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かなり前の三冊予定だった『いのせんと・わーるど』を二冊にして新たに出された物ですが、古臭い感じはまったくしませんしとにかく読ませます!
タイトルもこちらの方がしっくりきます。
かわいさんの硬い系作品がお好きな方は、『贖罪』との二冊同時購入がお勧めです。
まるで一般小説のようでした。
読むのは大変で再読はしばらく無理ですが、かわいさんのすごさを再認識した作品でした。
受けの伊能は七年前に事故で亡くした親友・渡瀬への想いをずっと抱えている、大阪地検の検事。
『落としの伊能』と呼ばれる程仕事は出来るが、渡瀬の死を自分の責任と感じ熱さを失っている。
攻めの野々宮も検事で、以前の赴任先でのトラブルで大阪地検へと移動してきた、亡くなった父親も元検事だった男。
渡瀬に学生時代可愛がられいたせいで、伊能とも知り合いだった。
渡瀬の死からずっと疎遠になっていたふたりが、野々宮の移動で再会する。
伊能は野々宮が目の前にいることで否応なく渡瀬を思い出してしまうし、野々宮は渡瀬に囚われた伊能を楽にしてやりたいと考える。
ネタバレなし設定なので詳しくは書きませんが、伊能の心が擦り切れてそれを野々宮が救うシーン。
ここが『原罪』のキモかな。
はじめ小さな事件かと考えられ終了されてしまった野々宮担当の事件が実は大きな絵の一部であったという展開や、それに関わってくる刑事や裏社会の男がとても良く読み応えがあります。
視点も複数人の中で変わるので、事件を理解しやすいです。
BLの直接描写は今の本の過激さと比べものにならないくらい薄いですが、感情の機微が細かく描かれるのでかえってこのくらいの方があいました。
電子書籍で購入。
挿絵なし、あとがきあり。
久しぶりに読み応えのある人間ドラマを読ませていただきました。
「神」評価です。
なんでしょう。
初出2000年ということなので20年前の作品。
古さなどは、気にならずに読み進めることができましたが、やはり、ここ数年のBLトレンドとは違いますね。
じっくりと読ませる作品です。
最近、軽く楽しめるものばかり読んでいましたが、私、こういった雰囲気が好きだったんだなとしみじみ思い出しました。
最後の顛末まで書いてもらいたい気がしましたが、あの終わり方でいいのかもしれません。
10年も前の未完の作品だそうですが、今回は2冊で完結になるということで読んで見た。
大阪を舞台にしているので、10年も過ぎれば描写される景色は変わっているけれど
左程違和感なく読めてしまう、逆にどこかモノクローム的な雰囲気であっている。
旧作を読んでいないので本当に更状態で読み始めるが、個人的にはシリアスで深層に何かを
訴えかけるような作品はあえて避けていたのですが、最近はその傾向の作品が多く出版され
自然と読む回数も増えてきたので、今回は避けることなく読み始める。
互いに検事で大学時代のある一人の人物を介在しての先輩後輩の仲である二人。
7年ぶりに同じ大阪検察庁で働くことになっての再会。
舞台が検察なの様々な事件なども背景にあり、浮ついた恋愛小説な面は見当たらない。
受け様には長く親友として側にいた男を事故で失ってしまった過去がありその相手が
攻め様と仲が良かった事から大学時代に間接的に知り合う事に。
受け様にとって亡くなった親友は検事の道を志す道標のような存在で、
尚且つ胸に秘めた思いを抱く相手で1度だけ身体の関係もあったが、一緒に行くはずの
旅行で受け様がいかなかった時に一人で北海道へ行った親友は交通事故で亡くなる。
その日から受け様の心には空洞と虚無、そして拭いきれない後悔が心に巣食っている。
受け様と親友の事を間接的に知っていた攻め様は、再会した受け様が未だに7年前の
出来事を引きずっているように思えて、その苦しみを取り除いてやりたいと思うように
受け様は一人亡き親友に対して罪の意識を常に抱えていて、いつしかその思いで自身を
痛めつけ追い詰めていってしまっている。
そんな受け様を助けたいと思う攻め様、何年も受け様の心を蝕んできた罪が皮肉にも
攻め様と再会した事が引き金で噴出してしまう。
今後のこの二人の行く末と検事としての事件への捜査、かなり厚さのある作品で、
これが全編にあたるので、まだまだ先は長いのですが常に興味を覚えて先を読む進める
この1冊だとBL的にはどうだろうと思えるけれど、読み物としてはかなり面白い。
簡単には読めないけれど、腰を据えてじっくり読みたい作品だと思いましたね。
未完のまま10年経ち、改題して発行された旧題『いのせんとわーるど』は、今回新装に当たって2巻構成で夏ごろ完結できるとか(作者あとがきより)
作者さんの『スキャンダル』が大変に好みで、その路線をいっているがっつり仕事の硬派なこの作品、未完だったということで待ったかいがありました!!
ただイラストが石原理さんから麻々原さんに変わっていて、少しそれが残念ですが新装ということで新たなイメージも悪くはないのかな?と。
純真無垢=イノセント 旧題が何を意味しようとしていたのか、最後まで見届けられる喜びを感じつつ、この1冊目を読みはじめました。
中学から同じ学校で大学も同じだった親友の渡瀬。
彼が好きで彼も自分を好きで、本当は両思いだったのに彼の気持ちを世間体や見栄など同性愛に対するネガティブな思考に囚われて素直に受け入れることができないまま、彼を一緒にいくはずだった旅行で亡くしてしまい、その罪悪感にさいなまれ、彼と一緒に歩むはずだった検察の仕事を虚無感を抱えたままこなし、日々過ごしている伊能。
大学で渡瀬と出会い、彼に可愛がられた伊能とも面識のある後輩の野々宮は、
持ち前の鋭い感と洞察力で、実力を認められる検事となったが、転勤先で彼の実力を嫉む上司とトラブルを起こし大阪地検へ移動になり、課は違えど同じ検事として渡瀬の葬儀以来の再会を伊能と果たした。
一人で苦しみを抱えあまつさえ衝動的に自殺しそうにさえなる伊能が、同じ検事であることと、渡瀬という共通の人間を通した思い出を共有する、二人の気持ちを理解する人間として野々宮によって癒され、
自分が否定する同性への性癖を許されることで、しがらみから解き放たれていく部分が、この話の恋愛部分。
しかし、メイン展開は野々宮の仕事の部分にあるような気がする。
仕事を介して見える野々宮の性格とひととなり。
その鋭さは転勤先でのトラブルでのように、時として敵をつくってしまうのだが、ここ大阪では彼は恋人という伊能を始め、味方を得ることになるのです。
その中でとても重要なポジションを占めそうなのがヤクザの原口。
脇役ながらとてもいい味を出しています。
彼が野々宮の今後に影をおとしたりはしないだろうか?何か障害が生まれたりしないだろうか?
そんな不安も感じながら、野々宮が感じた一つの違和感から発展した裏にある巨大な闇犯罪。
恋愛部分は薄目なのですが、それ以外にも男と男の仕事の上での繋がりという部分も、固い職業だけに、自分にとってすごく萌える要素なのです。
嗅覚の鋭い猟犬のような野々宮と、冷静に落ち着いた癒しの伊能という、絶妙な組み合わせが今後どのような発展と展開をみせるのか?
それもきになりますが、野々宮の「仕事」という部分が非常に気にかかります。
未完だった部分、果たしてどうやって完結にいたるのか?
そんな期待を持ち、夏までまつとしましょう~
とても楽しみです!
旧版『イノセント・ワールド』の2冊目『深海魚の眠り』を読み終えて、
「うわ~!3巻目、長い事未刊じゃないか~!読まなきゃ良かった!」と悶えた作品。
私が出会ってから思いがけない早さで、こうして新版が出て
どうも夏には完結編が読めそうな成り行きに
もう本当に感謝!&嬉しい!
従来の3巻立てから、今回は夏に予定されている下巻との2巻の予定で、
今回の1冊目は旧版の2巻めの途中まで。
内容に関しては旧版のレビューに書いたので割愛しますが、
検事という硬派な世界の中の、ある種古風でストイックな恋愛がたまらない。
この世界には旧版の石原理さんの挿絵が本当によく合っていたと思うので、
麻々原さんは割に好きな絵師さんではあるのですが、ちょっと残念ではあります。