お菓子の家~un petit nid~

okashi no ie

お菓子の家~un petit nid~
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神175
  • 萌×244
  • 萌23
  • 中立10
  • しゅみじゃない15

54

レビュー数
41
得点
1130
評価数
267件
平均
4.3 / 5
神率
65.5%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
シリーズ
プラチナ文庫(小説・プランタン出版)
発売日
価格
¥590(税抜)  ¥637(税込)
ISBN
9784829625385

あらすじ

大事なものはひとつでいい
リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は……。

(出版社より)

表題作お菓子の家~un petit nid~

元ヤクザでパン屋の店主 阿木仁 38歳
リストラされ攻様に雇わるバイト 加瀬弘明 28歳

その他の収録作品

  • 甘猫

評価・レビューする

レビュー投稿数41

サバイバー

主人公、加瀬は幼いころ両親を事故で失って、叔父に引き取られますが
ひどい虐待をうけてやっと生き残ったのです。
好きになった人を暴力でしか愛情表現ができなくて。
愛されたことがないから、愛することができなかったんだよね。
次に好きになった人は絶対に優しくするって誓って。
孤独でどうしようもなくて、元恋人がくれた黄色いシャツを抱きしめてと
切ないです。
パン屋さんに勤めはじめて、オーナーの阿木のことを好きになって
でも距離が測れません。
元恋人要は「もう誰とも恋をしない」と思ってる人で
阿木は「今は恋人は作れない」って言ってる人で
その辺不憫だなと思いましたが。
ちゃんと、阿木に愛されてハッピーエンドでした。
よかったです。ところどころ涙を流してしまいました。名作です!!

0

夜明けのその後

偶然にも前作「夜明けには優しいキスを」を読んだのが半年ほど前。スピンオフに当たる今作をやっと読むことが出来ました。

前作では主人公を苦しめるDV男という当て馬ポジションだった加瀬が本作の主人公です。攻→受への華麗なる転身にびっくりしましたが、最後まで読むと、加瀬がどれだけ殴っても暴れても拗ねてもビクともしない阿木みたいな男に愛されて甘やかされる方が合っているんだろうなと素直に思えました。

前作も私は「萌x2」評価でしたが、こちらを読むと、前作は全体が加瀬という男の孤独や苦しみを際立たせるための長いエピローグだったように感じました。作品の優劣ではなく、前作はフィジカルな物語(DV男だし)、本作はメンタルな物語になっていると思います。

物語前半、誰かに優しくしたい、愛したい、そばに居てほしい、愛してほしい…とひとりきりで膝を抱える加瀬があまりにも切なくて胸が詰まりました。正直、自業自得だろうと思う部分はありました。けれど、自分が手離したものに強い意志で決別し、過去を悔いて、それでも優しさや幸せを素直に受け取るために少しでも変わろうとしている加瀬の様子が、なんだかとても嬉し続きかったです。

2

せつないお話です!加瀬弘明が幸せになります!

いや〜!!加瀬弘明が幸せになる本、読めて良かった〜!!なんて可哀想で可愛い人なんだろう...

はい。興奮してしまいました...この本は『夜明けには優しいキスを』に出てくる主人公の元カレの加瀬弘明が、その後新しい場所で新しい人に恋をするお話です。加瀬弘明贔屓の私としては、彼が幸せになってくれたので間違いなく神評価です!凪良先生、ありがとうございました!!涙
両親が事故で死んでから、親戚の家をたらい回しにされた弘明は、人を信用できず孤独に苦しんでいました。唯一の宝物は、元カレにプレゼントで貰ったシャツ。リストラされ、世界からひとりぼっちになったような思いで、シャツを抱きしめて自分を保ち続ける弘明...そのままじゃきっとおかしくなってしまうと焦る彼でしたが、たまたま通りかかったパン屋で、そこのオーナーの阿木に目をつけられて、そのままそこでバイトをすることになります。
弘明のマンションが火事で焼けた後は、阿木のところで暮らします。
そうしているうちに無骨に見えて優しい阿木のことを、弘明は好きになってしまいます。そこからは彼にベッタリです。阿木がソファに座るとその下に三角座りし続き、彼がトイレに行ってもその外で待つ始末。ベッドでもくっついて離れません。阿木が可愛がってしまうのも無理ないですね...。
阿木の過去も訳ありで、弟のように思っていた譲が自分のせいで死んでから自分の幸せを放棄し、その妻と子供に尽くし続けることで自分を保っていました。でも、彼の方も可愛い弘明によって変わっていくのです。
最後には、すっかり弘明の虜になっている阿木ですが、弘明は持ち前のネガティブ精神でそんなことにも気づいていないんでしょうね。一方の阿木も、今まで寂しさに飢えてたので余裕がなく、完璧に弘明を抱え込むことができないのだと思います。そうやってお互いに依存しながらこれからも生きて行って欲しいと思いました。もう少しお互いに余裕が出来て、自分が愛されていることにいつか気付いて欲しいなと願いつつ、彼らのその後を妄想しています。

3

甘い香りに包まれました

キズを抱えた主人公さんに居場所ができた時は思わずホロリ。ふんわりとあたたかな気持ちになりました。

スピンオフ『夜明けには優しいキスを』を読むとまた違う視点がみれますよ。

1

心ならずも暴力男の心情を理解してしまった

前作『夜明けには優しいキスを』
を読んだあと、加瀬のような最低な酷い男が主役のスピンオフ作品があると知っても読みたいとは思えませんでした。
あの加瀬ですよ、暴力男ですよ。
それがどう転んで更生できるのか、そして萌が見つけられるのか疑問でした。
でも、凪良さんの作品だしいつか気が向いたら読もうリストに入れてありました。

一番に思ったのは、前作での最低男は実はとても寂しがりやで大切な人に去られることに怯えどうしていいかわからなかったかわいそうな人だったんだなということ。そして、暴力を振るう人は子供の頃自身も暴力にさられれた経験、例えば虐待とかがあることが多いといいます。そんな過去の被害者でもあったんだということがわかりました。
だからといって仕方がないことでも許せるものでもありませんが。

けれど不覚にも暗い部屋で好きだった人にもらった明るい色のシャツを抱きしめて堪えている姿とか、人との接し方を知らずに大人になってしまった今になって、それではまずいと自覚して一生懸命に面白いとは思えないテレビドラマを見て勉強しようとするところではきゅんとしてしまいました。

前作の視続き点で見ると加瀬がどれほど非道で最低な人間なのかと思いましたが、この作品から見るとそれを悔やめたくてもやめられずに最後には好きな人を手放して自分のそばにいないことが幸せだと気づいて離れるという気持ちに至る動きがよくわかりました。
前作で、そんなに簡単に手放せるなら初めからそうすればよかったのにと思った別れのシーンが納得できました。

なかなかこちらの作品に手が出せなかった私からのアドバイスとしては、ぜひ2冊セットでお読みください。
物事の両面がよく見えて考えさせられます。

3

加瀬がせつない・・・

恋人の優しさに依存して、でもその優しさが信じられなくて暴力を振るってしまった過去を持っている加瀬。だから、次に大切な人が出来た時は失敗しないようにしたかった。だけど、どうしたらいいのかが分からない。近づきすぎたら、また依存して自分から壊してしまいそうで、遠く離れようとしても、本当は近くにいたくて。ぐるぐるしているうちに、どんどんネガティブに落ちていってしまいます。

人との距離感って本当に難しいと思います。それが大事な人なら尚更。
近くにいたい。だけど嫌われたくない・・・阿木との距離のとり方に悩んで、落ちたり浮上したりする加瀬に涙が溢れました。
加瀬が、「阿木が店とかで売っているものなら良かったのに」という言葉。加瀬の人付き合いの未熟さが伝わってきました。
そういう私も加瀬の言葉に、本当にそうだよな、って納得してしまったんですけどね。
でもきっと、店で売っている阿木じゃ駄目だったはずです。それじゃぁ加瀬は変われなかっただろうし、加瀬が欲しい阿木は、誰にでも手に入れられる安っぽいものじゃなかったはずです。
救いは、阿木が懐の深い男だったところ、でしょうね。
不安になってし続きまう加瀬を、いい距離感で温かく迎え入れてくれるところ、本当にかっこいいオジサンだなと思いました。
「甘猫」が阿木視点で書かれているので、阿木が加瀬にベタ惚れだということも分かって大満足です!

そして、加瀬が働くことになるパン屋「un petit nid」の空気が魅力的です。
オーナーの阿木、スタッフの知世、知世の息子で小学生の理央、そして加瀬。パンの焼ける優しい匂いに包まれながら、この四人がまるで家族のようです。
だけど、幸せ慣れしていない加瀬は思ってしまうんです。自分は邪魔なんじゃないかって。阿木と知世と理央だけでもう家族みたいなんだから、自分はいないほうがいいんじゃないかって・・・うーん、せつない。
「かまどに放りこむ」はネガティブな加瀬の本音だったと思います。
それを「放りこまなくて良かった」ってちゃんと思えたのは、加瀬が大切な人だけじゃなくて、大切な人の大事なものも含めて、今の自分がいる場所全部を受け入れられたからじゃないか、と。
「大事なものはひとつでいい」と言っている加瀬も、一番大事なものは阿木、でもその次に大事なものが、気付いたら沢山増えているんじゃないかな・・・そうであって欲しいと願います。

実は私、読み終えてアトガキを読むまで、加瀬が「夜明けには優しいキスを」のDV男だと気付いていませんでした(汗)
私が察し悪いのと、夜明け~があまり趣味じゃなく、かなり前に一度読んで手放したのも原因だとは思うのですが・・・なので、「お菓子の家」だけ読んでも大丈夫です!
加瀬の以前の恋人が気になったら、夜明け~を読む、という順にしても問題ないと思います。

5

拾った大きな猫に懐かれます

お互いが過去にトラウマのある不器用な二人の恋愛小説。
阿木のことを好きすぎる加瀬の甘えん坊ぶりは、
ストレートすぎて逆にいいなと思えました。
その加瀬を阿木は包み込んじゃうし、ご機嫌とりするし、本当いい人なんだよね。
加瀬の拾った猫ちゃんには懐かれないけど、阿木が拾った大きな猫ちゃんには懐かれちゃって、鼻の下を伸ばすくらいにはデレちゃってるとこには可愛いなと思いました。

二人には関係ないけど、従業員の息子の里央も可愛い。
加瀬は子供に好かれるタイプではないと思うけど、流される加瀬も嫌にならなかったです。本当に根のとこは優しい人柄なんだと思いました。

1

たったひとつの居場所

リストラされて途方に暮れていたところ攻めに声をかけられて小さなパン屋さんでアルバイトをすることになった受けと、強面だけど優しい攻めの話。
この受けの加瀬くんがとにかく読者を泣かせにきます。
凪良ゆうさんは「愛情や他人のぬくもりに飢えた居場所のない寂しいひと」を描くのがとても上手い作家さんだと個人的に思っているのですが、加瀬くんが阿木さんとのコミュニケーションを通じて悩んだり立ち止まったりしながらも少しずつ成長して居場所を得ていく過程がたまらなく愛しかったです。

6

揺れる心が切ない

「夜明けには優しいキスを」のスピンオフですが、前作を読んでなくても問題ないです。むしろ、この作品の後に前作を読んだ方が良いかもしれません、と私は思いました。

作中で、加藤が元恋人と駅で会う場面がありますが、その場面は前作(2014年発行プランタン出版の新装版)ではSSとしてリンクしているので、こちらを読んだ後に前作を購入するのなら新装版をお勧めします。

「お菓子の家~un petit nid~」
加藤の目線で進みます。
DVをしていた恋人と別れて、就職活動中の加藤(受け)は、阿木(攻め)に呼び止められて、パン屋で働くことになりますが…。

味覚障害で生気のない加藤の思考は、淡々としていて、その分読んでいて切なくて、胸がぎゅっとなりました。阿木じゃないけど、「色々どうしようもない気持ち」になります。少しずつ少しずつ近づいて、ふと離れて、そんな心情の動きに、涙腺が緩みっぱなしでした。

「甘猫」
阿木の目線で語られる、表題作の後日談です。

加藤にどうしようもない気持ちになった、と以前を回想している場面では、加藤の姿が浮かんでいつも涙がにじみます。そして、阿木続きに女ができたら出ていくと言われて、内心で青ざめる阿木が可愛かったです。
私はこの甘い後日談を読んで、ようやくほっと落ち着いた気持ちになりました。幸せに過ごしている二人が嬉しかったです。

包容力のある大人攻め、外見に似合わず控えめな健気受け、私のような「切なさを楽しみたいけど最後はハッピーエンド派」にお勧めします。
ただ、ヤクザものが苦手な方はご注意ください。

2

居場所を見付ける物語

前作は読んでいません。それで読んだので、もしかしたら前作読んでからだったらまた印象違ったかも?
葛西さん月間で葛西さんの挿絵の本を読みまくってますが、これもその一冊。893なんでどうしようか迷いましたが、読んでよかった!

行き場のない人が、自分の居場所を見付ける話。
あまり册数は読んでいませんが、凪良さんはこのテーマが多いかも。
恋愛というよりも居場所なんですよね。
なので、とても心地良いのです。

加瀬さんが懐くのはよく分かりますが、阿木さんは少々無理がある様な気がしないでもないですが、まあいいか!

今度、前作を読んでみようと思います。

1

加瀬難民救済の一作

前作、「夜明けには優しいキスを」を読んだ当初から、加瀬は凄く気になる存在でした。
誰かこいつを幸せにしてやってくれと。
そんな加瀬難民救済の一作、「お菓子の家」。
待ってました、そんな作品なので、ちょっと最初の期待値が高すぎました。

加瀬のトラウマであるとか、価値観は凄くしっかりしているんです。欲しいものはたいしたものじゃない。でも、自分の手に入らない。もがきながら生活している加瀬は魅力的なキャラクターです。

問題は攻めの阿木さん。なぜ加瀬に惚れたかいまいち分からない!
一応、大切に思っていた弟分、譲に似ているというフォローはありますが、彼は知世さんの旦那さんだったわけで・・・。きっかけとしては頼りない。
おまけに、加瀬ははっきり言ってるんですよね。「俺はあんたを好きだけど、あんたは俺を好きじゃなくてもいい」それに対して、阿木さんも「色恋にはならねぇぞ」と返している。
そういうスタンスだった阿木さんが、物語のどのへんでどのように加瀬にメロメロになっていったのか、それが読み取れないんです。

加瀬は愛されることをすんなり受け入れられるタイプではありませんから、続き加瀬好きとしてはそんな彼を安心させて、思い切り愛してくれる攻めを期待してました。阿木さんもそんな攻め像を追ってはいるのですが、どうしても加瀬への思いに同情とかがちらついてしまう。
凪良先生は心情変化がをとても丁寧に書かれるイメージがあったので、余計にここが気になってしまいました。

例えるなら、娘が結婚相手を連れてきたのですが、どうもその男が信頼ならないというか、「娘にお前はやれん」という父親の気持ちが少し分かるような読後感です。
阿木さん、君はうちの加瀬を本当に幸せにしてくれるのかね?みたいな。

まぁ、娘が音信普通よりずっとマシなので、結局読んでしまうんですけどね。
うちの加瀬は元気にしとるかね?みたいな。

1

根っこのところに矛盾

読み終えてしばらく、これが加瀬にとっては理想の救済の形なのかな?と思っていました。
・・・が。どうしても見過ごせない点に気づいてしまいました。

※この作品大好きな方は以下読まない方がいいかもしれません。

阿木がの包容力を持つに至った理由が説明されていない。
うっかりスルーして読み終えてしまいましたが、これがないと矛盾だらけになってしまって物語にならない。そこは「ファンタジー」で押し切ってしまうと、感動がおじゃんになってしまう。
そうなると阿木に限らず、加瀬以外のキャラが全部説得力が薄くなってしまいました。
加瀬と同じような欠落を経験しているからこその同じ目線だったはずなのに、ここに描かれている人物像はその欠落が感じられない。何かの経験で満たされたとしても、それは人格形成上大きく影響する出来事だったはずで全くストーリー上に全く浮かんでこないほど本人にとって軽いことではないでしょう。譲の死がそれにあたるのかもしれませんが、欠落はさらなる欠落で補われることは絶対にないし、自身の成長だけで補いきれないからこそ加瀬も苦しんでいるわけで、そうではないとすると今度は加瀬が救われな続きいという矛盾。
そこに気づきさえしなければ神評価だったんです。
そんなことは気にせずに、とも思ったんですがファンタジーとしてOKを出すには、虐待をまともにモチーフにしすぎていて、そんな風に扱っていいとはどうしても思えず。
乙女思考で虐待モチーフにしたとは思いませんが、もう少し掘り下げてほしかったなぁという感想です。

3

表紙が全てを物語っていると思う。

「夜明けには優しいキスを」を読んで、あて馬DV男加瀬に感情移入してしまったためとても読みたかった作品でした。

とても暗くデリケートな傷を抱えている人物なのにも関わらず、優しさに溢れたお話でした。
表紙からも伝わってきますよね。(>_<)
加瀬の寂しさとか阿木さんの優しさがダイレクトに伝わってくる本当に素晴らしい挿絵だと思います。

この作品は、傷を負った主人公がそれを乗り越えていくようなお話ではないと思います。
加瀬は3歩進んで2歩下がるような前進の仕方をしていくのだろうなと読んだ後感じました。
ヤキモキする一方で、そんなもんだよなとも思っていました。
自分の欠点を克服したいけどどうしたらいいか途方に暮れる、頑張ろうとするほどドツボにはまる、そんな所に共感してしまいました。
でも加瀬なりの前進の仕方を肯定してくれる人達にめぐり会えたことが何よりも大事なことなのだと思います。
初めは加瀬が受けと聞いて驚きましたが、本物の愛情が欲しい加瀬にとって受けとか攻めなんてのは大した問題ではないのだと凄く納得しました。
欲しがるばかりの人間は普通嫌がられるけど、加瀬にとって続きは心の叫びなんですよね。
そこの所で必死にもがく姿にめちゃくちゃ引き込まれました。

攻めの阿木さんは懐が深すぎて本音の部分が全く分かりませんでしたが、最後で阿木さん視点のお話が読めて大満足でした。
痒いところに手が届く、いや凪良さんは良く分かってくれているのだという気がします。

この2人にはバカップルどころか、長い年月をかけて阿吽の呼吸で通じ合う熟年夫婦のようになってほしいです。
あとがきでどれだけでも書けると言っていた、いちゃラブ偏が読みたい!!!!

4

大事なものはひとつでいい

 「夜明けには優しいキスを」スピンオフ作品。DV男、加瀬が主人公。加瀬の過去も十分暗かったのか。読んでいて私まで暗くなってくる。でも、こういう不幸をいっぱい浴びてきた男こそが、好きな男と両想いになって、恋人に思いっきり甘やかされるのがいい。

 加瀬弘明は暗い過去を持つせいで、人を簡単に信じることができない。好きになった相手の、すべてがほしくてほしくて、べったべたに相手とくっつこうとするんだけど、嫌われるのが怖いので、いきなり相手にそっぽ向いたりする。うーん、その自己完結っぷりがうっとうしい。

 対する阿木仁、この人がいい男。この人もネグレクトされて施設で育った過去を持つんだけど、根が明るくて前向き。おまけに面倒見がいいので、経営する店の前をうろうろしていた加瀬を拾ってしまう。なんていい人!!

 加瀬に好きだと言われた阿木さんが、加瀬を突き放さないところもよかった。色恋はしないけど、加瀬を突き放したりしない。阿木さん、優しいなあ。でも、加瀬はあんな性格だから、優しい阿木から離れようとする。そんな加瀬を怒ったり責めたりせず、変わらない態度で接してくれた阿木さんが本当にかっ続きこよかった。
 今までほしいと思ったものを得たことが一度もない加瀬が、阿木に求められたとき
「ここは天国じゃないのか」
とつぶやくのもよかった。
加瀬には、幸せになってほしい。うん。阿木さんと。

2

素直にすごく良かった

『夜明けには優しいキスを』のスピンオフ。
できれば続けて読もうと改めて読み返しました。

何度読んでも、いい。
男気のある阿木。生き方がカッコいい。
決して幸せとは言えない生い立ちや、やくざという世界にいたこと
自分の気の緩みから、大切な仲間の命が消えたこと・・・
たくさんの苦しいことや辛いことを、顔に出さず
いつも加瀬のことを心配し、優しい阿木。

前作からのあの乱暴者の加瀬とは思えない怯えたような暮らしぶりには
ちょっと驚きましたが、要からもらったシャツをいつも抱えている加瀬が
なんだか哀れで、そのシャツを家事の中から持ってきてくれた阿木の優しさに
もうジーンときてしまい、
「服の形してるだけでこいつにしたらなんか別のもんなんだよ」の一言に
もう涙腺が緩んで加瀬の代わりに号泣してしまいました。

阿木を好きになったり、知世たちにやきもち焼いたり
勘違いしたり、嬉しく想ったり・・・・
めまぐるしく変わる加瀬の気持ちに、思いきり感情移入しながら読んでしまいました。
加瀬の気持ちになって、イライラしたり悲しくなったりきゅんとなったり・・・
とても続き丁寧に加瀬の心理描写が書かれていて、1冊の本の中に
どん底から阿木に引っ張り上げてもらう加瀬の心の変化はもちろん
前作のひどかった加瀬の部分にも触れていて
どんなふうに加瀬の気持ちが前に向いて行ったかが理解できました。

知世と阿木が結婚すると勘違いした加瀬ですが
以前の加瀬なら、狂ったように暴れるところですが
相手の幸せのために、自分から身を引いて阿木の幸せを願うなんて
前作からの成長ぶりというか、加瀬の変わりように驚きました。
「かまどに放り込まなくてよかった」という一言は
まさに加瀬の本心だったんだと、改めて感じました。

前作ではさんざんな加瀬でしたが
こんなに良い人に出会えて、愛してもらえてホントに良かった。
しかし、今まで鬼のような攻めだった加瀬が阿木の腕の中で
可愛く喘いでるのはなかなか読みごたえありました。
阿木がうけというのは絶対ありえないので、やっぱりこれで良かったんですね。
加瀬もこれで受けに目覚めたってことですね。

5

スピンオフ作品

「夜明けには優しいキスを」の暴力男加瀬が主人公の話。
普段なら絶対に好きにならないような暴力を振るう男なんだけど、なんでだろう、加瀬にはすごく惹かれるものがあった。そのせいか前作の要と公平が霞んでしまいそうなほど。
加瀬の欲しいと願っているものが人によってはとてもささやかなものなんだけど、わかるような気がして(´;ω;`)
短編の甘猫の阿木視点からの話も良かったwww

「夜明けには優しいキスを」「お菓子の家」登場人物のたちはみんな過去にいろいろあって生きてる。
この先みんなが幸せになればいいと思う。

3

可愛いノラネコ

作家買いです。

凪良さんは「人の孤独」を書くのがとてもお上手な作家さまだと思います。
誰もが本当の一人ぼっちにはなりたくない。でもそうせざるを得ない事情や環境もあって。

受けである加瀬くんもそうです。彼の生育環境は最悪と言っていいほど悪く、そうした事情もあって彼は人に心を開くことができません。常に警戒しているため目つきも悪く、愛想も悪く、リストラされるという悪循環が繰り返されます。

そして無条件に愛される経験が少ないために、相手からの愛情を確認しないと不安でたまらない。ゆえに恋人にDVをしていた過去があります。個人的にDVは許し難い。どんな理由があろうとも人に暴力を振っていいわけがない。でも加瀬くんもそう理解していたんですね。自分から恋人に別れを告げます。唯一の大切なものだった恋人と相手のためにと別れた加瀬くんが、そして恋人と別れたあとかつての恋人に貰った黄色いシャツを唯一の心のよりどころにしている加瀬くんが、あまりに不憫で哀れで涙が出ました。

対して、ヤクザさながらの風貌ながらパン屋さんを経営している攻めの阿木さん。なぜパン屋さんをやっているのか、全くの他人続きである加瀬くんに親切にするのはなぜなのか。彼にも過去にどうしても消せない悲しい記憶があり、それゆえに加瀬くんに親切にするのですが。

このお話は「野良猫」がポイントになっています。人に裏切られ、痛めつけられ傷ついた気持ちを描写するのに「野良猫」を使っています。

人から、世間からはじき出されたノラネコ。
両親と死に別れ、親代わりになった親戚に虐待され続けた加瀬くん。
親に捨てられ人を信じることのできなかった阿木さんたち。


優しくされたい、信じていいのかわからない、でも愛してほしい。
警戒するノラが可哀想で、ついつい餌付けしているうちになつかれて、いつの間にか可愛くてたまらなくなってしまって。

そのキーワードを軸にとても上手に話が進んでいきます。最後の阿木さん視点の短編で黒猫に例えられている加瀬くんがとてもかわいらしかった。亭主関白ぶりたいのにしっかり尻に敷かれてる阿木さんにも爆笑。二人にはこれからずっと幸せでいてほしいと願ってやみません。

前作である「夜明けには優しいキスを」は未読ですが、そちらも読んでみたいと思います。

10

キュン死、初体験!

凪良さんのシリアスタッチの作品は初読みです。
でも、すっごい良かった!
はー、もっとはやく読めば良かったー。


加瀬はチンピラなみに目つきの悪い28歳。
これでも受け。
スーパーネガティブ男で、コミュニケーション能力がマイナス値。

攻めの阿木はパン屋のオーナーで38歳。
ヤクザと言ってもいい強面ながら、愛想も面倒見も良い。
実はもとホンモノの方。


主な登場人物は他に、パン職人の知世、その息子の理央、そして阿木の幼馴染で暴力団員の武藤です。
このお話は誰が欠けても成り立たなかったなあと思います。

ほとんど阿木に拾われた形の加瀬。
はじめこそ阿木にも知世たちにも、傷つけられないためにバリアを張り巡らしていましたが、加瀬がぎこちないながらも、理央と交流しながら人間関係を学ぶあたりはジーンとさせられてしまいます。

加瀬と阿木のゆるやかな関係がとても素敵。
年の差カップル万歳!という感じです。
阿木がもう!素敵すぎて!
特に加瀬を甘やかすさまが…
これが世に言う『キュン死』ってやつなのね!と実感。
もうもう飄々とした昼行灯男、大好きで続きす。

最後に非日常的なちょっとした(当人からしたらちょっとじゃないけど)事件が起きますが、それ以外は本当に淡々と日常が語られ、またそれが心地よく気持ち良く読めました。

加瀬は、『夜明けには優しいキスを』に出ていたとのことですが、そちらは未読です。
ただ、それでも問題はありませんでした。
きっと、『別れた恋人』というふうに表現されているのが、前作の主人公なんだろうなあと想像するくらいです。
それも、名前を出さない表現の仕方が良いなあと思いました。
スピンオフなどで、本人は登場しないのに名前だけが出ててくると、読んでない方としては若干置いてけぼりされている感じがしてしまいます。
登場してきた時にやっと名前が出て、こちらにもその時初めて知らされ(前作をお読みの方はご存知だったとは思いますが)素敵な演出だなあと思いました。

後ろのSSは阿木目線。
メタメタに加瀬を可愛がりたい食べちゃいたい的な様子が垣間見られ、ひじょうに美味しいSSでした。

5

前作から読めば良かったかも

高評価だったので読んでみました。スピンオフらしいのは知っていたけど、前作未読だからか、年齢の割に思考回路が幼くて、シャツに固執したりする加瀬の気持ちがほとんど理解できず、もともと後ろ向き過ぎる主人公が苦手ってこともありますが、残念ながら私には響かなかったので、淡々と読み終わってしまいました。。一度は拒否った阿木が、加瀬を受け入れるまでの葛藤とかがもっと深く書き込まれてたら、もっとドキドキしたと思います。

3

執着は不安の裏返し

スピンオフ作品ということを全く知らずに、大好きな凪良先生と葛西先生のタッグ作品ということで購入させていただきました。

あらすじを読んだだけでも、なんとも一筋縄では行かなそうだなと…思いつつ読み始めたのですが、受けの執着が強すぎる!と何度もページをめくる手を止めてしまいました。
しかし、それも最初のうちだけ。
時間をかけつつも作品の世界に入り込むと、加瀬さんや阿木さんの抱えている暗い過去や
二人を取り巻く登場人物の心の中にまで苦い思い出があるというのは、自分とは縁遠い世界だからこそ真剣な気持ちで読むことができました。
また、終始猫みたいな加瀬さんが飼い主の阿木さんに心を開いていく様子もとても微笑ましく、剣幕で刺々しかった最初が嘘のようですが、阿木さん目線のお話で私もがっつりと加瀬さんに心惹かれてしまいました…!

シリアスな話と、コミカルな話が混ぜ込まれつつも、しっかりと分けることは忘れていない。
そんな物語のつくり方が私にとってはすごく嬉しかったのもあり、新装版として出される『夜明けには優しいキスを』も是非購入してみようかと思います。



2

気配りな攻め様

丸ごと一冊全部がひとつのストーリーでした。

いや~、こんな出来た人間が横にいるとラクでしょうね!
気になったとしても、心へ踏み込まない、
優しいけどそれが押し売りではなくて
でも決して突き放しているわけではない
といのが相手にちゃんと伝わる程度の状態。

こっっっんなこと出来る人、なかなか居ませんよね~。
そりゃぁ、ホレますw
しかも免疫少ない受け様の事ですもの。

ほんっと、「ネコ」以外の何物でもなかったですねw

面白かったです。でも特別面白かった!!さいこー!と
そういう感じでもなく・・・・・。
極々フツーに面白かった・・・・というのが読後感でした。

4

社会不適合者を懐柔する楽しみ

施設育ちで元ヤクザのパン屋×リストラ3度目の根暗な社会不適合者。

早くに両親を事故でなくし、引き取り先の親戚から虐待を受け、自身も恋人へのDV経験を持ち、怖くなって自分から別れたものの心の底では常に人の温もりを欲しているやさぐれた野良猫のような受けキャラと、
そんな彼が、昔自分のせいで死んだ仲間に似てることから放っておけず強引にパン屋のバイトに起用した攻めが、
ポッカリ開いた互いの心を埋めるように寄り添い合うカップルになるまでを描いた話。

意外にも、先に相手への恋心を募らせモーションおこすのが、対人スキルに難アリまくりの受けキャラだったことが想定外で面白かったです。
てっきりなかなか懐かない猫を手懐ける喜びと彼の背負う過去への同情心から、彼を甘やかす楽しみを覚えた攻めの方がのめり込むのかと思っていたので。

ただ、恋情を自覚してからの受けが鬱陶しいほど攻めにベッタリで、病的なまでに攻めしか見えない盲目的な恋愛行動に出るのがどうも好きではなかったです……
私の勝手な想像で、受けキャラくんは必要以上に謙虚で遠慮がちな甘えベタタイプだと思っていたんですよね…

続きともと精神的に不安定でうまく人と距離をとれないキャラという設定があったので、ちょっと異常なくらいの執着心があっても違和感はないのですが、
至極個人的にそういうタイプのキャラが苦手だったもんで、恋愛モードの彼は好きになれませんでした…。

逆にそれまでの社会不適合っぷりや、人とうまく付き合いたいのにできない不器用さ、それで悩みもがく様は人間くさくてすごく好きでした!
思わず応援したくなるせつなさがあります。
社会や自分に絶望しながらも、どうにか生きようと仕事を探し、嫌々でもきちんとハローワークに通い、彼は彼なりに一生懸命生きようとしていたし、そういう人物像は健気でよかったです。

そういうわけで、恋愛を自覚するまでの前半はとても楽しかったですが、後半はキャラの行動との相性からあまり萌えを感じられなかったのが残念でした。
ただ、こういう相性は個人差あるので、多くの方は楽しめるかと思います。

なお、あとがきにもありますが、今作は他社出版の『夜明けには優しいキスを』のスピンオフとのこと。
内容的には『夜明けには優しいキスを』を知らなくてもまったく問題なく読めるのでご安心を。

《個人的 好感度》
★★★★・ :ストーリー
★★★・・ :エロス
★★★・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成

3

捨て猫と 懐の広いパン屋

評価の高かった本作。
実は大分前に入手してあったのだが、
『夜明けにやさしいキスを』を先に読もうと思っていたらなかなか手に入らず、
なんとなくそのまま読みそびれて置いてあった。
読んでみたら、前作を読んでなくても、大丈夫でしたが。

育ちの中でトラウマを持ち、人との接し方が不器用な加瀨。
彼は受けた傷を消化しきれず、今度は加害者になってしまっていた。
そんな彼が職を探しに行く途中で、たまたま行きあった街のパン屋。
そこに半ば強引に引き入れられて働くうちに、救われていく人間ドラマ。
痛い話、というよりは、パンの香りや黒猫、お菓子の家のモチーフもあって
どこかおとぎ話のような雰囲気の物語だった。

人間の大きな阿木が格好いい。
自信がなく、今度こそ失敗しないようにと、自分の気持ちを堪える加瀨。
ネガティブだけれど、側にいたいというプリミティブな願いを隠さない加瀨。

加瀨が阿木に惹かれるのはよくわかるが、阿木はなんで加瀨に惚れたのかな?
そこは今ひとつよく分からないところだったが、
でも、明るい阿木も暗い加瀨もそれぞれに抱えていた闇に
お互いが側にい続きることで、光が見えていく様や、
知世母子の健気な想いなど、とても優しい気持ちになれる本だった。

葛西リカコさんの挿絵も、雰囲気があって美しい。

あ、個人的には、孤高のヤクザ武藤さんが気になりました。
前作から加瀨さんがサルベージされたように、武藤さんアゲインはないんでしょうかね?

9

決して甘くはない…だけど

 また人を殴る夢を見たという加瀬は、失業中にパン屋のアンプチニーの阿木から声をかけられ、そこで働きだします。
 
 前向きではないし、決してお世辞が上手とは言えない加瀬ですが、こつこつ働くことに関しては彼は、とても真面目です。

 味覚障害、恋人が大切だから些細なことが気に入らなくて手を出してしまうという場面は正直言って重いと思ってしまいました。

 里央の誕生日パーティーから、阿木と知世の仲を疑い出したり、自分と比べてしまい寂しさを感じてしまうところなんて、読んでいて切なかったです。

 「お菓子の家」は物語後半に登場し、これまでの重い空気を払うように幸せの象徴になります。お菓子の家は食べられて崩れてしまったけれど、みんな完璧な人ばかりではないし、傷もあるけれど、最後はちゃんとハッピーエンドです。今まで誰にでもなつくことのなかった猫が、一人の人間に甘えているような姿が印象的でした。

6

ほんわかできる本

評価の決め手はとにかくかわいい!
脇役の男の子も可愛いし、にゃんこもかわいい
受の鬱陶しいネガティブ思考まで可愛く見えてくる不思議!
ぐるぐる考えすぎるキャラクターが苦手な方は避けて通った方がいいかもしれませんが、ここまでネガティブにぐるぐる考えてくると逆に愛しくなってしまいました。

作品のストーリーとしてはよくある感じですが、丁寧に心理描写がされていて飽きずに読むことができます。
本編は受け目線で、正直本編だけだと攻がなんで相手を受け入れたのかが分かりにくいところもありました。
しかし、番外編(みたいな短編)は攻の視点で書かれていて攻の受への気持ちもわかって二つ合わせて完成された物語だな、と思います。

どうしようかな?と悩んでいる方にはとりあえず読んでみたら?とオススメできる作品です。

5

ちょっとパンチに欠ける

凪良先生大好きです。
この作品も例に洩れず繊細で丁寧なお話。
なかなかBL小説で良作が見つけられない私ですが
凪良先生は安心して買っちゃうというか…。

このお話もレビューが良かったので、
点数だけ見て安心して買いました。

でも見終わった後、『え?もう終わり?物足りない!』って
思ってしまったんですよね。
舞台のパン屋さん設定とか、生かし切れてるようで
そうでもないと思ってしまいました。
もっと心温まるかな~?と思いましたが、『ふーん』という感じというか。

一言で言うとパンチが足りないんです。
全体的に推しが弱い感じ。ノリノリで書かれた文章っぽくない。

ソコソコ面白いので読んでもOKな作品だと思いますが
凪良先生だからこそ、もっと面白い作品を求めてしまいます。

1

キタコレw

ドンピシャでした(*´д`*)
個人的には神評価にプラスαしてもいいと思うの。
だって可愛いんだもの!!!!!!!!!
世界の中心で萌えを叫びたいw

スピンオフのようですが、元々は未読。
こっからで十分なのですが、元々が読みたくて注文も致しました。

さて、お話。
いろいろ陰鬱抱えている受が、アットホームなパン屋さんに拾われて
幸せを掴んでいくというお話なのであります。
誰にも懐かない猫が自分だけに懐く。
ここがポイントですねww
攻も言っていましたが、それがどれだけ可愛いか!!
だって、他には脇目も降らず自分だけを見てるんだよ!?
可愛いじゃないのぉぉぉぉおおおおっ!!!
過去の反省が大いにあるから、控えめというか、ネガティブというか
ネガティブなのに~な受の発言もこれまた可愛かった。

おすすめはやっぱり
攻の後ろを追いかける受。の後ろを追いかけるクロネコ
のエピソード。
「甘えます」のセリフ。
とにかく可愛い。
めいっぱい愛されて、めいっぱい幸せになって欲しい。

5

幸せを願う

夜明けには~のスピンオフ、子供の頃虐待を受け愛し方を知らず恋人にも暴力を振るっていた加瀬の話です。
恋人の幸せを願って身をひいた加瀬は、ハローワークに通う途中のパン屋の従業員、阿木にスカウトされバイトをすることになります。
アンプチニで働く阿木、知世、知世の息子の里央。
そこに時々顔を出す武藤。
それぞれが持つ複雑な過去がせつない。
手を伸ばしても触り方をしらず相手に傷を負わせてしまう野良猫のような加瀬。
過去の贖罪にとらわれ身のうちに他人を住まわせない阿木。
最後にふたりで猫に餌をあげるシーンがとても印象的でした。

4

雁字搦めの心をそっとひも解いてくれる

前作の「夜明けには優しいキスを」読んでから手にするつもりだったんですがどうも在庫がどこにもないみたいで我慢できず手に取りました。前作読んでなくてほとんど問題ないです。おおまかな加瀬の過去の事情も説明があるので。

自身がDVによって大切な人を傷つけた過去を持つ加瀬(受)。そのせいで大切な人を失い自分自身もトラウマを持つことになる。想い人を失うと同時にリストラされたため就活中なわけですが前向きな姿勢をもてないでいる。そんななか通りかかったパン屋さん。立ち止まっていた時に声をかけたのが阿木(攻)であった。半ば強制的に働かされることになった加瀬ですが阿木を含め、そこで働く女性とその子とともに同じ時間を過ごす中で人の優しさに触れ、仕事に対しても精を出すようになってくる。

しかしながら、その優しさの中で過去のトラウマから素直に受け取れなかったり、阿木とそこで働く女性、その子が傍から見れば家族同然のなかに自分みたいなのが居ていいのかと不安になったりする加瀬の姿に何度も胸を締め付けられました。そして、「欲しいものを欲しい」と言わないで我慢してる姿は堪らなく愛おしく思ったりもして…。
そん続きな加瀬に性懲りもなくかまって、明るい方向へ導いてくれる阿木は実はこちらも過去にトラウマを抱えているんですがだからこそ加瀬の心を汲み取ってあげられるのかなとも思いました。包容力あって余計なことは言わない攻ってやっぱり素敵ですね。大好きです。

不器用で過去のトラウマが一歩を妨げてしまって、欲しいものを欲しいといえない、でもその気持ちが溢れだしたらどうすることもできない加瀬が最後の最後まで愛おしかったです。そんな雁字搦めの心を少しずつひも解いてくれる阿木、そして彼を取り巻く環境がとても温かく思えました。人間皆どこかに闇を抱えながらもそれでも明るく生きていかなければならないし、それが可能である。不完全だからこそ支え合っていけるんですよね。ぜひとも幸せになってほしいです。

7

欲しかったもの。

何度も読み返したくなる本。
スピンオフだそうですが、受けがひどい男だったという前作を読んでないので、加瀬がひたすらかわいそうでいじらしくて頭なでたくなった。
我慢とも諦めとも言えるような孤独を抱えてて、でもそれを同情してって振りかざしたりしないし、ときどき方向を間違うその健気さが・・・っ。

暗めの作品なのかもしれないですが、加瀬が前向きになろうとしているし(一般的なポジティブとはちょっと違うかもしれないけど)、周りの人がとても温かいので、陰鬱とした雰囲気はないです。

この二人は結婚して家族になって欲しい。

4

続けて三回読みました!

とにかく暗~い主人公。
途中でなんとも恐ろしい夢まで見ちゃいますし。
なのに、読み進めば進むほど、とにかく愛しいのなんの。

後から前作の「夜明けには優しいキスを」を読みました。
すると、あっ!と思うエピソードというか、二作の繋がりが…!
思わず二回も読み返し、短期間で三回読んでいました。

大人でお茶目な相手の男といい、働く店の親子といい、野良猫ちゃんといい、元彼とのエピソードといい…。
すべてがきちんと役目があって、きちんと繋がっている。
凪良先生はやっぱりすごいなぁ~、と思います。

そして挿絵の葛西リカコ先生、前作の高階佑先生、大好きです♪

5

ほろ苦い甘さの作品

スピンオフですが、前作は未読です。
世界と自分との隔絶は、誰でも多少感じたことがあるだろうと思います。そんな気持ちを常に重く抱えた主人公が、たった一つあたたかい居場所を探し求める物語です。
受けである主人公の気持ちが丁寧に繊細に描写されており、ヤクザが登場する作品に多い鋭い雰囲気はありません。読んだ後、自分も誰かに優しくしたくなるような、そんなあたたかみのある作品だと思います。表紙や挿絵も内容にマッチしているので、ぜひ電子書籍でなく紙媒体で読んでいただきたいです。
BL的な熱い萌えは少ないですが、野良猫のような受けを愛でる魅力を味わってみて下さい。

4

前作、覚えてなかった

前作というか、スピン元というか、「夜明けには~」の内容はほとんど忘却の彼方だったんですが、全く問題ない。
この1冊だけでも、十分。
「夜明けには~」の感想を見返すと、加瀬を何とかして欲しい、加瀬の続きが読みたいって。
すっかり忘れていたけれど、待望の1冊だった訳で、
加瀬の物語は、とても幸せな結末を迎えて、
作者様に感謝です。

この本、他の方も言っていたけど、葛西さんのイラストがすごくいい。
甘さと、エロを排した、陰りある絵。
シャツを膝に抱える加瀬、
加瀬の肩の上で歯を剥く猫。
加瀬と猫と阿木以外はまったく描かれていないことも。
皆さん、軒並み「神」評価なんで、私も一緒になって「神」じゃなくてもって、天の邪鬼な心が一瞬頭を擡げたけど、葛西さんのイラストに萌+で、やっぱり「神」

8

表紙

暗いです。重いです。

でもなぜかほっこりしますね。

印象に残ってるのは4人で海に行ったとき阿木が砂浜掘って足埋めながらのぬくいぬくい(笑)
それを真似した加瀬(笑)
なんだかダラ~とした絵が浮かびました。
そういう感じなのが結構あってなのか確かに暗いし重いんですが真っ暗な感じはしませんでした。
本当表紙のイラストのグレーみたいなお話しちょっと明るいんですね。

本編では阿木がいつから加瀬のこと好きになってたのかがよく分からなかったのですがその後のお話し阿木視点で謎が解けました。

スピンオフの作品ですが前作は読んでなくても楽しめました。

4

スピンオフ

スピンオフらしいのですが、そちらは読んだことない私でもとても楽しめましたw お気に入りの作品で、何度も読み返しました(*´∇`*) 読んでいて、加瀬の人と関わる怖さからくる猫のような性格とかそれがどんどん変化していくのが心をほっこりさせてくれますw

3

本当は寂しがりやな野良猫

「三つ子の魂百まで」と言いますが。
人格が形成される頃に刷り込まれたトラウマが、その後どれ程大きく影響するか・・・
加瀬を見ていると、痛いほど思い知らされます。
前作の「夜明けには~」で、恋人の要に対してかなり酷いDVをしていた加瀬ですが、
その時から加害者であるにもかかわらず被害者の要と同じほど痛々しかったです。

そして今作は、その加瀬目線のお話。
本当は誰よりも愛情と人の温もりに飢えているのに、
そのあまりにも不器用は姿に、読んでいる間中涙腺が弛みっぱなしになりました。

加瀬が求めているものは、何も特別なものではありません。
ただいまと言えばお帰りと返してくれる笑顔だとか。
髪や頬にふれてくれる温かい手だとか。
自分だけのあたたかなもの、あたたかな場所・・・
普通の人が、皆が、ごく自然に当り前に持っているそんなささやかな物なんです。

だけど、幼いころに事故で両親を亡くし、叔父宅で虐待を受け続けていた加瀬は、
まるで痛められ続けた野良猫のよう。
いつもお腹を空かしていて食べ物探しているくせに、与えられると爪を出して威嚇する。
差し出される手続きを、本当は何よりも求めているのに。

自分が求めている自身の姿と、現実の自分とのギャップに
必死でもがいて傷ついている加瀬が、
なんかもう、痛くて可哀そうで、何度も泣きました。
要にもらった黄色のシャツに執着する姿が、余りにも哀れでした。

そんな加瀬が阿木と出会ったことで少しずつ心を開いていきます。
そしてある日突然、阿木に恋をしていることを自覚をしますが、
欲しがり過ぎて加減が出来ない自分を自覚している加瀬は、
阿木との距離の取り方が分からず、くっついたり離れたいしながら悩み続けます。

ところで、話の中に出てくる黒猫、まるで加瀬そのものです。
だから加瀬も放っておけなかったんでしょうか。
阿木と加瀬がじゃれあっていると、あてつけのように阿木の横に粗相をする猫が、
まるでヤキモチを焼いているようで可愛かったです。


最後はハッピーエンドで本当に良かった。
この本は、私は連続で3度も読み返してしまいました(笑)
加瀬の体に残る虐待の後や心の傷は、これからも消える事は無いでしょうが、
これからはそれも含めて阿木が大きく包み込んでくれるのでしょうね。
心に染みるお話に出会えて良かったです。

5

寝かせて寝かせて

きっと心にくる物語だと思っていたので、
読むタイミングを図り、やっと読むことができました。

シリアスな作品を描きたい方は多くいらっしゃると思うのですが、
本当に力がある、人気がある作家さんしかこういうものを
書かせてくれないんだろうな~と感じているので、
とても貴重な作家さんですね。

凪良さんの良いところは、シリアスなのですが、
どこか温かさを感じさせてくれるところです。
シリアス、痛いだけの作品には全く惹かれないのですが、
凪良さん作品には惹かれてしまいます。
今回の受である加瀬のような、過去のトラウマが大きすぎる人物の物語は
読まないですが、凪良ならと思い読むことができました。

舞台となるパン屋さんの名前が良いなと思いました。
きっと、なんかキーとなるネーミングなのだろうなとは思って読んでいましたが、
フランス語であったため、
全く見当つかないまま読めたのが嬉しかったです。

また、今回のイラストの葛西さん。
正直言って、今まであまり好きな作家さんではなかったのですが、
この作品には、とても合っていて、素敵でした。

6

心にぽつと残る作品

『夜明けには優しいキスを』のスピンオフなのですね。
↑この作品、大好きな高階さんのイラストなので読みたいんだけど、重くて辛いと聞いているもんでなかなか手が出ず。
しかもそこでかなり酷い男が今回の主役らしいとは知っていたので、大丈夫かなとおっかなびっくり読みました。
予想よりも酷くない男でよかったよ加瀬くん。それよりも生い立ちが気の毒で。こんな子供時代を送っていたら、そりゃ酷い男に成長しててもおかしくないなと思えるほど悲惨です。
元ヤクザのパン屋の阿木の子供時代の話でも『永遠の仔』を思い出してしまいましたが、この人はトラウマはなかったのか、それとも大事な友を失ったことでまっとうな道を進んでるからか、懐の広い大人の男です。
加瀬が、そんな阿木と出会えてほんとよかったと思うばかり。
お話は加瀬視点なのでかなり重苦しいのですが、加瀬の周囲の人たちの明るさに救われます。それぞれ皆ヘビィなものを抱えているのに。
こんな人達に囲まれてるんだから、心を開いて打ち解ければいいものを、警戒心丸出しの野良猫だもんだからいつも毛を逆立てて威嚇してる加瀬。
そういうコを徐々に手懐ける醍醐味を知っ続きている阿木。
その辺、最後に阿木視点のお話が用意されていて楽しめました。
愛を注いてあげれば、野良猫の顔つきもどんどん可愛くなるものですよ。今まさにベランダで餌付けてるので、妙に阿木に共感したりで(笑)

色調を落とした葛西さんの繊細なこの表紙!まさにこのお話の色合いにぴったり。
理央君や武藤さんのイラストも見てみたかったので、イラストのパターンが少ないと感じましたが、それでもイメージ通りの二人に萌え転がりました。
ほっこりあたたかい読後感のあるこの一冊。凪良さんの作品の中で上位に食い込みました。

4

本棚に残します。

捨てないで本棚に残す本になりそうなので、神評価にしました。
凪良ゆうさんの作品のなかでもっと優れている本は他にあるのかもしれないですが、自分にはこの本が、凪良作品のなかで一番再読率が高いだろうと思えるのです。すでに2回読んでるし。

カバーイラストの、グレーやセピアトーンの色合いが、せつなくしっとりとしたこのお話にあっていると思います。口絵もエロい場面でなく、腕枕で身を寄せ合う阿木と加瀬(と、猫)のシーン、というのがこの物語を象徴しているようです。レーターさん、GJ。

『夜明けには優しいキスを』で主人公を殴ってたDV男、加瀬(身長180センチオーバーの目つきの悪い受け…)が、同じように心に疵をおった、しかしこちらは幼い頃の辛さを笑ってしまえてる男、元ヤクザの阿木と出会い、やっと愛を得る物語。(あ、でもわたしは加瀬のエピソードをぜんぜん覚えていませんでした~)。
 人との距離がとれない加瀬にすぐに共感でき、お話にはいりこめました。暗い性格のわたしにはぴったり(←自虐)。
加瀬がTVドラマを、人付き合いを学ぼうとマジメに見てるのが滑稽で、子供みたいで、哀しい。
餌が、ぬく続きもり欲しいのに、威嚇する猫を加瀬とダブらせてあります----ありがち…なのに陳腐と感じなかったのは腕だろうか。
阿木と出会えてよかったね、と素直に思えました。
子供もかわいかった。いじめられてるのにすごく素直。子供にたいしてもどう態度をとっていいかわからない加瀬が、動物園で肩車をしてやる場面はほっこりしました。

雨の日やなんかに気分が落ち込んでるようなとき、ひもとけばゆったりした気持ちになれそうです。
 補足:後日、元気な日に読もうとしたら、加瀬の暗さをややウザく感じました…;

8

欲しいものが手に入らないもどかしさが切ない

「夜明けには優しいキスを」のスピンオフで、病んでるDV男だったトラウマ持ちの
加瀬弘明が主人公の切なくて苦しいけれど、ラストは心がほっこりする作品です。
本当にこの作家さんは甘さのある切ない系を書かせたらぴか一さんだなと毎回思わせる。
前作でDV男だった加瀬は、典型的な心的外傷で、更に優しくしたい相手に解っていても
自分ではどうしようもない程の破壊衝動まで起こしてしまう心に闇を抱えてる。
前作では攻め様だった加藤ですが、今回は元ヤクザのパン屋さんに抱かれる側で登場。
その意外性も、今回の作品ではぴったりしていて、とても良かったですね。

不愛想で眼つきも悪くて、一見するとチンピラに見えるような受け様で、リストラされ
就活しているつなぎに、半分強制的な感じでパン屋の店主に丸め込まれるように
バイトを始める事になり、満足な会話も出来ない受け様が攻め様や店で共に働いている
女性とその子供との交流の中で、心の底から欲しいと思う相手を見つけ、
更にその相手の守るべき存在に嫉妬し、切なくて苦しい恋心や自分の心の中に巣食う
残忍な願望に嫌悪や恐怖を抱きながら苦しんでいる受け続き様の姿は苦しくて寂しくて
知らないうちに手を伸ばしたくなる雰囲気がありました。

そんな野生の野良猫みたいな受け様に手を差し伸べる攻め様もまた、心に傷を持ってる。
その後悔と贖罪の意味から一緒に店で働く女性と子供を守る事を誓っていて、
受け様に思いを告げられ、必死な感じで傍にいたいと言われても、恋愛的な意味で
応える事が出来ないとしながらも、受け様の側にいたいと言う願いは聞き入れる。
攻め様は自分の寂しさに気が付かないタイプでしたね。
受け様の執着じみた態度を見ていると、飼い主の後を着いて回りながらも、
しつこくして嫌われたらなんて怖さと戸惑いが見えて、誰かに構って欲しくて甘えたくて
でもそれが叶わない過去の受け様を感じて苦しくなるのです。
自分の異常性に怯え、欲しいものは手に入らないと諦めながらも必死で縋りつく、
そんな受け様が攻め様と出会えた事で、少しずつ心の平穏が訪れる。
シリアスだし、切なくて苦しいし、痛みも感じるけれど、いわゆる普通の幸せって
実は手に入れるのが本当は難しいことなんじゃないのかって思えるのです。
受け様の対比対象に出てくる野良猫や、無邪気な子供が重くなりがちな空気を
軽くしながら、読み終えるとほのぼのとした温かい余韻も感じる作品になっています。

11

野良猫の加瀬くん

9年に花丸Blackから出ていた『夜明けには優しいキスを』で主人公に執着していたDV男:加瀬の話がとうとう出ました!
レーベルも違うし、レーターさんも違う、あらすじにもDVの文字がなくわからなかったのですが、読み始めた初っ端冒頭の過去を悔いるDVの描写に・・・すっかり名前を忘れていた加瀬だと!!
前作でも、加瀬の過去はかなり彼の人格形成に影響を与えており、結局振られたのですが、一体どうやって彼は自分の求めているものを手に入れるのか、非常に気になっていましたので、1P毎食い入るように読んでしまいました。
すっかり自分的に加瀬に入れ込んでますから、加瀬の心が自分と同化してしまい、
ボチャンと池に投げられた石が水面をさざ波立たせて、それが中々ひかないように、自分の心をざわめかせます。
彼の性格だから仕方ないとはいえ、本当に彼の不器用さ、ゼロか100かしかない選択の生き方が苦しくて切なくて、泣きたくなる気持ちでいっぱい。
加瀬サイドにたち続けてしまうと、かなり重苦しいのですが、
実は彼を取り巻く周囲の人々は、色々抱えながらも明るいです。
だからそれが救いなのでありますが、それに続き中々打ち解けられない加瀬がまたもどかしくて不憫だったりして、
時として苛立つこともありましたが、彼は寡黙ですから・・・
こうして読み終わって、まだこれは彼が変わる階段を、元カレと別れたときにやっと1歩、そして今回でまた1歩上がって、扉を開くところまできたのだと思います。
これから先の加瀬に、もっと開けた明るい未来があるのだと、将来の幸せを更に祈りたい気持ちになりました。

会社をリストラされた加瀬はハローワークに通っているのだが、その帰り道にあるパン屋のバイト募集の張り紙がふと目に入る。
そこの店主・阿木に手招きされ、何も言っていないのに、勝手に採用にされて翌日から通うことになるのです。
そこのパン屋ではブーランシェ(パン職人)として女性の知世、その子供で小学一年生の理央が店の2階に住み、オーナーである阿木はイートインと奥向の雑用という役割で周りている店でした。
そこのまかないを任されたときに判明した加瀬の味覚障害。
人付き合いのうまくできない加瀬ですが、阿木始め知世や理央たちは彼を受け入れてくれている。
理央を動物園へ連れて行った日の夜、アパートが火事で住むところがなくなった加瀬は阿木の元へ居候することに。
何気ない、阿木の優しさや諸々に加瀬は阿木が好きなことに気がつくのだが、阿木はもう色恋はしないと決めていると、恋愛は拒否されてしまう。
ただ阿木の側にいたい一心で何も求めないと思いつつ、色々を期待する加瀬をあやすように阿木は接してくれるのだが・・・

加瀬の心の描写が手に取るように逐一伝わってきます!
欲しいものを欲しいのに、それをうまくつたえられなくて、諦めてしまう。
野良猫の描写があるのですが、まさに野良猫なんです!
自分が傷つくのが怖くて怖くて、本当は甘えたいのに虚勢を張って相手を傷つけてしまう。それが怖いから何も言えない。どういっていいのかわからない。
それはわりと最後までそうなのですが、それを受け止めるだけの度量が阿木にあるというところが重要ポイントですね。
加瀬を昔の知ってるある人に似ている、きっかけはそれだったかもしれないけれど、それがあったからなんとかしてやりたいとも思うし扱い方も知っている。
彼の性格設定は、加瀬の為にあるといっても過言でもないでしょうwww

動物園の肩車のシーン、猫がいじめられていてそれを守ろうとした理央がまたいじめられているときのシーン。海で理央が人にぶつかるシーン。
普通だったら、一言何か言えたらもっと何かかわるかもしれないその肝心な場面で、彼は言葉が発せなくなってしまう。
そんな場面にやきもきしながら、それだけ加瀬の傷の深さをまざまざと見せられた感じがして辛くなってしまいました。
あまりに一生懸命一途に愛を求めるので、自虐ではないかと、悲しくなってしまいます。

でも、阿木だから安心して任せていいと思います。

きっとまたこの暗くて思い凪良作品は、評価が別れるのかもしれませんが、それでも加瀬が救われたこと、彼がそれなりに人らしい道を歩み始めたことがとても嬉しく思える話でした。

15

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