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表題作黄色い風

大学病院に勤める医師・青柳俊介(28)
商社マン・藤井環(26)

あらすじ

青柳俊介と藤井環が出会ってから16年が経つ。
それは俊介が環を想い続けた年月でもあった。
俊介は現在28歳、大学病院に勤める医師だ。
幼い頃は女の子と間違われた環も26歳の商社マンになっていた。
しかし環の蜂蜜色の髪と白磁の皮膚は変わらなかったし、人を信じない屈折した性格も昔のままだった。
残酷な環は俊介の気持ちを知りながら婚約したことを告げるが、直後に彼は事故によって8歳から先の記憶を失い、俊介のことも知らない子供になってしまった。
―せつない想いが交差するドラマチック・ラブロマンス。

作品情報

作品名
黄色い風
著者
海賀卓子 
イラスト
本間アキラ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルス
発売日
ISBN
9784883024490
4.1

(8)

(4)

萌々

(1)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
33
評価数
8
平均
4.1 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

ホントの気持ちはどこにある?

以前から読んでみたくて永らく探していた本をようやくGETしました!

大学病院医師・青柳俊介(28)×商社マン・藤井環(26)

出会ってからもう16年の付き合いになる俊介と環。
ことあるごとに理不尽なことを言ったり我儘を言ったりしてきた環。
そんな環は俊介の気持ちを知りながら結婚することを告げる。
しかし、その直後、環は事故に遭い8歳以降の記憶を失くしてしまい…。

気持ちが噛み合わない長い長い恋の物語です。
環のことを出会った頃からずっと好きでありながら、何度尋ねられてもその気持ちを告げられなかった俊介。
都合良く使われても振られて離れてしまうよりも、友人としてでもいつまでも隣にいられるように。
拒絶されることに臆病になっていた部分も多いにあるのだとは思うのだけれど。
環の気持ちが見えなくて、嫌われていると思っていたせいもあるけれど。
それでも捨てられない恋心を持ち続けて。
自分の恋が実らなくても環の幸せを願い続けて。
そんなふうに想われ続けてきた環。
環にとっても実は俊介は出会った頃から特別な存在ではあったけれど、環の生まれ育った環境が恋や愛に殉じることをヨシとできなくて。
信じることができなくて。
信じきることがこわくて。
屈折してしまった環だったけれど、8歳の環は実に素直で。
愛らしい可愛い子供で。
素直に欲しいものを欲しいと言える。
8歳からまた元の環に戻るのだが。
ここで微妙に2人の力関係(?)が変わる。
記憶喪失時の記憶のない環はその俊介の変化に違和感を覚えたり。
徐々に自分の気持ちと向き合っていくことになる環だけれど、自分の目的とかを考えて諦めようとするところがせつない。
気持ちが見えてくるとどんどん幼くなっていく印象の環。
それでも最後まで素直ではなくて。
それとも俊介からの言葉を待ってたのかな。
本当は中学生のあの時点で、俊介がアクションを起こしていたら事はもっと簡単に進んでいたのかもしれない。
環が不安に捕らわれて信じられなくなることもなかったのかもしれない。
けれど、遠回りをしてきた2人だからこそきっとこれからは更に強い絆で結ばれていくのだろう。
なんだかんだでやっぱりこの方の書かれる受は最終的にかわいいのだと思う。
あと、俊介がいろんな場面で環に嘘をつかれて凹むシーンもせつなくて好き。

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