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表題作箱庭のチェリー

高校3年生~大学1年生 遠野聡
歴史の教諭 奈月比呂・29歳

同時収録作品ガラスの向こうは鮮やかだった

高校2年生 遠野聡・17歳
世界史の教諭 奈月比呂・28歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

高校生の遠野は、近頃教師の奈月が気になっていた。それは恋ではなく、冴えなすぎる外見とおどおどした態度で舐められている奈月への憐れみに近い。ある日、級友の一人が罰ゲームで奈月に嘘の告白をする。悪ふざけと気づかず「返事は待ってほしい」と答えた奈月に級友は焦り、遠野に尻拭い役を押し付けてきた。だが相手が生徒とはいえ、人生で初めて告白されたと嬉しそうにしている奈月に本当のことが言えず――

著者 :夏生タミコ

(出版社より)

作品情報

作品名
箱庭のチェリー
著者
夏生タミコ 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778114091
3.5

(22)

(3)

萌々

(10)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
75
評価数
22
平均
3.5 / 5
神率
13.6%

レビュー投稿数5

デビュー作とのこと

あらすじに惹かれて購入しました。
何となく、木原音瀬さんの「眠る兎」のイメージがありました。

読んでいて、変わった文体だな~と感じました。
そっけない文章に感じました。
これも作家さんの作戦なのかな?と思いましたが、
その分、丁寧に読むことができ、世界観を楽しむことができました。

硬派な生徒とおどおどダメ教師のお話でした。
卒業するまで、最後の一線をこえない。
「卒業したら恋人になってほしい」というエピソードに好感を持ちました。
読み手として、こういう丁寧な作品であるからこそ、
簡単に教師生徒の線をこえてほしくないという思いがあったからです。

初キスが、なんとも、ステキ。
また、初エチが、なんともかわいい。
30歳になるけど未経験の先生と、18歳で若く、男とは未経験の元生徒。
年相応に悩む姿が、ステキだなと感じます。

デビュー作とのことです。今後の作品も楽しみです。

3

たとえ30歳になっても

未体験、未経験なのは18歳と一緒。
表題作は前半の「ガラスの~」でつきあい始めた二人、遠野が高校を卒業し
て、教師と生徒というくびきを解かれ、ようやく恋人として初エチにたどり着くお話。
年の差はあっても、恋愛経験にはほとんど差がない二人、
不安でグルグルしちゃったり、すれちがっちゃったり、
でも、ちゃんと向き合えば、気持ちは一緒。
年下攻めですが、奈月が初々しくてかわいい初エチです。

前半の「ガラスの~」はそんな二人がつきあい始めるまでのお話。
かわいそうって事は惚れたって事。
それに尽きるかな。

0

ウブい年上との不器用恋愛

作家さんのデビュー作品だそうです♪
この作品、表題は二人がきちんと恋人になれた生徒の卒業後の二人のお話になっており、その前の恋人になるまでのきっかけのお話が【ガラスの向こうは鮮やかだった】というお話になっております。
確かに、この本のタイトルにした題名は全部読み終えてみればそれは先生のことでもあり、生徒のことでもあるかな?
と思われ、タイトルに持ってきたのは間違いではないと思います。
色々な思いこみやスレ違いが、二人の間に立ちふさがり、また年上のくせにという表現がぴったりな先生の性格があって、ハラハラさせながら引き込まれました。
またその後の表題についても、せっかく”先生と生徒”という足枷が外れたのに中々進展しない様に焦れ焦れしながらも、そうだよね、この先生なら。。。元生徒だって男性は初めてだし。。。
と、初めて同士であるがゆえのスレ違いにやきもきしながらも、まるで二人が初めて恋をしたようなウブいやり取りに、ニヤニヤと楽しませていただきました。
まだ1作目なので、この作家さんのカラーがはっきりと見えたわけではないのですが、今後も注目していきたい作家さんなのは間違いないデス♪

声は小さい、字も小さい、頭は寝癖だし服装もブカブカ、大きな黒縁メガネに顔が隠れるようなウザったい髪型、そんな世界史教師の奈月をクラスメイトは軽んじて授業をマジメに受けていないが、遠野は世界史が嫌いではないので、そんな奈月に多少は同情したりして気にはしている。
そんなとき、クラスメイトの澤村が奈月はホモという噂からそれを実証してこいと、日頃つるんでいる仲間から焚きつけられているのを聞いてしまった遠野。
止めようとするが澤村は告白したようで、それをとがめた遠野はだったらお前が断ってきてくれと言われる。
しかし、奈月に確認しに行った時まんざらでもない、むしろ本当に奈月は男性しかダメで、今まで人から好かれたこともなく言われた事自体が嬉しかったのだと、多少の舞い上がりがあるものの、そんな奈月を傷つけたくなくて、遠野は奈月を気にかけて準備室に通うようになりだんだんと親しくなっていく。

こんなきっかけの話が前半にあり、そこの中で遠野の奈月へ育っていく気持ちは遠野視点なのでわかりやすいですが、奈月視点はなくても何げに彼も遠野へ惹かれていってるなというのはわかります。
奈月、28歳にしてまだ恋もキスもしたことのない、自分に自信のない人。
だから人から初めて好意を向けられて嬉しくて、ちょっと誰でもいいみたいな感じもあったのですが、好意を向けられたから人に好かれる人になりたいと、思えたのかもしれないですね。
それには、遠野に自信をもらったことが大きかったとも思えます。
しかし、それを裏切られたと思ったときのヘタレ具合といったら、、、ウブい先生だから、、、許すwww

そしてタイトルになっている、遠野が卒業してから~
やっと先生と生徒でなくなって、本物の恋人になれるとき、遠野と初エッチを期待した奈月、ビール呑んで寝てしまうという失態を!?
流れてしまった初体験は、その後スケジュールが合わず、
かたや大学入学、かたや副担任就任と、忙しい春を迎えてしまいすれ違う、すれ違う!
この話は先生視点なのですが、先生遠野を気遣ってしまって積極的になれないんです(涙)
もっと欲張りになっていいんだよ。
遠野だってまだ18歳!恋愛のエキスパートってわけじゃない。
ということで、散々すれ違って気遣って、やっとやっと初エッチ行きました♪
案の定先生www

ウブくて自信のなかった先生が以外に恋愛脳でできていて、好きな人に一喜一憂して過ごしてるダメ先生だったりw
でも、自信をもったらきっと人間的にもっと成長してきっとモテモテ先生になるにちがいないな、そのときには遠野がヒヤヒヤもんで、きっと教職課程とって、先生になって奈月追いかけてくるんじゃないか?なんて未来を思わず予想してしまいました(笑)

4

先生・・・キュンします~

高校生男子と冴えないダメ教師とのラブなのですが、
この先生恋愛未経験純情ゲイなんですが、ほんとに頼りなくてヘタレなんです。
いつもオドオドしてて、自信なさげでネガティブ思考、生徒にもバカにされてる、
そんな先生なのですが、攻め様は何故かその受け様が気になっている。
そのダメ加減が返って気になってついつい目が行ってしまう。

そんな時に、悪ガキ系クラスメイトが受け様をホモだと言いながら、好きでも無い
受け様に告白して真偽を確かめるなんて悪ふざけをするが、受け様の返事は意外にも
少し待って欲しい・・・逆に冗談で告白してしまった生徒は悪戯が過ぎたと動揺。
それを知った受け様は悪戯をした相手に、謝ってこいと諭すが、逆に攻め様にその役目を
押し付けて逃げ腰になってしまう。

受け様に真実を話そうとした攻め様ですが、相手が生徒でも初めて告白されたと
嬉しそうにしている姿に何も言えなくなり、その日から余計に受け様が気になり、
なにかと受け様の所へ通うようになる中で、次第に二人仲が近しくなっていく。

ホントに寝癖付けたままで、服装もどうでもいいような冴えない先生が攻め様に
言われた事を聞いて、コンタクトにしたり、一緒に選んだ服を着たりして、
年上の教師なのに、妙にカワイコちゃんに見えてくるような感じなんです。
いつも自分なんかなんて思ってる困ったさんでもありますが、大人びた攻め様の
面倒見の良さに押されて少しずつ変わっていく。
逆に見た目が可愛くなってモテ始めた受け様を見て、攻め様は心配になったり、
不安と擦れ違い、初めての恋愛に怯える先生は単なる可愛い男の子に見える不思議作品。

3

全力を出し切った感があり新鮮

夏生タミコ先生のデビュー作となります。

遠野が高校時代の『ガラスの向こうは鮮やかだった』と卒業後の『箱庭のチェリー』の2編が収録されています。ガラス~の方は遠野視点、箱庭~の方は奈月視点で書かれています。

あらすじは他の方が書かれているので割愛させていただきます。

良かった点は、まず登場人物の一人一人を大事にしているなぁと感じました。脇役までちゃんと性格やあだ名など設定を熟考していて、練りに練って作られた作品なんだろうというのが伝わりました。
ありがちな高校生と先生のお話ですが、複雑な心理が上手に描かれています。メイン2人の行動パターンなども良く考えられていて人物像が完成しているところが良かったです。
2人が想いあっているのにすれ違ってしまうところにきゅんっとしたり、奈月の不器用さに笑ってしまったり、奈月が遠野によって外見を変えられたことによりステキになっていくところもプリティウーマンのようでテンションが上がりました♪ でも中身はそうそう変わらないところも可愛らしかったです。
みずかねりょうさんのイラストも文章によくあっていてステキでした。

全力を出し切ってこの作品に打ち込んだ作家さんが目に見えるようで、好印象を持ちました。次回作も期待しています♪

2

この作品が収納されている本棚

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