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書店で著者名と表紙を返す返す見直して
深呼吸する事数回。
もしかして表紙に騙されてしまうのかもな
どうしようと逡巡しつつ読み進めましたが…、
実に良い読後感でした。
正直、レディースコミック誌に描いていた頃の
この方とこの本の著者が同一人物だと
前知識なしに言われたら、評者は信じません。
恋愛の先の選択肢がほぼ180度違いますから。
それ程までにこの一冊には甘く軽やかで、
そしてしなやかな展望と希望が詰まっています。
ただ一人の脇役を除いては皆さんそれなりに
幸せで締めくくられるこの一冊。
ちょいと照れ臭いですがささくれた気分に
対する頓服になりましょう。
全体的にラブ度の高い短篇集。
4組のカップルのお話が入ってます。社会人カプ祭り。
深井さんの持ち味の一つである、痛い系の展開は今回は抑え目でした。
個人的には4組目のカプが一番好きです。ツンデレ関西弁攻め美味しいv
◆【光降る朝】前/後編 +描き下ろし【お泊まりの夜、初めてきみと】
子連れの漫画家(イラストレーター?)×郵便配達員。幼なじみカプ。
攻の子どもが事故にあったり(命に別状はなし)、血のつながりの話だったり、
本作中一番シリアス色強いお話。
最後は、受けが攻めの過去や子どもを含めて受け入れる決意を見せ、三人で幸せに暮らしていけそうな、タイトル通り希望の光あるラストです。
描き下ろしは、子どもがお泊り会に行き、2ヶ月ぶりに大人のお泊り会決行の二人。
受けの大コマのバックショットがインパクト大ですw
盛り上がりつつも、やっぱり子どもが出かけて寂しい二人と、帰ってきた子どもの
三人の歯ブラシの並びにほんわかするお話でしたv
◆【先に言ってよ】
電気メーカー勤務×コンビニ店員。
ノンケだった攻めに告白して付き合い始めた、ラブラブな二人。
ある日、攻めの見合い話を知った受けが身を引こうとし…という話。
かっこよく優しい攻め×ちょっと抜けてるけど一途で乙女な受けで、
最高にラブ甘なお話でしたv
◆【雨がざあざあ降ってきて】
↑のコンビニ店員の同僚×リーマン風の男性(ストーカー?)
攻め目当てにコンビニに通っていた受け。攻めにそのことがバレ、コンビニに来ることがなくなります。
会えなくなってから、攻めが自分の気持ちに気付き、会いに行く…という展開が急な感じもしましたが、それまでの少ないやり取りの中で惹かれ合うものがあったのかなと脳内補完。
最後の絡みは、脱いでから名乗り合う二人とか、ウブい受けに萌えてる攻めとか、
エロさはないけど初々しくて可愛かったです。
◆【よく見りゃわかるはずなのに】
ツンデレ関西弁×標準語のリーマンカプ。高校の頃付き合っていた二人の再会愛。
受けは本社から関西支社に異動になり、攻めと再会。
根は優しいが言葉がキツイ攻め。
当時はそのキツイ言葉から誤解が生じ、離れてしまいましたが、互いに未練があり。
同僚に陥れられた受けを、攻めが助けに来たことがきっかけで、
当時のわだかまりが解け、最後はラブラブになります。
関西弁でデレる攻めは破壊力大で、
デレられ慣れてない受けとの照れ合いに萌え萌え(*´▽`*)
(受けを陥れる同僚は、計画の詰めの甘さ、二人がくっついた後の退場の早さなど、悪役なのに何か不憫な存在でしたw)
絡みのシーンは、見せ方がうまくて、短い割に満足度高めでした。表情やアングル、汁気、足腰の肉の付き方など、部分部分がエロイv
どのカプも幸せそうで、ほんわかラブ甘な気持ちに浸りたいときにぴったりな短篇集だと思います。
全体に、ラブ度高め、エロ度は温め。
ダークな心理戦や、鬼畜な陵辱展開とも無縁。
かといって、ほのぼのなだけの恋愛未満でもなく、
大人がちゃんと恋し合って、愛し合って、
泣いたり、笑ったり、
BL初心者さんでも安心して楽しめる、過不足のない短編集。
絵も、伏し目涙目が色っぽくて、体格体型もすんなりきれい。
エチシーンもアングルや効果トーンの扱いが上手いので、それなりにしっかりエチしていても、不自然なボカシが目に付いたりしない。
ある意味パーフェクトすぎて、インパクト薄いけど、萌は上々です。
全部で4編収録されてます。どれも比較的ほんわか甘く、希望に満ちていて読後感もいい作品が多いので、深井さんの中でも甘々の一冊だと思います。
注:あくまで深井さん作品にしてはという意味です。陵辱されたり、第三者に強姦されたりヘビーな過去持ちもいないということでそう感じるのであって、糖度100%系という意味ではないのでご注意を。
表題作【光降る朝】
こちらは「コールミーダーリン」という本の中の【光追う夜】の続きです。
でもそっちを読んでなくても意味が通じるので、この作品だけでも大丈夫です。
というか、私は【光追う夜】で「お前のことが嫌いなら見合い断ったりするもんかー」と篤が言ってお互いの気持ちが判りあったもんだとばっかり思ってたんだけど、この【光降る朝】でもまだ篤が素直になれていなくて、あれれ、まだこの段階なのか…と初読み時には思いました。
篤は自分はずっと凛太のことを忘れられなかったのに、12年ぶりに(これは前作情報)故郷に戻ってきた凛太は離婚間近とはいえども結婚しててしかも子持ちになっていた。ここがどうしても引っかかる篤。
多分、【光追う夜】でも子連れで戻ってきた凛太という設定にモヤモヤした方もいらっしゃるかと思うけど、本作ではそこの事情が全てはっきり明かされているのでモヤモヤ感も完全に消えると思います。
前作が【光追う夜】というタイトル通り、蛍や夜といった情景が多くてちょっと密やかで秘められたイメージの作品でしたが、こちらはそれと対をなすかのように、真実が明らかになって晴れやかな読後感を得られる作品です。
【先に言ってよ】
私はこれが一番好き。
別れを決意して、恋人の置き荷物やら思い出の品やら家電やらをせっせとゴミ捨て場に運ぶ男のお話です。
3年付き合っている恋人(攻め・元ノンケ)に見合い話が舞い込んできたことを知った受け。出かける間際でバタバタしている攻めが「帰ってきたら話し合おう」と言って去って行った後、もう潮時だ…と受けは思い込み……。
蓋を開けてみればただの誤解で、なんともほほえましい二人で好きです。早合点は禁物だね、と。
【雨がざあざあ降ってきて】
「先に言ってよ」に登場した受けのバイト先であるコンビニが舞台です。世界が繋がってます。
コンビニ店員と、毎週必ず水曜日と金曜日にやってきて彼を見つめ続ける塾講師のお話。さらりとしたお話だと思いますが、塾講師が純情ヘタレ受けだったところが可愛くて美味しい。
【よく見りゃわかるはずなのに】
高校生時代につきあって別れた相手と社内で再会というお話。お互いに誤解を抱いたままなんだけど、更に嫌われるのが怖くてそれ以上近づけなかった…でも忘れられないという相手。
一見口が悪くて強気な攻めが、実はこっそりずっと受けを追い続けて同じ会社に入っていた…という構図が好きでした。
表題作と、2つ目に入っている「先に言ってよ」が好きです。
これからずっと一緒にふたりは楽しく暮らしていくんだね~と思わせる終わり方で、
あたたかい気持ちになれます。
そういえば、この「先に言ってよ」、
去年の春にたまたま買った雑誌に載っていて、すごく気に入って何度も読んで、
置き場がなくなって雑誌を処分する時には、勿体なくてバラしてとっておいたお話でした。
なんだか、懐かしい。
そして久しぶりに読むと、やっぱり好きだな~。
「先に言ってよ」
付き合って3年のふたり、変わらず仲良くやっていたのに、
攻めが受けに内緒でお見合いを受けるのがバレて、
攻めはそのまま「その話は帰ってから」と出張に行ってしまって、
受けが別れを決意しながら引越しの準備を進めているお話。
電気メーカー勤務の攻めがくれた家電を、ゴミステーションに運びながら、
それをもらった時のことや出会いを思い出す姿が、切ない。
過去に思いを巡らせながら受けが何度も繰り返し思うのは、恨みの言葉なんかじゃなくて、
「優しかったな、あのひと」。
じーんときました、攻めと一緒にいて、受けはほんとに楽しくて幸せだったんだな・・・
そんな受けに、
予定より早く出張から帰ってきた攻めが「先に言ってよ」な事実を告げて・・・
相手を想う強い気持ちは一方通行じゃなかった!ということがよく分かる、攻めの言葉にきゅん♡
結構ありがちな話かなぁとも思うけれど、
大きめワンコのような受けの可愛らしさと、話がうまくギュッと詰まっている感じが好きです。
表題作は、
ふたりだけじゃなくて、子供も一緒に3人で・・・というお話。
バツイチ子持ちだと思っていたら、実は子供と攻めは血が繋がってなくて、
でも、親になるという決断をした時の攻めの苦しい気持ちは、きっとゲイゆえ。
ちょっと色々考えさせられるものがありました・・・。
シリアス要素もありながら、子供がやんちゃで湿っぽさは適度w
深井さんはお母さんなのかしら?
子供の言うことやることが妙にリアルな感じで面白かったです。
あとのふたつのお話は、
途中で、え?そういう展開?そんなこと思ってたの??となって、ちょっと意外でした~
でも、全体的にほのぼの系かな。
あたたか~い気持ちになりたい時に読むのがいいかと♪