天使だと思った彼は、実は小悪魔だった…

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表題作六月の丘のひなげし

アメリカ人の画学生 ルイス・ヒューズ(19歳)
絵を拾ってくれた青年 アントワーヌ(ピエール)

同時収録作品この世の全ての花束よりも

新進の画家 ルイス・ヒューズ
才能ある若手シェフ ピエール・アントワーヌ・バロー

その他の収録作品

  • フルール・ドゥ・グラス 前・後編
  • 2013年4月12日の奇跡とツンデレ
  • 情熱のイングリッシュローズ~Mon Tresor~

あらすじ

美大生のルイスは、祖父母の故郷で美しい青年・ピエールと出会う。一目で恋に落ちたルイスは、彼に絵のモデルを依頼する。その日を境に、急速に二人の距離は縮まっていきーー? 新進気鋭作家×若き天才シェフのアダルトピュアラブ!

(出版社より)

作品情報

作品名
六月の丘のひなげし
著者
深井結己 
媒体
漫画(コミック)
出版社
コアマガジン
レーベル
drapコミックス
シリーズ
情熱のイングリッシュローズ
発売日
ISBN
9784864364737
3.7

(24)

(5)

萌々

(9)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
88
評価数
24
平均
3.7 / 5
神率
20.8%

レビュー投稿数9

美しいけど恥ずかしい

なんですか、このカバー絵。
同時発売の竹書房本と比べると、ツヤツヤのコート紙&爽やかグリーンの帯のおかげで、ぱっと見のエロさは薄まっているような、でも、ほとんど肌色のこのカバー絵。
裏の絵も、もっとアレだしな。

ドラコミ版は、ほぼ1冊まるごと1本の、ゆったりとした連載作品。

フランスを舞台にした、金髪のアポロンと丘のひなげしの花の化身のロマンス。
初めてであった時、お互いに一目で恋に落ち、
甘く激情の一夜で消えてしまった。
そして、パリで再会した時・・・。

きゃーっ、
もう、恥ずかしいくらいに堂々のラブロマンス。
それがすんなり楽しめるのは、やっぱり絵。
繊細さを貫いた表情や、コミックスサイズでも鬱陶しくならない絶妙のコマ構成バランス。
このコミックスサイズで、きっちりきれいでわかりやすいのって、実はなかなか大変なことだと思うの。

カバー折り返しにオマケ4コマ。
ピエール一人が報われないツッコミ体質。

1

景色が浮かぶようです

なんだかとっても素敵な1冊だったなと言うのが感想でしょうか。
攻めであるルイスが祖父の故郷のフランスの田舎町を旅しながら絵を書いていた時に
悪戯な風か飛ばした絵を偶然拾ったのが受けのピエール、きっとお互いが一目ぼれ
そんな風に感じる流れなのですが、ピエールはかなりのツンデレさんと言うか
天邪鬼さんで素直な気持ちを表す事が出来ないようなタイプ。

それとは反対にルイスはピエールに惹かれる気持ちがダダ漏れ状態で、ワンコ系。
互いに惹かれあう気持ちは止められない、そんな風に抱き合った二人。
でもピエールには遅すぎた出会いだったと思わざる得ない現実があるのです。
そして、何も告げずに消えるピエール、花よりも美しいと思った相手が消え、
その姿を絵に込めるルイスは新進気鋭の画家として認められるようになった時、
運命のような再会をする事になるが、夢にまで見たルイスにピエールは初めて会ったように
挨拶をされて、求め続けた相手だけにルイスはショックを受けながらも諦められない。

ルイスを思いながらも気持ちが求めるままに行く事が出来ないピエールの現実。
その一端を外部の情報で知る事になるルイス、このまま二人は離れる運命なのか。
この作品を読んでいるといつも初めて出会った景色が目に前に広がっているような
気持ちにどこかさせられるのです。

ラストでピエールに誓うルイスの言葉が、何故かコブク○さんの永遠にともになんて
タイトルのサビを連想してしまうのですが、諦めないワンコのルイスが最後に愛を
捕まえる、永遠の言葉と共に、そんな素敵な作品でした。

3

枯れない想いを花束にして。

恋の予感、いたわり、陽気で優しい、忍耐、慰め、忘却、、多々あるひなげしの花言葉を順になぞるような作品でした。

私の持っている本の中ではトップクラスの肌色率の表紙…通販で買って正解(笑)

そんなエロさ抜群の表紙と裏腹に内容はひなげしの花弁のごとく透けるような初恋が実るまでをじっくり描いた物語でした。

画学生のルイスは祖父母の故郷であるフランスの小さな村で出逢ったピエールにひと目惚れ。
色彩豊かな風景の中での出逢いはふたりにとってかけがえのないものになりますが、気持ちが通じたのもつかの間、ピエールは姿を消します。

淡い気持ちごと置き去りにされたルイスは彼との想い出を描くうちに画家となり八年後、ピエールのレストランで再会することになります。

昔の想いを変わらず示すルイスに体は開くけれど心は開かないピエール。

彼は冷淡な態度で誤解されても言い訳はしない強さを持つけれど心には繊細な優しさや悲しみを抱えています。

亡き父とその親友であった現在のパトロンとの関係という複雑な事情が彼を露悪的に振る舞わせるのが切ない。
その同じ胸に色褪せない鮮やかな想い出は残っているのに!

そんな彼が抱えた事情ごと柔らかく包みこもうとするルイスの優しさと明るさを伴う愛情はこちらの胸も温めてくれました。
大型ワンコいいわ~。

八年もの月日、変わらぬ想いを抱くというのは壮大なロマンスで、しかも有名レストランの天才オーナーシェフと画家。

日常とかけ離れた世界が舞台だけれど描かれている想いは普通のすれ違いと思いやりで、それは強く伝わってくるし共感できるものでした。

絵空事のような世界の片隅で初恋という名の届かない想いの切なさとほろ苦さを大切に抱きしめ続けてきた彼らが八年の時を経て幸せであることを嬉しく思います!

【ああ皐月(さつき)仏蘭西(フランス)の野は火の色す 君も雛罌粟(こくりこ)われも雛罌粟】

与謝野晶子が夫の鉄幹を追って五月のフランスの野に立つと、ひなげしが火の色を浮かべたように一面に咲き誇っていた。そこに夫婦で分け入った時、ふたりの心もいつしか一つになって雛罌粟(こくりこ)の花に染まっていた…という詩を思い出しました。


4

丘の上ひなげしの花で~♪

『情熱のイングリッシュローズ』のスピンオフというか、英国貴族アレックスの義弟編になる本作。
筋的には関連してこないので読んでいなくても問題ありません。
ただ同時収録にこのイングリッシュローズカプの番外編が載っているので…という感じでしょうか。
Drapの深井路線はロマンチックドラマティック路線?
巡り合い再会愛で乙女心をくすぐるような展開(或る意味ベタ)が待っていました。
だけど何でしょうね、いつも思うのは一見そっけない様な媚びない絵柄と、表情の豊かさが話の甘さを緩和して読みやすく、ロマンチック路線が苦手な自分にも受け入れやすくさせてくれている一因があると思います。
ワンコ男子とワケアリツンデレの情熱的で切ない、そして初々しい恋愛ものでした。

祖父母の国、フランスのとある農村に逗留して絵を描いているルイスは飛ばされた絵を川に入って拾ってくれたアントワーヌと名乗る青年に心奪われる。
絵以外人間にあまり興味がないルイスはアントワーヌの美しさに惚れこみ、ルイスの描くキレイな絵にアントワーヌは心を惹かれ。
だけど心が通いあったと思われたその翌朝、アントワーヌはいなくなってしまう。
これが表題の出会い編。
そして8年後、パトロンを得て新進画家としてパリに来たルイスは、レストランで天才シェフとなっているアントワーヌと再会するのです。

まっすぐ一途にピエール(アントワーヌ)を求めるルイスと
彼に優しい顔を見せ受け入れるような顔をしながら、突然冷たい顔で突き放すピエール。
このピエールの態度に、彼の戸惑いと本気が隠れているのです。
翻弄されながらも、一途にピエールを想い続けるルイスの健気なこと。
ピエールの護衛クロードに”アポロン”と呼ばれていましたが、確かに太陽のような存在かもしれない。
それは暗にピエールの現実を揶揄しているようでちょっと皮肉っぽい感じがしますが、当たってるんですよね(憎いやつだぜ、クロードw)
ピエールの表情の変化がとても目をひきます。
冷たく鋭利な氷の微笑みを浮かべる顔と、ルイスに本音を引き出され困惑し、素直で無邪気な表情を見せるその差。
まさにツンデレな女王様な猫?
背景に切ない現実も背負い込みながらやっと本物の愛を手に入れることができるのです。

メロドラマ路線なんだけど、作者さん贔屓だからかな~結構こういうの好きって思えちゃうから、やはり作者さん次第なんでしょうねw

そしてイングリッシュローズの番外編はとってもコミカルで愉快な話。
ここにアレックスのドSは出て来ないのですが、天然怜也だからこその面白さが♪
日本式入浴をさせられてヒィヒィになるアレックスでした(爆!)

折り返しに4コマ漫画があって、コラボしてるんですが、怜也とルイスは天然ボケだったという真実が!
他同封だった書下ろしペーパーも、クロード弄ってます♪
まさかよもやのクロード受け(笑)
こういうショートとか4コマになるとキャラがデフォルメされて、楽しくなりますね☆

3

熱に開く氷の花

舞台がフランスでタイトルが「ひなげし」とくれば、
シャンソン「小さなひなげしのように」が連想されますね~!
美しい少女とのひと夏の思い出、生と死などを歌った物悲しい曲でした。
本書はそれと比べると明るくハッピーなものですが、
登場人物のしらっとした冷たい表情や、さらぬ別れなどが物語に影を落とし、
ラブ甘な恋物語にピリッとスパイスが効いている感じです。


祖父母の生まれた国フランスを旅するアメリカ人画学生・ルイス(19)。
小さな村に滞在し、ひなげしの咲き乱れる風景を描く日々。
そこで出会った美青年(ピエール)と恋に落ち、「人」を描きたいという強いインスピレーションが彼の中に生まれる。
8年後、ともに注目される画家とシェフという立場で再会した2人だが、
ピエールは当時の日々を忘れたかのようによそよそしく・・・


素直で一途なルイスに対し、ピエールはなかなか本心を見せない曲者。
自由な皮肉屋に見えて、料理人として息子として亡き父のために生きているところもあり、寂しい子供がそのまま大人になったような印象も。
ルイスの絵に打ち込む姿を好きだと言ったのは、何のしがらみもなく好きなことに没頭できる自由さへの憧れもあったのかも。
そんなピエールがモノローグで繰り返す「あんたが好き」という告白は、
普段見えない素朴さや温かさ、ルイスへの一途な気持ちが感じられてじんわり感動します。
「氷の花」と言われるピエールが、ルイスを愛することで本当の熱を知るというロマンティックなお話でした。


スピンオフ元となった『情熱のイングリッシュローズ』のカプのお話も入っていて、
こちらは長風呂派の玲也と、日本の風呂文化が理解できないアレックスのカルチャーショックをコミカルに甘甘に描いたショート。


エロは深井さんにしてはかなり控えめ?
乳首成分が圧倒的に足りなかったような。。。w
しかし、ひなげしや薔薇が咲き乱れる絡みシーンは
乙女チックなのに男の色気みたいなものもあって、決して嫌いじゃないのですv

3

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