サクラ咲ク

サクラ咲ク
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神23
  • 萌×211
  • 萌1
  • 中立2
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
13
得点
164
評価数
41件
平均
4.1 / 5
神率
56.1%
著者
 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
シリーズ
リンクスロマンス(小説・幻冬舎コミックス)
発売日
価格
¥855(税抜)  ¥923(税込)
ISBN
9784344824430

あらすじ

写真を撮られたり、人に触られることが苦手な怜士はある日、中学時代に憧れていた先輩・櫻木と再会するが…。

(出版社より)
本書は、関連前作(リンクスロマンス「忘れないでいてくれ」夜光花・著)の担当イラストレーターで、 2012年1月に亡くなられた朝南かつみ先生への追悼の意を込めて、イラストなしでの発行となっております。

表題作サクラ咲ク

金持ちの息子で元先輩 櫻木拓海(花吹雪先輩)30歳
一時期の記憶を喪失した元後輩 早乙女怜士・29歳

その他の収録作品

  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数13

事件+トラウマ+復讐+愛の力

関連作「忘れないでいてくれ」と、構造的には似ていると感じました。
過去大事件があり心に酷い傷を負った主人公が復讐を考えて、結局愛情に救われる、というような。
「忘れないで〜」にチラリと登場し、だけど結構インパクトのあった「花吹雪先輩」こと櫻木拓海と、中学時代の後輩早乙女怜士の物語。
櫻木は常人では計り知れない個性の持ち主で、家は大金持ち、自分も2代目社長の肩書きなのにフラフラと世界を回って、カメラマンやマジシャンなどをやっているという、ふわふわ〜とした人。
でもみんなが惹かれて大好きになっちゃうような人。
怜士は中学時代からずっと櫻木に憧れてくっついて歩ってたような人懐っこい子だったのに、「事件」があって暗くて神経質な性格に変わってしまう。
他人にも何事にも執着しない櫻木も、自分を慕い続けながらも昔とは変わってしまった怜士の事が気になって、過去に何があったのかを一緒に探ってくれる。
ここで出てくるのが「忘れないで〜」の清涼こと大輝の、記憶を視る能力な訳です。
明かされた事件の真相は……ここのネタバレはやめましょう。
過去の屈託の無い自分には戻れないけど、輝く目で笑って続き欲しいと言ってくれる櫻木に新しい魔法をかけられたと感じる怜士。
すごく優しい読後感です。

2

魔法使いも恋をする

以前『忘れないでいてくれ』を読んだ時、登場人物や関係者のその後が知りたくなってすぐにも読みたいと思っていた本書ですが、複雑な内容だと思うとなかなか手が出せず漸く読む気持ちになりました。

前作で、常識では計り知れないぶっ飛んだ人だと思ったのは塚本さんで、誰にでも優しいキラキラ王子様だけど思考は斜め上という印象を持った通称”花吹雪先輩”が気になる存在でした。
花吹雪先輩は主人公の心を守ってくれた恩人なんだと話に出てきただけで物語に登場することもなくその存在だけで印象深く強く残った人でした。
今作では、この先輩が前面に出てきて前作と同じように過去に巻き込まれた事件のせいで心に傷を持った一人の青年を救う物語でした。

忘れないで~でジレジレさせてやっとくっついたカップルの二人はその後も平和に暮らしているようで、今作で主人公たちの幸せに一役買ういい働きをしていました。
清涼(大輝)が自身も幼い頃の悲惨な事件で傷付けられたわりに、人の機微に疎くズケズケとモノを言う意地悪な人だったのはちょっと違和感がありました。
玲司を虐めてニヤニヤしているのは子供の好きな子いじめで本当は気になる続き存在(恋愛感情ではなく庇護欲に近いような)だったらしいけれどやっぱりわかりにくいヤツでした。

資産家の恵まれた家に生まれ強い姉や妹に挟まれて家にいたくないし実家の家業を継ぐのも嫌、将来は魔法使いになりたいという花吹雪先輩こと櫻木とはいったいどんな人なのかなかなかわからない人でした。
空気を読めないあるいは読むつもりもない天然で素直な人のようであり、人の思惑や思いが先々まで読み取れる策士のようでもあり、時には人を思いのまま操れる怖い人でもありました。

魅力的で簡単には人柄のわからない登場人物が、先の読めない動きをするので終着点が予想できず最後まで何が起こるかわからずにドキドキしてました。

前作の挿絵の朝南さんがこの作品に挿絵を描くことなく亡くなられ誰にも見ることはできませんが、作者を始め多くのファンの方がどれほど見てみたいと思った事でしょう。
この二人のどんな場面をどんな表情で描いただろうと想像すると挿絵なしで行こうと決めた作者の気持ちがよくわかりました。

1

花吹雪先輩…

「忘れないでいてくれ」が大大大好きなので関連続編と知って読みましたが、思っていた内容と違った…というか、大人になった花吹雪先輩(櫻木)が自分の近くに居たら厄介だなぁと思うような人物だったので、私は最後まであまり萌えを感じられませんでした。
怜士(受)の過去が徐々に明らかになっていく過程は物語として面白かったのですが、肝心の怜士が飄々とした櫻木に終始振り回されているように感じられて、ちょっと心配になりました。
ちょいちょい出てくる清涼が相変わらずの毒舌男前で嬉しかったです。

1

じんわり心に残る

痛々しい箇所があったり、キャラクターも私にとっては現実感の薄い人物らだと感じたのですが、なんとも言えず面白かったです。
展開もハラハラして、最後まで目が離せませんでした。

スピンオフ作品ですが、両方読むつもりだったのを順番を間違えてこちらから読んでしまいまい…それでも十分楽しめました。
中学のときの先輩と後輩で再開ものです。

高校生のときに事件に巻き込まれ、その時の記憶がないままくらい人生を送る怜士と、その過去になんとか清算させようとするどこまでも前向きな櫻木先輩のお話です。

お話は面白かったけど、私はこの先輩が苦手でした。
最初から最後まで残酷な人だと思った。こんな人に恋したら辛いだろうと思います。一カ所に長く留まれない、大事な人も作らない、誰に対しても平等で優しく、決して怒ったりしない。
こんな人は幸せそうで、同時に本当の意味で孤独だとも思うのです。

肩書がたくさんあり、つかみどころがなく、世界中を飛び回り、空気が読めず、人を驚かせるのが大好き…まるで現実感のないお伽話のキャラクターのように思えたので、共感度が低く思えました。
怜士も他人に気を使う続き優しくて健気な…て感じでなく自分のことでいっぱいいっぱい、うじうじしてるのにキレたら怖いコ。
二人とも自分の周りに現実にいたら付き合いにくそうだと思いました^^;でも二人ならうまくやるのではないかと思います。

怜士の悲惨な過去も、決して報われない恋をしているところも、誰とも抱き合うことが出来ない現実も、応援したくなりました。

櫻木先輩が苦手と言いながら、やはりこの先輩の存在で高く評価できるお話だと思います。

誰も好きにならない先輩が始めて恋を知り、最後の目を輝かせながら怜士と向き合うシーンが大好きです。

ただ、贅沢を言うなら、ちょっと辛くてシリアス度の高いお話だったのでも少し甘いシーン追加で欲しかったかな、とも思います。
あまり見ないキャラクター同士の組み合わせが楽しめ、萌えられました。
人にオススメしたい作品です。

4

ブッ飛んでる花吹雪先輩が好きです

これはキャラが好みか否かで評価が分かれる作品だと思いました。(私にとっては神作品です)二段組みで読み応えがあり、痛くはないですが重たい内容に泣かされましたが、読後感は良かったです。

攻:櫻木拓海(花吹雪先輩)。ノンケ。顔・頭・金の全てが揃っている高校の元先輩。ブッ飛んだ思考回路の持ち主。
受:早乙女怜士。ゲイ。一時期の記憶を喪失している元後輩。高校時代から先輩のことが大好きで未だにその気持ちに変化なし。
   
先輩との再会を切っ掛けに、怜士が清涼(『忘れないでいてくれ』の受)の過去を覗き見ることができる能力を借りて喪っていた記憶と向き合い、それに決着をつける話です。

花吹雪先輩は『忘れないでいてくれ』に既出で、清涼と同じ高校・寮が同室で清涼に催眠術をかけた、あの先輩です。今作では、この先輩が苦手だと思ったら楽しめないかも知れません。先輩は優しくて格好良くて頭も良くて御曹司という何でも持っている素敵な人ですが、内面的に問題があります。一般常識から掛け離れた思考回路をしているため、その言動は宇宙人的ですらあります。おまけに空気を読まない・人の気持ちを解さないものだから、続き惹かれてふらふら近づいていこうものなら、先輩は何の悪気もなく手痛い目に遭わしてくれることでしょう(苦笑)この先輩が厄介なのは、どこまでも天然で悪気なんて欠片もない人だからというところに尽きます。手の打ちようがない人なのだと思います。このような先輩が苦手だと思う人には、この作品はオススメできません。何しろ先輩のそういう魅力?が全開の作品となっていますので。

もうひとつ。先輩は「魔法使いになりたい」と真剣に考えているような人です。そして、怜士の方も「先輩ならきっと魔法使いになれる!」と本気で思うような子です。

最後に。怜士は大学に入学して間もない頃に数ヶ月、失踪し、その間の記憶を喪っているのですが、これは怜士自身が封印したことによって喪われてしまった記憶なのです。何故そうしなければならなかったのか。あまりにも辛くエゲつない過去だからです。この過去が許容できない人は読むのがキツイかも知れません。それくらい酷い内容です。

3

魔法使い、恋を知る。

恋心を知り、大人になった魔女が魔力を失う・・・っていうアニメ映画がありましたっけ。
でも、愛する人を救いたいという想いが、彼女の失った魔法の力を蘇らせる――
好きだったな、「魔女の宅急便」。

愛する人のためなら、人は魔法使いになれる。
「魔女の宅急便」と違ってファンタジーではないんですが、これもちょっぴりそういうニュアンスを含んだお話です。

「忘れないでいてくれ」のスピンオフですが、本作のカプは前作には殆ど登場していないため、単独でも問題なく読めます。
主人公の早乙女怜士(れいじ 29歳)は、ゲイ。
高校1年の春、失踪していた期間の記憶を失っている彼の心の傷は、ずっと癒えないまま。
そんな怜士が、中学時代憧れていた「花吹雪先輩」こと櫻木拓海(30歳)に、偶然再会します。
そして、中学時代の怜士の笑顔を取り戻したい、と言ってくれる櫻木に助けられ、真実と向き合うべく、怜士は失踪中の記憶を取り戻そうとするのですが――

物語は怜士の視点で進行し、櫻木との交流を通じて彼が前向きな人生を取り戻す過程が、ストーリーの主軸になっています。
ただ、平凡ながら気性の激しい続き一面を持つ怜士もさることながら、なんといっても攻めの櫻木がとても魅力的なんですよね。
櫻木は30歳の今も「魔法使い志願」という、浮世離れした男です。
魔法かどうかはともかく、マジックで人を楽しませるのが大好きなエンターティナー。その上イケメンの櫻木は、中学時代も今も、怜士にとっては雲の上の憧れの人。

前半の櫻木は、まさに天から舞い降りた白馬の王子のような存在感ですね。
普段は海外に暮らしているという彼の日本での肩書は、不動産会社の社長に便利屋に写真家という謎のとっちらかり様なんですが、デートには父のものというベンツでお迎え、食事はフレンチ、お泊りはホテルのスイート、そして自宅には家政婦の松子が!(家政婦の名前までがデラックス!)
「ベンツはEクラスだから高くない」とのたまう櫻木さん・・・いーえ高いですEクラス!
や、バリバリのセレブでしょうこの人は。
櫻木の鈍感さには歯がゆい思いをさせられるものの、彼にエスコートされて怜士が甘い体験をしていく下りは、とてもゴージャスないい気分に。
怜士のトラウマも、櫻木によって取り除かれていくかに見えます。
このままシンデレラストーリーまっしぐら?とも思ったのですが――

ただ、後半に入ると、怜士が記憶を取り戻したことで重い展開に。
彼の、周囲に迷惑をかけず自分の問題は自分で解決したいという想いが、櫻木との間に軋轢を生んでいきます。
そんな中でうっすらと見えてくるのが、櫻木の秘めた苦しみ。
彼は彼で、単に浮世離れしたぼんぼんというだけじゃなく、心に孤独を抱えてる。
有能な実業家一家の中、一人異端児であるということ、恋も知らないまま結婚させられた過去、魔法使いになりたいという夢を、怜士以外はこれまで誰も理解してくれなかったこと・・・
怜士が、あの桜が咲いていた高校1年の春からずっと心に重石を抱えて生きてきたように、櫻木もまた、咲けない蕾のままの半生だったのでは――そんなふうに思えて、怜士も櫻木も、そして2人のすれ違いも、全てが切なくて、胸に悲しみがせり上げてきます。

そして怜士の過去との壮絶な戦いの末に、2人が迎えた春。
どうやら残念なことに2人の前途は決してセレブ生活ではなさそうwなのですが、いいトシした男2人のとっても可愛らしくラブいやりとりが、ほほえましい。
心から、良かったね、と祝福したくなります。

個人的には、魔法使い志願という一見突飛な設定が、思いのほかしっかり生きてるところが、高評価!
人を驚かせ、楽しませたいという想いが、周囲の人に小さな幸せを振り撒いていく。そして最後は、怜士に幸せな恋の魔法をかける――
なんてロマンチックなお話なんでしょ(≧▽≦)
しかも、メリハリの効いたストーリーに、シリアスもエロもしっかり入ってこのほのぼの感! 
「忘れないでいてくれ」の面々の友情出演も嬉しい。
こういうテイストの作品はあまり読まないんですが、そんな私にもとても楽しめました。
春に読むといっそう情感が伝わりそうですね。

4

ココナッツ

yoshiakiさま

yoshiakiさま、コメントありがとうございます!
レビュー、とてもワクワクして読ませて頂きました。

何もかも恵まれているのに、欲しいものも持たない、欲というものを持たない花吹雪先輩が、お葬式で見せる執着がたまらなく好きです(//∇//)
寝た後、先輩の中に急にクリアに怜士が現れてきたようで。

yoshiakiさまがおっしゃるように、話聞くだけでは『おいおい魔法使いってなんだよ』って感じですが、それが妙にストーリーにスッと入っているのが不思議ですよね。

なんだかゴリゴリと押してしまったようで、ひたすらすみませんでしたー(^^;;

キャラ萌えと感動と・・・

『忘れないでいてくれ』で、出番は少ないけど名前のインパクトでしっかり記憶に焼き付いていた、花吹雪先輩(本名:櫻木)のスピンオフです。

受けで主人公の怜士は、櫻木の中学時代の後輩。
高校生のとき三ヶ月間失踪したことがあり、そのときの記憶がない。
それ以来、めったに笑わない、人とも触れ合えない人間になってしまった怜士(29)が、ある事件をきっかけに櫻木先輩(30)と再会し…という風に話は進みます。


まず櫻木先輩のキャラクターにやられました!
美形で優しくてお金持ち、
なのにどうしようもなく変な人ww

しょっちゅう手の平やポケットから
薔薇や鳩やハムスターが出てくるなんて一歩間違えればすごく漫画じみたイタイキャラなのに、全然違和感がない不思議。
それらの得意技が、見せびらかすためではなく、主に怜士の心を癒すために披露されているためでしょうか。
ポケットから何が出てこようが全然寒くなく、とても温かな気持ちになれます。

玲士もかなり好きなタイプの受けでした!
身長165cmの美青年というから
いかにも庇護欲をそそるタイプかと思いきや
かなり狂暴で行続き動力のある、
夜光作品の受けはこうでなくては!と思わせる曲者。
先輩の信者で、先輩に対しては健気で可愛いけど
基本的にキレやすく、喧嘩も強い。
『頭突きで負けたことはない』には笑いました。
てっきり失踪事件の影響で狂暴なのかと思ったら、どうやら中学時代からこんな感じだったらしい…w

失踪事件の真相はかなり重いのですが、そこで泣き寝入りしない怜士が非常に良かったです。
たとえ最終的に先輩に助けられたとしても、過去にケリをつけるため自ら行動に出るタイプの主人公は大変好みです。

この怜士の、可愛いだけではない
暴走気味のキャラクターあってこそ
先輩のおっとりした変人ぶりが際立つし、
先輩がこういうほっとけないタイプの子にコロッと惚れるのも納得でした。


前作『忘れないでいてくれ』の清涼や秦野、塚本(相変わらず胡散臭くて素敵♪)も登場。
クセのある人物ばかりだけど、誰かが危ないときには助け合い、ずっと交遊関係が続いているのがすごく良いな~と思いました。


タイトルにもなっている『サクラ』は
玲士のトラウマに関わる情景の一つであり、
櫻木先輩への想いや、
取り戻したい中学時代の自分の象徴でもあるかもしれない。
櫻木先輩のマジックがこれ以上ない形で怜士を幸せにする、クライマックのシーンには胸が熱くなりました。

登場人物の一人一人がとても生き生きした、
切なくも楽しく温かい良作です。

8

ココナッツ

Krovopizzaさま

レビュー、楽しみにしておりました。
あー、わたしも書き直したい!(^^;;

怜士のあのキレっぷりはたまりませんね。
JGbeeさまもおっしゃっていたように、元彼をボコったシーン大好きです。
先輩の手品も、おっしゃるように彼以外だったらサブイボになりそうですし嘘臭くなりそうですが、夜光さんのキャラ設定は秀逸ですね。

わたしはお葬式の先輩の必死さがたまらなく好きなんですよー。

JGbee

>てっきり失踪事件の影響で狂暴なのかと思ったら、どうやら中学時代からこんな感じだったらしい…w

う、上手い!その部分が「取り戻したい中学時代の自分」の重要な伏線になってますよね。怜士くんは自分が変わってしまったと思っているけれど、先輩と清涼にとって怜士くんは本質的には中学時代と変わっていないんだな~と思いながら読みました。それにしてもヤクザもどきの男を躊躇いなくボコる怜士くんの無鉄砲ぶりには笑わされました。短気すぎるww

お伽噺みたいな終幕も好きです。孤独な魔法使いは信頼のおける弟子を見つけて、ふたりは長い旅に出ました、めでたしめでたし。カワイイ!

好いとこ取りの作品

再読しました。ストーリー自体は重いけど、前向きな攻のおかげで精神的に引きずられるような重さではありません。夜光花先生の作品には珍しく受に感情移入して読みました。

花シリーズ、薔薇シリーズ、不浄シリーズ、凍る月シリーズを読了した時点では夜光花先生は独特のユーモアがあって性描写も上手だけど、味も素っ気もない言葉選びするせいでイマイチ切なさが伝わりにくい文章を書く作家さんだなあと勝手な評価を下していました。「不浄の回廊」を読んだ時はユーモアを殺さないために感傷を抑えた素っ気ない文章にしているのかなと好意的に解釈したんですが、夜光花先生の有名シリーズはシリアス路線が多くてシリアスな作品を読む度に「主人公に感情移入できねえよ!ちっとも切なくねえよ!」とイライラしていました。シリーズが自分に合わないだけかもしれない、単品ならどうだと手に取った「愛を乞う」がどストライクの初恋物で、「君を殺した夜」を読んでけっこう奥が深いと思い、「偏愛メランコリック」でキャラクター造形が上手いと感動してズルズル深みにハマっていきました。私はいつも単純に視点の主に感情移入するのですが、夜光花作品では感情の起伏が少続きない受視点になっているせいで上手く感情移入できませんでした。唯一感情的な「不浄の回廊」の受は天然すぎて、やっぱり感情移入が難しかったです。逆に攻は気性が激しいキャラが多くて、いっそのこと攻視点にした方が盛り上がるのではないかと思ったりもしました。

シリーズ前作「忘れないでいてくれ」の受が自発的にぷち爆発してこれは期待できそうと思いつつ、「サクラ咲ク」を読みました。初めて読んだ時は「スゴイ!今まで個別の作品にしか感じなかった魅力が全部備わってる!攻が感情の起伏が少ないタイプで、受が自発的に感情をこねくりまわして自爆してる!隙がなさ過ぎて感想が書けないんデスけど!」という感想を抱きました。

レビューを書くにあたって再読したら、夜光花先生の文章力に衝撃を受けました。とにかくメリハリのある文章です。ストーリーの大半が装飾的な表現を最少に削った三人称で客観的に語られる一方、盛り上がる場面は受がひねりのない言葉で畳み掛けるように独白して臨場感と切迫感を読者に与えます。また、語り手である受の心理描写が地の文に違和感なく溶け込んでいて読んでいて気持ち良いです。受は恋愛至上主義者でありながらリアリストであるという印象を受けました。攻や攻に関わる人物の言動に細心の注意を払い、嫉妬する自分を客観的に見つめ、チャンスがあれば逃がさず掴む受に好感が持てました。会話の台詞も間を持たせるような余計な情報が少なくていちいちすっきりしています。こういう好いとこ取りの作品を書ける夜光花先生はやっぱりけっこう稀有な作家だと思います。詩的な表現が多い作品や翻訳物っぽい作品は苦手だけど、ロマンチックな恋愛小説を読みたい!という方にオススメです。

10

Krovopizza

JGbeeさま、コメありがとうございます~!

そうですね。辛いことがあっても人の本質はそう変わらない、過去も含めて自分自身を受け入れる。
的なテーマが前作から受け継がれているように思えました。
昔の自分みたいだ、と清涼が怜士を心配するシーンが好きです。

JGbeeさんは夜光作品を相当読み込まれているとお見受けしました!
文章のメリハリ、キャラ造形など全てのご指摘が鋭くてすごいな~とv

>お伽噺みたいな終幕
最後はロマンティックに締めるところがいいですよね!
花吹雪先輩の魔法使い宣言にもしやDT?とビビったんですが
ちゃんと紳士でよかったよかった☆

なんとも言い難い読後感!

読後すぐなので、なんだかうまくまとめられない感じですが
(いつもですけども)
何か言わずにいられなくなってしまってPCに向かっています。

正直、あらすじを見た時に「…重いだろうな…」と思いました。
それゆえ、購入してもさっと読めず
今ごろになってしまったという事情がありまして;
そもそも夜光さんの作品は往々にしんどいタイプが多いのですが。
いつまでも温めてちゃいかんなぁとようやく読ませていただきました。
(これは私個人がそうだったというだけですので;)

途中まで読んでいても、覚悟したとおりやっぱり明るい作品ではなく、
どんどん暗く重くのしかかって来ました。
櫻木先輩は誰からも好かれるような憎めない人だというのに
他人の機微にも疎くて、その真意も掴めない。
自分にとっての一番だなんてまったくわからないという変わった人物。
怜士は過去に失踪して当時の記憶が全くなく、
ゲイなのに彼氏にも触れられることを拒んで殴ってしまう男。
でも櫻木にずっと憧れを抱いていた…。

この二人がどうやって気持ちを重ねていくのか心配な部分もありました。
ある条件を提示続きして抱かれることを望んだ怜士の戸惑いと興奮に
こちらがそわそわしてしまうという現象がw
なんか萌えとは違うような気もしないでもないというか…。

怜士の過去と、最悪の結果を予想しても復讐を決める姿に
これはBLだよ…そう、ボーイズラブだよ…と自分に言い聞かせてしまうほど
気持ちが張り詰めました。
意外な怜士の行動に「……えーーーーー!!!???」となり、
救ってくれた櫻木先輩のマジックで
涙腺決壊いたしましたよ……。
これはもうそのタネ明かしとか関係なく、
「そこきちゃいますか!!!」って
しばらくボーーーーッとしてしまいました。
櫻木先輩はどのへんで怜士を大事に想ってくれてるの?
ただ好奇心が強くて知らない事を知りたいだけなの?って
思いつつ読んでいましたが
ちゃんと怜士を特別な愛で大事にしてくれていて感動しちゃいました!
魔法が使える、呪いも解ける、怜士ただひとりの愛する人。
決して離れることなく明るい未来を生きて欲しいです。

さらにあとがきでは
『忘れないでいてくれ』の挿絵をなさった
若くして亡くなられた朝南さんへの想いがつづられていて
尚更胸が締め付けられました。

はー…。遅くなってしまいましたが読めて本当に良かったぁ…。
もっと夜光さんの作品を読みたいです!!!

6

幸せになって欲しいな

夜行さんの作品なので、痛いところがあるのは了承済みでした。
こちらでレビューを読み、櫻木先輩はわたしの好きなタイプの攻めだと確信し、こちらを読むために前作の「忘れないでいてくれ」も読みました。

受けの怜士は高1の春に3ヶ月行方不明に。
本人もその間の記憶がない。
それだけでもヘビーなのに、接触恐怖症。もちろん写真や体を重ねることもNG。逆上し殴ってしまうことも。
そして中学時代告白までした憧れの先輩が、攻めの花吹雪先輩こと櫻木です。

攻めの櫻木は魔法使いになりたいという、一風も二風も変わった男。
見目麗しく、お金持ち、学生時代から人気者と三拍子揃っています。
しかし、魔法使い発言でもわかるように変わってます。
発言も行動も何もかも。

怜士にはゲイだと自覚はあるものの、接触恐怖症のせいでなかなかパートナー探しがうまくいかない。
そんな時に中学卒業以来会っていなかった櫻木と再会します。

櫻木の設定はかなり突飛ではあります。
が、夜行さんの文章で生き生きと表現される櫻木はとても魅力的です。
櫻木は、怜士が自身でどうにも解決出来ない過去とトラウマを抱続きえていても一緒にいたいと思わせる、説得力のあるキャラ設定だと感じます。
櫻木が普通の人だったら、怜士もここまで悲惨な過去を持ちながら諦めずにいられたかなぁと感じるので。

周囲に櫻木が「魔法使いになりたい」と言っても「先輩がまた言ってる」といったていで流されている時も、怜士だけは真剣に受け止めています。
それは怜士の心の時間も事件が起きた、ピュアな子供時代に止まってしまっているせいなのかもしれません。

ある意味櫻木は無欲で流れに身をまかせている部分があると思うのですが、怜士がまるで子供のようにピュアに櫻木を信じ、魔法使いを信じていることが彼の中で怜士が一番になったきっかけだったのかな。

怜士が過去に対決するシーンは、「やっぱり夜行さんの作品だなあ」と感じる痛みがありました。
涙が溢れてきました。
怜士の最後の決断に。
母親の女の勘も見事でした。
犯人の行動によって怜士本人はもちろん、家族も痛みを抱えながら生活してきましたが、それが落着して本当に良かった。

前作では櫻木は怜士の同級生である清涼に催眠術をかけましたが、この清涼達も登場します。
ちょい役でなく、かなり絡みがあります。
なので、やっぱり前作を読んでおいた方が楽しめます。

お恥ずかしながらかなり泣きました。
好き過ぎてレビュー書けないかも…とも感じた作品。
なんだか自分の書いた物を読み返しても、1/3も感じたことを表せていません(汗
二段組のノベルズですが、長さは感じませんでした。
もっと長くても良かった。

そして朝南かつみ先生の美しい挿絵で読みたかった、残念です。
でも、この桜色の表紙もすごく美しいです。
ぜひ、続編を読みたいな。

8

yoshiaki

ココンッツさま

この本お勧めいただき、ありがとうございます。
この作品、私もかなり好きでした(*‘ω‘ *)
櫻木がマジックでハムスターや花を出して見せるだけで、なんだかドキドキ。
恋愛には鈍感だけど、怜士の痛みに寄り添おうとするやさしさも素敵だな。
怜士もいいけど、やっぱり櫻木が好きですね、私は。
櫻木がココナッツさんの好きな攻め殿堂入りしちゃった理由、よーく分かります☆彡

Krovopizza

こんばんは!

私も先輩が初めて怒った顔を見せるシーンに
おおっ!となりました。
マイペースな先輩も、怜士の天然の無鉄砲さには
結構振り回されているのかなと思うと萌えますねv

ココナッツさんが書かれていたように
朝南かつみ先生の挿絵付で読めなかったのが本当に残念!
朝南画の櫻木先輩や怜士はさぞ美しかったことでしょうね。

ココナッツさんの紹介のおかげでこの素敵な作品に出会うことができました、ありがとうございます(≧∇≦)

マイペース人気者攻×トラウマ受

元々、作者の夜光花を作家買いするほど好きですが、
更にトラウマ受で大好物ですね。

高校時代に行方不明になった間の記憶がない怜士。
写真を撮られたり、人に触られたりするこが苦手でセックスもできない。

そんな時、行方不明になる前の中学時代にあこがれてた櫻木と再会して、恋心を募らせる。

そんなストーリーです。

トラウマもの受には包容力のある攻でしょ~!って思いますが、
なんだろう…。櫻木先輩、包容力…あるようなないような。なんか、のれんに腕押しっぽい感じの人です。博愛主義というか。
受が記憶を取り戻すのに脅えてるときも「ガンガン行こうぜ!」(笑)で、記憶を取り戻すのに積極的。
でもそんな先輩でも好き。っていう作者曰く櫻木信者の受です。
しかもトラウマになった事件思いだしてからの、復讐一直線っぷりはぷっつんキャラですね。
私はそこが面白いと思いましたが。

復讐しようとして、乗り込んだ先での、展開に思わず泣いちゃいました。

受の記憶喪失の間の事件は、まぁ、今の症状から推測した通りの、ガチでのトラウマものなので、苦手な人は苦手だと思いますのでご注意続きを。

7

花吹雪せんぱーーーい!?

イラストのないカバー、箔押しの題字、もちろん中にイラストは一切なく。
そっか、、、『忘れないでいてくれ』のスピンオフ、そう朝南かつみさんへの追悼の意味もあったのですね(涙)
読んでいる間、自分で勝手に頭の中で朝南イラストを想像して、きっとこのシーンにはこんなイラスト、主人公たちはこんな、あの人たちは・・・とそんな空想も働かせて読みました。

前作はサイコメトラーの清涼と刑事の秦野が主人公でしたが、その中でも脇であった迷彩服にサングラスを外さない金持ちの不思議な男・塚本とその恋人・占い師の黒薔薇。
そして名前しか出てこなかったけど清涼に催眠術をかけたという花吹雪先輩!
この脇役がとてもとても気になる存在感をかもす作品だったのを覚えています。
そして今作はその花吹雪先輩がフューチャーだったのでした(もちろん”忘れないで”メンバーも登場・・・黒薔薇さんはいませんでしたが←別れたらしいw)

ここでびっくりしたのは、花吹雪先輩はニックネームだったということ(笑)本名は櫻木拓海でマジックで花吹雪を散らすからそれでついたらしいwそして清涼も本名は大輝だったと!?

主人公と視続き点は、高校1年の春に3ヶ月突然失踪しその間の記憶を無くし、それ以来人生や性格が変わってしまった早乙女怜士です。
彼は中学で花吹雪先輩と一緒になり、彼にあこがれ好きになり、卒業のときに告白して玉砕しております。
そんな彼が、偶然以前付き合おうとしていたあまり評判のよくない男性を仕事で追っているという花吹雪先輩と再会したことで、彼ともう一度縁ができ、そして先輩の人の良さから彼の家にしばらく居候することになります。
過去のトラウマから人に触られるのが大変に苦手な怜士、本人はゲイだと思っているのですがいざ行為に及ぼうと触れられると逆上して相手を殴ったりと拒否してしまうのです。
先輩を好きな気持ちと、過去のトラウマと。
そんな怜士のトラウマを知った先輩は彼を何とか助けてあげたいと画策するのですが、それは怜士にとって非常に辛いことでもあり、彼はある条件を持ち出します。
という具合に展開しながら、怜士の過去が明らかになっていきます。

もうですね!!花吹雪先輩、この人がイケズで鈍感で、いい人なんだけど人を思いやる優しい気持ちはあるんだけど、気持ちの機微というのに滅茶疎いんです!!
当人、魔法使いになりたいというくらい、そしてひょうひょうとした自由人。
こういう男、たちが悪いです。
読んでいて気持ちは怜士にのめり込みます。
もう切ない、切ない。
先輩が、怜士を何とかしてあげたいと清涼(大輝)にあわせて面談させたいと言ったときの怜士の決死の覚悟の取引条件。
そのエッチシーンが、切ないやらエロいやら。いや、切ないからエロいのか!?
結構読み応えがあります♪
「男とはありえないよ」と言いながら、結構興奮気味でしっかり怜士を抱いた先輩なのに、それでもまだ「ありえない」
もう、この男ダメだよ、怜士かわいそうと滅茶感情移入しまくりwww
でも、その後の展開にそうか~この人はポジティブすぎるから、ネガティブな感情を知らないんだ!
それを与える人物というのが、彼の感情をゆさぶる人物なんだと、そういう方向へ持っていったのか~と思ったのですが
やはりラストは自由人らしい先輩でした(笑)

この作品も、結構重くて苦しいものが題材にあります。
しかし、物語の展開や登場人物への興味など吸引力が半端なく、突っ込みも忘れさせてグイグイと自分を物語の中へ引き込んで行きました。
主人公に自分を同化させて一緒に一喜一憂して、と、そういう体験をさせてくれるのはこの話が面白かった証拠だと思います。
花吹雪先輩のキャラクターが立ちすぎていて、一時心配になりましたが、無事収まってくれてほっとしましたw
自分も追悼の意を込めて、そして二段組なのに、全然苦痛にならないテンポのよい展開にちょっと甘目ですが「萌え×2」の評価をしたいと思います。

7

失われた過去を取り戻す

「忘れないでいてくれ」のスピンオフ、イラストが無いから、朝南かつみ先生の
イラストを思い出しながら読むと感慨深いものがありました。
「忘れないでいてくれ」の人の記憶を消す事が出来る守屋清涼の悲しい記憶を消した人物
前作では名前だけの登場だった催眠術を使う花吹雪先輩がいよいよ姿を現します。
気になる存在だったので印象に残っていたのですが、今回は主役です。
そして受け様は前作の受けで、能力者の清涼の同級生なのです。

内容は、受け様は高校生になりたての頃に3か月行方不明になっていて、
その時の記憶も無くして、ある日突然帰って来た過去があるのです。
まるで現代の神隠しのようだし、前作のスピンオフだと考えれば記憶を消されたのか?
なんて想像してしまう、それに受け様の接触拒否症を考えると下世話な想像をします。

そして数年たって大人になった受け様は、ゲイだと自覚しながらも、接触恐怖症で
誰とも肉体関係を持つことが出来ないのです。
そんな時に、3か月ほど付き合った元彼の事を調べている憧れていた先輩である
攻め様と再会することになります。
そこで元彼がレイプ事件の関係続き者であり、被害者に頼まれた攻め様が証拠の写真を
始末する為に動いている事を知り、事件の無いように怒りが湧いた受け様は
攻め様を手伝い、そのせいでトラブルに巻き込まれるが、攻め様に保護される。

この攻め様の変わり者ブリが浮世離れし過ぎている感じなんですよね。
博愛主義で魔法使いになりたいなんて本気で考えているような天然系なので、
空気を読めないニブさもありながら人を惹きつける魅力もある。
受け様は再会してからも、攻め様が好きなことを自覚し、初めは攻め様の近くに
入れる事が嬉しいだけだったのが、次第に攻め様の優しさや、過去の友人に対する
嫉妬などを感じるようになると、本気の恋心が爆発寸前。
そして、攻め様が受け様の失われた過去に好奇心を持っているような感じで
記憶を取り戻そうと言う言葉に、受け様は自分の事なのに、取引を持ちかけるように
抱いて欲しいと懇願しちゃう。

結局は抱かれても、攻め様には誰かと付き合うとかこの人が大事なんて感覚が欠如してる。
いくら好きでも絶対に叶わない雰囲気の中で記憶を取り戻す受け様。
過去を取り戻した事でその過去を清算する為に無謀な計画をしようとする受け様。
過去を失くした受け様の心の再生と深く人と係る事をしなかった攻め様が初めて
恋を知り、恋愛的な苦しさを感じる内容でもありましたね。
受け様にとっては、攻め様は本当の魔法使いだったのかも知れないなと思える感じでした。
記憶を取り戻す手段とその後の二人をサポートする形で前作の主役たちももちろん
参戦してくるので、前作と合わせて読みなおすと一層作品感が膨らみますね。

8

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