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表題作極道はスーツを愛で貫く

ヤクザの若頭 芦澤佑介
デーラー店主 榎田弘哉

その他の収録作品

  • 生きること
  • あとがき

あらすじ

『テーラー・えのきだ』でスーツの仕立てに心血を注ぐ榎田。そしてそんな榎田を今夜も淫靡な世界へと誘う芦澤。一見何事もなく過ぎる日々。だが、一人の中年刑事が木崎と諏訪の関係…木崎の組への裏切り行為に気づいたことで、破滅へのカウントダウンが始まる。諏訪が組に捕らわれ、今度はその人質交換として木崎が榎田と優香を攫う。一方で木崎の殺害を命じられる芦澤。八方塞がりの闇の中、一発の銃声が響き…。

(出版社より)

作品情報

作品名
極道はスーツを愛で貫く
著者
中原一也 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
イースト・プレス
レーベル
アズ・ノベルズ
シリーズ
極道はスーツがお好き
発売日
ISBN
9784781608372
4.3

(29)

(17)

萌々

(7)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
125
評価数
29
平均
4.3 / 5
神率
58.6%

レビュー投稿数5

極道スーツ、シリーズ第8作

正確に言えば前作が「番外編」でしたので、シリーズとしては7作目。しかし、本作の内容は前作「番犬は悪徳弁護士に狂う」の続編となっています。

冒頭から芦澤が木島に銃口を向け、榎田が絶叫するシーンから始まる本作。
オープニングからハードボイルド感がハンパない。
組に黙って下っ端を殺して埋め、組長の孫娘・優花と結婚を前提に付き合いを始めながらも諏訪と恋をした木島。
諏訪は初めて「愛されている」事の幸福を感じるが、それは破滅への道であることも完全に理解していた…
愛し合ってる2人がなぜケジメの名の下に追われ命であがなう事を要求されるのか、2人を助けてください、と芦澤に食らいつく榎田ですが、芦澤ももう護りきれないのです。
そして諏訪が組の命令で捕らえられ…
その諏訪を取り戻すために優花と榎田を逆に拉致する木島。
…というように本作も甘さなしで展開していきます。
カタギとして真っ当な人間関係を軸として生きている榎田。
そんな榎田を泣かせたくはないが、極道の価値観ではどうにもならないとわかっている芦澤。
何もかもが遅すぎた、追われるなら一緒に、と覚悟を決めている諏訪。
それらを引き裂く一発の銃声!
木島は崖下に転落していきます。
BLの死ネタというより、完全にハードボイルド小説の緊迫感。
一人、自殺も許されずに精神病棟に軟禁された諏訪に届けられる木島の小指。
それを見た諏訪は、猛然と生きることを選ぶ…
そんな中、諏訪の病室にいつの間にか飾られる赤いカーネーション。木島は本当に死んだのか…⁉︎
BLとか恋愛とかが無くてもヤクザ・ハードボイルド・エンタメ小説としても抜群の面白さです。
この「極道スーツ」は本作ですでに8冊目なんだけど、全くダレること無くどんどんと緊迫感もスピード感も加速する大傑作だと思う。
もちろん、エロ観点から言っても同様。
榎田の、芦澤に向ける愛はますます深く、芦澤の与える快楽は激しい。
タイトルの「愛で貫く」通りに、今回のエロは乳首貫通ピアスです。痛みに快楽を感じる榎田。
そして、木島x諏訪の破滅を読んで、メインの芦澤x榎田にも同じように破滅の芽があることを確かに感じ、このシリーズがどのように進んでいくのか、ますますのめり込んで読んでしまう。

1

とうとう破滅への嵐が!

本編カプのほうは、これまでの話で榎田の芦澤と共にある覚悟ができ、榎田の芦澤を積極的に求める姿がエロさを増す、絆の深い恋人となりました。
芦澤の右腕だった木崎と悪徳弁護士諏訪の恋愛は、前作スピンオフでやっとよかったね~という結果を迎えましたが、諏訪と組長の娘・優花のことで、組員の木村を殺してしまったことが、彼らを破滅の道に導いているという、その始まりでもあったのです。
そして、今作でとうとうその破滅への道が・・・
本編の後についているその後の諏訪の話【生きること】で、ついウルっときてしまいましたよ。

さて!極道スーツといえば、芦澤の ”尿道職人” の技が光っており(w)今回も榎田の尿道を攻めておりましたが、それに乳首のピアッシングというか、串刺し?という荒業が登場しまして、榎田を狂わせておりました~♪
榎田、乳首でっかくなっちゃうだろうな。。。www

今回、木崎と諏訪の破滅への速度を加速させた原因を作った男が新しく登場します。
刑事の野口です。
土砂崩れで出た身元不明の死体。
それが殺された木村かもしれないと、それをやったのは木崎だろうと、
そして木崎と諏訪の関係も、芦澤と榎田の関係も知っていると、榎田の元を訪れるのです。
この野口が組長へ「かもしれない」をタレこんだことで、木崎が追われる身に。
芦澤は組長命令で諏訪を人質にとり、木崎は優花と榎田を人質にとり、駆け引きが。
木崎は自らの指を落として、諏訪を解放させますが、結局追い詰められます。
果たして、木崎は本当に死んでしまったのか!?

この刑事の野口が大変に曲者です!
何故に色々と知ってるんだろう?
そして、本当のこの男の思惑は一体なんだろう?
タレ込みと、榎田を揺さぶる役割で、今回はさほど大きな関わりはなかったのですが、その真意はただの、刑事としての使命ではないのではないだろうか?
かなり不気味ですし、きっと、今後の展開に何かあるはずだと思われます。

木崎の遺言で生かされた諏訪は、精神病院へ入院という監禁になります。
彼のあきらめと絶望と悲しみと、どうしてこうも諏訪は苦しまなくちゃいけないんだろう、本当に悲しいよ。。。
しかし、一縷の望みが!?
是非、是非、幸せになって欲しいです!

この木崎が殺しをする原因になったのは諏訪がもちろん原因ですが、組長の孫娘優花も少なからず関係なくはないのです。
彼女が木崎を好きになったことが全ての根源なんだと知っている読者は、彼女をなんとかしたい、諭してやりたいと思わなくもない。
榎田はカタギだし、彼の言うことはヤクザの世界からしたら甘いのかもしれないが、ヤクザって本当にメンツだの、筋を通すだの、馬鹿な事にこだわるよなーと思わず理不尽さを感じるのです。

またまた波乱が待ち受けてそうで、全くもって目が離せません!
次もとても期待大なのです。

9

最悪のラスト

これはもう、好き嫌いの問題なのでしょうね。
主役級の二人、諏訪と木崎の結末になんとも言えない悲しさを感じさせるラスト。
何処かで回避出来なかったのかなんて思いながら読み進めて、そして最悪の結果が
大切な人を守る為死を選ぶ男、その男の願いで愛する者を失ったまま、
慟哭の中を生きなければならない男の姿がとても哀れで切なかったです。
榎田の芦澤のカップルは続編が出るたびに絆が深まり、榎田の思いも強くなって
芦沢の世界で生きる覚悟みたない感じが伝わる内容でした。
それでも、やっぱり木崎の死は悲しかったですね。
作者のあとがきでは、本当に死んでしまったのかなんて言えないなんて曖昧で
もしかしたら・・・なんて微かな希望を残しているのか、なんて感じたりもしましたが
逆に、実は生きてたなんて事になったらあまりにもチープになってしまうかもと
思ってしまうのですが、読者としては是非奇跡の甦りなんてことも願わずにいられない
読み終わってそんな事を思ってしまいました。

1

続きあるのかな?

シリーズ全巻読んでいて、待ちに待った続編でした。

相変わらずのネチネチしたHで…中原先生の持ち味炸裂でした。
Sの攻めさんと、Mの受さん…あのM度合いが、いい感じにS心をくすぐるんですよね。

ストーリーもしっかりしているし、脇の2人の心の機微も、自然な流れで書かれていて
寡黙だけど情熱的、淫乱だけど一途というアンバランスさも物語りにうまく浸透していて…。
恋愛だけじゃなく、男同士の友情や、忠誠心的なものも入っていて、とても満足しました。

ただ…不満といえば…
シリーズ的に終わりなの?それとも続くの?
というモヤモヤ感が残りました。

1

まだ続く、気になる続編

久しぶりに手に取ったこのシリーズ。キャラや設定になじみがあると、読んでいて懐かしい感じがしてすぐに作品に入っていけます。一方、カップルは成立しているわけで、毎回ヤクザ絡みの事件を軸に展開しますが、恋愛ものとしてはエロシーン含め飽きてきてしまうのも事実。

スピンオフあたりから木崎×諏訪がメインに座ってきている感があります。このカップルは危うくて壮絶で読み応えがあります。今作では、あらすじにあるように、愛を貫くために木崎がとんでもない行動に出ます。果たしてこちらのカップルに未来はあるのか、非常に気になるところです。今作では一応ラストを迎えますが、木崎の運命はどうなるのか、死んでも読者としては辛いし、かといってこの展開で生きてたとしてもあまりにご都合主義だという気がするし、どう決着がつくのでしょうか。

メインカップルは相変わらず強い愛を確認。扉のイラストにはいきなりやられました。ブラインド越しの情事、萌えますね~。小山田さん、うまい。榎田がMに開眼してゆく今作でした。

0

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