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本当に好きだから「すき」とは言えない
これ、すごく面白かったです。まさしく私の好みド真ん中って感じですね。松幸さんは、もともと好き作家さんではあるんですが、たま~に大きく外してくださいます。それでも今回のように、まさにピンポイントに『私の個人的なツボ』をつく作品があるから、やめられないんです(もうひとつ、自分でも知らなかったツボを連打されたのが、『ぎゅっとして、そばにいて』)。
真咲(受)は、中学の時からずっと思っていた貴尚(攻)と、偶然彼が経営するバーで再会します。真咲は貴尚の恋人だった碧をずっと真似ていて、素の地味なままでは無理でも、碧の擬態をした自分なら貴尚に好きになってもらえるかも、と貴尚の前で常に『碧ならどうするか』を思い描いて振る舞い、念願かなって『恋人』の座を手に入れます。
でもそうなればなったで『貴尚が好きなのは、あくまでも碧の擬態をした真咲』であって、素の自分を見せたら嫌われるのでは、と思ってるんですね。
真咲が、ネガティブで自分に自信がなくて、でも陰気じゃないんです。まったくうじうじしてないわけじゃないけど、必要以上に悩み過ぎないんですよね。変に明るくさえある。
それは、相談できて愚痴も吐き出せる親友の忠明がいて、1人でぐるぐるスパイラルに陥る前に、まあ安易に頼っちゃうからっていうのもあるんですけどね。おかげで、ネガティブなキャラクターのわりに、陰気なうっとうしさがなくて、作品のトーンも結構カラっとしてるんです。書き方によっては、すごく暗~いぐるぐる受になりかねないんですが、逆にコメディテイストに感じることすらありました。
なんでだろう、ストーリーを要約したら切ないとしか言えない内容のハズなのに(実際、あらすじではそうとしか思えませんでした)、実際読んでると面白いんですよ。何度も笑っちゃいました。特に、初Hに向けて~のあたりが!真咲が必死であればあるほど、もう笑いなしには読めません。こんな相談された忠明の立場を思えば、親身になってなんかいられないでテキトーにあしらっちゃうよね、うんうんわかるよ、と共感しちゃったり。それにしても、あのアドバイスは内容的にどうかと思いましたが(と笑いながら言ってみる)。
実は、真咲のキャラクターの印象も、私があらすじから受けたものとはまるで正反対と言っていいくらいでしたし、ストーリーももっとドシリアスで、しっとり切ないトーンなのかと思っていたら、それもまた違っていたのですが、こういう誤算はいいですね。この方がずっと好きです。最初に思い描いてたのでも、それはそれで悪くはなかったとは思いますが。
とにかく、真咲がただただ後ろ向きなだけのキャラクターではなかったのがよかったんですよ。
後半登場した碧が、それまで真咲のフィルター付きの目を通して(読み手にも)伝えられてきたイメージとは違ってて、真咲が思ってるのとはまた別方向に魅力的なキャラクターでした。ヘンに当て馬に使わなかったことで(真咲が2人の仲を誤解しちゃうのはお約束ですが)、碧の存在もストーリーそのものも、いさぎよく感じられてよかったです。
しかしお互い素の状態では、甘えたがりの真咲と束縛して甘やかしたい貴尚と、まるで誂えたかのようにお似合いの2人ですね。きっと、この先はバカップルまっしぐらなんでしょう・・・
そして、本編後のSSがまた最高でした!いいよ~、碧。こういう明るく突き抜けた『女王様』はイイですね。忠明が振り回されるの見ても、まったく嫌悪感なかったですからね。こういうタイプに狙われたら最後、まあ諦めた方がいいよ・・・と忠明には言っておきたいです。
少し甘く切なくお話が読みたいなと思って手に取りました。
そんな気分の時に松幸かほさんはぴったりな萌をよく私に贈ってくださるので、カバー絵が素敵だったのと評価が高かったので読んだのですが、ほんとにいいお話でこんな話が読みたかったんだと思えるような作品でした。
真咲は中学1年の時、ガラの悪い先輩に襲われていた時に助けてくれた生徒会長の貴尚に一目惚れし、その3日後綺麗な女王様のような碧先輩が恋人だと知って失恋するという淡い初恋の思い出がある。
寮で同室の友人忠明に碧に似ていると言われたことから、半年間しぐさや表情を観察し言動を予想するまでになりいつしか碧ならこうする、こういう言い方をするという真似事が通常の姿になっていった。
貴尚には何したって適わないような恋人がいるのはわかっていても彼の思い人のような表情をしてふるまいをして少しでも近くに感じたいという想いが健気すぎます。
真咲の素の性格は『ネガティブスパイラル機能が標準装備』された地味で地味で超地味と自己評価しているのですが、いつか出会った時に碧に似た自分に振り向いてくれるかもしれないという儚い思いに精一杯無理をして頑張っている姿が浮かんで切なくなりました。
それからずっと碧のコピーとしてふるまい、周りも気ままなお姫様として扱うことに慣れれていき20歳になったとき偶然入ったバーのオーナーの貴尚と再会します。
程よい頻度を計算してバーに通ううちに貴尚から付き合わないかと誘われ初めてのキスの後、嬉しさと恥ずかしといろんな長い間の想いが入り混じって姿が見えなくなってから座り込むほど動揺してしまう場面でホントにワーどうしよう~っという気分になりました。
顔はクールに知らぬふりしながらも忠明に焦ってあたふたメールするところがかわいらしいんです。
笑えるのは、初めてなのに初めてじゃないと思わせる方法を相談された忠明が面倒になって「キューリでもバナナでも長ナスでも……でもゴーヤはやめておけ」というあたり。
日ごろから真咲の愚痴の対処や凹んだ時のフォローで慣れているんでしょうね。
クールで遊びなれた猫を装って、演技し続け嫌われないように付き合おうとする真咲の心情にきゅんと締め付けられる思いでした。
そして、3年前に渡米するときに別れたという碧が急に帰国し、貴尚のマンションに泊めてほしいとバーにやってくるのです。
何で泊めたりするかなあー元カレを、楽しみしていた遊園地デートもキャンセルするし…
事後に碧と2度も呼び間違えた前科もあることですし、このにぶちん男に制裁を与えないことには許さないぞという気分になります。
”本物”が戻った今、メッキが剥がれ用無しになったのだからと自分から離れることに決めた真咲はよく頑張りました。最後まで碧ならこうするというきっぱりとした高飛車な別れことばを吐き出して連絡を絶つのです。
泣きながら別れを受け入れようと必死で頑張る真咲。
あとからその裏で、いつしか今本当に好きになったのは真咲だと気が付いた貴尚の苦悩が碧によった語られるのはちょっとすっきりしました。
それにしても、クールで大人の恋愛がしたいのだと思っていた貴尚が実は独占余が強く恋人は溺愛したい人だったなんて…。お互い相手のことがわかっていなかったんですね。
真咲のためのスペシャルお子様ランチが素敵。溺愛彼氏の本気を感じました。
後日談の『忠明の受難』では、碧を綺麗でちょっと怖いと評した忠明が、真咲たちの間をかき回してまた面倒なことになるのを防ぐため、碧の言いなりに付き合うのがおかしかったです。
忠明をすごく気に入ってしまったらしい碧がどんな手を使って堕とすのかと思ったら…。
裸で同じベットで目覚めた忠明の慌てぶりがおかしくてこちらのカップルの行く末もみたい気がします。
憧れの人に好きになってもらいたい一心で擬態する真咲を可愛いと思うかどうかでストーリーの印象が変わってくると思う。私は可愛いと思った。
あたふた子ネズミが、一生懸命クールな女王様を装ってても、時々漏れる本来の姿、甘いもの好きだったり、好きな人に手作りの料理を食べてもらって喜んだり、そういうのが可愛かった。
貴尚も実は溺愛系で、本当は素の姿で相思相愛なのに、二人して擬態してたわけなんだけど、自分は碧の身代わりで、本当の自分に価値はないと思い込んでる真咲がせつなかった。
きっかけは擬態した姿だとしても、溺愛系の貴尚には、あたふた子ネズミの真咲がお似合いで、甘い雰囲気の後日談とか読めて嬉しかった。
友人の忠明が、そっけなくも的確な?アドバイスとか、最後の方の爆弾投下とか、いい仕事をしてて、番外編で碧に捕まってしまった後日談が気になる。忠明にはぜひ、真咲に頼られ、貴尚に睨まれ、碧に取り憑かれ、彼にとっては想定外であろうアクティブな人生を送ってほしい。
定期的に読み返している好きなお話の一つ。
中高一貫校に入学してすぐ、危ないところを生徒会長藤居に助けられ、憧れが初恋となった真咲。
でも、藤居の隣には、既に女王様のような存在のお似合いの恋人碧がいた。
中学時代、あっけなくひっそりと失恋したの真咲は、いつか藤居の目に留まればいい、と碧の仕草や表情を真似るようになる。
藤居達が卒業しても、そのまま"碧のように"を目指し、気付けば小悪魔的魅力のお姫様ポジションに。
そんな真咲と藤居の再会モノです。
大学生の真咲がたまたま入ったバーにて、オーナー兼バーテンの藤居と遭遇。
もちろん、藤居は真咲の事は覚えてない。
中高以来の友人忠明に相談しながら、碧の雰囲気を保って親しくなり、ついに藤居から付き合って欲しいと告白される。
その時、脳内で大玉花火が打ち上がっている真咲、かわいいなぁ。
しかしだ、この時の藤居が、真咲なら不要な嫉妬はしないだろ、なんてのたまう。
そんなん言われたら、嫉妬できないじゃん。
なんだよ〜藤居先輩(# ̄З ̄)
めでたく恋人同士となり、付き合い始めるのだけど、ちょいちょい藤居には『は!?』ってさせられちゃうんだよなぁ。
幸せ有頂天の真咲だけど、自分が好きになってもらったのは、碧に似てるから、と本当の自分を出せず、苦しくなってくる。
本来、小心者でネガティブ思考な真咲なので、一人で悩んでるのがかわいそうで。
藤居の隣にいれるだけで嬉しいってかわいい真咲を、碧が現れてもうお払い箱なんだって、泣いてる真咲を、見せてやりたい。
こんなにかわいくて藤居大好きな真咲を、もっと見てやれよ\(-_-)
もったいないことしてんぞ!藤居!!
元カレに泊めてって言われて、今カレの真咲の前でOK出すって、デリカシーとか気遣いとか皆無じゃね!?
胸ぐら掴んでガクガクさせたい(*`Д´)ノ!!!
真咲から避けられても、自分からは動こうとしないのもグーパンもの(ノ`△´)ノ
なので、攻め様の藤居の魅力が私にはイマイチだっのですが、真咲が好きって言うなら仕方ない。
これからは、溺愛全開で真咲を可愛がっておくれよ。
真咲は健気でかわいくて、藤居にはもっと慌てるがいい、とせせら笑い、なんだかんだで、何度も読み返す大好きなお話です。
もう、個人的には、神に近いです。
私の好きなツボをぐぐ~~っと押してくれています。
こういうときの評価は難しすぎます。
大学生の真咲は、中学時代からの片思いの相手で、
今はバーを経営する貴尚に偶然見つける。
真咲は、貴尚が学生時代から付き合っていた相手である
碧の身ぶりをマネることで、地味な自分を消して過ごしてきました。
貴尚と再会することで、碧に似たそぶりの自分であれば
好きになってくれるかもしれない!
と、貴尚に近付いていきます。
も~~~。真咲、健気です。しかも、ジメジメしてない。
読んでいるこちらとしても、健気な真咲に乗り移った気分です(笑)
しかも後半、碧が帰国します。
貴尚と別れていたとしても、まがい物である自分など滑稽で、
慣れぶった形で貴尚の元を離れようとする。
そんな姿がたまりません。
是非是非、続編を!!!