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天然大雑把でワンコな太田と、イケメンでとらえどころがない大原。
大学の同級生同士で、身体の関係もある二人の、ルームシェア生活を描いた連作集。
とにかく大原がツンデレで可愛い!
たぶん、太田のことをセフレの同居人と思ってたんだろうけど、頭ではそう思っていても無意識に心が透けて見えているのがいい。
一方、恋人同士だと疑っていない太田はウザいヤツ(笑)だけど、大原にとっては裏表のない直球が効いたんだろうなぁ。
大原がどんどん太田にハマってく過程が、エピソードの積み重ねでわかるのがいい。
太田なしではいられない様子や、太田が愛しいからこそ何気ない一言が苦しい姿が、たまらなくいい。
最後の方で素直な大原も見れますが…やっぱり、太田に対してはツン、裏ではデレな大原が最高です!!
な、なんて可愛い二人なの!
どこにでもいそうな今時の大学生二人のルームシェアの話…というか、これしっかり同棲ですよね。違うの?
やることやってるけど友達なの?セフレとはまた違うの?
ちょっとその辺がよくわかんなかったんだけど、明るくてざっくりした性格のワンコな田中くんのことを、実はすごく好きなんだよねニャンコな大原くん。というのは、よーくわかりました。
この大原くんのツンデレ配分がほんとに絶妙なんです。
美人で感情があまり動かないように見えるけど、自分の服(下着まで)着て出かけた田中くんにときめいていたり、本人の留守中に田中くんの部屋に入って下の名前をひそりと呼んでいたり、自分の気が向いた時だけ甘える仕草をしてみたり、いやほんとに良いツンデレです。
田中くんの粗忽者ぶりは、サザエさんがデフォな私でさえ(だからこそか)かなりイラッとくるレベルだけど、そういうとこも許しちゃうほど愛してるのですね~。…長続きするかは疑問。
大原くんが前にルームシェアしていた相手も出てきますが、そこに愛はなく…じゃあ田中くんはどういう経緯で入り込んできたのか。
最初から互いの性指向を知っていてのシェアなのか?なんてことを知りたくなりました。
イシノさんの漫画は一コマ一コマがポストカードになってもいいぐらい。
どんな些細なコマも構図に手を抜いていない感じが伝わってきます。
男の子が美しいと思える上限な年齢の二人と、センスのよい小物や背景。
同じ大きさに揃えてトランプ作りたいぐらいです。
徹底的にフリーハンドなのもすごいなあ。
イシノさんの著作で一番好きな話です。
大きな事件もなく、淡々とした大学生二人の同棲…………もといルームシェア生活。
内容としては椿びよりが更にBLらしくなった感じですが、何でしょう。
読み終わったあとに、不安というか、切ないというかそういう感情が残るんです。
何となく、二人は大学終わったらそのまま別れてしまうような雰囲気があるからでしょうか。いや、結構仲良しなんですけど何故?
そういう事を匂わすエピソードは一切ないんですよ。
それなのに、不思議な一作です。
イシノ先生の作品は
話によってかなり好みが分かれるんですけど、この作品はすごくよかったです。
話自体はすごくあっさり淡々としていてサラサラと読めます。
前に読んだイシノ先生の作品は、
キャラの考えてることがよくわからないようなところがあったのですが、
「room share」は全然そんなこともなくて、
大原がすごく田中のことが好きなことが伝わってきて、面白かったです。
寂しがりやな大原すごく可愛かったです。
一話一話笑えるところや、キュンとくるポイントがあって、
最後まで読み応えがありました。
「不在と欠落と欠損」の大原個人的にすごく大好きでした。
友人でもない。恋人でもない。
だけど、相手のことが気になる。大好き。お気に入り。
そんな関係のふたりが主人公の緩い日常です。
ルームシェアならではの話。大学生ならではの話。
そういうのも混ぜながら、まったりとした空間が描かれています。
急展開が良い意味でないため、最初から最後まで安心して読めました。
緩い雰囲気がとても落ち着きます。
絵柄もこの物語にはぴったりじゃないかと……!
全体的に、私の心に安らぎを与えてくれる一冊でした。