• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作愛の呼ぶほうへ

私設秘書の息子で幼馴染 藤島正信・21歳
代議士の息子で大学生 中山遥・21歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学生の遥は、政治家である父の代わりに逮捕された秘書の息子・正信に想い寄せていた。償いをしたいと願い、体を差し出すが……。

(出版社より)

作品情報

作品名
愛の呼ぶほうへ
著者
水原とほる 
イラスト
鈴倉温 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625279
3

(11)

(1)

萌々

(1)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
32
評価数
11
平均
3 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数2

自己犠牲の姿と未来

プランタン初登場の水原とほるさんですが、レーベルがどこに移ろうとやはり水原作品は水原作品でした。
相手の為に、相手を思い、理不尽さえもあえて受け入れる健気な主人公が、酷い目にあわされ、それは切なさややりきれなさも呼びますが、主人公達が幼馴染だったという設定もあり、
きっと彼の自己犠牲も厭わない真摯な想いに相手がうごかされないはずはない、という期待通りに、ある意味先が思った通りに運ぶので痛さは感じないのです。
むしろ、この主人公より、この主人公によって自分に素直になることができた相手に対して、心惹かれます。
久々にこれでもか、な目にあう主人公が登場しましたが、最近はあまりそれに萌えは感じなくて、むしろ安定の水原節といった感じを受けました。

父親が代議士である一人息子の揺は、父親の私設秘書の同い年の息子・正信と幼いころ中が良かったのですが、中学が別れた頃から疎遠になります。
しかし、正信を気に掛けていた揺は、彼の姿を追いかけていたりもしたのです。
内向的で、父の後を継ぐには向かないと自ら解っていた揺は、母親の理解と協力もあり、大学で地質学を専攻しています。
正信も揺と同じ大学で政治家を目指すと思われる学科を専攻しており、声をかけることがなくてもその姿を気にしていた揺。
しかし、正信の父親が、揺の父親にかかった不正献金事件の容疑者と逮捕され、両親も離婚したことから、それ以来正信を大学で見なくなります。
そして、揺は正信らしき人を街で見かけたのがホストクラブに入っていくのをみつけ、粘り強くそこで待ち、正信の行方を知ることになります。
正信の元を訪れた揺に、正信は冷たく当ります。
正信に復学してほしいと、何でもするという揺に、それならと無理矢理性交を強いる正信。
そんな関係が続いてもあきらめない様に、正信は客を取らせるという仕打ちをするのです。

とにかく揺が健気です。
元々正信が好きだったという気持ちがあるにしろ、正信の父親が逮捕されたのは自分の父親のせいだからと、その罪を自分が償う、正信は優秀で将来があるのだから復学して欲しいと、ただひたすら正信の為に学業もおろそかにして正信のいいなりに。
逃げようと思えば、放り出そうと思えば、辞めることはできるのに、自らそれを受けている姿なのです。
その姿に、もうこれは根比べだ、、、とさえ思えます。
女性用の下着を身につけさせられ、客に酷い目にあわされても微笑んで、お金を正信に差し出す姿は、ここまで来ると健気を通り越して終着だと思いました!

正信は、はっきりいって自分でもあがいている姿なのでは、と見えました。
揺に対しては、彼があまりにへりくだって自分が悪いという、そうなると八つ当たりしたくなるのわかります。

二人とも、揺は罪の償いの為、正信はプライドを傷つけられ、
互いに本当の気持ち、心の底にもっている「好き」という気持ちから相手をおもっているのだと、それが言えない為に、上辺の現在二人をすれ違わせている事実だけを見てしまって対応している、盛大なすれ違いでもあったのです。
それを気づかせてくれる、ホストクラブの先輩ホスト。
この人物が実に謎で、気になる人物です。
横道にそれますが、この先輩正信とも関係があった?(一体どっちだったのかww)

ラストで、正信の告白があり、そして正信の父親の手紙があり、二人はわだかまりを捨てることができるのです。

お話的には意外性もなく、わりとよくあるテンプレ的お話だったとは思います。
予定調和な結末ではありますが、政治の世界という大人の事情に振り回されて、苦しんだ子供たちの話しととることもでき、そんな中で彼等の覚悟と未来が見える結末は好ましいものだと思われました。
切ない展開もあったけど、ラストは幸せです。

5

ハッピーとは言い難いなぁ

やっぱり・・・どうしてもこの作家さんのお話は好みじゃないと思ってしまう。
エロエロなのは好きだけど、ただ痛いだけだと後味が悪いんですよね。
議員の息子とその秘書の息子、幼なじみのように子供の頃を過ごした二人
でも、思春期頃からは、会うことも無く過ごし、でも、受け様はその時期に
攻め様に憧れていた思いが恋愛的に好きなのだと自覚するが、既に接点は皆無状態
でも、攻め様が議員を目指していた事を知っていたので、いつかまた近くに
いれるかも知れないなんて淡い思いを抱き大学に進学、そこで同じ大学生に・・・
攻め様は経済、受け様は父親の後を継ぐ気がないので好きな地質学を専攻

でも、大学内でも接点はなくて、たまに攻め様を一方的に見かける程度なんですよね。
1度会話したのに、攻め様が自分を覚えていない事に落胆する受け様。
しかし、その時期が1番幸せだったのです。
その後に攻め様の父親が背任で捕まり実刑になり、攻め様は大学を辞めていて・・・
政治の世界に関わりを求めなかった受け様には何が起きているのか解らない。
でも、その事件から父への疑念を持ってしまう受け様。

このお話では、悪役みたいに悪いって人がいないのです。
全てが真相を知らないゆえの誤解と擦れ違いのようで、真実が明らかになっても
起きてしまった事実は変わらないって内容なんですよね。
受け様は攻め様の為に何かをしてあげたくて、でもその思いは全てに自暴自棄に
なってる攻め様には伝わらない、逆に鬱屈した気持ちのはけ口として受け様に
散々な事をし始める、受け様に売春までさせちゃうのです。
後に攻め様の気持ちが解るのですが、それでもかなり酷い攻め様です。
こんな弱い人では政治家なんて無理だろうって一人突っ込みしますね。

一緒にいることでどんどん落ちて行く二人、ねじ曲がって何処までもすれ違う
ホント暗いです、後半でお互いが片思いみたいな設定だったのが余計辛い
今までの苦しく切なく辛い思いをバネにして二人で前になんか進めないよなんて
思ってしまう私はかなり甘ちゃんなんでしょうね(笑)

9

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP