潔癖、完璧、ドSな不破と、ゆるキャラ大学生・三谷。ふたりの恋のはじまりは・・・?

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表題作金のフォークに銀の匙

不破克彦,33歳,エリート公認会計士
三谷熙武,カフェでバイトをする大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

プライドが高く傍若無人な公認会計士の不破は、交通事故に巻き込まれ顔見知りの大学生・三谷を骨折させてしまった。世間体から仕方なく面倒をみる不破だったが、天然おバカな三谷に苛々しっぱなし。だけど一緒にいると楽ちんで・・・。
(出版社より)

作品情報

作品名
金のフォークに銀の匙
著者
かわい有美子 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
ムービック
レーベル
LUNA NOVELS
発売日
ISBN
9784896018356
3.5

(60)

(9)

萌々

(26)

(18)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
14
得点
208
評価数
60
平均
3.5 / 5
神率
15%

レビュー投稿数14

金のフォークは努力の証

なかなか素敵なタイトルでそれだけでも心惹かれる感じなのです。
銀の匙なんてヨーロッパ圏の慣用句を文字ってるお話だと思っていたら
作者曰く、寓話をイメージしての作品だとのことです。
出産のお祝いに銀のスプーンなんかプレゼントする時があるので
金のフォークなんて聞きなれない言葉に好奇心を掻き立てられました。

それに新刊の帯・・・腹黒×天然なんて銘打ってるけど、攻め様は腹黒と言うより
徹底した合理化主義で対人関係でも無駄嫌いみたいで腹黒とは違うかも。
そして受け様は天然と言うよりも高貴なお育ちで浮世離れしているイメージのような
気がしますね。
でも、浮世離れしてるようで、案外人を心眼で見てるところもあって
とっても人に好かれていそうな雰囲気なんです。

そんな二人は交通事故の加害者と被害者として出会いますが、攻め様は初めて
そこで認識しますが、実は受け様のバイト先の常連さんなんです。
受け様は知っているけど、攻め様は知らないってところからも攻め様の
他人への関心のなさが伺えるエピソードです。

そしてその事故から徐々に攻め様の意思と反してどんどん受け様の浮世離れした
言動や態度に自分のペースを崩されていく過程が丁寧に攻め様視点で描写されてます。
攻め様の受け様に対する印象がどんどん変わって行く過程がリアルかも(笑)
対する受け様は攻め様に対する印象は初めから良いみたいで、更に好意に拍車です。

タイトルの銀の匙部分には攻め様の微妙なコンプレックスが見え隠れしているのですが
金のフォークはそれを受けた受け様の攻め様に対する精一杯の褒め言葉的な思いです。
他人に煩わされる事を厭う攻め様が、ちょっと出来が悪くて何にも下心のない受け様を
ワンコやペットにでも懐かれている感じで存在を受け入れて行く様子は
思わず動物の癒し効果かもなんて思うような感じでもあります(笑)

偶然の出会いで人が変わって行く過程みたいな感じが伝わって前半は淡々としてるけど
後半でかなり惹きこまれていくような展開でもありました。
受け様が、生死を分けるようなトラブルに巻き込まれてしまった時は
かなりハラハラしちゃいましたね。
そしてその頃の攻め様の初めとは違う人間らしい感じがとても素敵に描かれてました。
最終的に逆玉の輿みたいになってしまった攻め様とこれからの受け様に
どんな事が起こるんだろうなぁ、なんてラストはほんわかするストーリーでした。

4

周囲の力あればだけど

二人の関係が進展するのには、周囲の力がかなりあります。

交通事故の被害者と加害者になった後、不破が三谷と食事をとるようになったのは、カフェの仲間や客であるクライアントからの圧力ですし、不破が三谷を追いかける羽目になる状況を作ったのは、三谷に手を出した不破の友人です。

三谷は控えめですし、不破は人を受け入れるより拒絶するタイプなので、彼らだけだとそういう関係にはならなかったと思います。そのせいか、二人が親しくなるきっかけとなった一緒に食事をとるようになるまでの場面はちょっとくどく感じました。不破が三谷になんとなく好感を持って、というのじゃなく世間体のためだというのが甘さ皆無でしたね。

こういう系統の本は、全般的にエロが散りばめられ数回あるものと、恋人同士になるまでの過程がメインでエロは終盤の1回のみ、の二通りが主なのですが、この作品は後者でした。初エッチの翌朝、下肢を嬲る場面が甘くて好きです。

三谷がほのぼのしていて可愛かったです。不破が弁護士じゃなくて公認会計士だというのも、暗算は強いのに法律にうとい理由になった気がして納得でした。

この作者の作品の中では、一番好きな作品です。

4

派手なお話ではないけど、そこがよい。

2人が気持ちを確認しあうまでがとても長いお話でしたが、そこに至るまでが丁寧に描かれていて好きなタイプの作品でした。

苦労してエリートの地位をつかんだクールな不破さんとお育ちの良い天然おぼっちゃま(社会勉強中)の三谷くんが、事故をきっかけに出会って…それから?というストーリー。
惹句には「ドS」なんてありますけど、不破さんはそういう感じというよりはくそまじめで人付き合いに不器用なだけに思えます。三谷くんのフワフワさ加減は育ちの良さ故なのでしょうね。

善意の友人(や悪意の知人)等の働きかけを受けて、ようやく終盤で二人は結ばれます。そうなってからの不破さんのスケベな言動は、ギャップが良かったです。

行く行くは会社社長になるであろう三谷くんと、その補佐役になるであろう不破さんのその後も覗き見してみたいという気にさせてくれた一冊でした。

3

正反対の二人

童話のようなタイトルと表紙に惹かれて手にとりました。
交通事故の加害者と被害者、性格もまるで違う2人が少しずつ近付いていくお話で、タイトルもなるほどな…といった感じです。

加害者である不破はイケメンだがいつも仏頂面、無駄を嫌うため傲慢にも見えます。
対して被害者の三谷は、不破からしたらアホの子だけど人好きな性格で可愛いです(*´ω`*)
三谷に関わる事を面倒だ厄介だと思ってた不破が、徐々に天然な三谷に癒されて絆されるのも無理ないかと。
先に恋心を自覚するのは三谷ですが、なかなかくっつかなくて焦れったかったです。

タイトルの銀の匙はともかく、金のフォークとは何ぞや?と思ってたら、こちらは三谷オリジナルの言葉。
己の生まれながらの幸運を卑下するでもなく、また不破への尊敬心があったからこその発言だったんですよね。
こういう事が言える三谷の素直さ好きだなぁ…。
その後に続く三谷の告白もやはり素直で可愛らしかったです。

エロは最後の一度だけだし、くっつくまでもどかしいお話かもしれません。
でもそのもどかしさ故に、ノンケが男に恋に落ちるという事に嘘っぽさが無かったように思いました。
三谷に萌えた部分が多いのですが、評価は萌2で。

3

攻めの変化に萌えた

傲岸不遜で合理主義だった男が、一人の青年と出会って同じ時を過ごすうちに、どんどん変わっていく様子が本当に良かったです。

オススメしてくださった方が、もしかしたら攻めの性格が……と懸念されてたんだけど、全然オッケーでした。
確かに攻めの不破は基本毒舌で性格にちょい難ありなんだけど、苦学の末に公認会計士になった苦労人ということもあって、強くなくては生き残ってこれなかったんだろうなぁと思うし、実力主義&個人主義で頭の切れる人ならこういう人いそうだなぁと納得できる範囲。

不破(攻め)が起こした不慮の事故で顔見知りの青年・三谷(受け)を骨折させてしまったことからお話はスタートします。
煩わしい事が大嫌いな不破は全て金銭で解決するつもりだったのに、周囲からの圧力もあり三谷の食事の面倒をみる羽目になってしまうんです。

義務感で渋々始めたけれど、人の悪口を決して言わない三谷と暮らすひとときは思っていたよりも悪くないな……と感じ始める不破。
やがて「次は木曜日でいいか?」なんて自分から言いだすようになり、前日からビーフシチューを仕込むようになり、明日の食事の分まで持たせてやるようになり、喜ぶ顔が見たさに奮発してすき焼き用に近江牛を買い、予想通り喜ぶ顔を見てつい顔をほころばせ、今度は食洗機のついたマンションがいいな……なんて無意識に思う。

もう萌えるぜー!!って感じ。
なのに本人無自覚で、次第においおい……俺は何考えてるんだろ、なんて自己ツッコミしてるんだけど、読んでる方はニヤニヤしまくりですよ。早く気づけー!って。

そして酔った三谷を泊めてやった翌朝の食事が、味噌汁に卵焼きにアスパラの胡麻和え。
朝から胡麻和えってすごい!!って思ったし、なんか着々と三谷限定のスパダリっぽくなっていくところが本当に萌える。

それに何よりも受けの三谷がものすごーーーく良い子で、紙面の向こうからでもマイナスイオン放ってるような子なので読んでるだけで癒されるんです。
ほんといい子。

タイトルにもある「銀のスプーン」「金のフォーク」のくだりもとても良かった。
三谷が実はとんでもない御坊ちゃまだった事を知り、「君も銀のスプーンをくわえてきた子か」と隔たりを感じてしまう不破に対して、「金のフォーク」の例えを用いて一生懸命気持ちを伝えようとする三谷。

三谷の存在や言葉が、頑なだった不破の心にするすると沁みて、疎遠だった実家に電話でもしてみるか……となる流れが本当に素敵で、物語の中でキラキラと光ってると思う。

攻めの心の角が取れていく様子がとても自然で、読んでて優しい気持ちになれる素敵なお話でした。

3

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