スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B

smells like green spirit

彷佛清新气息

スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神246
  • 萌×218
  • 萌7
  • 中立7
  • しゅみじゃない15

221

レビュー数
49
得点
1330
評価数
293件
平均
4.6 / 5
神率
84%
著者
 
媒体
コミック
出版社
ふゅーじょんぷろだくと
シリーズ
COMIC Be(コミック・ふゅーじょんぷろだくと)
発売日
価格
¥680(税抜)  ¥734(税込)
ISBN
9784893938060

あらすじ

女装が好き、オトコが好き、 それは口に出来ない一夏の秘密。 大人が泣けるゲイ男子の青春。

女装に興味がある、同性が好き、人とはどこか違う…口に出来なかった悩みを打ち明ける事でクラスのいじめられっ子だった三島といじめっ子だった桐野は固い絆で結ばれていた。
休み時間の屋上で語られる2人だけの夢物語は現実の息苦しさを忘れさせてくれる唯一の居場所になる。しかしそんな束の間の平和も、三島が社会科の教師・柳田(ルビ:やなぎだ)に目をつけられてしまった事からガラガラと崩れ始める。
小さな田舎町に駆け巡るウワサや息子へ多大な期待を寄せる母の想い、その全てと対峙しながら三島と桐野、2人が導きだす答えとは――。
人は幸せになる為に、何を置き去りにしなければならないのか…誰しもが人生で向き合う葛藤に挑む少年達の姿がグサリ、グサリと心を突き刺す。

(出版社より)

表題作スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B

その他の収録作品

  • 番外編
  • 描きおろしまんが
  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数49

すごい作品。

電子書籍で読んだのですが、そのサイトではジャンルが少女漫画か女性漫画?で見つけました。
BL!って感じの甘く幸せって感じの漫画ではけして無く、ヒューマンドラマというかゲイの子やその周りの人や環境といった人間模様が描かれている気がします。
本当に、はあああああとため息が出るくらい読むのが疲れました。痛い、心が痛い。でも読んでよかった。そんな風に思えるくらいの力がある作品だと思いました。なんか映画に出来そうなくらいしっかりしてる。けして疲れているときに読んではいけない作品です笑
気合いれて読みましょう!

1

せつない

本編の方はせつなくてギュッて胸が苦しくなっていくお話でした。
桐野のお母さんは息子の幸せのためと言うけれど半分は自分の幸せのためでもあるような気がします。
最終的にそれぞれの境遇を受け入れそれぞれの人生を歩んでいくあたりどこか物悲しげに感じました。
A-Bと読んでストーリーに抑揚があり結構読み応えがある作品でした。

最後の描き下ろし漫画すごく面白かったです。
夢野のお父さんすごくいいキャラしてます。
私の中でこの漫画唯一の癒しキャラです。

1

読後に多くの疑問が残りました

ここのレビューを見るとみなさん感動した!とか素晴らしい!と仰ってますがわたしはあんまり好きな作品ではなかったです。
個人的に暗めな作品が好きで、リアリティに溢れていると噂だったので購入に踏み切りました。
なんというかはっきりここがダメ!という部分もないので言いにくいんですが、強いて言うなら(どなたか既に書かれておいででしたが)BLではないかな、と思いました。
ボーイズがラブしているというより、己の性について悩む思春期の少年たちとそれを取り巻く環境についてのお話、といいますか…。
読み終わった後、なんだかモヤモヤとしてしまいました。
というのも、「あれから○年後……」というような手法で飛ばされすぎでは?と思ってしまったからです。
その後色々な人生を歩んでいく姿を描きたかったところは理解できますし、描かなければ成立しなかったのもわかるのですが、その後の姿になかなか納得がいきません。
なにより、キャラクターたちを中学生という設定にするところが最も意味がわかりませんでした。高校生、と言われた方がすんなりストーリーが入ってきたように思いますし、正直作者様は中学生を描くのに向いてない続き絵柄でいらっしゃるように思いました。
高校生の間になにか重要なことが起こるシーンでもあるのかと思いきや、1コマもなし…。どういう意図で中学生という設定になさったのか全く理解できませんでした。
また、三島はできれば夢野ではない、完全なモブとくっついてほしかったです。というのも、なんだかそれでは桐野だけがあまりに不憫な気がしてしまいます。というかなんなら全員不憫なエンドで良かったのでは?とさえ思いました。リアリティとか言っても、結局は男同士の恋愛に寛容な世界なのが少し残念です。(まあそうでないと成り立たないというのもありますが)
あと個人的に三島のお母さんが苦手なタイプのキャラだったので読んでいてしんどかったです。

2

開けた方が幸せな箱

皆さんの評価通り、凄い作品。
sideAだけでは、まだ分からなかったのだけど、sideBの最後まで読んで、圧倒された。
もう文学と言っていいくらい、テーマあり、ストーリーあり。

人の「幸せ」って何?っていうのが、この作品を読むとクリアに見えてくる。
自分に正直に、まっすぐに生きた方が幸せだよ、うん。
それを貫いて、幸せな場所をつかんだ主人公・三島と夢野はいいよね。

でも・・・でも。私は、壊れちゃった教師・柳田や、のちに結婚して子供までもつ桐野が、好きだ。すごく。

世間とか、目の前の家族の求める理想のあなた、を演じて、ねじ曲げられてしまった、見た目だけ美しい、ねじくれたゲイの男。

切ないよ、すごく。

性の問題って、それほど多様だということ。
男が好きでも、女とも何とかなっちゃうこともある。
夢野のように、最初は「男は無理」と思っても、愛のチカラで大丈夫、になることもある。

歪んでも歪んでも、時間は先にしか進まない。
過去の幸せだった夏休み。そこに置いてきた、好きだった少年も、その時の自分も、もういない。
柳田も、桐野も、本当に可哀想だと続き思う。
そこに、泣けた。

パンドラの箱は、思いきって開けちゃった方が幸せだよね。底に希望があるから。

読んで良かったです。

2

処分できない名作

いやぁ、なんか感動しちゃいました。
side Bは社会の先生が三島を連れ去るとこらから始まるのですが、それを知って必死の形相で探し回る夢野がよかった。そして、事件の事は公にせず、しかも先生の気持ちを考えて自分が受け入れてあげられたらと言う三島。切なかった。
萌えと言うより、同性愛とか性同一障害と言うことを改めて考えさせられたお話でした。
キャラが濃いので一人に絞れませんが私は三島のお母さんにすごく憧れます。あんな風に苛めにも女装にも薄々気づいていながら言ってくれるのを待ったり、自分は自分の道を行けとはっきりいってあげられるお母さんが物凄くかっこよかったです。
そして、夢野とのハッピーエンドがあってなんだかほっこりしました。
唯一気がかりなのは桐野の選択。子供までいて楽しそうにも見えますが、社会の先生のようにいつか爆発しなければいいけどと思ってしまいます。

実はこの漫画、処分しようかと思って読み直したのですがやはりたまに読んでみたくなる名作だわとまた本棚の奥にしまうことにしました。

3

再読したくなる

再読して評価を変えたいと思ったのはこの作品が初めてです。切なくてもう読まないと思ってたけど、やっぱりまた読んでしまった。

桐野の母よ……何でなんだよおー!親っちゅうのは子どもが幸せに生きることを望むもんでしょぉうおう!!自分のために子ども生んだのかあんたは!子どもの命は子どものものだ!子どもはそれを使って自由に生きて幸せになっていいんだよ!ぐわああぁー!!

と、思ってたら、、全部三島の母ちゃんが言ってくれたー(T ^ T) アアァ

というのが一読目の感想だったけど、再読すると痛みだけじゃないものが見えてきました。冷静になれたのでしょうか。それくらい、この作品には引き込まれる吸引力があるってことなんだと気がつきました。

とにかく最初の読了後は屋上で生き生きオネエしてた桐野を思い出して胸がギュッと苦しくなって後味が悪かったけど、二回目は不思議とああこれでよかったんだと思えました。現在の桐野の周りにある、母親や子供の笑顔は本物で、桐野はこのために男として生きる道を選んだんだなと。自分を偽って生きるなんてと初めは思ったけど、桐野にとって譲れないことを選択した結果、こん続きな笑顔に包まれて暮らしているなら、きっと桐野も今は幸せなのでしょう。

自分にとっても思春期の恋や友情は今この手になくてもすごく特別に思う。だから桐野にも三島といたときの桐野でいて欲しいって思ってしまっていたけど、その後の桐野も、決して偽物ではない。二人目が出来るくらい、奥さんを愛しているのだろうし、奥さんの前ではオネエやってるのかもしれない。桐野は人の笑顔を守りたいっていうのを貫けるくらい強くて優しい人だから、きっと奥さんも懐の深い理解者となってくれているでしょう。

きっとみんな、どの道を選んでも幸せも苦労もあるはずで、三島も桐野も夢野も、自分が選んだ道を誇りを持って歩いている。三人とも、すごくカッコよくて痺れます。自分らしく生きるとはどういうことか、読めば読むほど考えさせられる面白い作品ですね。

ラストの夢野家の様子にほっこり。ナイスキャラの夢野パパに未来の幸せを予感させてもらえるおまけつきです^_^

2

born free

sideBは前巻に比べて分厚いです、ほぼ倍くらいあるんでしょうか。
厚い頁数に比例して、大変読みごたえがありました。
三島と桐野は悩み深き男子であっても澄んだ印象があります。が、柳田先生は違いました。
三人を性的嗜好で同じカテゴリで考えても、心に闇を抱えた柳田先生は二人とは全く違っているのです。
ストーリーの大まかな流れとしては、暴走した柳田先生、夢野と桐野が三島を助ける。夢野がついに三島への恋心を自覚する、いい感じで二人の初体験が成就するかといったらそうはならず(三島にtnkがある、明白な事実に夢野が怯んでしまったから)。
三島と桐野と夢野、三人の男子の答えがこの一冊に集約されています。
切ないのは桐野ですね。初めて感情の赴くままに行動しようとしたけれど、優しさからそうはできなかった。
彼の転換点はあまりにもさりげなく、切ない。
終盤は大人になった彼らの姿が描かれています。三島は夢野と東京で暮らしていて、桐野は普通に結婚して子供もできた。
「本来の自分」を諦めた桐野は不幸なのでしょうか・・・お母さんと娘と蜻蛉を見上げる彼の顔が物語っていますね。
巻末に収録された番続き外編は柳田先生の少年時代の短いストーリー、先生の闇に光差すことを願います。
 酷くとりとめのないレビューになってしまいました、このような圧倒的な作品に対して言葉をまとめるというのは難しいです。

3

BLってこんな可能性も含んでいるのか?!

いーやー、これはすごい作品。
Webコミックで読んだものを改めて買いなおしました。

こういったジェンダーの問題を取り扱った漫画は他にもあると思うんですよ。
けれど、これがBLのジャンルから出てきたのがすごいと思いました。BLというジャンルに含まれる一要素を追求するとこういうこともできるんだ、という驚き。

私は普段、BLは完全なるファンタジーとして楽しんでいます。
けれど、改めて考えたら、同性愛という現実にあるものを扱っているんですよね。例えば男性の同性愛者の人から見たら、BL作品や腐女子ってどううつるんだろう。今回この作品をきっかけにそんな視点があることに気づきました。逆に言えば、そんな当たり前のことも気づかないほど、現実の事象や社会とBLを切り離して読んでいたんですね。

そうした新しい気付きとともに、この作品を好きだなぁと思うのは、作者の、主人公の二人に対するやさしい眼差しが感じられること。そのやさしさは、主人公たちの周りの登場人物に託されているかんじがします。フトシのかあちゃんを筆頭に、桐野の母上、夢野、夢野の家族、など。桐野の母の最初の反応には胸をえぐられ続きるようでしたが、その後は一応母なりに理解する努力は見えました。(しかしやはり息子を尊重する選択はできたかったのは残念)
夢野なんて、100パー異性愛のほうにいくんだろうな〜と思っていたら、まさかの「考えていきたい」告白ですよ。そんなドラマチックな展開は正直なくてもいいのに…現実はたぶんそんなに甘くないだろうし…と思ったのですが、あえてそうしたところに作者の意図というか信条みたいなものが感じられる。つまり、夢野のように私たちも「考えていく」べきなんだろうし、「考えていく」人がよりたくさんいる社会であるべき、ということ。

ただやはり桐野の母の考え方がもう少し違っていたら、と思うと残念な気持ちはぬぐいきれない。けれど、母が理解しようと努力しつつもありのままの息子をついに受け入れられなかった背景として、母親自身の人生に対するままならなさや苦しみも描かれていて、母を完全な悪者とは思えないんですよね。蜻蛉をみつめる桐野の瞳が切ないよ…。

BLをどう楽しむかはひとそれぞれですが、こういう方向性の作品もたまには読みたいし、それをきっかけに今回のように何かを考えるきっかけになるといいなと思います。
もっと後を追うような作品が出てきたら面白いな。

4

リアリティ溢れすぎる作品

タイトルからして、捻りが利いててアメリカンなロックしてんのかと思いきや、想像だにしなかった超ドメスティック&ローカルなお話でした。なんだかお昼のワイドショーなどでまれにとりあげられる好奇心半分のニューストピックを思い起させました。レビューの為に再読したのですが、こんなに絵柄が綺麗だったっけ?と思ったのが意外な発見。もっとギャグギャグしかったよーな気がしていました。

結論からいって萌えツボにははまりませんでした。多分、BLというジャンルでは語りきれない要素が盛り込まれていたからだと思います。ジェンダーについて教示してくれるお手本のような印象も受けました。少なくとも、物語全体を覆うトーンはラブストーリーではなく、友情物語だと思います。

自分が男なのか女なのか、またはどちらが性的対象なのかといったセクシュアリティーの見極めとか、成人男性が少年だけに欲情する性的嗜好についていうと、前者については己の思春期を顧みてなんとなくわかる気がするけれども、後者に至っては当方、女っちゅうこともあって、共感の「き」の字にも及びませんでした。(しかし、全くの無関心というわけではありません。そもそも続きジェンダーについて思うところがあるからこそ、BLを読んでいるわけです。)また、メインキャラである三島のどこまでも中立的な立場が、ストーリーの進行上必要な役割くらいにしか思えず、入り込めなかった。けれど、彼こそが作者さんの視点なのかなとも思います。

目が行ってしまうのは、三島に対し関係を迫ろうとする柳田先生の性癖。もう完全に闇として描かれちゃってる。彼に対して世間様が下す判断とは、今のところ「犯罪」ですよ、という決着のつけ方なのだったら、そんなのわかっとるわ!で終わってしまう。「それでも、生きていく。」みたいなメッセージも残すことなく忽然と姿を消してしまった。それがまた不気味さを醸し出しているんですけど、ストーリー上の演出なのでしょうか。彼については闇ばかりでなく、光を感じさせる何かがちょっとでも描かれていたら、共感はできなくとも寄り添えそうな取っ掛かりが得られたような気がします。また、桐野の方は母親との葛藤を経て本当の自分になる!と家出をしますが、結果彼は自分のためだけに母親を捨てることができなかったと仄めかされています。このキツさには現実の厳しさというリアリティを感じました。しかし、三島と過ごした短いけれど濃厚な時間が、その後の彼の心の拠り所となっていたことは間違いありません。

好きな子をいじめる心理を体現してくれた夢野にしろ、三島と同族の桐野にしろ、三島はかなりお友達に恵まれていたと思います。彼ら以前に唯一の肉親である元ヤンの母親が三島の一番の理解者でした。彼女と夢野の母親の存在が、一番「ロック」してたかな。番外編として柳田先生の「芽生え」について描かれている短編が収録されていますが、ここに作者さんのキャラクターに対する愛情を見つけて、胸を撫で下ろした感もあります。もし彼に、桐野にとっての三島のような友人や、家族の中に、三島の母親のような理解者があったら、自身のセクシュアリティーを捻じ曲げることなく、それはそれとして受け入れて生きていくことができたのでしょうか。(勝手な妄想。)

なんだか三島だけある意味ハッピーになっちゃったのもどうなんだろうというのもあり、個人的には萌え要素がなかったけれども、物語としては示唆に富んでいて、長々と感想を書かせてしまうくらい読ませるものだったということで、「中立」寄りの「萌」で。

3

シリアスもギャグもフルスロットル!

超~有名な作品を今更…なんで読んでなかったんだコレー!!と自分をひっぱたきたくなるような作品、なんでかっていうとお試しで読んだ苛めシーンの絵柄が、あまりにホラーだったからなんですよね。
血走った眼ーひんむいた貞子みたいな主人公が怖かったのなんのって!(笑)
ところがおススメされて買ってみたら、なんなんだこの美しい絵とうすた京介ばりのギャグのギャップは!!
ダバダバ走り出してしまいそうなくらい、ぐいぐい引き込む展開とテンポのよいセリフ回し。分厚い二冊にも関わらずあっという間に読み切ってしまいました。
シリアスさよりもギャグ要素が勝つ前半から、同じ生きづらさを共有していたはずの三島と桐野が別々の道を選んで歩んでいく終盤…
もうこれはBLというより、同性愛やトランスジェンダーについての作品と言った方がいいかもしれません。
もちろんBL的展開も出てはくるんですが(三島と夢野のCP)、萌えうんぬんの前に、そこに至るまでの性的マイノリティの息詰まるような描写のほうが色濃いように感じます。
結果として、三島と桐野は「桃源郷」には行くことができません。
二人の思う「桃源郷」が同じもので続きあるなら、きっとふたりでたどり着けただろう場所。三島にとっての「桃源郷」は体は男のままで男を愛することをオープンにできることであり、桐野にとっては、女の心はクローズにして、男として一般的な幸せを手に入れること。
秘密を共有した二人がキラキラした思い出を胸に抱えたまま、まったく別の道を選んだシーンは本当に切なかったけど、どっちも正しい選択をしたんだと思います。
ありきたりな言葉ですが、大事なのは後悔のない人生を生きること。それに尽きると思います。
同性が好きなのも、女装が好きなのも、体と心の性別が一致しないのも、そしてそれをおしてでも家庭を持つことも、なにひとつ恥ずべき事じゃない。
だから、胸を張れ!三島と桐野が最後にエールを送り合ったように、私もエールを送りたくなってしまいました。
結局シリアス寄りの感想になってしまいましたが、本当これは良作でした!
実写にしても面白いのではないか!?エロ度もほとんどないので、レーティングにひっかかる部分も少なそうですし。
…柳田先生のところはまずいかな。

4

家族に縛られて生きていくのか、解放されて生きていくのか

まず、本の厚さがSIDE:Aに比べてSIDE:Bの方が2倍厚くてビックリ(笑)
それだけ内容が詰まってると思って期待しました。

相変わらずホラーテイストで怖いのですが、
内容は、深いし考えさせられるのでとても良いと思います。
家族によって人生が左右されていく3人の物語と私は捉えています。

それぞれの家族(母親)と子供(登場人物)の生き方について
簡単にまとめると
・三島の母親:寛容、私は私、ふとしはふとしの生き方をしなさいと肯定
 →三島は同性愛者として自分を認めありのままの自分として生きていく
(・夢野の母親:寛容、同棲愛に対して理解しているので肯定
 →三島への想いを認め三島と一緒に人生を歩むことを決意)
・桐野の母親:同棲愛を認めない、お前を産まなきゃ良かったと否定
 →桐野は母親の目を気にし、女性と結婚し子供を産んで生きていく
・先生の母親:先生が同棲愛者であることを徹底的に否定(一番可哀想)
 →女性と結婚しても離婚、そして未だに母親に縛られ続けている
 →その呪縛をホラーとして表す?
と言った感じでしょうか。
このように皆家族の影響続きを受けて
それぞれの人生を選んで生きて行ってるんです。
家族は残念ながら選べません。
三島と夢野は家族が寛容でラッキーだったと思います。
桐野と先生は家族に縛られていることに気付き、
解放されたらどんなに幸せな人生を歩んでいけたでしょうか。

私は人はある程度家族に縛られて生きていると思います。
(私自身家族が厳しく縛られて生きていたのでとても辛かったです。
カウンセリングのよって大分解放されましたが)
それを知らない人達が多いと思います。
この作品はそれを気付かせてくれる物語と言っても
良いのではないでしょうか。
あなたのその辛い考えや価値観は
家族から受け継いだものではないでしょうか。
あなたが家族に縛られている考えや価値観はなんでしょうか。
それに気付いて、解放されたらもっと楽に
自由に幸せに生きていけると思います。

と、話がちょっと逸れてしまいましたが・・・
今の時代にはこの作品や某大ヒット映画のような
「ありのままの自分で生きる」というフレーズが
求められているのかも知れませんね。
私も昔だったらかなり共感するのかも知れませんが、
もう当たり前となった思考となったので、
正直にいうと目新しいとは思いませんが、
それでもこの作品は素晴らしいと思います。
今の現代人には胸にぐっとくる作品だと思います。
(少々冷めていてすみません)
なのでギャグ(SIDE:Bはギャグは少なめだと思いますが)や
ホラーが大丈夫な人は、読んでみると良いと思います。
私はそれらに気を取られてしまったので、
ギャグもホラーも許容範囲だったら神作品になったと思います。

4

切ない…!考えさせられる作品です!

Aを試しに…と思ってAだけ買ったら続きがきになりすぎて
すぐ本屋でBを買いに行きました。

柳田が、三島を強姦しようとしたけど、桐野と夢野にギリギリ止められます。その時の夢野の必死さに萌えました(笑)
その後、夢野は毎日部活をサボって三島を送るようになって、三島のことを好きなのにイジメてたと告白します。そしていい感じになるのですが、夢野は三島のチンコを見て逃げてしまいます。夢野は、男が好きだったわけではなく三島が好きだっただけで、ゲイではなかったからです。

このこじれたタイミングで、三島・夢野・桐野はホモという噂が近所に広まり、自分たちの母親にその噂が耳に入ってしまいます。桐野のお母さんは発狂してしまいます。
でも、自分ももしこの状況だったら桐野のお母さん見たいになっちゃうと思うし、避難できないけど、あの時の桐野がとても苦しくて、悲しかったです。そう考えたら三島と夢野のお母さんは、寛容な人で、理解のいお母さんだな、かっこいいな、と思いました。

夢野は1年以上同性愛のことについて考え、三島と一緒に歩む道を選びます。
だけど、桐野はその道を諦め「普通」になる道を選び続きます
その時の三島と桐野がとても切なくて、涙がたくさんでました。三島と桐野、ふたつの道はもう決して交わることがない。
桐野はお母さんのために、同性愛者であることを捨て、結婚して幸せな家庭を築いていく。三島と夢野は、2人で暮らしていく。どっちが正しいなんて、そんなのは人が決めることではなくて、その人自身なのだなと、感じました。

個人的に夢野が好きなので、最終的に夢野と三島が付き合ってていたのがすごく嬉しくて泣いて喜びました(笑)
夢野と三島のスピンオフとか出て欲しいな(笑)

これを読んで、改めて同性を愛することはとても大変で難しいんだなと感じたし考えてさせられる深い作品だなと思います。
是非、いろんな方に読んでもらいたいです!






4

涙がでた…

言葉で言いあらわせないくらいの感動です。

”同性愛者であることはいけない事なのか”

ありのまま生きたい、誰かに迷惑はかけられない、愛する人のために我慢しなければならない、素直になってほしい、幸せになってほしい。

誰かの想いを受け止め、受け入れ少しずつ大人になっていく。

愛とか恋よりも青春でした。

親は子供の幸せを何よりも望んでいる
大切なことに改めて気付かされる作品でした。

「二つの道はもう決して交わることがないのだ」
どうやって受け止めればいいかわからなかったけど
とにかく涙が出ました。

それでもみんな最後はそれぞれ幸せそうでよかった。

4

こーゆー作品に出会いたかったのかもしれない

私も殿方に恋する男で、最近の言葉を使うとオネメン。
もっと言うと中途半端なオトメン。
乙女な欲求、それとは裏腹に男な自分。

この作品には、私とは少し違う、でも自分の持つ性癖というかコンプレックスというか、悩み抱えた方々が出演されていた。
そしてこの人達のお話を知ることができて良かった。
…そんな認識でこの本を読んでました。

BLとえばBL。
ゲイがノンケと結ばれたとことか。
ただ、「商業ボーイズラブを読みたい!」という方々のニーズとは少し離れたよーな(私の言葉を使うと)“こっち系”のお話。
つまりエロ目的でないゲイ向けな作品。

カフェ801で「ゲイが泣いた作品」みたく紹介され読んでみたけど、確かに泣きました。
主人公のお母さんが、主人公にいいこと言うんです!
それを見て自分の母親への感謝と申し訳なさと、母親という存在のありがたさをあらためて抱きました。
私は一人っ子で、母は女で一つで私を育ててくれました。
そんな母親にカミングアウトし、この作品の言葉を借りると“桃源郷”目指し私は上京し、そー多くはないけど、程ほどに、しかし地元ではあり得ない続き数の“こっち系”の人と会うことができました。
そして現実はなかなか色々厳しいことも知り、今3年が経ってBLとアニメと特撮+αの日々(笑)

…と自分の話をしてしまいましたが、私がBLで求めてたかもしれない内容、ファンタジーから少し離れた物語がこの作品だったのかもしれない。

えーっと、
何が言いたいのか分からなくなっちゃった( ̄▽ ̄;)
オチは悪いですが、この作品、私以外の方々にも是非見ていただきたい。

6

泣いた!

ゲイにまだなりきれない男の子たちの友情を丁寧に描いた力作。BLというにはなんだか違うような気がしますが、bl以上です。主人公のお母さんがすごくいいことを言ってます。こんな対応してくれる親はどれだけいるか...。

3

誰もが何か抱えて生きている

人はどう生きるべきなのか
一体幸せとはなんなのか
何が良くて何が悪いのか
色んな事を考えさせられました。
若さで駆け抜けた一時の青春と
大人になるという幸せと寂しさが入り混じった感じが
とても胸に刺さりました。

私はこの作品が好きでたまりません。
他とは一味違うボーイズラブを楽しみたい人にオススメです!

2

大切なテーマ

この作品は二人の主人公が狭い世界の中で どう歩んでいくかの葛藤を描いています。二人を取り巻く環境と人々 本当の自分らしく生きれない二人 互いに共通し理解し会える仲間がいることってなんて心強いんだろう 田舎の高校を舞台にしてますが テーマはもっと重い それに先生の独特の表現力ですよ!柳田が気持ち悪い!最高です!柳田気持ち悪い!

3

……

 SIDE:Aはよかった。が、SIDE:Bは無理でした。途中まではよかったのですが、桐野の母親のせいで気持ち悪い作品になりました。この作品はトラウマです。
 私の地雷は、NL・ヘテロ・異性愛(者)・BL作中の女の存在なのですが、見事に、この作品は、オチで、私の精神に地雷を、放り込んできいました。最悪です。
 桐野はなんであんな母親なんかの為に、異性と結婚し生の中出しセックスまでして、子供を作ったのか。しかも1人ならまだ嫌悪感で終わりましたが、2人も・・・・???? はああA????? ないわ。
 切なく、泣きながら呼んでいたのに最後(本当のオチ(HAPPY)を抜いて)は、涙じゃなくゲロが出ますわ。
 気持ち悪い。桐野のこれからの人生だけが無理。気色悪い。
 もう本当に納得の行かない作品でした。

4

出会えて良かった作品

今回初めてレビューを書かせていただきます。
もともとこの作品は知っていたのですが、基本雑食で表紙買いが当たり前な私がなかなか手を付けなかった数少ない作品の一つでした。
もしかしたら無意識のうちに分かっていたのかもしれません、軽い気持ちで読む作品ではないと。
BLだと思って読む作品ではないと私は思います。それよりも、もっと奥深くにある作品でした。

永井三郎先生の作品はこの作品が初めてなので、最初は単純にギャグのシーンやいきなりホラーテイストになるシーンの場面転換の面白さに興味を持って読んでいました。
しかし、読み進めていくうちにどんどん涙が溢れてきて物語の世界観に飲み込まれていました。

この物語の良さは三者三様の母親ですね。
三島の母親は、ゲイでもゲイでなくてもこんな母親が良かったと思えるような母親です。彼女が三島の母親で良かった。
三島がいじめられていても世界に絶望していないのは、彼の母親の強さを確実に引き継いでいるからだと思います。
「私のために選んだその道が少しでもお前の我慢や諦めの上にあるのなら、それでお前の思った道を行けないのなら、私は凄く悲しいしそれ続きこそ不幸だ」
この言葉に涙が溢れてきました。

夢野の母親はこの親ありでこの子ありって感じでした。
「仕方ないんじゃないかなぁ。」って言葉が本当に良かった。ノンケだった夢野が三島を好きになるって、現実の世界で考えたら結構すごいことだと思うんですよね。男でも女でも本気で好きになれる人がいるってことの素晴らしさに改めて気付きました。夢野の父親、何気に好きでした(笑)
アメリカは日本よりもゲイやレズということをオープンにするぶん、ホモフォビアの方も多いですから…。だから、そういうことにも切り込んでいたので感心しました。

そして、桐野の母親。私はこの母親が一番リアルで当たり前だと思いました。どの母親もリアルなのですが、桐野の母親が一番、ゲイをカミングアウトされた母親の反応で自然だと思います。「子どもなんて産まなきゃ良かった。」なんて、母親として最低の言葉だと思います。でも、自分の子どもがそのようなことをカミングアウトすれば誰でも動揺してしまうと思います。

柳田先生もまた、かわいそうな人でした。三島にしたことは絶対に許せないことだと思います。でも、嫌いになれないんですよね…。「受け入れてくれよ」っていう言葉に色々な意味が含まれていて、すごく苦しい気持ちになりました。


私はこの話を読んでいるとき、なぜ中学生にしたのだろうかと疑問でした。高校生でも良かったんじゃないのか、と。
しかし、最後まで読んで分かりました。
この物語は中学生で進めていくからこそ、桐野が自分の成長について苦しんでいたり、三島が女の子みたいな容姿であることに説明がつくと。

夢野と三島の現在はほっと胸をなで下ろしたのですが、桐野の決断には何とも言えない気持ちになりました。
でも、桐野がそれで幸せならばそれで良いのです。

色々な行動に意味があって、言葉に思いが込められていて、本当に読んで良かったです。

たぶん、近年発売されているどのBL本よりもリアルでした。
リアルな恋愛で、リアルな決断で、リアルな物語でした。

三島と夢野と桐野と、そして柳田先生、みんながそれぞれの幸せを感じて過ごしていることを信じています。


そして、このような物語を書いてくださった永井三郎先生とこの漫画を出版してくださったふゅーじょんぷろだくと様に感謝の気持ちを伝えます。
ありがとうございました。

13

roseーlily

きょうと様

はじめまして、こんにちは!
初めてのレビューとは思えない、すご~く深く掘り下げた内容のレビューに感激しています!
私もそれぞれ家族をしっかり描いた事、中学生で描いた事で「永井三郎先生はすごいなぁ」と思いました。
100%BLファンタジーも好きだけど、こういうリアリティーのあるお話は心に共鳴する何かがありますね。
きょうと様のレビューがあまりにも素晴らしくて、これからのレビューが楽しみです♪
思わずコメントしてしまいました。

ローズリリィでした。

snowblack

きょうと様、はじめましてsnowblackと申します。
初レビューとのこと、おめでとうございます。

この作品は私も非常に衝撃と感銘を受け、
狭くBLの枠で語らずに、老若男女多くの人に読んで欲しいと思った作品です。

お書きになっていらっしゃるように、この3人3様の母親の存在というのが
この物語にリアリティと深みを与えていると、私も感じました。
まだ親の影響が大きく、自分というものが確立しない未完の中学生という年齢が
非常に意味を持っているとも思えました。

お互いに、こんな本に出会えたことは幸せ……ですね!

開けられた、3つの箱。

 作品としては間違いなく神です。映画化して小学校での視聴を義務付けたらいじめとか犯罪とか激減するんじゃないかと思いますがどうでしょうか。

 パンドラの箱を開けた、3人の少年。
箱を開けて、苦しみを見て、その底に希望を見て、その後。
 悩み苦しみ悲しみ嫉妬と向き合って生きていくのか。閉じて2度と開かないように、けれどまた大事に抱えたまま生きていくのか。時々覗いてみながら生きていくのか。
 どこへ進むにせよ、1度箱を開けなければ、不幸な人生です。3人とも幸せな人生だったのだと、思います。

 それが「俺」 「三島 太志」だ

 青春映画のような素晴らしい話、で終わるかと思ったらラストはBL的においしい結末で、嬉しかったです。SIDE Aでも書きましたが、名作と気構えずにたくさんの人に気軽に読んでもらいたい作品です。

2

BLに非ず。

神評価にするか相当悩みました。
萌える、萌えない、という問題の内容でも無かったので…
BLを読みたい!と思った時に、コレはどうだろう?ということで評価低めです。

性に悩みを抱える子ども達と、悩みを拗らせた大人のお話です。
三島の存在により、パンドラの箱をこじ開けられた桐野、夢野、柳田先生…
ファンタジー要素は一切なく、痛い現実ばかりが突き付けられます。
自分、親、周囲それぞれの目線がきちんと描かれていて、葛藤がよりリアルに感じられました。
たまに織り込まれる永井先生特有の顔面崩れや夢野の父ちゃんに笑いの要素があるので、ずっとヘビーでもなく読みやすい。

一応、メインの3人はそれぞれ見つけた答えに向かってハッピーエンドとなりますが…
桐野の選んだ生き方が辛過ぎて泣けました。
何度読んでも、三島と桐野が別々の道を歩き出す瞬間から涙が溢る。

BLと言うか、生き方を深く考えさせられる作品です。

番外編にて、柳田先生の初恋~トラウマ爆発までのエピソードも収録。
桐野母と大差ない反応でも、受け取り方や向き合い方が違うだけでこんなにも差があるんだなぁと思った。続き
個人的に一番好きなキャラだったので、もうちょっと柳田の行く末を見たかったです。
ハッピーには至らずも、少し光が見えるくらいには救いがあっても良かったかな。

3

泣けます。

これで完結ですが、泣けます。
本当、胸が苦しい。
この話はBLだというのに、フトシと夢野のカプよりも、フトシと桐野の関係の方が好きです。
桃源郷を目指して、辿り着けなかった二人。
桐野のパンドラの箱は閉じられ二度と開く事はなかったけれど、たった一瞬でもあの時期を二人で過ごせただけでも幸せだったのかもしれません。

先生もオカルトっぽくて気持ち悪かったけれど、過去を考えると切ないですなあ。

フトシのお母さんが本当に素敵で、こういう親ばかりだったら楽しく生きられるのになあと思います。(桐野だけでなく、我が家も振り返りつつ)

6

go do

みなさまのレヴュー通り!

うまいことえぐられて、温かい熱を注がれて 号泣です!
三島のかーちゃんカッコいい!
桐野のことを思うと少し胸が痛むのも事実ですが、その辺りも本当に生々しくも上手に描いて下さったなぁと。

ヨ◯シーが脳内再生されてます。感動!


3

泣いた

マンガよんでこんなに泣いたのは初めてだった。

思春期の高校生が抱えきれないくらい大きい秘密があって、それを受け入れてもらえるか否定されるかでこんなにも先の人生が変わってしまうんだなあと。
幸せは人それぞれなんだけど、桐野はこの道を選んで良かったのか。
本編のラストでは彼の幸せを願わずにはいられなかった。
どのキャラクターにも感情移入できるから余計苦しかったです。
柳田先生も番外編読んだ後では彼にも救いがあればよかったと思わずにはいられない。

文句なしの神評価。

5

勝手に【2013年度俺ベスト】決定

は、は、はやく読めば良かった…。
すごい、すごい…。読み終わった今、ただただ涙を流すだけの放心状態です。
もう、呆然唖然と本を持ったまま心此処に非ず、心の感情が止まったままだ。
感想をどう書いていいやら途方に暮れている。

思春期から大人になる、時の流れが残酷で有り清々しくも有り。
痛さを分かち合う一生の友達に出合う大切さ。
心が繋がる瞬間を一緒に感じた友達。
今は逢えないけれど、きっと時が来て逢うべき時に逢えるのではないかなあ。
笑って逢えるよ。いつか必ず。

8

渾身の、アキアカネを映す桐野

三者三様の家庭と人生+柳田が、そこにいた。
柳田以外の三島も桐野も夢野の、どの家庭も母は子を思い、子は母を思ういい家だった。

桐野の母親は、予想だにしないその衝撃に自身が耐えられず、我が子を傷つけることを言ってしまったがその後、失いそうになり、やっと向き合うことができた。そして必死に理解しようと努力する。
母も子供と同じで、母として成長段階なのだ。
どういう風に成長するかは、それまでの自分が過ごしてきた道のりが指し示す。
あの幼き桐野に見せた、くしゃっとした笑顔にすべてが詰まっている気がした。

三島と桐野のキラキラとした宝物のような屋上のひと時が、眩しかった。
桃源郷へ行こうと踏み出した一歩。
桐野の横に三島の笑顔があって良かった。
三島に、どんな時もぶれない我が子を全力で信じて愛する母親がいてくれて良かった。

いつか柳田のことをどんな形であれ、受け入れてくれる存在が、見つかってほしい。

終盤の「桃源郷を諦める」と決めた桐野の、大人という階段を一歩上る様に胸が詰まる。

桐野の幸せは母親にあった。
母の幸せが自分の幸せであったことに気づいた桐続き野。

幼い頃から母の笑顔も苦労する姿や悲しい姿を、傍にいて誰よりも見てきた。
桐野の中で、母の笑顔をずっと見ていたい、母に母の望む幸せを与えてあげたい、それは自分にしかできないこと。

桐野の桃源郷はここにあり、また、遥か先にある。
母親の笑顔という幸せを手に入れた桐野は、アキアカネをその瞳に映し、何を思うのか。

いくつものアキアカネをその瞳に映して、いつしか訪れる母親の最後を見送った後に、もう一つの桃源郷へ行ければいい。

その時に奥様と子供が、桐野のよき理解者になってくれれば、それでいい。  

15

人生は誰も肩代わりしてくれない

何べん読んだかな?ちょっと覚えてないや。
それくらい気に入ってしまいましたよ。
サイドAの時点では、こんな風に心に沁みる作品になるとは思ってもみなかった…(失礼な)

子供には無限の可能性があるっていうのは、まだ何者にもなれていない子供だからこそ、の逆説的な意味もある。
大人になってから実感するのは、何となく生きてきた自分だけどその何となくの間に実は数え切れないほど大小の選択の瞬間があったんだなってこと。
例えば受験校の選択という能動的なもの、あるいは喧嘩した友達との仲直りのための一本の電話とか、好きな人がいても何もしないという消極的なのから、嫌なことから逃げ出したりっていうしょうもないものまで。
上げればキリがないほどの様々な選択の積み重ねが、間違いなく今の自分自身を作り上げている。
たとえ後悔や不満がある人生だとしても、その「自己の選択」という自覚こそが、自分を腐らせないための根っこだと思うわけです。

同じような悩みを抱えていた三島と桐野。
屋上で口紅を塗りっこしてはきゃっきゃと戯れていた二人は、物語の最後には全く違う道を歩いていく。それでも二人は、顔を上げ続きて前を見つめている姿が描かれている。
特に印象深いのが、トンボを映しこんだ桐野の瞳だろう。
終わってしまった夏を時々は懐かしんだりするのだろうか?そしてそこには少しの後悔もあるのだろうか?その後悔は、時折桐野を苦しめたのだろうか?
それは読者には分からないし、三島にも分からない。
でも例えそうだとしても、桐野はきっとそれすらも受け入れているんだと信じられる。
電車の中で、「強くならなきゃ、私が私のために選んだの」と言った桐野だからこそ。

桐野の選択を犠牲としてもっとウェットに描くことだってできただろう。
でも作者はそうしなかった。
実際、「母親を安心させるために」という理由で同じような人生を歩んでいるように見える柳田と桐野は合わせ鏡でもある。けれど決定的に異なるのは、柳田の「母親のために」という思いはいつしか裏返って、「母親のせい」になってしまったこと。

どうにもならない境遇をあげつらって、そこにままならなさや不平不満の理由を見出すのは簡単だしある意味正しいのだと思う。でもそれは一時凌ぎにしかならない。
柳田のように、巡り巡って結局は自分自身にかえってくるんじゃないだろうか。
当たり前のことだけど、人生は誰も肩代わりしてくれないのだから。

この作品は、青春BLという皮を被った、ちょっとした人生指南書だと思う。
うん、いい作品だ!
老若男女におすすめしたいな!

17

人生の選択って

大変面白かったです。
若かりし頃の性の悩みって尽きないが、人生の決断を強いられるのってつらいわ。この時期、のほほ~んと毎日生きている人がいっぱいなのに。。。
 
しかし、それぞれの選択に自分らしい答えを出した3人はこの先、悔いはないのでしょうね。みんな幸せであれ!
でも…最後の蜻蛉を見つめる桐野の目が気になる。何を思うのか、私には読み取れない。
何度でも読み返してみよう

6

選択、生き様

“ボーイズラブ”というよりも、少年たちの選択、それまでの苦悩、そして生き様を垣間見たような、そんな作品でした。

同性愛者である主人公三島と(おそらく)性同一性障害である桐野。
ラブよりもこの二人のひとときの友情に胸が熱くなりました。

中学という若さで、自分の性癖に苦悩し、生き方を決意し、そしてそれを貫き通した潔さに、切なくなってしまうんだと思います。

多くは語れません。
読んで、感じたことが全てなのだと思います。

気になる方は、是非1度読んでみるべき作品であると思います。

6

ただ一度の夏

SIDE:Aを惹きつけられるように読み、そしてB面。
続けて読んだにも関わらず、感想を言葉にするのにえらく時間がかかってしまった。
一言で言えば「読んで良かった!」につきるのだが、
もう少しその思いを語ろうとすると、言葉が見つからない。

               :

三島と桐野が、初めて手に入れた心を解放できる相手と場所。
しかし、幸せな日々は長くは続かない。
それぞれが、それぞれに、現実を突きつけられ、
道を選ばなければならなくなる時。

正しい道はどれなのか?己の幸せはどこにあるのか?
これはマイノリティとして生きる彼らだけの課題ではなく
総ての思春期が通る試練なのではないだろうか。

桃源郷を目指して旅立つ三島と桐野。
短い旅の中で、彼らは自分の道を見つけていく。
どこか遠くに夢見た理想の幸せではなく、
ありのままの自分とありのままの現実の中から
幸せを作っていく彼ら。

そして彼らの決断と人生に大きな影響を与える、それぞれの母達。
三島の母、夢野の母、桐野の母、そうだ柳田先生にもまた母がいた。
桐野の母の苦悩と、息子の選択続きの重さ。
そして描かれる、彼らの成長した姿。

その後二度と交わらない道を歩む彼らが、
別れ際、夕日を背にお互いにエールを送る姿に、
胸を締め付けられながら、私もエールを送らずにはいられない。

みんな、みんな、生きて行こう!幸せになろう!



14

子供から大人へのステップ

柳田に強姦される寸前で、三島は桐野と夢野に助けられます。
次の日から夢野は毎日、口実を作っては三島を家の近くまで送る様になります。
そしてとうとう、夢野は三島に告白!
キスをして身体に触れてくる夢野を、戸惑いながらも受け入れる三島。
でも、それが下肢に及んだ所で、急に夢野は逃げ出してしまいます。
そしてその後、三島を避けるようになって・・・

傷つき落ち込む三島を見て、夢野を問い詰める桐野。
「チンコ見たら、スッと熱が冷めて『あ、違う』って思って」
夢野から話を聞いて、桐野は思わず泣き出してしまいます。
同性愛者である事を誰にも言えず悩み続けてきた二人が、
突きつけられた現実に傷つく姿が、本当に可哀想でした。
でも私は、急に同性愛の現実を知って戸惑う夢野を、責める気持ちにはなれません。
夢野が三島を好きだったのは本当ですし・・・
そして、それぞれ心が揺れている時に、三人がホモだと噂が立ってしまいます。

三島のお母さんが、すごく男前でした!
息子がゲイである事にとっくに気づいてたんですね。
「母ちゃんゴメン。ありがとう」と泣きじゃくる三島に、もらい泣続ききしました。

夢野のお母さんもまた、素敵でした!
三島に対する気持ちに、戸惑い揺れる夢野の背中を、
男同士であるにも関わらずやさしく押してくれます。
「今、タローちゃんの『三島くんを好き』な思いは宙ぶらりんなのね。
その想いはどこへ行っちゃうんだろうね」と言ったお母さんのセリフが印象的でした。

お母さんに「生むんじゃなかった」と言われた桐野は、家出します。
「桃源郷へ行く」と言う桐野に三島は付き合い、二人は普通電車を乗り継ぎ、
東京へ向かいますが・・・結局、辿り着けずに旅は終わります。
桐野のお母さんが倒れて「マコトごめんね」とうわごとで言っているのを知ったから。

桐野の出した結論と選択は、本当に切なかったです。
自分の内面が望む生き方より、母親の笑顔を選んだ桐野。
でも、「強くならなきゃ」と晴々と微笑む桐野に後悔は見られません。
どんどん男らしくなっていく自分の体が、苦しかったと打ち明ける桐野に泣きました。
たったひと夏の、宝物のような時間を惜しむ二人の姿と、
自分の道をそれぞれが進むと決断した二人の最期の別れに、胸が痛かったです・・・


三人の少年たちが、迷い悩みながら自分を見つけていく姿が、本当に良かったです。
それぞれが、自分の選んだ人生で、幸せを掴むことを祈るばかりです。

10

お前はお前の道を行け

私の知り合いにも、桐野みたいに、かつて女の子になりたかった男の人がいます。
その人が自分の体がどんどん男らしくなっていくことへの違和感や、
どうあがいても女の子になれる容姿ではないことで女装をあきらめたこと、
将来のことを考えて普通の男になることを決心したことなどを話していた時のことを思い出しました。
あまりにもダブっていたので、読んでいて涙が止まらなくなりました。
自分を受け入れてくれる桃源郷を探す選択肢もあったのに、親のことを考えてそれをあきらめたんですね。

桐野が最終的に選んだ道は極端に描かれてはいますが、現実にこういう人はいて、そしてその選択は間違ってもいないし、誰からも非難されるものではないと思います。
母親のためを思って母親の望み通りの道を選んだのかもしれませんが、でもその道を選んだのは桐野自身です。
だから、彼は大人になって結婚し子供もできましたが、ちゃんと幸せを感じているだろうと思います。

どんなふうに生きるか、三島、夢野、桐野はそれぞれゲイとして生きるということがどういうことかを真剣に考えた結果、それぞれの道を歩んだ。
その中には柳田先生の続きようにねじ曲がって、精神に異常をきたしてしまった人もいる。(ひと夏の大事件、未遂に終わって本当に良かった。そして可哀想な人だったと思います。)
世間ってなんだろう。
自分らしく生きるってなんだろう。
それぞれが選んだ道が、それぞれの答えでした。

この作品はBLらしい萌えとは全然違う次元の重みを与えてきますが、
かと言って、どうしようもない不幸な出来事のように描かれていないところが良かったです。
だって、同性愛者であることそれ自体は不幸なことではないからです。

そしてBLではあまり描かれない、それぞれの家庭の様子や親の考え方もしっかり描かれています。三者三様にお母さん達の子を思う気持が伝わってきました。それぞれに良いお母さんたちだと思います。
一人の人間が、たくさんのしがらみの中で複雑に生きていることをリアルに描いていると思いました。
私は三島の母親のようなタイプの考え方なので、彼女に共感する部分は多かったです。
もちろん親の立場としての意見は意見として言いますが、その上で本人が選んだ道ならどんな辛い目に遭おうとも納得できると思うから、自分の道を選んで欲しいと思うのです。
人から言われて仕方なく選んだ道なら後で後悔するだろうから。

同じ後悔するなら自分の選んだ道で後悔したい。そして願わくば後悔ではなくそれを糧に前に進んでいきたいと思う。

永井先生の作品は、一貫して「私は私で お前はお前だ 人生それぞれだ つらくても お前はお前の道を行け」
三島母の言葉ですが、これをずっと言い続けておられるように思います。
今までの作品は濃厚なギャグが多く、永井先生のメッセージは見落としがちにされてきたように思いますが、確実に画面の中に埋まっています。
この度、こういった作品に仕上げたことによって、そのメッセージの部分が昇華されて伝わってきたように思いました。

この作品はテーマが重いので、誰もが「ジェンダー」や「マイノリティに対する差別」といったものを意識せざるを得ません。
どんな立場にせよ、根本を考えるということは、時に必要なのではないかと思います。
しかしながら、この作品が本当に伝えたいことはそこではないように思います。
もっと言えば、おそらくそういったジェンダー論とかそんな次元を飛び越えて、永井先生には言いたいことがあるんだと思います。

なにものであろうとも、『お前はお前の道を行け』。

17

感動しました

sideAに引き続き、こちらも読ませていただきました。

感想は一言では表しきれませんが、とにかく涙が止まりませんでした。
三島、夢野、桐野の三人が、それぞれ悩み、考えて選んだ道。
そこには家族の存在が大きく関わっています。皆母を大切に思う気持ちは同じで、母が子どもを大切に思う気持ちも同じなのだけど、考え方は違うわけで…そのことが、三人の道を左右することになります。

ラストは切ない部分もありますが、救いがないわけではなくて良かった。
それぞれが、自分の描いた理想とは違えど、幸せであることを願って止みません。

今まで読んだBLの中ではトップクラスの作品でした。
何度でも読み返したい、宝物のような作品だと思います。

6

ふゅーじょん!で開花

永井先生のお話は今まで自分は合わないと思ってました。
ギャグの路線過多だと、合わなければそこまでというか……。
でもコレは凄い面白かったです。
ふゅーじょんぷろだくとさんの雰囲気と永井先生は
合ってるんだろうなと思いました。
シリアスなお話の方が永井先生らしさが生えますね!

このお話を見てて思い出したのは、同性愛セクハラの
2chのスレッド。
自己否定をし続け、勘違いし、欲望を解き放って相手に願望を押し付ける……

それで傷ついたり、成長したり。

実際起こりうること。

それがリアルでとっても良いし、永井先生のギャグセンスで
しんみりした感じにもならない。
意図したエロでなく、ふとナチュラルにエロスを感じたりする
そんなコマ割りでGOOD!

イチバン良いのは皆のママ。理解があって凄いなと思いました。
あんな母ちゃんになりたい。
物事を色んな角度から見て、子供の不安を軽くするような母ちゃん。
いいな……家族って!
今年3本の指に入る秀作だと思います。
是非読んで下さい!

4

素晴らしい!です。

side:Aの冒頭の部分を立ち読みして、痛そうな話だと思い手に取ることがなかったのですが、あまりの高評価で、思わず購入してみました。

買ってよかった!素晴らしいです。内容はほかの方が書いてくださっているので感想を。

話としてはかなりシリアスです。いじめ、レイプ未遂、噂話。などなど。なのにカラッと読めてしまう。三島の屈託のない性格のおかげかなと思うのですが、永井先生の所々で出てくるギャグのセンスによるところも大きいのでしょう。個人的に柳田先生が三島に対して黒い妄想をしている表現が非常にツボでした。

お互いに、口の出すことのできなかった秘密を共有する事で急速に近づく三島と桐野。たったひと夏の出来事だけれども、素の自分をさらけ出し、その思いを認めてもらえ、共有できた彼らは幸せだったろうなと思うのです。

それに引き替えぺドの性癖を持つ柳田先生。彼のしたことは明らかに間違えている。人としても大人としても。けれど、番外編で書かれている彼の過去の話の時に、彼を受け入れてくれた人がいたなら、と思わずにいられません。

三島と桐野のお母さんたちは息子の性癖を知った時に全く異な続きる対応でした。「自分の気持ちのままに生きてほしい」と願う三島のお母さんに対し、拒否反応を示す桐野のお母さん。けれど桐野のお母さんも「息子を理解したい」という気持ちはきちんと持っていて、息子と正面からぶつかる。

それが柳田先生のお母さんにはなかった。納得できなくても、受け入れてあげてほしかった。三島を襲ったときに「俺を受け入れてくれよ」と言った先生があまりに哀れでした。

多分、先生にとって、三島が「パンドラの箱」だったんじゃないかと思うのです。自分の想いを唯一受け入れてくれた初恋の彼を彷彿とさせる三島。ダメだと思う自分もいるはずなのに日増しに募る三島へのよこしまな想い。
先生を素のまま受け入れてくれる人に出会ってほしいと願ってやみません。永井先生、柳田先生の話をスピンオフで描いていただけませんか。熱烈切望中です!

他の方も書いていらっしゃいましたが、桐野の選択はそうきたか!と思いました。
でも自分を受け入れようと努力してくれた母親。今まで家庭を顧みることがなかった父親が、母が倒れたのをきっかけに帰ってきた。そうした家族を守るための選択だったのだろうと、彼の強さを感じました。そしてなにより、三島と過ごしたあの夏の日々が彼を支えてくれているのだろうと。

BLというジャンルを超えて、悩み多い年頃の子どもたちに、そして多くの親に読んでほしい作品です。

永井先生の作品は初読みでしたが、非常におもしろかった。違う作品も読んでみたいと思います。

14

それぞれの、選択。それぞれの、幸せ。

桐野の選択。
そしてラストシーン。
一見、静かで幸せな日常風景なのに、
どうしてこんなにも涙が止まらないのか。


読了後、すぐにはレビューを書けず。
とにかく、生涯忘れられない物語に出逢ってしまった、と思った。
何度も読み返しては、ラストに向けて気持ちが揺さぶられて泣いた。

親子愛、同性愛、友情、性癖…そんな様々な感情と、
感情を殺さねばならない「普通」の日常が絡み合う。
少年たち葛藤を描いた映画のような作品だった。
BLっていうジャンルに留めておくのは勿体無い。
それが読み終えての一番の感想。

こういう風に概要を書いちゃうと、
なんか堅いイメージがするけど、
実際は堅過ぎることはなくて。
作者のギャグセンスがうまく効いてて
シリアスな内容をぐいぐい読ませてくれる。

三島が暗くないのもすごくよかった。
自分の顔に自信持ってるし(笑)、
いじめられても、しょーがないじゃんそうなんだから、
って開き直ってるところがある。
将来も漠然と考えてるけど、
悲観的じゃなくて模索している感じがして、
物語を暗くし過ぎていない。

続きして、桐野の葛藤は
三島よりももっと深かったんだろね。
女になりたい気持ち。
裏切れない大切な母。
三島とは、少し違う方向軸で、男に愛されたいっていう欲求。
三島がゲイなのに対して、
桐野は性同一性障害みたいな感じだったのかな。
だからこそ、あのラストシーンの切なさは容赦がない。


この二人に流れてた友情は、
かけがえのないものだったね。
桐野の決断の日は決別の日でもあり、
その日から三島とも意図的に同じ時間を過ごさなかった…。
でも大人になった桐野は、
幸せも感じていると思うんだ。
選ばなかった選択に想いは馳せるけれど、
今の自分も幸せには違いない、そう思ってくれてるといいな。


世の中でいう「健全」。
親の望む「普通の幸せ」。
たとえ異性愛者でも、
このことについて考える人って多いと思う。
妙齢で覚える結婚出来るかどうかの不安とか、
少しだけ似ている。
「普通の幸せ」が何なのかってこと。
他人と同じようにするのがいいの?
でもじゃあ私の意志はどこにあるの?って。

人それぞれ、理想の幸せって違うけれど、
過去に自分が選ばなかった選択肢は、
もうその時に戻って同じ条件で選び直すことは
決してできないからこそ、忘れられなくて切ないのだろう。
今までの全てが正しかった、と言い切る人なんていないと思うし、
そんな経験を多かれ少なかれ経て大人になって来たからこそ、
この本はこんなにも読者の心を揺さぶるんじゃないかな。


普段BL読まない人も含めて、
心から、お勧めします。

10

胸が苦しい…

柳田の魔の手にかかる三島は!?てな前巻からの続き。
柳田の行為は許されないしムカつくけど、受け入れてもらえなかった過去を慟哭するセリフは、やっぱり悲しい。
その後の夢野と三島の危なげな進展や、口煩いオバサンたちやら、マイナス展開が続くけど、現実ってそんなもんだと思うから、三島や桐野の苦しさが胸に迫ってくるし、共感もできました。

だから、二人の桃源郷行きの結末は、本当にこれでいいのかなぁ…というモヤモヤが残ってしまったんですけどね。
桐野は、自分のために選んだと言ってるけど、これはやっぱり母親のためでしょ?
いつか大切に思える人(♀)と幸せな結婚だってできちゃうかも…って、この時点ではバイかどうかもわかんないのに…やっぱり女を受け付けなかったら、どーすんの?
願わくば、桐野が偽装とかでない真性のバイでありますように。
「少年時代の終わり」だとか「美しい思い出」とか言って、あの時の気持ちに蓋をするような生き方じゃないことを祈りたいです。

まぁその分、三島のその後がホッとできたから、良しとしますが。
子どもの幸せは親の考え方一つ、親の懐の深さでもあるなーと、しみじみ続き感じ入った作品でした。

3

すべてがまとまった

評価に迷いはありません。ただ、永井先生のギャグが肌に合わない方は、面白く感じられないかもしれません。
でも、sideAを読んで「なんだこりゃ~」と思って、sideBを買わないでいるのはもったいないです!!!Aを読んでいるのならば、必ずBも!!!

メインの3人、そして柳田先生、それぞれのパンドラの箱はとても苦しかったです。
柳田先生の1ページまるまる使ったあのシーンはものすごくゾワゾワしたのですが、そのあと三島が言った「…ひっこんだ」でオイ!と笑ったり。
桐野の言うように柳田先生がしようとしたことは許しちゃいけないことだけれども、三島には柳田先生の辛さが少し…分かったんだろうな。
あと、夢野が思いを寄せていたのは、すこしきれいな女の子…のような男の子。彼は生粋のゲイではなく、ノンケ。だから抵抗があって当たり前ですよね。あのまますんなりと「お前のならいける」とかじゃなくて、普通なんだと思いました。
三島は確かにそれで傷ついていたけれど、仕方ないとも割り切れていて、彼はとても大人びているなぁ。桐野のこと、柳田のこと、夢野のこと、すべてを受け入れている。彼のお母さんが三島のこと続きを『強くて優しい人間』に育てたのは間違いないです。そして、たくましい。
たくましいからこそ、桐野も三島にならパンドラの箱を開けて見せることができたのでしょうね。三島にはその気はないにしても、桐野は確かに三島を大切にしていたし、三島にしか開いていない心の奥底があって、そうしてひとときでも誰かに見せることができた桐野はしあわせなのだと思いました。彼にとってのなによりは、自分じゃなくて母親の笑顔なんです。そこが読者側としては辛かった、心が抉られました。
自分を殺してでも母親の笑顔を大切にしたかった。桐野もまた【強くて優しい人間】です。

桐野が、「もう夏も終わりだなぁ」と言った時、彼は在りし日に三島と目指した桃源郷のことを考えているんじゃないかと感じました。終わりゆく夏に、今ある自分の場所、父親としての立場、寂しさじゃなくて、これでよかったと、そう思っていてほしいです。
なんだか、つい望んでしまいます。
誰よりも桃源郷へ行きたかったのは桐野ですもの。しあわせであってほしいんです。
三島と夢野にも安心したのですが、桐野のことが気になって、仕方なくて。今も絶対にしあわせであるんだと思いたいです。

描き下ろしでほっこりしたのは言うまでもなく。
夢野パパ、本編でもそうでしたが可愛らしい(見た目はオラオラガチムチアメリカーンだけれども)人で。きっとそのうちに三島と仲良くなって、夢野が妬いたりするんでしょうね。

誰も彼もが、自分の望みをそのまま叶えられるわけじゃなくて、必ずどこかで無理は生まれて巧くはいかなくて。巧くはいかないけど、でも何かしらを我慢して望みに近しいところまでは持って行ける。
巧くやるには誰かを傷つけたり、傷ついたり、あちこちにぶつかりながらもそれでも前に進むしかない。本心を隠したり、建前を作れなかったり。誰かを悲しませたり、喜んだり。すごく繊細で、上手く言い表せないやるせなさがこみ上げる、良い話でした。

いつか桐野と夢野と三島の三人で、仲良くあの田舎の町を歩く、できれば彼らが密に過ごした夏、夕暮れの中。別に昔話なんてしなくてもいいから、はにかんで笑って肩でも抱きながら、懐かしみながら、三人が笑顔で話をしている…そんなシーンが見れたらいいなと思います。

11

人として重なる部分

これはBLの枠など遥かに越えた作品だなぁと思います。
映画化(アニメでも実写でもいい)して欲しいくらい良い作品だと思いました。
そして、ゲイ映画祭に出して欲しい。
欧米の映画ゲイ映画を彷彿させるものがあるなぁ、と。
でも日本独特の閉塞感もあるので、素晴らしいなぁ。

三島や桐野、夢野、柳田先生の葛藤を読んでいると、男性だけではなくて、女性にもあてはまる色んなものをたくさん感じました。
あまりに深い話で「少年よ大志とか色々抱け」と同じ作家の作品とは思えなかった。
あ、少年よ…も大好きですよ、別の視点で!

友人への見栄で自分を裏切った発言をする夢野は、素直で正直すぎる分、何をしても憎めない。
でも、まわりはそれに小さな引っ掻き傷をずっと抱えていたりする。
夢野は三島や桐野につけてしまった傷に、素直に何とかしようと足掻くから、相手は傷を隠して受け入れられるけれど。
ノンケな夢野が三島の裸に衝撃を受けるシーンなんて、三島達とは違う形で苦悩を抱えていて、かなり切なかった。

三島は自分が何もしなくても、相手が変な気を起こしてしまうから、いつも騒動の中心になってしま続きう。
綺麗だったり守りたくなったりする事が、周囲からは誘っていると見られてしまい、噂の中心になってしまう。
柳田には、お前が悪い、と言われてしまう。
こういう事は、女でもあったり言われたりする事なので、三島にはものすごく親近感を持ちました。
結局、一番素直で一番自分に正直に生きられて、葛藤はあるだろうけど幸せだろうな、と思います。
これからもずっと、別の選択をした桐野の事を心の片隅で思い続けるんだろうなと。
二人の友情が、とても愛しくて切ないです。

そして、親の期待に押し潰されそうになり、結果押し潰される桐野と柳田は、もっとも切ない。
桐野が母親から言われた言葉も、死にたくなるくらい切ないし。
言ってしまった母親の苦悩も、すごくわかるし。
読み手にも、桐野や柳田の家族とのやり取りは、重なる部分がある人もいると思う。
私もこの二人の家族との葛藤が、一番共感しました。
夢野や三島の親みたいに理解ある方が、少ないと思う。
かなり緩くなった今でも。
桐野や柳田の親みたいな反応が、やはり一般的な気がします。
だからリアルだし、切ないし、最後の桐野の笑顔が涙を誘うんだと思いました。

BLの夢物語とは違う、リアルな感じが新鮮でした。
永井三郎先生独特のご近所さんとかギャグで救われる部分もあって、陰だけではないので読みやすくて楽しかったです。

11

それぞれの桃源郷

BLというよりもセクシャルマイノリティな人達の生き方を描いた作品、という印象が強いです。
思春期に自分の歩く道を選択するその姿は本当に切ない。
舞台が田舎というのもきっと大きいのですが、今でこそ理解あるような風潮になってきているものの、それでも本当に生きにくいよなぁと考えさせられました。
普通のBLでは上手くいくところがそう上手くいかなかったり、一応ハッピーエンドではあるものの、読後とても切ない気持になりました。

中でも一番辛かったのが、桐野の選択。
女性への大きな憧れと母親の笑顔を天秤にかけ桐野が選択した道が、彼にとって幸せだったのか。三島と別れる時の「がんばれ!」はどんな表情で言ったのか。答えはきっと読者に委ねられているんだと思います。

三島は最後に「これが自分だ」という答えをしっかり出していて、夢野とも上手くいっていて、もちろん苦労は沢山あると思いますが、分かりやすい幸せの形を手に出来たんだと思います。

それぞれの選択は、母親や周りの人々との関係性に左右されるところも大きく、思春期の少年たちにとっては辛いなぁと思いました。
柳田も、きっとその頃に理解あ続きる人と出会えていたら何かが変わっていたのかもしれません。

余談ですが、SIDE:Aを知らず先にこちらを買い、一番最初の柳田の場面でホラーかと思い、急いでSIDE:Aを買いに走りました。
主要人物はもちろん、おばちゃん達や先生の描き方も個性的で、色んな方向から魅せてくれる凄い作家さん・凄い作品に出会えて良かったです。

9

初めて泣いたBL


SIDE:Aを買い、ずっと続きが気になり悶々としていたので即・購入しました。
この作品はとても現実的です。
BL世界にありがちな、すんなりとゲイカップルが受け入れられている世界ではありません。
ゲイが否定され、嫌悪され、隠し通さなければいけない世界。
三島が好きだと思っていた夢野も三島の性別を再認識し、一度は引いてしまう場面など、人々の現実的な心の動きを細やかに描いています。
(他作品を否定しているわけではないのであしからず)

噂が蔓延る閉鎖的な田舎、セクシャリティに疑問を抱き、葛藤する少年。性癖を否定され歪んでしまった大人。
自分の本当の姿を隠し続け「桃源郷」を夢見る姿がとても切ないです。
主要な登場人物同士の掛け合いだけでなく、それぞれの少年が性癖を告白した際の母親たちの反応もとても考えさせられます。

上京し、女装をしながらメイクアップアーティストとして生活する三島。一度は三島を拒否したものの少しづつ歩み寄り、受け入れることができた夢野。それに対して、女性になりたい願望を隠し『普通』として生きることを選んだ桐野。三人の選択や未来は違っても、自分で生き方続きを決めたことで、3人は歪まずに生きて行くことができたのではないでしょうか。
結果的にはハッピーエンドなのですが、読後にちょっと切なくなる不思議な話でした。

この作者様はギャグを書くのがとてもお上手ですが、シリアスな場面との切り替えがスムーズです。真剣なシーンにいきなりギャグコマが入ってきてどうしていいかわからなくなる時がありますが(笑)

まさかBL漫画で本気で泣くとは思ってもいませんでした。
繊細な心理描写がとても胸に響き、本当に永井三郎先生の作品が大好きです。
これからもこのような作品を描かれることを期待しています。

12

とても考えさせられる作品

sideAを読んでから続きがすごく気になっていました。

前回は、柳田先生が三島君をストーカーして三島君どうなっちゃうの?という一番気になるところで終わりました。
とにかく柳田先生の顔がホラーですごい怖いです(>_<)
一瞬ホラー漫画かよと思いました(笑)

さて本題ですが、この作品は良くも悪くもすごいリアルなんですよね。普通のblなら好きって言ったら、そのままセックスしてハッピーエンドなんだけど、この作品ではそうはいかない。
私が特にそう感じたのは、夢野が三島君にキスしようとしてそのままことに及ぼうとするけど、三島君のナニを見て正気に戻るシーンです。
夢野は本当に三島君のことが好きなんだけど、三島君が本当に男なんだという現実を実感させられて自分でも訳が分からなくなってしまうんです。
ここが本当にリアルだなって思いました。
人を好きになることに性別なんて関係ないってよく言うけど、実際、現実を見せられたら誰だって以前とは全く同じ感情ではいられなくなるでしょう。
でもそういうことを乗り越えてそれでも好きだって思える人が、本当に好きな人なんだと思います。

そして三続き島君と桐野は結局別々の道を歩みます。
女の子になりたかった桐野にとっては辛い選択になりましたが、それでも自分に正直に生きることだけが人生ではないと思うんです。
自分一人の幸せだけでなく、周りの人の幸せもあるからこそ本当に幸せになれると思うんです。
そういう意味では桐野の選択は間違っていなかったと思います。
この作品はblという枠を超えて個人の幸せや、人生について深く考えさせられます。

書下ろしの柳田先生の過去も切ないです。

長くなりましたが、とにかくいろんな方に読んでいただきたい素敵な作品です。

6

がんばれ!

いや~、ググッときました(´;ω;`)
まだ中学生なのにえらいね。

悩んで悩んで傷ついて、自分の道を自分で決めていく三人ですが・・・。
夢野と三島は親の理解もあってなんとか二人で切り開いていくのですが、桐野は・・・
一番女の子になりたかった桐野は、とても辛い選択をしました。
でも、後に桐野のその後が出てきますが、幸せそうでした。
本当に強くて優しいのは、他人の心や痛みがわかる人なんですね。

卒業式で、桐野が好きだった体育教師に第二ボタンを求めるシーンがあるんですが、
そこで、父親みたいに思ってたから・・・、としか言えなかった桐野が、いじらしくて泣けます。

三島と桐野が分かれるシーンでは、桐野が三島に「がんばれ」と、声をかけるのですが、
桐野の表情が見えません。
笑っていたのか泣いていたのか・・・読者に委ねられていて・・・
きっと、自分自身にも言ったんだと思います、がんばれ!って。

や~、永井さんホントにうまいですね~、デフォルメな表情もバッチグーです。
感動させていただきました、ありがとう!

夢野のお父さん、好きです。
サノバビッチ!続き






12

それぞれの

あーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーー。゚(゚´Д`゚)゚。
ハッピーエンドじゃないからこそ
胸に強く焼きついて、その後を引きずっちゃうんだろうなと思うんだ。
こういうタイプの作品って長く残る。
結果的に、BLというよりも・・・という感が強い作品なのですが
ゲイとして生まれたそれぞれの男たちの人生。
歩み方もそれぞれ、周囲の理解もそれぞれ、そんな道を歩むのも。。。
と、少しセンチメンタルになってしまった。

女装癖はあるけれど、女になりたいわけじゃない
男が好き。ずっと悩み続けてきた三島。

男が好きで、オネエ
桐野は女になりたかったのかな。
実際、今はゲイとか同性愛に昔よりは理解がある人が増えたせいなのか
オープンにする人も多くはなっているのだけれど
やっぱり、昔だったらこんなふうに自分を押し込めて人生を歩んだ人は少なくないと思うんだ。
母親が笑ってくれることが自分の笑顔になれることだから
もちろん、女が好きになれないといっても、親愛の気持ちは生まれるとはおもう
だけれど、自分を押し込めてある現実が真の喜びにつながるのかといえば
なんだ続きか切ない気持ちになってしまう。
子供の笑顔に触れるたび。。。というか、子供の笑顔のコマを見てしまった時
現実を突きつけられたようで少し胸が痛かった。
こればかりはどうしようもないことなのか。。。。

夢野と三島
結局その後~の展開がなんだか癒しでした。
いい関係といえばそう。
ここは両親の理解があって~というところからのことでしょうね。
こうなれば現実一番いいとは思うのだけれど
そうもいかないのが現実か・・・とも思う。

もっとずっと遠い未来
三人が再会して、少しはいい道に分岐点を見つける
そんな話があってもいいと思うのだけれどどうなのでしょう。
良い作品でした。ありがとうございます

8

ニルヴァーナを聴きながら。

さようなら、桃源郷。

三島と桐野が誰に気兼ねすることなく素顔のまま過ごせた屋上こそがふたりの桃源郷でした。

同性を好きになるとはどういうことなのか、それはいけないことなのか、三島、桐野、夢野はそれぞれ自分の答えを探します。

自分はいったい何なのか?

拉致された三島を救いに行ったことをきっかけに夢野は三島に対する気持ちを自覚します。
でも『男』と意識した途端、混乱して引いてしまう姿がいかにも中坊でリアルだったなぁ。

閉鎖的な田舎での無遠慮な視線と口さがない噂に急かされるように突きつけられる選択の時。
桐野が自分と向き合い真剣に出した答えは三島と桃源郷との決別を意味します。

何が真実か、という答えは人それぞれですから本人が選んだ着地点だと納得するしかないんですが…「楽しかったねぇ」と解放の封印を選んだ桐野を思うと涙がこぼれました。

三島を拉致した柳田先生も、やらかしたことは許せるものではないんですが…どうにも不憫で。

脱け殻な瞳に唯一、感情が灯ったのは三島を救いに来た夢野たちを罵倒したときだけ。

「受け入れてくれ」と哀願する姿は、否定され自らを偽りながら生きることを選択し続きなければならなかった少年に見えました。

この作品は母親との関係性が印象に残ります。

番外編で読む柳田の母親は三島たちの母親のように息子と向き合う素振りはなく、異物として扱われた孤独はゆっくりと時間をかけて一人の人間を壊してしまった。

家族だからといって分かり合えるわけでも修復できるわけでもない。

でも、だからこそ母親に向き合う覚悟が在ると知っただけで彼らは少しだけ楽に自己肯定ができる。
夢野もきっとそうだったから、あの結果になったんですよね。
ご都合な展開かもしれないけれど、幸せであってほしい。

秘密は口にした途端に現実となり、現実はマイノリティを傷つけることが多い。

【みんながお互いの秘密を知ったら、どんなに安らげるだろう】なんてイギリスの評論家の名言はそれこそ桃源郷の話です。

萌えではなかったけれど抑圧と解放の紙一重に揺らぐ少年たちと、口を噤むことの意味が心に残る作品でした。
この先、ずっと本棚に並んでいるであろう大切な本です。

永井さんの絵柄の使い分けは今巻も冴えてましたね。
超ド級のシリアス展開なのに村のオバチャンたちの顔のデザインがナイス(笑)

15

強く心に残る一冊です

BLというジャンルに留まらず、思春期の少年達と、彼らを取り巻く人々の成長譚として、とても素敵な作品でした。
SIDE:Aから漂っていたあらゆる不穏な空気がハッキリと形を成していく本作ですが、その波瀾に満ちた物語の中で、登場人物の感情や立場が一つ一つ丁寧に拾い上げられ、永井三郎先生の独特な作風で描かれています。
何より感動を覚えたのが、主要登場人物と、彼らの母親との関係性です。
BLにおいては様々な形で、家族との物語やカミングアウトの様子が見られますが、子どもにとっての、特に男性にとっての母親の存在や言動が時にどれほど重く、恐ろしく、同時にどれほど温かく得難いものであるのか。ここまで繊細に表現した作品はなかなか無いのでは、と思います。
また、中学生という設定も特徴的でした。彼らはまだほんの子どもであるのに、自己の性癖を自覚し、その不安定さに日々苦悩している分、正統であろうとする思いもまた強く、その大人びた姿勢がとても痛々しい。
誰もが感情を持ち、自分と誰かを大切に思うからこそ、物事は思う通りに進まない。その虚しさと希望とを、深く考えさせられました。
「萌」とは決定的に違います続きが、とにかく漫画として、創作物として素晴らしい!の一言に尽きます。

5

ありがとう!スメルズライクグリーンスピリット!!

いい作品でした…!!本当に良かった!心にガツーン!と良い衝撃をくれた作品でした。
SIDE:Aを読んだとき、期待・想像をいい意味で裏切られ、先の読めない展開にかなりワクワクさせてもらったものです。
そしてその続きを最終回までCOMIC Beで読んでいたものの、こう1冊にまとめられて改めて読むとまた感慨深いものがあります。
SIDE:Bの表紙は、三島と桐野が海の中手を取り合って…という構造で、この表紙を見ると「あぁ終わっちゃったんだ…」と少し寂しく感じると共に、3人の少年たちの道の行く末、特に桐野の選んだ道をすでに知っている状態のため、せ、切ない…とちょっぴり胸の痛みが…。
この作品が、永井先生が与えてくれた衝撃と面白さはきっと忘れないと思います…!
大好きだー!スメルズライクグリーンスピリットー!!

田舎を舞台にした、男子中学生・三島(序盤はいじめられっ子。女装に興味があり、女の子のように綺麗)、桐野(大人びてイケメン男子。しかし実はゲイで、おねえ言葉を話す)、夢野(おバカで純粋で一直線。三島をいじめていたけど実は好き。だけど…)の3人がメインのお話となりますが、町にも続きのすごいスピードで駆け巡る噂、それぞれの親の想い、親への想い。いろんなものが交差して彼らは悩みます。

SIDE:Aの終わりでは、社会教師の柳田に三島が目をつけられ…というところで終わり、柳田の車に三島が乗せられ…というところからSIDE:Bが始まるのですが、
この柳田も、彼の行為は犯罪で、桐野が言っていた通り教師としても人間としても最低で許されないことをしたのですが、少し可哀想な人でもあるのです。自分の性癖を親に「病気」と言われ、周りの理解を得られず歪んでしまって…。夢野と桐野のおかげで三島は助かるのですが、三島は柳田も自分達と同じように「パンドラの箱」を持っていて、自分が受け入れられてたら…と同情の気持ちを持ってしまい桐野に否定されます。

柳田の件があってから距離が縮まる三島と夢野。三島に恋する夢野ですが、三島といい雰囲気になって先へ先へ…と進み、三島の下半身を見た途端、夢野は咄嗟に「あ、違う」と熱が冷め逃げてしまいます。夢野は三島と桐野とは違う。「三島」が好きなのであって「男」が好きなわけじゃない…それは仕方ないことだし、自分自身に苦しみ葛藤する夢野も、強がって平気に見せる三島も、その三島を理解して励ましてくれる桐野も…あぁ切ない!!永井先生が描くキャラクターはどうしてこんなにも魅力的なのか!
しかし夢野はきちんと考えてくれる子でした…!お前だから特別!好き!で終わらせるのではなく、きちんと理解してくれようとするのが素敵ですよね。
そしてそして、お話は彼らの選択するときまで進んでいくのですが……

『性癖』という壁にぶち当たり、悩みを抱えそして自分達で答えを導き出す少年たちに、読み手も一緒に考え、苦しみ、「どうしたら彼らが幸せになれるのかな」と考えさせられます。
まだ中学生の彼らでも、自分が他とは違うということに気づき、悩み、「いつか結婚して子供も…」と一般的な幸せを親のために想う。
自分のためか?親のためか?何が「幸せ」か?三島と桐野、2人の「桃源郷」は―――?
唯一のお互いの理解者と言ってもいい三島と桐野。そして夢野。
それぞれが選んだ道は、どこかリアルを感じさせられます。特に桐野の選択はBL的に見ると衝撃だったというか、そこまでの道にどれだけの苦労があったのかな、と切なくなります。
でもこれはこれで、桐野が幸せになるための選択肢だったのか…なんて。『強くならなきゃ』と言っていた桐野でしたが、桐野は十分強い!頑張った!!と勝手ながらに思います。
そして三島。三島は三島で「自分の道」を見つけ、歩んでいきます。『それが「俺」「三島 太志」だ』と前へ前へ進む三島の瞳はとっても綺麗でした。
そしてそしてその隣には夢野がいる…というところがとっても良かった!!夢野と三島は一緒に居た時間が長すぎて夫婦のようになっているらしいですが、それはそれで素敵な関係!
いろんな幸せのかたちがあって、道があって。選んだ道は違えど、自分自身の思う幸せへと歩んでいる彼らの姿にはいろいろと考えさせられました。

この作品は最後は一体どうなるんだろう?とまったく先の読めない展開でとても斬新で、永井先生のセンスが光る素敵な作品でした。
そしてこのSIDE:BはAよりもかなりの厚さがあり読み応えがあります。普通のBLとはちょっと一味違いますが、とっても心に残る作品だと勝手ながらに思っております。
未読の方にはぜひともSIDE:Aから読んでいただき、彼らの選ぶ道を見届けていただきたいです~!!

7

何度も読み返したい

若き、セクシュアル・マイノリティ達の、人生の分岐点。

永井先生のギャグセンスが大好きで、手に取ったこのシリーズ、まさかこんな終わり方になるなんて。
想像を覆す展開に驚きと、桐野が分岐点で選んだ選択は、いみじくも、多くの田舎生まれのセクシュアル・マイノリティの生き方そのもので。
それでも、そんな田舎でも、桐野が”パンドラの箱”を見せ合うことのできる時間を持てたのは、とてもしあわせなことだとも、思い、この短き青春物語がいとおしくも思いました。
結局は、他人任せではない、自分の決断を持って進んだ3人は、それぞれの幸せをつかめたようで、読後、とても報われました。

そして、不気味な柳田の過去も、番外編で明らかにされます。柳田の悲惨な過去にいちど同情もしたのですが、桐野、三島、夢野の3人3様の家族や、個々人の気持ちの折り合いを経て、それぞれの分岐点を選び進んでゆくさまを見て来たので、この分岐点で洋服のどこかをひっかけたまま後ろ向きにズルズルと進んでしまった柳田の結末には、虚しさも憶えました。

4

思春期とセクシャルマイノリティ

完結しました!!
すごく考えさせられるお話でした。
主人公達は中学生、世間のせまい田舎です。
そこで自分の性癖に目覚めた少年達、彼等は母子家庭。
学校での苛めと、歪んだショタコンの教師と、村の口さがない噂。
中学生だし、恋愛とかそういう流れとはちょっと違うよね、と思いながら
「同性を好きになるという性癖」そうしたセクシャルマイノリティと思春期の在り方を通して幼い恋も、それぞれの登場人物達によって描かれたのだと思います。

1巻のクライマックス、教師の柳田にとうとう捕まって襲われかけた三島を助けたのは、夢野と桐野。
それから夢野と三島は近しくなるのですが、キスをしたその後、急激に三島が男であることを認識してしまい避けるようになる夢野。
そして夏休み、三島と夢野と桐野についてホモの噂が流れて、親の理解を得られなかった桐野は、三島と一緒に桃源郷を目指そう!と家出をするのですが・・
このひと夏の経験を経て、彼等が学んだモノとは?

三島と桐野は母子家庭ですが、それぞれの親子関係が対照的です。
桐野の性癖を認められない彼の母親。
腹を割って自分からの言葉を待ち、彼の続き性癖を真正面から受け止めてくれた三島の母。
三島が男なのを意識して、男が好きなのではなく三島が好きだったと悩む夢野に、性別は関係ない、恋をするのは素敵な事じゃないかと言う夢野の母親。
【番外編】ではショタコン教師・柳田の歪んでしまった性癖のきっかけとなる少年時代のエピソードがあります。
ここで、彼は周囲からその性癖を否定されるのです。

マンガですから、これがすべてではないでしょう。
しかし、「同性愛」という形についてその形成に重要な位置を占める思春期の彼等を描いて、その後の道が別れたというとても象徴的なお話だったのです。

一番衝撃的だったのは、オネェ言葉を使い、三島よりも女性への憧れが強かった桐野の変身です。
母親を悲しませたくない為の決断を、あの時彼はしたのです。
本当にそれでよかったのかどうか、桐野に聞いてみないとわかりませんが、彼は幸せそうでした。
そして三島と夢野は・・・

絵柄的にホラーもあったり、真面目もあったり、ギャグもあったり。
しかし総じてそのテーマは揺るぎなく、とても真面目なものだったと思います。
とても素敵な作品でした!!

16

この作品が収納されている本棚

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