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表題作いのせんと・わーるど

後輩検事・野々宮堯
先輩検事・伊能侑一

あらすじ

「償わなきゃいけない…、僕は僕の罪を償わなきゃいけない…」検察官の伊能侑一は、大学時代の後輩であり現在は検事である野々宮堯に、七年ぶりに再会する。
いまは亡き渡瀬への想いを引きずり自らも苛み続ける伊能を、野々宮は救おうとするが―。
一方で野々宮は、ありふれた保険金殺人の調書に妙な違和感を覚える。
刑事の協力を得て浮び上がり始めた真実とは…。

作品情報

作品名
いのせんと・わーるど
著者
かわいゆみこ 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
シリーズ
光の雨 ―原罪―
発売日
ISBN
9784062554732
3.8

(5)

(2)

萌々

(1)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
18
評価数
5
平均
3.8 / 5
神率
40%

レビュー投稿数4

タイトルのイメージとは全然違います

なぜこのタイトル?
私も最初のイメージで全然違う感じの話を想像していたのですが、なぜこんなタイトルを?と思います。

ひらがなのイメージとは違って(なんだかほんわか初恋話みたいじゃないですか)とても堅い話です。
職業BLと言って間違いありません。
普通、あまり恋愛に関係ないことがつらつら書いてあるとつい苛立ってしまうのですが、この話はとてもわかりやすく引き込まれます。

伊能は中学の頃からの親友を失っています。
本当は彼が好きだったのに彼の方から告白された途端、異端児になるのが怖くて素直に受け入れられなかった。
やっと決心した矢先、彼は死んでしまいます。
残された伊能は素直に告げられなかった思いを抱いたまま、後悔に後悔を重ねて7年の月日が。
未だに夢にまでうなされ、自分を許すことが出来ない。
野々宮は大学時代の後輩でそんな二人を知っていた。
具体的に何を知っていたわけではないけれど、なんとなく察していた。
そんな伊能の元に問題を起こした野々宮が転勤してくる。
二人はやはり7年ぶりに再会した。
神経質に自分を追い詰めている伊能に野々宮は自分の想像が当たっていたことを知り、そこまで死んだ親友に義理立てする伊能の生真面目さに惹かれる。
二人の思いは通じ合うのですが……
ここまでは普通のBL話。
この話は、この二人の恋愛話と同等に二人が扱う事件が語られます。

ドラマHEROなどで最近は「検事」と言うものが知られてきましたが、この話も検事の仕事や姿勢がよくわかります。
正義を持って当たってもそれだけでは解決しない、世間や権力の矛盾。
二人の愛情以上に犯罪への正義が書かれていて、難しくなく話しに溶け込めます。
むしろ事件ものに恋愛が絡んだ感じ。
しかも登場するベテラン刑事とのやりとりや、ヤクザがバックにいる原口という男もなかなか魅力的です。

あきらかな続き物で最後も続く……となっています。
二人の関係以上に事件の行方が気になる、不思議なBL小説です。
かわいさん、医者ものや官僚もの等、お仕事シリーズはなかなか硬派な面もあり魅力的な作家さんです。



4

「かわいゆみこ」は二人いる?

と、思わず確かめたくなるような、硬派シリアスシリーズ。

この本、実は、タイトルと作者名だけで、内容も、表紙イラストもノーチェックのまま、ネットの中古書店で買ったのですが、よもや、こんな「疵(スキャンダル)」系の本だったとは。
だって、タイトルがひらがなで「いのせんと・わーるど」ですよ。
切ない学園物のシリーズとか、期待しちゃうじゃなですか!

でも、「疵(スキャンダル)」も同じ作者さんの作品だったりするわけで、、

しかし!
コレが、めっぽうおもしろかった!
検事さんという堅い職業の野々宮が、事件の真相の解明と、伊能の後悔と苦悩の両方を、真っ向から攻めてゆく、
爽快と言っていいストーリー。
切ない系のBLとは全く違うお話だし、エロ方面も、それなりの濃度で描かれているのは、伊能のひとりシーンぐらいですが、この、ストーリーのおもしろさ!
続編が気になります。

2

硬派な読み応えのある小説!

かわいゆみこ(有美子)さんは、好きな作家さんの一人。
更には、挿絵の石原理さんは、大好きな絵師&漫画家さんの一人。
…ということで、手にした古い小説です。

大阪地検特捜部の伊能は、福岡地検からトラブルがあって大阪に転勤してきた野々宮と
7年ぶりに再会する。
彼らは大学の先輩と後輩であり、7年前に事故で死んだ渡瀬の共通の友人でもあった。

すごく面白かった!
BL小説というよりは、事件を通じて検事の仕事が丁寧に描かれており、
社会派の小説を読んでいるような読み応えがある。

伊能は亡き親友、渡瀬への想いと悔いを今も引きずっている。
一度だけ求められるままに体を重ねた渡瀬に、想いを告げないまま逝かせた罪悪感に苛まれ
自分の性癖に葛藤し、苦しみ続ける伊能。
そんな彼に少しずつ惹かれ、救いたいと願う野々宮。
抑制が利きながらも、切なさが沁みて来るような二人の関係が、すごく良かった。
女性を含めた脇役も、存在感があってすごくいい。
(チラッと話題に出てくるヤクザの子の弁護士って、Homeの八神ですよね?)

              :

問題はですね、ええっ?「つづく」なんですか~っ?!ということ。
知らないで読んじゃったんですけれど〜?(>_<)

ようやく近づいた二人の関係はどうなるのか?
特捜部に移った野々宮が追う事件は、どんな真相があるのか?

全3巻になる予定との事で、速攻残りの2册を手にいれるべく検索!
カチャカチャカチャ…
ええっ?(再び) 2冊目は出ているものの、3冊目は未刊~?
こんなに年数が経っているのに~?
もうっ、どうしようかなぁ~、と思いながらもとりあえず2巻をゲット。
それを読んでから再度悶える事に致しますー(T_T)

2

これぞ大人の恋

めちゃくちゃ面白かった。
さすがかわいさん!
ただ、全三巻を予定されてたらしいのですが、二巻まで出てて、いまだ完結してないようです。
どこかで新装して完結させて欲しいなと心から思います。

タイトルから想像できるような柔らかい話ではなく、検事と検事の硬派なお話。
再会ラブなんですが、主役の二人には共通の友人がいて、事故で亡くなってます。
受けは、その友人にずっととらわれている。想いを告げられて一度だけ身体を重ねたけど、男同士という不安に耐えられなかった受けは、きちんと想いを告げていなかったのだ。
受けの悔恨の思いは静かだけど深い。しっとりした心理描写にずっと胸の奥がチリチリと焦げるように痛かった。派手な描写でキュンキュンさせられるのも好きだけど、こういう地味なチリチリ感も大好きです。たまらんです。

なんていうかなー、二人とも大人なのが良かった。
あと、もう思い出でしかない今は亡き友人と攻めを引き比べて、「この攻めとの恋こそが真実の恋なんだ」みたいな描き方じゃないのも良かった。BLではこういう描き方って珍しい。
どっちもホントの恋なんだよ。
受けが彼の死を昇華する過程に、攻めが静かに関わってきてるんだよね。忘れろとか乗り越えろとか俺を見ろよとか、そんなベタなセリフは一切言わずに。

お仕事描写も読み応え抜群です。
改めて、さすがかわいさん。

濡れ場は朝チュンだけど、これはレーベル的に仕方なかったのかも。
もし新装されるなら、もうちょいサービス描写入れてださい!w

3

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