• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作竜王は花嫁の虜

ヴァルトス,パラディソスに住む竜族の王
各務蒼,絶望に打ちのめされていた人間,22歳

あらすじ

いいからもっと、飲ませろ

どこか遠くへ行きたいな――。

オープンカフェでぼんやりしていると望みに応えるかのように風変わりな男が現れ、気が付くと蒼は物語の中でしか見た事のない異世界に来ていた。空に浮かぶ島に、飛び交う竜たち。混乱する中闇色の獣に襲われた蒼は、この世のものとも思えない美貌の男に助けられる。その上、長身で美形ばかりの異世界の男たちに次々と愛を囁かれて……!?

作品情報

作品名
竜王は花嫁の虜
著者
成瀬かの 
イラスト
宮城とおこ 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
ISBN
9784775519448
3.4

(43)

(7)

萌々

(18)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
8
得点
140
評価数
43
平均
3.4 / 5
神率
16.3%

レビュー投稿数8

びっくりするほど何もしていない主人公

成瀬かのさんの作品を読むのは数作目ですが、たまに「この作品の萌えのピークはどこだったのだろう…」と思ってモヤモヤする作品に出会います。大雑把にBL作品のテンプレとしてはクライマックスのセックスシーンがそれに当たるとして、それとは別に(そのシーンに繋がるための)精神的な恋愛の盛り上がりがある作品が個人的には感情移入しやすく萌えやすいのですが、この作品では大したロジックもなく主人公(受)が攻に対して「ああ、なんてカッコ良い人なんだろう…こんな人が恋人ならいいのに(うっとり)」とか言っている間に肉体関係に発展して、なし崩し的に番になる。というよく分からない感じでした。

さて、今作は異世界ファンタジーです。ゲイであることが片想いしていた親友にバレて酷い言葉で絶交され途方に暮れていた蒼は、不思議な男・ディーに導かれて竜達の住む異世界「パラディソス」へと飛ばされてしまいます。そこで出会ったのは竜の王であるヴァルトス。ディーは千年もの長い眠りに就いていたヴァルトスの目を覚まそうと、彼の好みのタイプである蒼にちょっとした仕掛けを施してパラディソスへ送り込んだのでした。蒼の強烈なフェロモンが原因で魔族の襲撃を受けるパラディソスと、魔族を退けようと奮闘する竜達を見て、蒼は元の世界へ戻るべきか否かを悩むのですが――…というお話です。

異世界ファンタジーのわりにとても狭い世界で展開する物語だったのも気になるし、蒼の(フェロモン以外の)魅力もヴァルトスの(外見以外の)魅力もイマイチ分からず、子竜とヴァルトスの精神の繋がり(?)も納得できず…。そもそも蒼は元の世界へ戻ることを悩むほどパラディソスに馴染んでいないというか、元の世界でもパラディソスでもウジウジしてばっかりで、短期的に庇護されているだけの存在でしかないように感じました。外見がカッコ良いから、孤独で可哀想な人だから、という理由だけでヴァルトスとの人生を選択して大丈夫でしょうか。

好みの問題ですよ、好みの問題なんですが…尻尾プレイは正直ちっとも萌えませんでした…。

4

案外ヘタレの竜王様

どこか遠くへ行きたいな──。
疲れてしまった蒼は、ふとそんなことを思う。
すると目の前に突然男が現れて、変な薬を飲ませて来た!
気がつくと蒼は物語の中でしか見たことのない世界を急降下中。
そこににわかに信じられないものが近づいてくる。
なんとそれは竜で、しかも次々と自分を狙って飛び交ってくる始末。
竜の群れから自分を助けてくれたのは猫ほどの小竜。
混乱する蒼に次に襲いかかってきたのは熊に似た大きな獣。
次こそダメだ、そう思った蒼を助けたのは、純白の髪をなびかせた、紅い瞳をした美貌の男。
蒼がやってきた世界は、竜の棲む島、パラディソス。
長身で美形ばかりの異世界だった───。

美形にくどかれまくる。なんてオイシイ世界なんでしょう。
自虐的というか、不憫というか、自分に自信ナシナシの蒼。
健気にも自分を助けてくれたヴァルトスに一途に好意を寄せるも、ヴァルトスはつれない態度。
けれど遊びなのか手は出され、それも自分から香る発情に似た匂いのせいだと自分を律する。

ゲイだと知られ、家族にも、そして秘めた思いを寄せていた親友にも見放され遮断された蒼。
ゲイなんて…男を好きになるなんて汚らわしいと責められ自分がひどく悪いことをしている気がして。
遠くへ『行きたい』ではなく、『此処から消えてしまいたい』。
本心ではそう思っていた。
自分なんか、いないほうがいい、と。

そんなことがあったからか、蒼は自分の思いは決して叶わないと諦めようとしてしまいます。
ヴァルトス様、もうちょっと柔和な態度をとってあげて…っつかもう理性なんて取っ払ってモノにしちゃえよ!と叫びそうでした。
突き放すくせに、独占欲は表して。
そんなヴァルトスの態度に、蒼はますます自虐的になっていきます。

蒼の考えは竜たちに筒抜け。
思考を常に読まれているわけで、過去どんな仕打ちを受けたのか、そしてヴァルトスへの恋慕もみぃんな知ってるわけです。
とんだ辱めよねー。笑

理性を総動員して蒼を突っぱねていたヴァルトスですが、結局最初から蒼に落ちていたんですよね。
捨てずに持っていた花が証拠。

蒼の自信のなさには多少呆れるかもしれませんが、でも仕方ないと思うの。
ヴァルトスの態度が煮え切らないから悩むんです!
ヴァルトスは蒼の思考を筒抜け状態で知れるからいいけど、蒼はなーんにも分からないんだから。
フェアじゃない!
これからはちゃんと言葉で態度で伝えてあげてくださいね。


じれじれ、すれ違い、執着、健気、嫉妬。
プチハーレム、愛され受、不憫受、攻め最強、人外ファンタジー。
そんなお話が好きなかたは読んでみてください。

0

悲劇の主人公はもういいです

評価がとても高いので私の読み取り方が悪いのかもしれませんが、こんな感想もあるということで一つよろしくお願いします。。

主人公=蒼はゲイであることを家族に知られ受け入れてもらえなかったこと、片思いしていた親友に辛辣な言葉を投げられたことでトラウマを持っています。
そんな現実から逃げたい思いもあって、異世界へと(勝手に)連れてこられ、あやうく死にかけたところを攻めであるヴァルトスに助けられます。

異世界には竜力という不思議パワーで浮く島があり、そこで蒼は竜人(竜にも人にもなれる)の一族に迎えられ過ごすうちに、ヴァルトスへの思いを募らせていく……というのが大雑把なストーリーです。

竜人はテレパシーで皆会話しており、蒼は発話して意思疎通できるものの周囲にはサトラレ状態(本人自覚なし)。
勝手に連れてこられ死にかけてサトラレ状態という現状には、同情するものの……主人公のネガティブさに終始、辟易してしまいました。
「自分なんて」が合言葉の蒼ですが、サトラレによって過去のトラウマが周囲に筒抜け。周りがよってたかって可哀そう可哀そう……挙句大半には困難から逃げ回る主人公が可愛く見えるそうな。そんな馬鹿な。

自身のなさから自己否定へと走りがちな蒼は、たいてい元気ないです。トラウマを思い出しては暗くなってる感じ。
そんな蒼が、異世界へと強引に連れてきた人物に文句を言う時は威勢がいい。ここらへんがキャラブレしている感じがして受け付けませんでした。いや、死にかけたんだし責めていいんですけどね……人を責めるときだけ元気になる主人公が私にはダメでした。

また、ヴァルトスへの恋心の描写もちょっとなぁ……と。
命を助けられたわけですし、また、好きになる理由が十分あるのは分かります。
ただ、終盤のヴァルトスは竜王で強くてかっこいい、好きみたいな地の文(大体こんな意味の文だった)。他に言う事ないの?と思いました。表面上の攻めの良さを好きの理由に並べないで欲しかったです。

とかく私は主人公が受け入れられませんでした。マイノリティが受け入れられる方が珍しいのに……君だけじゃないぞという思いもあったかもしれません。
後は子竜が挿入役をやっていたのが、人を選ぶかなとは少し感じました。
世界観はとても好みでした。挿絵も雰囲気に合っていたと思います。

7

きっかけに囚われて

今回は天空に浮かぶ竜の島を統べるべき竜の長と
人間界から竜の住む世界にトリップした会社員のお話です。

それぞれが抱えていた傷を
お互いとの出会いによって払拭するまで。

受様は同性しか好きになれないゲイです。

受様自身はゲイである事を悪いと思いませんが
両親や妹には気持ち悪がられ
好きだった親友にも背を向けられてしまいます。

傷ついた受様は
会社帰りに入ったカフェバーでも
どこか遠くに行ってしまいたいと考えてしまいます。

するとそんな受様の思考を読んだかのように
不可思議な初老の外国人が声をかけてきます。

お伽話の様な世界に連れて行ってやる。
こいつを呑め。

男は話しかけながらも受様の返事を待つ事なく
受様に口を強引に開けさせて
魚の卵の様な不気味なモノを放りこみます!!

強引に嚥下させられた受様は
吐き出そうとしますが上手くいきません。

更に受様がよろめいた瞬間、
受様の立っていたカフェの床が消え…
受様は異世界の空中に転移してしまいます。

男の言う「お伽噺の様な世界」とは
人型に変われる竜達が生きる世界だったのです♪

空を落下していた受様は
左足の不自由な小竜に助けられて何を逃れますが
降りた地で熊に似た大型獣に襲われてしまいます!!

受様は子供の小竜だけでも逃がそうと
獣を自分に引きつけますが
受様の思いを読んだかのように
小竜の瞳が変化し…

凄まじい咆哮とともに世界が震え
純白の髪の美丈夫が現れ
一撃で獣を屠ってしまいます。

この美丈夫こそ今回の攻様です♪

攻様はこの世界で最強の竜の長ですが
千年前から深い眠りについていました。

しかし受様を見出した小竜は
攻様と意思が繋がっていた為
強引に目覚めさせられたのでした(笑)

小竜に懐かれた受様は
竜の一族の元で暮らしながら
元の世界へ変える方法を探す事になります。

果たして受様は
元の世界に戻ることができるのか?!

異世界トリップモノで人外モノで花嫁モノと
ファンタジー要素山盛りな一作です♪

受様は自分の性癖を受入れていますが
異物扱いする身内や親友の言動に
深く傷ついていました。

また竜の長である攻様も自身が関わった事で
ある竜の命を曲げてしまった事を悔み
長い眠りについていました。

異種である事も同性である事も
竜にとっては無問題♪

受様を竜の世界に誘った男は
攻様の眠りを破る為に
攻様好みの見目を持つ受様に近付いたので

受様を異界に攫う際に
雄の気を惹く香りを発散させるブツを飲ませ
攻様の気を惹く存在に仕立てあげていたのです♪

男の思惑通り
攻様は受様に惹かれて目覚めますが
異界から来た人間を
自らの伴侶にする事を良しとしません(笑)

しかし
受様の香りに惹かれた雄達は
受様に積極的にアプローチしていると
イラっとしてしまうのですよ。

しかも
自分に自信のない受様は
攻様に好かれている自身がなくて

一線を越さないまでも絡みシーンが多いのに
なかなか2人の距離は近付きません。

2人が伴侶になるまで
小竜や花贈りが思わせぶりな鍵なっていて
ドキドキ&ワクワク楽しく読めました♪

受様がグルグル系なのですが
竜力をもつ周りの竜にはバレバレなので
空回りしする様子さえ微笑ましいです(笑)

本作はコミコミ購入で
特典小冊子が付きました。
本編後の蜜月時期を描いたお話です。

今回は本作同様、
異世界にトリップする受様のお話で
chi-coさん『赤の王 青の王子~蒼の光~』はいかが?

1

異世界ファンタジー

全ての人生に疲れ、遠くに行きたい…いや消えてしまいたい、と思いながらカフェにいた受け様の前に1人の初老の男性が現れます。
無理やり薬を飲ませ、突如異世界の上空に放り出されます。
急降下しながら多数のドラゴンに狙われ奇跡的に直撃を免れても、今度は魔物に襲われます。
ジェットコースターのような展開に一気に話に引き込まれました。

異世界もの大好きです。
しかもドラゴン。
常に受け様の傍らにいる小龍の可愛らしさは他の動物に引けをとりません。

受け様が連れてこられたドラゴン(獣人)の世界は楽園でした。
ゲイであるため、社会から拒絶された孤独をまるごと受け入れてもらえます。
しかも初めに飲んだ薬には強烈にドラゴンを惹きつける匂いがあり、美形しかいないこの世界で受け様はモテモテです。

羨ましくなるくらい都合の良すぎる展開ではありますが問題も。
思念で意思の疎通をはかる竜達にとって、受け様はサトラレ状態でした。
思念が周囲にだだ漏れなのです。

つらい過去が受け様に強いコンプレックスを持たせ、自分を必要以上に卑下してぐるぐる思い悩みます。
普段この手のキャラは読んでてイラつくのですが、同時に攻め様を思う気持ちも攻め様にだだ漏れなので全く気になりませんでした。
むしろ、健気に攻め様を思う様や謙虚にふるまう行動にはいじらしさすら感じます。
もちろんそれは周囲の人達も同様で、受け様に対して優しく接します。

そして受け様を本能レベルで欲して堪らない攻め様ですが、最後までいたしてしまったり好意を伝えることで受け様が人間界に戻れなくなることを知っているため冷たいと思うような接し方をします。
それが受け様をぐるぐると悩ませてしまうのですが、我慢できずに攻め様は何度か手を出しちゃいます。しかも最後までできないために、受け様の中には分身である小竜の尻尾を使い器用に受け様を高めます。まるで3Pとも触手系とも言えちゃういやらしさがありました。
竜の唾液には媚薬のような霊力があるため初心者の受け様の悶え方も半端ないです。

迷いましたが、小竜の仕草や子竜のヒナのプロポーズの可愛さにも負けたので神にしちゃいました。

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP