描かれていて、つくづくSEXというのは心と体が伴ってこそなのだなと思わされる。

崎谷さんのわりと初期の作品。
へえ、こういう作品を書く人だったんだな…と少し驚いた。
繊細な心理描写は、今も変わらず彼女の作風の長所のひとつだと思うのだが、10年前の作品の方が最近の作品よりも落ち着いた感じなのはどうしてなんだろう。
最近の崎谷さんの作品では、ハッキリ言って、SEXに関する描写がことのほか強調されているものが多く、それがウリのひとつでもあると思う。もちろん、それだけが彼女の作品の魅力ではないし、かく言う自分もそれを否定するつもりはない。
けれど、この作品を読んでみて、正直なところ「惜しいな」と思ったのは否めない。

それにしても、作品の内容と帯のアオリ文句が全くかみ合っていないというのは、いかがなものかな。センシティブな問題を織り込んで、落ち着いた文体で綴ってあるストーリーは、むしろ情緒的でさえあるのに、帯には『欲望が、今目覚める。』とある。その下に小さい字で『心を癒す、あなたのぬくもり。』こちらが正解だと思うんだけど…。
こういうところに、作者の意図を無視した商業戦略をまざまざと見せ付けられて鼻白む思いがする。

1

空気感

優しいんだけどトラウマを秘めている
宙彦〔受〕は自動車のトラブルから、志朗〔攻〕に助けられます。
そのまま車は彼の勤めている車ショップに修理を依頼します。
志朗は太陽の光が似合う男とでもいうんでしょうか、関西弁で人好きのするタイプ、けれどかつては暴走族だったという過去を持っています、そしてバイク事故で親友をも亡くしている。
宙彦は、幼い頃に祖父も両親も亡くなって親戚達が遺産にむさぼりついてくるのもの、祖父がきっちり弁護士を頼んでいたのでそれは間逃れるのですが、大きな古い家に通いの家政婦さんが来るだけでその他は殆ど他人に関わらずに絵本作家をしている。
志朗は宙彦の広い庭の手入れをしたり、あちこちの家の修理をしたりとどうやら放っておけない性分な様です。
こんな対照的な2人が少しずつ歩みよって魅かれあっていく。
派手さはないんですがストーリー的にはまあまあかな?って感じでした。
作品内を流れる空気感は好きです。

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