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表題作砕け散る薔薇の宿命

ルイ・エミリアン・ド・スーラ,貴族悪魔の吸血鬼
香具山紲,100歳,淫魔の血を引く調香師

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

赤い瞳、年をとらない身体――。
誰にも言えない秘密を抱えて生きてきた、調香師の香具山紲(かぐやませつ)は、都会を避け、軽井沢の別荘地でひっそりと暮らしていた。しかしそこへ、過去に最悪の別れ方をした元恋人のルイが姿を見せ驚愕する。
「次に私の前に現れれば殺す」
別れ際、酷い言葉を残したルイは、今も紲を憎んでいるはずだった。あれから百年近く経った今になってルイが現れたのは、裏切りにも似た過去の紲の決断を裁くためなのか、それとも……。
人間よりも麗しく、獣よりも狂おしい、人ならざる者たちの気高い愛の物語。

作品情報

作品名
砕け散る薔薇の宿命
著者
犬飼のの 
イラスト
國沢智 
媒体
小説
出版社
竹書房
レーベル
ラヴァーズ文庫
シリーズ
砕け散る薔薇の宿命
発売日
ISBN
9784812448816
3.6

(88)

(25)

萌々

(28)

(22)

中立

(4)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
13
得点
307
評価数
88
平均
3.6 / 5
神率
28.4%

レビュー投稿数13

貴族悪魔の子孫の残し方は托卵

SF要素を盛り込んだBLファンタジーが犬飼作品の特徴だと思うのですが、
この「砕け散る薔薇の宿命」の吸血鬼シリーズにも、ありそうでないような空想のSF要素が盛り込まれていました。

最近発刊の「少年竜を飼いならせ 暴君竜を飼いならせ9」の中に、どうしても気になる部分
・・「少年竜ミロ君がハワイ辺りで孵化して、自力でバイカル湖のツァーリの所へ泳いで行く」
父親の所へたどり着けたのは、どうしてなのか???・・疑問でした。
犬飼作品の初期ものからヒントを探してみたいと思い付き、読みました。
この設定の原型がひょっとしたらコレ?と思う所が「砕け散る薔薇の宿命」に有ったので、メモ。

---
貴族悪魔は、生まれた時は母似、育つに従い父親ソックリになる、という事をルイが語る部分。
「貴族悪魔は、教会の掟上あまり目立つことが出来ないために・・
攫ったりせずに密に子だねを仕込むことになっている」
吸血種族の場合は、主の元に・・つまり実の父親の力に引き寄せられるまま会いに来て、その後どうやって生きるか指示を仰ぐことになる。」
「カッコウの托卵みたいだ」
----
この部分を「少年竜を飼いならせ 暴君竜を飼いならせ9」の少年竜の誕生部分に活用したのなら、10巻は平穏な完結になりそう?と、勝手に関連付けて読んだので、凄く楽しめました。

犬飼作品は、昔の作品ほどエロシーンがしつこくて長いので、物語としての筋書き部分が少ない、
最近の作品の方が読み物として楽しめる形になっているように思います。
この物語、紲が意地を張ってずっとルイを拒み続けます。
孤独なルイが、気の毒でした。
----
ルイ・エミリアン・ド・スーラx香具山紲
砕け散る薔薇の宿命 2012年3月24日
乱れ咲く薔薇の宿命 2012年9月25日
焦れ舞う薔薇の宿命 2013年1月25日
咲き誇る薔薇の宿命 2013年5月25日

李蒼真xユーリ・ネッセルローデ
慈愛の翼 紫眼の豹と漆黒の鳥 2014年1月25日

雛木馨x鷹上理玖
蜜毒の罠 薔薇の王と危険な恋人 


2

カッコイイのにヘタレ気味♪

ののさん、初ラヴァーズ文庫は作者さん念願のヴァンパイヤものであります。
色々ヴァンパイヤものには書かれる作者さんはそれなりにオリジナリティを出して工夫されていますが、この、ののさんヴァンパイヤも非常にオリジナリティが高くユニーク。
悪魔界の階級制度が特徴。
純血の女王が魔界の頂点に君臨し、その下にある貴族悪魔は混血であり女性はいない。
貴族同士の争いはあってはならい為に貴族同士は長期間一緒にいてもいけないし、恋愛も禁止。
人間界にはホーネット教会という悪魔を保護する教会がある。
そして淫魔などの使役悪魔は貴族悪魔に仕える。
などなど、種を守るための掟がきめられた秩序ある世界なところが面白いです。
それは、彼等の証の指輪にも象徴されているスズメバチの世界をモチーフにしているようです。

お話は第二次性徴を迎えた頃から親兄弟・親類・ありとあらゆる男女に性的対象として見られ、それなりの虐待や、彼を巡って人殺しがあったり自滅したりと、自分がなにものであるかも知らなかった頃、
中国で密漁者に捉えられた豹を助けた時、自分が淫魔の血を引く使役悪魔であったことを知った調香師の紲と、
彼を好きになり、番たいと願ったものの紲に拒否されて、逆上しそれから65年も彼と会うことができなかった吸血族の悪魔貴族・ルイのお話。

紲は、過去に酷い目にあっているのですぐ困難にぶつかると逃げようとするし、
紲に酷い事をしたのを後悔してるのに素直に謝れなくて65年もかかってしまったルイは、男前なのに若干ヘタレ入って、もしやツンデレなのか?なギャップが意外でw
それぞれに、「~なんだけど~だ」という反面性を持っているので、話が平行線で歩み寄らないのももどかしさよりギャップ萌えというかギャップが面白い。
しかし、それは命を張ったとても深刻なものだったりするシリアス展開なので、そのバランスが上手く、軽さや薄っぺらさを感じないのです。

そんな意地っ張り同士の二人をやれやれ、と結び付けてくれる役割が豹族の貴族悪魔の蒼真なんですが、彼は豹に変身します。
そのしなやか具合がもふもふもふです♪
軽井沢に蒼真と紲は一緒に住んでいるのですが、彼等は決して恋人ではなくギブアンドテイクの関係。
互いの精を交換して餌として需要と供給の関係を保っているだけ。
蒼真は貴族悪魔の自分達の種族の生き方を肯定しているから男同士には興味がないんです。
使役悪魔の寿命は平均で120歳。
紲は今回100歳になるということで、彼を長生きさせてやりたいと思う蒼魔の気持ちだったとは思いますが、実は。。。
ほんとうにいい友人だwww

あと紲は大正うまれだけに、見た目若いけど結構庶民で結構真面目。
だけど、悪魔の姿を現した時の淫乱さはかなりエロいです。
尻尾があの、↑型っていうのも新鮮ですね♪
尻尾も触手になるのかな~?いや、尻尾プレイ?www

キャラクターがかなり魅力的です。
ラストで気持ちは両思いなのに、どうして紲がルイを拒むのか、言葉にはなってないですが、それがわかる場面なんかもあります。
紲には余り時間がないと思いますがそれまでに目標はかなうのかしら?
一応まとまる形にはなってますが、紲とルイのその後も、
そして、とうとう紲に触れられてしまった蒼真が紲に心を動かされたんじゃないかと心配でなりません。
これは・・・間違いなく続編希望です!!

あと、この作家さんのいいと想われたところは、紲が調香師だけに香りの表現が沢山出てきますが、その表現も全体に渡り本がまるで匂い渡るような臨床感のある表現なのが見事です(匂いが自分の頭の中にただよってくる)
それと、割とゴージャスというかリッチな雰囲気が漂うのですが、文章だけでなくてこれもまた上辺臭くない地に足の付いたリッチ感がします。

14

papis

初めまして茶鬼様!
憧れの茶鬼様にコメいただいて、ビックリして、うれしくって、
汗がぶわーーーーーーーー!
本当の話です。ありがとうございます!

私も茶鬼様のレビュー内にありました、この部分→『全体に渡り本が
まるで匂い渡るような臨床感のある表現なのが見事です(匂いが自分の
頭の中にただよってくる)』という部分で、うんうんうんっと凄い
頷いてました!

薔薇と林檎が本気で匂って来て、あと、血の匂いもして来て、茶鬼様の
レビューの通りだって思いました!
コメありがとうございました!
レビューまた楽しみにしてます!

続編が読みたい!

一応完結していますが、物語はこれからという雰囲気。
はぐらかしたり逃げてばかりいた主人公は、自分が
淫魔のせいで周囲の人を狂わせて不幸にしてしまったと
苦しんでいました。

だから攻めの愛情を素直に受け入れられない。迷って
しまう。それを親友の豹には話せるのに、肝心の攻め
には説明出来ない。攻めも聞く耳を持たない!

愛し合ってるのに纏まらない二人が、言葉が出ずに、
悪魔の体臭で(薔薇の香りと林檎の香り)愛と欲情を
物語っている所が凄く萌えました!

ラストで主人公が、攻めを幸せに出来るのは自分だと
自信を持てた事で一安心。やっと気付いたか!

長い時間を超えてやっと結ばれた二人の続編を、豹も
一緒に希望します!

13

茶鬼

はじめましてpapisさま

このレビューを見て、何て簡潔にポイントを付いてるのかと
>悪魔の体臭で(薔薇の香りと林檎の香り)愛と欲情を 物語っている所が凄く萌えました!
この箇所で激しく同意しておりました。
まさにその通りです!
その後が早く知りたいですね。
モフモフも♪

人外同士の純愛

う~ん、これで完結だったらかなりモヤモヤしちゃうようなラストかも!
人外同士のラブストーリーなんだけど、片方は純血の吸血鬼で一族を束ねる長
片や受け様は人間と淫魔のハーフ、それも先祖返りと言う特殊な亜種で
受け様は純粋に日本人として生活していたんです。
でもそれは幼い時までで、第二次性徴と共に淫魔としての能力が駄々漏れ状態で
受け様は悲惨な目に遭ってきたんですよね。
実の親や兄弟に犯され、挙句受け様を奪い合うように殺し合いまでされて・・・
自分から特殊な性を刺激する匂いが出てることがわかりそれを知る為に
受け様は調香師になるんです。

そして仕事で訪れた中国の奥地で、受け様は自分の正体を知る人物と出会う事に
それは豹族の長の蒼真と攻め様だったんです。
自分の正体を知った事で、受け様は今までの事の原因を理解するが
過去の陰惨な出来事は忘れる事が出来なくて・・・

そして攻め様と過ごしながら淫魔が使役魔族で貴族魔族に従う為に存在する事や
貴族の務めなども知るようになるのです。
攻め様と受け様は互いに惹かれあい愛し合うようになるのですが攻め様に番いの
事を言われ、誓いの指輪を受け取ってくれと告白されるのですが、
気持ちは嬉しいけれど、受け入れる事が出来なくて・・・・
それは攻め様の一族の長として子供を作る事を邪魔する存在に自分がなることと
1番は受け様自身が結婚的な意味合いの番になることに不安があり臆病になっている。
過去の身内の辛い出来事や沢山の人間に発情され襲われた過去があり
淫魔だから攻め様が自分を好きだと言っているだけではないかと・・・
愛し愛されることにとても臆病になって、逃げてしまう受け様なんです。
そして受け様は、恋愛関係も無く、一生友人として過ごすことが出来る豹族の長の蒼真と
番になることを決めて、攻め様を傷つけ、また、怒った攻め様に傷つけられ
永遠の別れを・・・・

使役悪魔の寿命は130年程で、受け様は100才、その事が別れた攻め様と
再び出会う運命の日になるんです。
二人とも相思相愛なんですが、日本人的な考えの淫魔の受け様は健気なんだけど
攻め様に嫌われるのではなんて思ってる臆病ものなんですよね。
攻め様も貴族悪魔なのにかなり一途で、受け様の為に会社を買収して受け様の
香水作りを陰ながらバックアップしてるんです。
でもすれ違ってしまった思いがなかなかラストまで修正出来ないのです。
かなりの意地っ張りで弱虫の受け様に、何処まで意地を張るんだっ!て何度も
思ってしまうのですが、受け様が何の為に香水を作っているのかを知ると
受け様の思いの深さにジ~ンとしてしまうのです。

でも、お互いのすれ違いが解決して一応のハッピーになってるんだけど
受け様の香水も、受け様の寿命に関しても未解決なんですよね。
このまま完結だったら不完全燃焼気味になってしまいそうなので続編は
是非とも期待したい作品だと思いますね。


11

血湧き肉躍るような物語。

恍惚とした吸血描写や漂う香りの動き、長い長い時間を生きる美しく妖しい生き物たち…う~ん…凄いです。どれか一つでも難しそうなのに、全ての要素が巧く絡められて非常に面白い物語になっています。かれらの纏う匂いと情動の発する熱がページから湧いてくるようです。かなり奇抜な設定ではありますが、骨組みがしっかり組まれているので作中の世界観にすんなり入っていけるのではと思われます。イメージとしては夜光花さんの薔薇シリーズのような印象を受けました(似ているとかではなく)。
蜂や豹の生態に則った描写が面白く、特に獣人である蒼真の行動は時に可愛いので、ほっこりしてしまいます。紲と大事な話をしていたさなか、場をはぐらかそうと紲が自分の尻尾をちょいちょいすると、本能なのか気になってそっちに気をとられちゃうとか、ああ、可愛い…。蜂の生態に基づいた貴族悪魔の設定の方は可愛いなどというものではないようですが。その辺の細かいところは続編でもまた出てきそうですね。
この作品で強く印象に残るのは個人的にはルイの焦れに焦れた心の叫びでしょうか…。「なぜ(紲を)愛しているというこの想いが通じない!?」という憤りにも似た嘆きが始終どこかしらから聞こえてきて、いっそのこと魂のない「虜」にしてでも紲を傍に置きたいとまで思い詰めてしまう気持ちの煮詰まりようが切なかったです。でも、ルイを愛しているけれどそれには応えられないと悩む紲の辛い気持ちもよく解るし…と、何と言うかお互いを想いすぎるあまり切なくももどかしい恋人たちでした。ひとまず良い結末となるのですが、重要事項が未解決のままなので、ぜひとも続編を読んでみたいです。

9

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