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表題作エブリデイ・マジック -あまいみず-

上狛零士,28歳,アンティーク店併設カフェの店員
赤野井三矢,20歳,演劇サークルに所属する大学二生

その他の収録作品

  • めんどくさがりの恋
  • あとがき

あらすじ

辛い体験から恋に臆病になった三矢は、穏やかな雰囲気を纏うアンティーク店店員・上狛に仮初めに付き合ってもらっているのだが…!?
(出版社より)

作品情報

作品名
エブリデイ・マジック -あまいみず-
著者
崎谷はるひ 
イラスト
鰍ヨウ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
エブリデイ・マジック -あまいみず-
発売日
ISBN
9784344824997
3.4

(61)

(8)

萌々

(22)

(25)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
17
得点
207
評価数
61
平均
3.4 / 5
神率
13.1%

レビュー投稿数17

舞台が活かしきれてない気がする・・・

こういう『等身大キャラクターの地味な日常』はすごく好きなんですよ。それだけでもよかったです。確かに、この上なくじれったいんですが、ゆっくり心情を追っているので、分厚さのわりに飽きることもなく読めました。結構好きですね。

私は、特に受が恋に悩んで、いろいろぐるぐるしてストーリーが進まない(結果長くなる)のは一向に構わないんです。ただ、問題はその中身。
大学(演劇部)関係の描写が多過ぎて、ちょっと焦点がぼけたようで残念でした。もちろん、演劇部の中ですべてが展開していくのなら別ですが、そうではないですから。なんのための『アンティークショップ&カフェ』なのか、と思うくらい、本来のラブの舞台のはずのカフェの存在感が薄いと感じました。

演劇部関係の描写が不要だと言っているわけではありません。特に、最初の三矢が騙されて、それによって『自分のセクシャリティを自覚してしまう』というのは、ストーリーの根幹ですし、その後のフォロー的に、演劇部やそこでの同期、また相談相手としての一坂(演劇部のサークル長)が絡むのはいいんです。でもそちらの描写にページを割き過ぎて、肝心のラブや、上狛のキャラクターが薄くなったら本末転倒でしょう。
正直、あとがきで言われたように『恋』がメインなら、そもそもページ配分が違うよ・・・と思ったんです。

そう思ってしまうくらいに、上狛の掘り下げが足りなかった気がしたんです。単に私が読みとれなかっただけなのかもしれませんが(あるいは『ふしぎくん』だから掴みどころがないままにわざとした、というわけでもないでしょうし。いや、もしかしてそうなの?)。

私はメインのキャラクターは結構好きです。本来、『S気質攻』はキライなんですが、この上狛は確かに『S気質』には違いないんですが、そこへの持って行き方が上手いので、まったく気になりませんでした。『ま~、これもアリかもね』と思えたんです。最初から本性剥き出しだったらまず無理でしたが、相手を思ってきちんと隠せる理性があるならセーフです。
三矢はよかったですね。こういうタイプは好きです。以前の崎谷さんらしいキャラクターのような気がしました。

ただ、上狛が『ふしぎくん』というわりには、特にその『ふしぎさ』を強調してるんだな、というシーン以外は、それほど感じませんでした。だからどうというわけではなく、単にそう感じたというだけですが。

あと、他の方も言われているスピンオフについてですが、私はスピンオフそのものは別に求めていません。作品・キャラクターが好きなほど、スピンオフより続編が欲しい(すべての作品に続編を求めるわけではありません)と思うし、本編のキャラクターが好きになれなくて、スピンオフの方がいい、というのは作家さん問わず実際ありますが、それはあくまでも結果ですから。

この作品に限って言うなら、演劇部関係(一坂と夏木?)のスピンオフは、正直カケラも興味ないです。ハッキリといらない。アンティークショップの銀上も別にいい。もし書くなら、せめてメインCPにしてください、という気持ちです。

9

甘いですが上狛のために萌×2

崎谷さんの作品は自分の好みのカップルならば「かなり好き!」となるのですが、最近なかなかドンピシャ作品に当たらずにいました。
が、この作品は好きです!
攻めが良い!
結局わたしの好きは、攻めが好きかにかなり左右されます。


受けの三矢(と書かれていたのを見てユ○ジと繋げてしまい、頭にチラつきました…)は大学生。

攻めはカフェ店員の上狛。
ハーフで素敵男子という王道攻めですね。


三矢はサークルの仲間から賭けの対象にされます。
それがきっかけで『自分がゲイなのでは?』と、今まで考えてもみなかったことを突きつけられ、深く傷つき悩み、涙します。
そこをなぐさめ、試しに自分とつきあおうと言ってきたのが上狛。
年の差カップルです。

一年間という長ーーい交際期間ながら、三矢はその間、上狛の本心がわからずグルグルスパイラルしています。(……乙女)
崎谷さんにはこういう受け、多いですね。

上狛はひたすら優しく、結局三矢が自分の気持ちを整理できるまで待ちます。
そんな優しい上狛ではありますが、見た目王子のわりに実はS属性のようで、そのギャップ萌えでした。
ただ上狛は、天然系で不思議王子キャラのわりに、その辺りを感じさせるエピソードが少ないというか弱いというか。
もう少し、その辺りにページ数を使って欲しかったなあと思います。
せっかく変な人(?)なんですから。

えっちはラストに一回。
崎谷さんですからページ数もあってなかなかですが、回数が一回ということもあり若干物足りなさも。
なんといってもかなりの厚さのある作品なので、よけいそう感じてしまうのかな。
その厚いページ数のほとんどが三矢のグルグルにあてられているので、途中から「わたしラストまで読めるかな?」と若干不安になりましたよ。

6

あまいだけじゃない!

 大学生の赤野井三矢は、サークル仲間から好意を持ってると思わされぶりな態度をとられ、実際に三矢が泊まりの旅行に来るかどうかという、悪質な賭けの対象にされてしまう。
 そのため、図らずも自分が男性に恋する性質であることを自覚してしまう。
 そんな時にふと入ったカフェ『エブリデイ・マジック』で店員である・上狛零士に話を聞いてもらううちに泣き出してしまう。
 そんな上狛から、唐突に「男が本当に大丈夫かどうか、お試しで付き合おう」と言われ、「恋人」として付き合うことになる。
 それから一年、恋人であるはずの上狛に三矢は片想いし続けて……。

 という話でした。
 気持ちを自覚する前に「お試し」とはいえ、付き合ってしまった三矢は、だんだんと自分の気持ちが上狛に向いていき始める。
 しかし、まだ10代のままの彼に対して手を伸ばすのはどうかと思い始めたこともあり、「ゆっくり待つよ」と言ったまま、上狛は三矢に手を出して来ない。
 最初にすぐに手を出された時に、思わず拒否してしまったのが後をひいてしまっているのか、まったく手を出してこない。
 自分が本当に上狛のことが好きなのか、そうでないのか……。
 一度目の恋だと思ったものを無惨な形で終わらせることになってしまった三矢は自分は本当に上狛のことが好きなのか、上狛は本当に自分のことが好きなのか……思い悩むけれど……

 という話でした。
 恋に失敗した男の子に新しい彼氏ができて、思い切り甘やかされてだんだんと癒されていくけれど、恋人同士になって始まってしまった恋は、どうやってこの形を変えればいいのかがんじがらめ。
 甘いだけの恋だと思ったら、時々酷く冷たいSな上狛に三矢は振り回されっぱなし……。

 実際に一歩進んだら、ものすごーくエロエロですごかったです。
 普段笑ってる人ほど、怒らせると怖いんだよね……という話でした。
 タイトル通り「あまい」んですけど、それだけじゃない話がとっても面白かったです。

5

あまいみず

崎谷さんの書き下ろし作品は、実に甘く、あまーく、あまやかすお話。

19歳の誕生日に、同じ大学サークルの「男」にこっぴどく裏切られた三矢。
地元である鎌倉の町で、偶然たどり着いて初めて入った店「エブリデイ・マジック」は不思議な雰囲気の店で、そこにいたのは灰色の髪と甘い声の恐ろしく美しい男・上狛でした。

ざっくりぶっちゃけると、店で泣き出した三矢と上狛はお互い一目惚れでお付きあいが始まるわけですが、
「好きだと思った相手に騙された痛さと、セクシャリティに対しての不安と怖さと、人間不信になりかけているのが三つ巴になってる感じ」の三矢には、上狛の
「じゃあ、つきあおうか」がすぐに理解できるわけもなく、
お付き合いしながら、たっぷり甘やかされながらも片思いしている気分と状態のままの、恋に右往左往しつつ、ちゃんと大学生活やサークル活動からいろいろな経験をしていく1年間がたっぷり(たっぷり過ぎるほど)描かれます。
この、たっぷり1年間、不安やら葛藤やらでしっかり三矢君を醸した上で、二十歳の誕生日、三矢が未成年でなくなる日に、満を持して、上狛が喰う。
隅から隅まで舐め尽くしてしゃぶり尽くして、万遍なく満たして、ドロドロにする。
確かに上狛のしていることはわかりにくくて、ある意味意地悪ですが、「食べられる時期をしっかり待って、食べるとなったら余さず喰らい尽くす」こういうキャラクターの造形や、ストーリーの展開に到達したのはとても好ましいと感じたのでした。

3

分厚いですが

なんとか読みきった読後感は良かったです。挫折しそうになりながらも少しずつ読み進めていく方法で読みきった感じです。でもその分、二人が結ばれたときは達成感がありましたし、読んできて良かったと思えるものでした。たまにはこういう焦れじれしたのもいいかもしれません。上狛のS具合が垣間見える最後のほうのシーンも良かったし、三矢くんが拒否した行為?とかもいずれさせてもらえたらいいね、上狛。と思いました。
そのへんも含めて続編もアリかな?と思いますが次はもうちょっとコンパクトにまとまってると嬉しいかなと思います。

2

この作品が収納されている本棚

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