ボタンを押すと即立ち読みできます!
再読しました。ストーリー自体は重いけど、前向きな攻のおかげで精神的に引きずられるような重さではありません。夜光花先生の作品には珍しく受に感情移入して読みました。
花シリーズ、薔薇シリーズ、不浄シリーズ、凍る月シリーズを読了した時点では夜光花先生は独特のユーモアがあって性描写も上手だけど、味も素っ気もない言葉選びするせいでイマイチ切なさが伝わりにくい文章を書く作家さんだなあと勝手な評価を下していました。「不浄の回廊」を読んだ時はユーモアを殺さないために感傷を抑えた素っ気ない文章にしているのかなと好意的に解釈したんですが、夜光花先生の有名シリーズはシリアス路線が多くてシリアスな作品を読む度に「主人公に感情移入できねえよ!ちっとも切なくねえよ!」とイライラしていました。シリーズが自分に合わないだけかもしれない、単品ならどうだと手に取った「愛を乞う」がどストライクの初恋物で、「君を殺した夜」を読んでけっこう奥が深いと思い、「偏愛メランコリック」でキャラクター造形が上手いと感動してズルズル深みにハマっていきました。私はいつも単純に視点の主に感情移入するのですが、夜光花作品では感情の起伏が少ない受視点になっているせいで上手く感情移入できませんでした。唯一感情的な「不浄の回廊」の受は天然すぎて、やっぱり感情移入が難しかったです。逆に攻は気性が激しいキャラが多くて、いっそのこと攻視点にした方が盛り上がるのではないかと思ったりもしました。
シリーズ前作「忘れないでいてくれ」の受が自発的にぷち爆発してこれは期待できそうと思いつつ、「サクラ咲ク」を読みました。初めて読んだ時は「スゴイ!今まで個別の作品にしか感じなかった魅力が全部備わってる!攻が感情の起伏が少ないタイプで、受が自発的に感情をこねくりまわして自爆してる!隙がなさ過ぎて感想が書けないんデスけど!」という感想を抱きました。
レビューを書くにあたって再読したら、夜光花先生の文章力に衝撃を受けました。とにかくメリハリのある文章です。ストーリーの大半が装飾的な表現を最少に削った三人称で客観的に語られる一方、盛り上がる場面は受がひねりのない言葉で畳み掛けるように独白して臨場感と切迫感を読者に与えます。また、語り手である受の心理描写が地の文に違和感なく溶け込んでいて読んでいて気持ち良いです。受は恋愛至上主義者でありながらリアリストであるという印象を受けました。攻や攻に関わる人物の言動に細心の注意を払い、嫉妬する自分を客観的に見つめ、チャンスがあれば逃がさず掴む受に好感が持てました。会話の台詞も間を持たせるような余計な情報が少なくていちいちすっきりしています。こういう好いとこ取りの作品を書ける夜光花先生はやっぱりけっこう稀有な作家だと思います。詩的な表現が多い作品や翻訳物っぽい作品は苦手だけど、ロマンチックな恋愛小説を読みたい!という方にオススメです。
夜行さんの作品なので、痛いところがあるのは了承済みでした。
こちらでレビューを読み、櫻木先輩はわたしの好きなタイプの攻めだと確信し、こちらを読むために前作の「忘れないでいてくれ」も読みました。
受けの怜士は高1の春に3ヶ月行方不明に。
本人もその間の記憶がない。
それだけでもヘビーなのに、接触恐怖症。もちろん写真や体を重ねることもNG。逆上し殴ってしまうことも。
そして中学時代告白までした憧れの先輩が、攻めの花吹雪先輩こと櫻木です。
攻めの櫻木は魔法使いになりたいという、一風も二風も変わった男。
見目麗しく、お金持ち、学生時代から人気者と三拍子揃っています。
しかし、魔法使い発言でもわかるように変わってます。
発言も行動も何もかも。
怜士にはゲイだと自覚はあるものの、接触恐怖症のせいでなかなかパートナー探しがうまくいかない。
そんな時に中学卒業以来会っていなかった櫻木と再会します。
櫻木の設定はかなり突飛ではあります。
が、夜行さんの文章で生き生きと表現される櫻木はとても魅力的です。
櫻木は、怜士が自身でどうにも解決出来ない過去とトラウマを抱えていても一緒にいたいと思わせる、説得力のあるキャラ設定だと感じます。
櫻木が普通の人だったら、怜士もここまで悲惨な過去を持ちながら諦めずにいられたかなぁと感じるので。
周囲に櫻木が「魔法使いになりたい」と言っても「先輩がまた言ってる」といったていで流されている時も、怜士だけは真剣に受け止めています。
それは怜士の心の時間も事件が起きた、ピュアな子供時代に止まってしまっているせいなのかもしれません。
ある意味櫻木は無欲で流れに身をまかせている部分があると思うのですが、怜士がまるで子供のようにピュアに櫻木を信じ、魔法使いを信じていることが彼の中で怜士が一番になったきっかけだったのかな。
怜士が過去に対決するシーンは、「やっぱり夜行さんの作品だなあ」と感じる痛みがありました。
涙が溢れてきました。
怜士の最後の決断に。
母親の女の勘も見事でした。
犯人の行動によって怜士本人はもちろん、家族も痛みを抱えながら生活してきましたが、それが落着して本当に良かった。
前作では櫻木は怜士の同級生である清涼に催眠術をかけましたが、この清涼達も登場します。
ちょい役でなく、かなり絡みがあります。
なので、やっぱり前作を読んでおいた方が楽しめます。
お恥ずかしながらかなり泣きました。
好き過ぎてレビュー書けないかも…とも感じた作品。
なんだか自分の書いた物を読み返しても、1/3も感じたことを表せていません(汗
二段組のノベルズですが、長さは感じませんでした。
もっと長くても良かった。
そして朝南かつみ先生の美しい挿絵で読みたかった、残念です。
でも、この桜色の表紙もすごく美しいです。
ぜひ、続編を読みたいな。
ココンッツさま
この本お勧めいただき、ありがとうございます。
この作品、私もかなり好きでした(*‘ω‘ *)
櫻木がマジックでハムスターや花を出して見せるだけで、なんだかドキドキ。
恋愛には鈍感だけど、怜士の痛みに寄り添おうとするやさしさも素敵だな。
怜士もいいけど、やっぱり櫻木が好きですね、私は。
櫻木がココナッツさんの好きな攻め殿堂入りしちゃった理由、よーく分かります☆彡
こんばんは!
私も先輩が初めて怒った顔を見せるシーンに
おおっ!となりました。
マイペースな先輩も、怜士の天然の無鉄砲さには
結構振り回されているのかなと思うと萌えますねv
ココナッツさんが書かれていたように
朝南かつみ先生の挿絵付で読めなかったのが本当に残念!
朝南画の櫻木先輩や怜士はさぞ美しかったことでしょうね。
ココナッツさんの紹介のおかげでこの素敵な作品に出会うことができました、ありがとうございます(≧∇≦)
元々、作者の夜光花を作家買いするほど好きですが、
更にトラウマ受で大好物ですね。
高校時代に行方不明になった間の記憶がない怜士。
写真を撮られたり、人に触られたりするこが苦手でセックスもできない。
そんな時、行方不明になる前の中学時代にあこがれてた櫻木と再会して、恋心を募らせる。
そんなストーリーです。
トラウマもの受には包容力のある攻でしょ~!って思いますが、
なんだろう…。櫻木先輩、包容力…あるようなないような。なんか、のれんに腕押しっぽい感じの人です。博愛主義というか。
受が記憶を取り戻すのに脅えてるときも「ガンガン行こうぜ!」(笑)で、記憶を取り戻すのに積極的。
でもそんな先輩でも好き。っていう作者曰く櫻木信者の受です。
しかもトラウマになった事件思いだしてからの、復讐一直線っぷりはぷっつんキャラですね。
私はそこが面白いと思いましたが。
復讐しようとして、乗り込んだ先での、展開に思わず泣いちゃいました。
受の記憶喪失の間の事件は、まぁ、今の症状から推測した通りの、ガチでのトラウマものなので、苦手な人は苦手だと思いますのでご注意を。
痛々しい箇所があったり、キャラクターも私にとっては現実感の薄い人物らだと感じたのですが、なんとも言えず面白かったです。
展開もハラハラして、最後まで目が離せませんでした。
スピンオフ作品ですが、両方読むつもりだったのを順番を間違えてこちらから読んでしまいまい…それでも十分楽しめました。
中学のときの先輩と後輩で再開ものです。
高校生のときに事件に巻き込まれ、その時の記憶がないままくらい人生を送る怜士と、その過去になんとか清算させようとするどこまでも前向きな櫻木先輩のお話です。
お話は面白かったけど、私はこの先輩が苦手でした。
最初から最後まで残酷な人だと思った。こんな人に恋したら辛いだろうと思います。一カ所に長く留まれない、大事な人も作らない、誰に対しても平等で優しく、決して怒ったりしない。
こんな人は幸せそうで、同時に本当の意味で孤独だとも思うのです。
肩書がたくさんあり、つかみどころがなく、世界中を飛び回り、空気が読めず、人を驚かせるのが大好き…まるで現実感のないお伽話のキャラクターのように思えたので、共感度が低く思えました。
怜士も他人に気を使う優しくて健気な…て感じでなく自分のことでいっぱいいっぱい、うじうじしてるのにキレたら怖いコ。
二人とも自分の周りに現実にいたら付き合いにくそうだと思いました^^;でも二人ならうまくやるのではないかと思います。
怜士の悲惨な過去も、決して報われない恋をしているところも、誰とも抱き合うことが出来ない現実も、応援したくなりました。
櫻木先輩が苦手と言いながら、やはりこの先輩の存在で高く評価できるお話だと思います。
誰も好きにならない先輩が始めて恋を知り、最後の目を輝かせながら怜士と向き合うシーンが大好きです。
ただ、贅沢を言うなら、ちょっと辛くてシリアス度の高いお話だったのでも少し甘いシーン追加で欲しかったかな、とも思います。
あまり見ないキャラクター同士の組み合わせが楽しめ、萌えられました。
人にオススメしたい作品です。
これはキャラが好みか否かで評価が分かれる作品だと思いました。(私にとっては神作品です)二段組みで読み応えがあり、痛くはないですが重たい内容に泣かされましたが、読後感は良かったです。
攻:櫻木拓海(花吹雪先輩)。ノンケ。顔・頭・金の全てが揃っている高校の元先輩。ブッ飛んだ思考回路の持ち主。
受:早乙女怜士。ゲイ。一時期の記憶を喪失している元後輩。高校時代から先輩のことが大好きで未だにその気持ちに変化なし。
先輩との再会を切っ掛けに、怜士が清涼(『忘れないでいてくれ』の受)の過去を覗き見ることができる能力を借りて喪っていた記憶と向き合い、それに決着をつける話です。
花吹雪先輩は『忘れないでいてくれ』に既出で、清涼と同じ高校・寮が同室で清涼に催眠術をかけた、あの先輩です。今作では、この先輩が苦手だと思ったら楽しめないかも知れません。先輩は優しくて格好良くて頭も良くて御曹司という何でも持っている素敵な人ですが、内面的に問題があります。一般常識から掛け離れた思考回路をしているため、その言動は宇宙人的ですらあります。おまけに空気を読まない・人の気持ちを解さないものだから、惹かれてふらふら近づいていこうものなら、先輩は何の悪気もなく手痛い目に遭わしてくれることでしょう(苦笑)この先輩が厄介なのは、どこまでも天然で悪気なんて欠片もない人だからというところに尽きます。手の打ちようがない人なのだと思います。このような先輩が苦手だと思う人には、この作品はオススメできません。何しろ先輩のそういう魅力?が全開の作品となっていますので。
もうひとつ。先輩は「魔法使いになりたい」と真剣に考えているような人です。そして、怜士の方も「先輩ならきっと魔法使いになれる!」と本気で思うような子です。
最後に。怜士は大学に入学して間もない頃に数ヶ月、失踪し、その間の記憶を喪っているのですが、これは怜士自身が封印したことによって喪われてしまった記憶なのです。何故そうしなければならなかったのか。あまりにも辛くエゲつない過去だからです。この過去が許容できない人は読むのがキツイかも知れません。それくらい酷い内容です。
Krovopizza
JGbeeさま、コメありがとうございます~!
そうですね。辛いことがあっても人の本質はそう変わらない、過去も含めて自分自身を受け入れる。
的なテーマが前作から受け継がれているように思えました。
昔の自分みたいだ、と清涼が怜士を心配するシーンが好きです。
JGbeeさんは夜光作品を相当読み込まれているとお見受けしました!
文章のメリハリ、キャラ造形など全てのご指摘が鋭くてすごいな~とv
>お伽噺みたいな終幕
最後はロマンティックに締めるところがいいですよね!
花吹雪先輩の魔法使い宣言にもしやDT?とビビったんですが
ちゃんと紳士でよかったよかった☆