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表題作氷の軍神 ~マリッジブルー~

ザイドリッツ財団の次男 クラウス・29歳
結婚を控えた経産省中小企業庁職員 周防孝臣・29歳

その他の収録作品

  • あとがき
  • 褒美と罰

あらすじ

国交省のキャリアである孝臣はドイツへ視察に向かい、親日家のクラウスに迎えられる。彼の洗練された姿に魅了された孝臣は…。

著者:沙野風結子
イラスト:霧壬ゆうや

(出版社より)

作品情報

作品名
氷の軍神 ~マリッジブルー~
著者
沙野風結子 
イラスト
きりみゆうや 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344826946
2

(12)

(0)

萌々

(0)

(4)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
5
得点
17
評価数
12
平均
2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数5

受けと攻めの関係より攻め兄弟に萌えてしまった

ナチズムに傾倒する兄に支配されているドイツ人攻め×元スイマーの公務員受け。
経済産業省の中小企業庁に務める孝臣が、ザイドリッツ財閥の次男坊クラウスに熱意を買われ、ドイツに視察に行くところからお話はスタート。
クラウスは実業家で、「ドイツ中小企業の守護神」などと称されており、ひそかに孝臣の尊敬する人だった。
そんな男と直接会えた孝臣は、婚約者がいながらも徐々に彼に惹かれてしまう。クラウスも満更ではなく、孝臣の指から婚約指輪を外そうとしたり、一晩中ベッドでキスだけをしたりと、孝臣を翻弄する。
が、最終日の夜、孝臣はクルージングに出かけた際に気を失ってしまい、見知らぬ場所に拘束されてしまう。そこにいたのはナチス親衛隊の制服に身を包み、ハーケンクロイツの腕章をつけたクラウスだった…。

そこから攻めと攻めの兄による、監禁&陵辱&差別発言など、読んでてしんどい展開に。だけど受けの根底には、もともと攻めに対する尊敬や思慕の念があって、どんなにひどいことをされてもどこか憎みきれない。
ここまでは攻めの気持ちも不明なので、なかなか入り込めずにいたんだけど、兄とふたりで攻めが受けをマワす場面に、まさかの萌えが。
攻めの兄ヴィクトールは、かなり歪んだ優生思想の持ち主で、性的にもどこか歪んでいて。受けを犯す時にはゴムをつけるし、口に突っ込むときもゴム装着と、潔癖ぶりを発揮。今までも弟とセックスの相手は共有してるらしいのに、粘膜が触れ合うキスは弟としかしないっていう…!

ここで、なにそれめっちゃ滾る!と思ってしまい、いまいち受けと攻めのロマンスに感情移入できなくなった…。沙野先生の作品に出てくる兄弟って、いちいち濃い…。
でも、このお話自体、最後まで読むとそういやな話でもなくて、攻めは受けの肌や瞳の色などは結局は関係なく相手の内面に惹かれていて、それは受けも同じ。
クラウスも差別主義的な思想の持ち主なのかと思いきや、だんだん極右の兄とは違う考えを持っていて、自分の国をよりよくするために尽力しているというのがわかってくると、ふたりが結ばれるのには納得できる流れ。ラストの水中エッチもよかった(もしやこのためのスイマー設定なのか…)。
ただ、略奪愛になっちゃったので、婚約者の女性が、なんの落ち度もないのに一方的に振られるのが可哀想だったな。

兄弟の過去を描いたSSが、また滾る内容。短いのに関係性が濃い。

2

まさかよもやの紙一重!?

表紙絵にナチのSS軍服風の御仁が描かれているので、思わずその時代背景のお話なのかと思ってたんですよ。
ところがどっこい!現代でした。
主人公が中小企業の危機的現状を改善したいと、かなり前向きに取り組む公務員の設定でして、その彼がドイツに招待されて視察に訪れるんですね。
そこで出会ったのが、以前からその手腕に憧れと尊敬の念を抱いていた財閥の総帥の御曹司で。
ま、いろいろありまして主人公は拉致されてしまうのです。
そこで、出ましたーーーー!!!
ハーケンクロイツの旗に、ナチコスのこのドイツ人。
ガッチガチのアーリア人種の優越志向で、多民族を廃除すべきという極右思想の持ち主!
拉致してなにするかというと、精子の採取・・・?????
実は黒幕はこのドイツ人のお兄ちゃんがガチ極右で、それをヒューラーと呼ぶ一派をなしてるわけで、弟は兄に洗脳されてそれに従ってただけなんですが。
いや、しかしSSコスとかハーケンクロイツとか、ネオナチ設定ならまだ自分的に身近に感じるんだけど、思わずぶっとんだーーー!!!

以外にも仕事の部分においては、現在社会的に問題となっている増税やらTPPやらを盛り込んで、それに取り組もうとする公務員という設定ゆえに、その部分をすごくリアルにシリアスに感じるわけです。
ただはじめ理解できなかったのが、この人種問題。
しかし、よく考えてみると多民族国家ゆえのこれはひょっとして根っこの問題で、リアルにあるんですよね。
きっと自分が深く知らないだけで。
きっと政治家にもそういう派閥とかあったりするのは現状かもしれないです。
日本って基本的に単一民族国家(必ずしもそうだとはアレだけど)だから、差別はもちろん存在するけれど、根深くわかりやすい民族差とかは日常で実感しにくいから、異世界に感じちゃうのかもしれないです。
しかし、ナチズムに走らせるとは極端な驚きでした。

さて、肝心の恋愛面です。
この主人公、親友(水泳せんしゅだったのだがライバルでもあった)の妹と結婚を間近に控えていたのですが、何だかあまり情熱とか「愛」は感じられなかったんですよね。何だか仕方なくっていう雰囲気が漂ってました。
で、ドイツで尊敬していたクラウスに会うわけで、彼に元から憧れて尊敬しているから彼の下心というか悪意とか故意の作られた偶然に気がつかない。
でも、下地があるから拉致されていても傾いていってしまうわけです。
一方クラウスですが、彼には葛藤があります。
それは兄を敬い従う絶対的服従関係と、周防への関心との葛藤。
クラウスは付き合う人を兄と共有というか、兄に捧げてという供物お供え係をして彼に服従の姿勢を見せるという点もあるみたいでした。
その歪んだ兄弟の結びつきは、あとがき後のショートに描かれています。兄ちゃん歪んでます。
大人になって弟・クラウスは彼なりに彼のやり方で行きたかったんですが、周防が現れたことで分かつことになったという、歪んだ兄弟愛の終幕も描かれていたような気がします。
なんで、主人公たちの恋愛という面は元からの互いへの好感が基本にあり、若干吊り橋効果もありながら展開したんじゃないかな?という感じでありました。

ファンタジーならいっそ人外とかパラレルのほうがいろいろなしがらみを捨てて楽しめるのに、変にリアルが潜り込んでいてそれが基本になっているので、トンチキ紙一重の印象を持ってしまいました。
多分、きっとこういうのはあるかもしれないんでしょうが・・・
軍服萌え萌えの自分ですが、これは~。。。

6

結局アレ

BL小説としてのお話は全くしゅみじゃなかったですが、ナチズムに関する考察はなかなか興味深かったです。私はあらすじと表紙イラストからナチスやナチズムを連想しなかったので、クラウスの正体が分かった時に純粋にびっくりしました。やはりハッキリと表現しちゃいけないものなのかしら。

内容ですが、物語の前半ではクラウスと孝臣の間に愛はなく、むしろクラウスは本音で孝臣を「下等種族」だと蔑んですらいたのに、後半になって急に二人の間にラブが芽生えて…置いてけぼりをくらった感じがしました。長い時間をかけて確立されたマインドコントロールってそう簡単には解けないと思うんだけどなー。実際、クラウスもそう言っていたのに。一体なにが彼の目を覚ましたのだろう。愛…と思うにはこれと言った転機も無かったような。

孝臣も孝臣で結局クラウスのベッドテクの虜になっちゃった…というオチでしょう、これ。中小企業が経済復興の要で~とか、英語もドイツ語もペラペラ~特許のラインセンスが~移民排斥運動が~とか、あれこれとクレバーなキーワードが散りばめられているのに、要するにセックスの相性が良すぎて離れらなくなった二人のお話だったんだなぁと思うとなんとも言えない気持ちになりました。

あと…10年ほど前に食べた本場のザワークラウトは美味しくなかったなぁと思い出しました(笑)

1

これは生理的にダメだった。

すみません、この作品の設定そのものが個人的には一切受け付けない類のもので、
読み終わった後もすっきりした感じが無くて、ダメでしたね。
この作家さんの内容にしては、痛い感じが少な目かもしれないけれど(笑)

内容的には、茶鬼さんが詳しく書いていらっしゃるので割愛させて頂きますが、
日本の政治的背景はまさに現代日本が抱える問題テーマを押し出していて、
経済情勢がリアルで、ファンタジー好きにはちょっと痛い(笑)
そして何より頂けない設定がナチス、そうです、優生学を曲解しまくっている
白人至上主義なんです。
これが微妙にリアル感があって、読んでて非常にキツイ感じなんです。
もう、この設定だと、受け様がどうの、攻め様がどうの以前の問題なんです。
ファンの方には申し訳ないけれど、これは個人的には楽しめませんでした。

5

共感できず萌えなかった

軍服と海パンをだしましたと沙野先生が書いてましたが、軍服は軍服でもナチのだったのですね。
優生学とか始めて知りましたが生理的にダメでした。
攻めは兄に洗脳されてるし、受けは攻めに酷い事されてるのに受けいるのが早すぎる。
他の沙野先生の作品は好きな作品がたくさんあるのですが、すみませんがこの作品は攻めと受けの気持ちに共感できる所があまりなくて萌えませんでした。

1

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