「あげシリ」狙いはお断り!!

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表題作愛しのアンラッキー

大学生でクライアント 中谷鉄平
あげシリと言われる設計士 高良脩

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「あげマン」ならぬ「あげシリ」を持つ男・髙良脩は、付き合った男に必ず成功を与えるが、それに満足した男たちは、皆彼のもとを去っていった。挙句の果てにゲイの間で有名になり、シリを目当てにされることも! 脩はすっかり恋愛不信になってしまう。そんな時、改築を依頼された家主の鉄平にも、好きだと言い寄られて怒り心頭の脩。しかし、鉄平は無類の不運体質で、目が離せなくなり……。不運体質×あげシリの恋の結末は!?

(出版社より)

作品情報

作品名
愛しのアンラッキー
著者
田知花千夏 
イラスト
深井結己 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048866361
3.4

(18)

(2)

萌々

(5)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
61
評価数
18
平均
3.4 / 5
神率
11.1%

レビュー投稿数6

幸運と不幸=普通の幸せ?

あらすじだけ読んだときは「あげ尻」なんてまるであげまんの男性版でコミカル路線の
話なのかと思ったら、意外性抜群の内容で「あげ尻」なんて言葉とのギャップに
かなり心惹かれましたね。

内容的にはシリアスな展開で、好きな相手に幸運をもたらす受け様と
いつも不運に限りなく見舞われる攻め様との切ないラブストーリーでした。
受け様は何故か付き合った相手に幸福を与えてしまう「あげ尻」と噂される男。
でも好きになった相手からは必ず1年以内にフラれてしまう。
それは受け様自身平凡で地味な容姿のゲイなのですが、相手が幸運に見舞われると
次第にその幸運に目がくらんで人が変わってしまうからなのです。
そして自分が「あげ尻」だと言う噂が流れるようになると受け様がもたらす
幸運に目がくらんだ相手からしつこく言い寄られるようになり新しい恋愛する事に
不信感と臆病な気持ちに拍車がかかるようになり、恋などしないと・・・・

そんな時に設計士をしている受け様にクライアントとして現れた攻め様に求愛される。
年下で、なかなかイケメンの攻め様なのですが、一目ぼれで運命の相手だと言われても
受け様は過去の出来事から余計に攻め様との恋愛など考えられないのです。
それでも一途に自分への思いを告げる攻め様に絆され始める受け様だったのですが
その思いが加速する出来事を何度か目の当たりにする事になります。
それは攻め様の不運体質なのです、急激な雨に降られるは、トラックが自宅にツッコむは
自転車ごと土手から落ちるは、自転車が車に轢かれて再生不能になるのは常で
体中に傷や痣が絶えないようなアンラッキーな日々を生きてる事なんです。

そのあまりの不幸ぶりに住むところのない攻め様をしばらく自宅に来ないかと
誘ってしまう受け様、その日から同居が始まり、攻め様のスキンシップや行動も
激しくなるのですが嫌いにはなれず、過去の不安から恋愛に臆病になってしまった
受け様ですが、攻め様との暮らしは思いがけず楽しいものになっている。
でも、受け様は自分と付き合う事で攻め様が変わってしまうのではないかと
不安と怯えを感じるようになるのです。

そして攻め様が受け様の噂を知っていた事を知り、裏切られたとの思いから
受け様は攻め様の言い訳も弁解も聞かずに遠ざけてしまう。
受け様は攻め様の言葉が信じられなくて、でも忘れる事が出来ずに苦しむ。
攻め様もまた、受け様への後ろめたさから傍にいく事が出来ずに苦しむ。
すれ違ってしまった二人が心を通わせるまでのお話です。


4

驚く設定

前回の作品も素敵だったので、手にとった田知花さんの新作。
今回は、「あげマン」ならず「あげ尻」と聞いて、
読まずにはいられません。

付き合った相手に幸運をもたらしてしまう脩は、
付き合った相手が幸運をもったとたん、性格が変わってしまったり、
脩から離れていってしまったりすることで、
自分の体質を良いものとは思わず、恋愛にも臆病になっています。
そこに現れたのは、大学生の鉄平。
鉄平は、とんでもなく不運な体質なのですが、
それを嘆くのではなく、とてもポジティブで、
ワンコのように、脩に好きだと付きまとい、脩もだんだんほだされていきます。

鉄平の潔さと若さが、読んでいても心地よかったです。

ただ、最後のエチまでが、怒涛のように流れたので、
そんなんだったらエチなくても良いのでは?なんて
思ったり。。。

でも、楽しめました☆☆

3

あげシリの男

1冊丸ごと表題作です。

プロローグ、本編(1から8まで)、エピローグという構成で、プロローグとエピローグは鉄平(攻め)、本編は脩(受け)の視点で進んで行きます。

脩と付き合った男は幸運をつかむので、「あげシリ」と呼ばれます。しかし本人は運が向いたら恋人に捨てられ、それ目当ての好きじゃない男にはしつこくされてうんざり。そんな中、不運の塊のような鉄平と仕事で出会いますが、鉄平は初対面から好きだと言い…という話です。

鉄平はあげシリ目当てで脩がいるというバーに行きますが、実際会ったら脩に一目惚れします。そこがプロローグで書かれているので、本編中で脩に「本当に好きだ」という鉄平の言葉に重みが出て良いと思いました。
本編中に鉄平が同居していた「めぐみ」の正体もエピローグで判明しますし、早月や怜一というサブキャラも良い人物で、読んでいて楽しい作品でした。

表紙イラストも素敵でした!今までの「あげシリ」では脩は幸運に置いてけぼりなのですが、鉄平は脩を抱いて一緒に上がっていこうとしている感じがして良いなぁと感じました。

1

あげチンではなくて受けだと尻なのか!?

昨年のデビュー作、キャラクターと展開に入り込めなくて自分的残念作品になってしまったのですが、2作目。題名からしてコミカルな雰囲気が漂います。
その人と恋人になると幸運が訪れる。
普通女性だったら”あげマン”男性だったら”あげチン”と呼んでいたところですが、この作品は”あげシリ”
うう~ん、受けだと尻で立ちだとチンなのか?(笑)
今回は、不幸体質の攻めも、あげシリの受けの、それぞれの理由も経緯も面白く働いて、軽妙かついい雰囲気のお話になっていて、全然前作より良かったです!
それにしてもデビューがムクさん、2作目が深井結己さんと、何といいレーターさんが付くのでしょう。わんこな鉄平、クールな脩の雰囲気が伝わてくるイラストでした(アテ馬の怜一もw)

祖母から引き継いだシェアハウス「ちどり荘」のリフォームを依頼しているのは医大生の鉄平。
その仕事を依頼されているのは建築士の脩。
鉄平は脩に惚れているようで用事もないのに脩の顔を見るために訪れてきて、脩はうんざりしている。
というのも、脩は自分と付き合った男性は皆幸運を手に入れて、そして自分の元を去っていく、もしくは幸運を手に入れたために自滅していく。だからもう恋なんてしたくないと思っているし、そうしたあげシリ目当てで近づいてくる輩が多くて辟易してるからです。
鉄平は不運体質のようで、しょっちゅうアクシデントに見舞われているようで体も傷だらけだったり、あげく自宅でもあるちどり荘にトラックが突っ込んで、古い建築物であったのもありとうとう建て替えもしなくてはならない状況に。
自分の不運体質をなげくでもなく前向きに受け止めている鉄平に情の湧いた脩は、住むところのない鉄平をしばらく自宅に呼ぶことにする。
そんなときに、日頃ほとんど日本にいない所長の怜一が帰国して、脩が鉄平とどうにかなるのを阻止しようと、本気だか冗談だか取れないようなアプローチをかけ始め、徹平にライバル心を燃やす。
嫉妬に激高した鉄平は脩の元を去るのだが、彼が心配になった脩が迎えに行ったことでキスをする仲にまで進展するのだが、怜一から鉄平が脩のあげシリ目当てだったことを聞き、脩は鉄平を拒絶するのです。

脩が主人公で彼視点です。
彼のあげシリ体質がかれ自身のコンプレックスとトラウマを形成して、卑屈にしてます。
本当の恋愛をしてしまったら、相手が変わってしまって自分の元をさるのが怖くて前向きになれない。
その葛藤が、この話の展開の根底になっていて一本筋が通っている部分を見せるような気がします。
うまくいくために、鉄平は皆と違うという点を描き出さなくてはいけないのですが、脩と暮らすようになってそれまであった細々としたトラブルがなくなり、小さなラッキーが転がり込むようになる。
そんな些細な幸運に喜ぶけどおごらなく、欲がなく、ただ脩だけを見て思っている点が一途で好ましい青年でした。
かれがどうして脩を知ったのか、かれに執着する理由は冒頭のエピローグですでに明かされていますよね♪

それにしても、鉄平のがんばりにはすごいと思いますよ!
バイトをたくさんして、しかも医学部だから授業も大変だし、奨学金をうけているから勉強も手を抜けない、しかもそんな合間に脩に会いに行ったり、シェアハウスの管理もしているのだから、タフを通り超えて超人では!?
その割りに脩の建築士としての仕事描写は少なかったですね。
事務所も所長はいてもいなくても同じみたいだし、それ以外は脩ともうひとりの女性だけ。。。こんなで事務所やってけるの?
仕事が山積みと書かれてる割に、そのリアリティは薄かったです(汗)

不幸体質×招福体質、正反対だからこそ、ミックスして差し引きゼロ♪
怜一があまりにアテ馬キャラすぎて臭さプンプンでしたが(笑)主人公達の設定も展開もテンポよくて楽しめました☆

2

不思議な作品

田知花千夏さん、初読みです。
プロローグとエピローグが攻め視点で、本編は受け視点で書かれていました。
そのせいか、受け視点で書かれているのになぜか攻めの方の気持ちに同化してしまうという不思議な作品でした。

プロローグのところで鉄平(攻)が一目ぼれするところを読者は読んでいるので、脩(受)の鉄平の事が好きなのに信じきれない気持ちに共感できないのです。鉄平に同情して脩はどうしてそんなに頑ななの?と思ってしまいました。2人が距離を置いてみて、もうダメなのかもと脩が実感し、ようやく自分のプライドよりも大事なものがあると気付いた時にはホッとしました。

エピローグで鉄平視点に戻って話が引き締まった感じがしました。欲を言えば最初のプロローグも鉄平が一人でちどり壮にいるところから始まったら良かったのになと思いました。そしてエピローグではふたり一緒で・・・まぁ私の拙い妄想ですがw

1

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