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表題作やがて鐘が鳴る

義兄弟・遼
幼い頃いなくなった義弟・零

あらすじ

雑踏の中で、遼は一瞬、幼い頃いなくなった義弟・零の姿を見た。そして「月」という店でマスターのエースと暮らす零を探し出す。長男・湘吾のことは兄弟だと認めても、遼のことは頑に拒絶する零。想いを寄せる齢上の人、広顕との関係に揺れながらも、遼は零が気になり何度も「月」に通う。―何故自分には心を開いてくれないのか―。だがエースが倒れ、支えを失った零は、遼に身を委ねてきて…。書き下ろし長篇。

作品情報

作品名
やがて鐘が鳴る
著者
日夏塔子 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403520228
3.6

(3)

(1)

萌々

(0)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
11
評価数
3
平均
3.6 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数3

誰と誰がくっつくのか最後まで目が離せません!

日夏塔子名義で出版された榊花月先生の作品です。
読むのがもったいなくて、行間を味わい、文章をかみしめながらページをめくるという体験を、時たますることがありますが・・まさに、この作品!
ちょっとくどいほどの複雑な人間関係ですが、まあしかたありません。「零」と主人公「遼」が、兄弟のようで兄弟でないという微妙さが、最期まで必要だったのですから。
兄弟だからこその、こだわりやら、愛情やらの微妙なニュアンスで心が揺れている様は、じれったいですが、それもまた作品の味わいになっています。
誰と誰がくっつくか、本当に最期までやきもきさせられました。
遼の兄にいまだに心を傾けている友人の広顕(ひろあき)が、ついに遼に心を開くのだろうか?
それとも冷淡な長男が、遼の欲しい物を全部奪い取ってしまうのか?
弟零とは、分かり合えるのか?何が弟をそこまでかたくなにさせているのか??
はてなだらけだったいろんなピースが、納まる所に納まって・・
分厚さも気にならないほど楽しんで読んでしまいました。

2

ここまで先のまったく読めないBL小説を読んだのは久しぶりでした

うはー、面白かったー。
分厚い本でしたが、内容も密度が濃かった。
BLってある程度は先が読めるんですが、これはまったく先が読めなかったです。それが本当に楽しかった。
作者の日夏塔子さんは榊花月さんの別ペンネームですが、彼女の書かれる話は本当に好きです。
もっともっと人気が出てもいい作家さんじゃないかなァと思うんだけど、彼女の書かれる話はロマンチックさがあまり無いからなァ…攻めは俺様ばかりだし、浮気ものが多いしw私はそこが好きなんだけど。
榊さんは恋愛経験豊富な予感がする。キャラの行動が、そのみっともなさやら訳のわからなさまで含めてリアルで、地に足がついてるのだ。ダメ男を書くのも上手い。

複雑な家庭で育った三人の兄弟(血の繋がりが複雑なのです)と友人一人、その四人による四角関係の話…かな。恋愛面だけじゃなく、もつれた家族関係にも焦点が当てられてます。
セックスをゴールインにしてないのが良かった。大事な通過点ではあるけど、それだけじゃない。
一読では分かりにくいかもしれないけど、いちばん上の兄さんの心理の動きが好きだったな。『抱きしめたい』シリーズの彰を彷彿とさせるキャラ設定でした。
視点はずっと次男なんだけど、読み終えて改めて考えてみると、他の三人の視点からの話も分かる。それが分かると、やたらと切ない。みんながみんな、内心に屈託を抱え、満たされない思いを胸に秘めて生きてたんだなと。

0

成就のない熱

中立か萌か萌萌か迷いました。というか途中までは全く面白いと思えなくて(すみません)中立くらいの気分でした。

難しい本です。内容が難しいわけでなく、キャラが皆ひねくれていて内面を読み解くのが難しい。
しかも400ページ近い厚さがあります。一般書ならともかく、BLでこんなに分厚いのってあまりない気がします。
その分読みごたえは充分…なのですが、なぜか半分を過ぎても乗りきれませんでした。

というのも、カップリングが誰なのか全然わからないんです。普通の受け攻めがいて展開していくお話ではないんですね。
この人はこの人を好きだ、ていうのはあるのですがカップリングがどうなってるのかはほぼ最後まで分からず、恋愛ものを期待して読むと半分ヒューマンドラマのようなノリに肩透かしをくらうかもしれません。
読み物としては楽しめました。

登場人物は主人公・遼と弟・零に兄の湘吾、湘吾の親友広顕。
この関係が複雑で、三兄弟は互いに半分しか血のつながりはなく、広顕は湘吾が好きで、遼は広顕が好き。
零は10年間行方不明で湘吾は結婚しているけど今は離婚の危機にあります。

お話は、行方不明だった零の居場所がわかり久々に三兄弟揃うところから始まります。けれど19歳になっていた零はエースという中年男性に囲われていて、このエースが経営するお店で登場人物が集ってはお話したりこれからの話をしたり…
ですが、これがなかなか進展しないんですよね。このお話、どこに向かっていて一体何がしたいのかわからぬまま、急激に進展してお話のゴールがわかるのが300P超えたくらいでしょうか。ほぼ終わりのほうです。分厚いから気にならないけど、普通の本なら100超えたくらいで展望が見えてこないとあれ?てなると思う。

この三兄弟は非常に個性的です。なのでその分お話の淡々とした感じ、地味な平坦さが気になったかも。人間関係は複雑なのですが。

あともうちょっとで終わり、てところで、え、最後そうなるの?て感じでした。ネタバレなしで書きたいのですが、個人的には正直あまり、納得いかないです。
だって今までそんなそぶりもなかったこの人とくっつくの?という感じでした。

でも評価したいのは湘吾と、広顕の関係に胸を打たれたからです。
傲慢で俺様な湘吾がずっと好きで、彼が結婚しても黙って偲ぶ想いをかかえていた広顕。
けれど遼が広顕に近づき、同様した湘吾は、振り回されているのは広顕ではなく自分だったと遼に告白します。

兄弟のベッドシーン(未遂も含め)もありますので苦手な方はご注意。ほんとにこんがらがった兄弟でした…。
けど、兄弟萌えかというとまた違うタイプのお話かも。。こんな不思議な関係の兄弟もあるんだなあと思いました。

BLとしてオススメできるかは少し迷いますが、普段と違うものを読みたい方にはオススメです。

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