• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作魔王と誓いの口づけ

ネロリ・魔王の三男坊なのに王位継承者に指名される
ティエン・ネロリの専従の執事

あらすじ

ティエン、好きだよ。俺の心臓が動いている限り、ずっとだ

高位の悪魔にとってキスは特別な意味を持つ。
そのため専従執事のティエンに戯れにキスを迫っては、全力で諫められるネロリだったが…。

面倒を嫌い自由を愛するネロリは、魔界の第三王位継承者の立場を顧みず、人間界で放蕩三昧。
たまに城に帰っては、自分に想いを寄せる専従執事のティエンにちょっかいを出していた。
口説けば初心な反応を示すくせに、どこまでも従者であろうと必死なティエン。
そんなティエンを愛しく思うネロリだったが、のっぴきならない事情から急遽王位を継ぐことに。
しかし、それを面白く思わない者たちから命を狙われ、その標的はティエンにも及んでしまい――。

作品情報

作品名
魔王と誓いの口づけ
著者
海野幸 
イラスト
琥狗ハヤテ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
駄目ッ子インキュバス
発売日
ISBN
9784576130217
4

(20)

(7)

萌々

(7)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
81
評価数
20
平均
4 / 5
神率
35%

レビュー投稿数4

悪魔の恋愛

悪魔もの「駄目っ子インキュパス」のスピンオフです。
海野さんの作品は、
作者さん買いをさせていただいているのですが、
毎回楽しませていただいています。
しかも、今回は、ついついウルっとしてしまいました。

魔王の三男坊、ネロリは、自分は魔王を継がなくてもよい
楽な身分で、悠々自適に生きているのですが、
まさか、自分が継がなくてはならなくなりました。
自分の執事ティエンは、そんなネロリが
魔王になれることを自分のことのように、
喜びます。
ティエンは、傷ついて瀕死の状態なときに、
救ってくれたネロリを慕っており、
ネロリに恋をしています。
ネロリもティエンが自分を好きだと感じていることは
気づいており、自分もティエンのことを好きだと
感じる一方で、悪魔の一生は長すぎて、
千年先までティエンのことを好きでいるかと問われると、
そんな自信は無いと言います。

そんな関係の中、
ネロリが、魔王を継ぐことになります。
継ぐにあたり、問題なのは、
一度ネロリの魔力を消失させることになるという
ことです。その魔力が減っている状態で、
ネロリが魔王を継ぐことをよしと思わない悪魔たちに、
狙われたら、ひとたまりもありません。
ティエンを狙われることも考えられ、
何とか守りたいと思っているところ、
やはり、狙われて。。。

という展開です。

自分が常に守る存在だった人を守れないと気づく切なさ。
自分が、いつも守られてて、足手まといになる
ことの辛さ。

とても、ぐっときました。

このシリーズ、これからも読みたいです!

4

ドラゴンの涙にウルっと

『駄目っ子インキュバス』のスピンオフ。
前作の主人公クライブ公爵の友人として登場していた魔王の3男・ネロリが主人公の本作ですが、全然本編だけでOKですよ♪
海野さんのファンタジーは、総じて簡単でわかりやすく読みやすいかもですね。
この作品もしかり。
意外性という部分は前作に比べてもちょっと薄いのかもしれないのですが、主人公が腹をくくるほどに大切な人を得るという過程を見せるには説得力がある、なかなかにいいお話でした。
不覚にも、クライマックスのもうダメかも!?というシーンで何故か胸が締め付けられて涙出そうになりました(驚)
普段鬼畜な傾向の自分が、、、ちょっと最近涙腺弱いのかなw

魔界を仕切る魔王の3男ネロリは自分には王位を継ぐのは兄が二人もいるし、関係ないと思っていたところ、なんと!次の王位継承者は自分であり、もう魔王は引退をするということを告げられます。
長兄は人間に魔法陣で呼び出されて契約をしてしまい、次兄は天使と駆け落ちを、ということでネロリに順番が回ってきたのです。
父王から後を継ぐために嵌められた2つの腕輪。
6日かけて魔力を吸われ7日目に魔王の魔力がネロリに注入されるという代物。
すぐさま、7大公爵達が呼び寄せられネルリの後継発表がされるのですが、
日頃あまり魔界におらず自由にしていたネロリを心よく思わない輩が、魔力の弱まりをついて襲ってくるのですが・・・

筋立てはこんな感じのものですが、ここに重要な人物・ネロリの専従執事であるティエンが絡んできます。
他の兄たちの執事と違って、ティエンはネロリ自らが拾い自分付きにした執事。
彼は自分の命を救ってもらった恩もあり、ネルリの世話もですが彼が城内でそそうをしないように見張ったり注意したりする口うるさいオカンでもあります。
そんなティエンがネロリは大好きです。
日頃から口説いてはいるのですが、キスはできません。
というのも、それによって運命共同体になってしまうという呪いもあるからです。

そんなひょうひょうとしたネロリの愛情が、しっかり確かな失いたくない
運命を共にする、キスしてもいいほどの相手になるという過程が今回のこの物語なのでした。
その対比として、前作のクライブと淫魔のタキの存在が出てくる、またネロリの唯一の心やすい味方としての友人として登場するわけです。

ティエンは思い切り健気です!彼の姿に胸を打たれるものがあります
きっとすごく美形とかかわいいとか、外見に対する表現はないのでとりたてて目立って何かあるというわけではないのでしょう。
彼の本当の姿は琥狗さんイラストは見事に描かれていたと思います!
やはり人外は琥狗イラストですね♪
そしてネロリは、腐っても鯛、という言葉があてはまるのかどうか、やっぱり魔王の息子だけあって賢いのです。
日頃つかみどころのない、やんちゃで甘えん坊で曲者風な言動をしていても頭がいい。
そんな彼が本気を出した姿は、まさに魔王にふさわしいと思えました。
彼はひょっとするとワンコ風味なのかもしれないですね。
全体を通してかなりカッコイイやつでしたよ。

目新しさはないお話展開ではありますが、おとぎ話風のまっとうな愛情物語として大変に読みやすく、あまりトンチキも感じずに素直によかったな~と思える作品だったのでは?と思われます。
ひょっとして人間と契約したお兄ちゃんとか、駆け落ちした次男とかの話が続篇になるとか・・・あるのかな?(笑)

6

やけに人間臭い魔王と従者

スピンオフ作の今回の内容は前作の攻め様の自称友人だった魔王の三男が主人公。
それも三男の気楽さで人間界を行ったり来たりしているからなのか、元からなのか
妙に軽薄な雰囲気を醸し出している自由気ままな攻め様が、現魔王の危篤を受けて
魔界に戻って来る、この設定も私自身の中にある悪魔像とはかけ離れているのです。

更に魔王になる予定だった長男は人間に召喚されその人間が死ぬまで傍にいる、
次男は天使と駆け落ちしてしまい、危篤の魔王の跡継ぎとして三男の攻め様にその任が
回ってくる事になり、そこから魔王の魔力を引き継ぎ次代の魔王になる為の試練と共に
攻め様が拾ってきた従者の受け様との恋愛を絡めて描いたファンタジー。

魔力や翼があるからファンタジーだと解るけれど、全体的には本当に人間みたい。
恒久の時を受け様だけ愛するなんて誓いは出来ないと、100年そこそこの寿命の
人間でさえ、生涯愛する約束を守れないのに、これから千年万年、恒久の時を生きる
悪魔が生涯の約束など出来ない、受け様を拾った時に受け様だけには嘘を言わない。
そんな約束をしたことから、互いに好きなのに交わらない。

受け様は生涯自分だけを愛することが出来る事が前提で、攻め様は人間界での暮らしが
長かった影響なのか、先の見えない約束を守る自信がない。
誠実だと言えばそうかも知れないし、軽薄気味とも感じられる攻め様。

受け様の拾われてからの健気で一途で攻め様が全てだと言う思いが読んでると
ヒシヒシ伝わってくるんです。
それに、初めての出会いの場面での受け様の本来の姿が竜で、攻め様に助けられ、
攻め様がその時純粋な助けをしたのでもないのに、大粒の涙を流す竜の姿の受け様に
言いようもない程萌え萌えしちゃいましたね。

魔王になる為には1度魔力を全て空にした状態になるのですが、そんな時期を狙い
反乱を起こすあたりはやっぱり悪魔さんって感じでしょうか。
後半では攻め様がギリギリまで追い詰められて、それでも受け様だけは守れると
信じているのですが、実際には庇われ、受け様の身に大変な事が起こってしまう。
その時になって攻め様は自分で思っている以上に受け様が大切な存在だと気づく。
いつも傍にいるのが当たり前で、目の前から無くなるなんて事を考えてもいなかった
攻め様の後悔と苦悩と自暴自棄になってしまうのではという時に前作の攻め様もやって来て
ハッピーな展開に持っていくようなストーリーでしたね。
1本芯が通っているようなファンタジーだったように思いました。

2

『時間』がテーマのお話であると思ったんです

『駄目ッ子インキュバス』がツボにはまったので、スピンオフのこちらも続けて読破。個人的趣味では前作の方が好みですが、こちらもなかなか。真っ向から涙腺を突いて来ます。
ってか、ティエンの本当の姿が『魔力の弱い巨大な竜』で、ちょっとばかり『犬っぽい』のは(良い意味で)ダメでしょう!「狙ってんの?(鼻水をすする音)」という感じでした。

前作でクライブとタキの間をかき回し、なかなか良い仕事をしてくれたネロリとその従者ティエンが主人公。
『安定している関係を壊すことが趣味』と言われていたネロリですが、自分の気に入ったものにかける愛情は実に安定していました。人でなし(悪魔だけど)じゃなくて良かった(笑)。

ネロリは魔王の三男坊ですから、あまり責任もないだろうということでふらふら自分のやりたいことだけやっていたんですよ。ひょんなことが重なって、魔王の座を継がなければならないことになってしまいます。おまけに、自分がかつて拾って来て側に置いていたティエンが、自分の器をずっと信じてくれていたことを知って本気を出すところなんかは、いじらしい。

ティエンは口うるさいふりをしていますが『ネロリ命』の健気っ子です。
ネロリはティエンが心の底で『永遠の愛の約束』を欲しがっていることを知っているのですけれど、それを決して口にしないんですよ。悪魔の永遠は本当に永遠なので。千年後はどうなっているか解らないから。

魔王の力を継ぐためには、一旦自分の魔力をゼロにしなければならなくて、ふらふらしていたネロリが魔王になることに反対している勢力に命を狙われます。
で、大切にしているものを失ってしまって気づくんですよ。

その時のネロリが気づいたことって『一瞬と永遠とは一続きのものである』ってことなんじゃないかと私は思うのですよね。前作同様に『時』について書いてある様な気がしました。
長さではなく強さが問題なんだと思うのです。
特に恋の話ならばこそ。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP