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表題作ひだまりの猫

眞分陸生,36歳,7年前に妻を亡くした古物店店主 
城野潤,19歳,バイトをクビになったフリーター 

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

バイトをクビになり帰る宛をなくした潤は古物屋を営む眞分と暮らすことに。謎めいた眞分を知ろうとするうちに恋心を抱き始めて……。

(出版社より)

作品情報

作品名
ひだまりの猫
著者
結城瑛朱 
イラスト
小路龍流 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576130880
3.4

(17)

(2)

萌々

(5)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
58
評価数
17
平均
3.4 / 5
神率
11.8%

レビュー投稿数8

この本読むの何度目かなあ

手元置きの本です。何度か読み直し…
何度読んでもやっぱり好きです!
攻 眞分さん言葉遣いが独特さが何故か落ち着きます。
受 潤くん本当に迷い猫?…捨て猫?って感じ
なんだけど真っ直ぐで優しい…
迷い猫の潤くんが眞分さんに拾われて
眞分さんと猫の八千代さんと暮らしていく
その場所が潤くんの「帰る場所」になる。

何処かで読んだストーリーに似てる?って思うことも
無くは無いのですが…この本に流れる雰囲気がとても温かい。
日向ぼっこしてるみたいに、ポカポカしてきます…ココロが!!

何処かにこの二人がひっそり暮らしていそうな   
そんな錯覚さえ覚えます(^^ゞ

この作家さんの文章もとても穏やかで優しいと思います。
bl小説ですが…恋愛小説ですね。何かに囚われて迷い
1歩が踏み出せない二人が出会い少しづつ踏み出す準備を
して行く。そこはひだまりの場所なんですね。

また、読みたくなるなぁ〜と
何度読んでも読後にそう思える
私はそんな本です!!

2

この優しさがとても好きです

何度も読み返したい本

1

悠くん

ありがとうございます。
コメント凄く嬉しいです❗
レビューどう書けば良いのかまだまだ
模索中ですが、読んでいただけてよかったです。
この本は、またいつか読みたいと思います❗
ほんとうにありがとうございます❗❗

ココナッツ

悠くんさま

かなり久々に結城さんのレビューが上がり、正直驚きました。
時間がそこだけ進みが違うような優しいお話で、わたしも大好きです(o^^o)

毎回最初の数ページでハマってしまう

結城さんにハマってます。
どの作品も(冊数が少ないのもありますが)自分に合うなあと思っております。
今回、数ページの序章と終章が攻めの一人称。
これは他の作品の時にもありました。
胸中をこちらに見せてジワジワと染みさせる結城さんの手法なのかなと思いますが、わたしはまんまとだいたいそこで惹きつけられてしまいます。
ちなみに本文は受け視点の三人称です。

********************
攻めは妻を七年前に亡くし、そのことをずっと見ない振りをしてきた眞分、36歳。
呼称は『あたし』、胸中とあの最中は『俺』です。

受けの潤は19歳。
大学受験に失敗し、さらにアクシデントでバイトを首になり、そんな時に眞分に拾われ家事と店番をするアルバイトのような形で置いてもらっています。
********************

始め行き場がないという潤は親が亡くなって天涯孤独?とよくBLで展開されるものかと思いきや、母親と再婚相手の義父と暮らしているらしい。
バイトを首になったのは体裁が悪いだろうけれど、それで行き場がないというのも…甘ちゃんだなあなんて思ってしまいましたが、でも、キチンと躾けられている風の好感の持てる受けさんです。

受けは現実から逃避、攻めは過去から逃避というカップルなわけですが、潔いのはやはり若者の潤でした。
ズバッと踏み出したのも、問題と向き合う努力を始めにしたのも潤。
やっぱりねー、歳を重ねると臆病になっちゃうものよねえなどと、眞分との方が歳が近いわたしなどは思ってしまいます。
いわゆるズルイ大人なのかもしれませんが、そういう攻めさんは好きなもので。

潤と向き合うことに腹を括った眞分はやっと奥さんの名前を口に出来て、素である『俺』に戻ります。
この終盤がすごく好き。
こちらは結城さんの作品の中で一番?えっちが少なかなと思います。
でも雰囲気はあるし、年の差の美味しさもありました。
「大人の本気ってやつを教えてやろう」ってのはなんだかキャーとなります。
これでもう少し濃厚ならねえ(笑

結城さんを読みづらいと思うのは、変に小難しい漢字を使われるところだったのですが、この作品にはなかったのではないかと思います。
牡丹餅(ぼたもち)くらい?かな?
今まではちょっとやそっとじゃ読めない漢字も使われていたのですが、スパッとなくなっていました。
これは2013年の作品なのですが、そういう表現は商業誌なのですし辞められたのかもしれませんね。

3

本当なんて事ない話…なんだけどすごくいい

面白かったです!

前にこの作家さんのが読んでみたいと他の作品を読んだのですが、
読めない漢字の多さに、漢字一つひとつへのこだわりがある方なのだなと好感がありつつも、でもやっぱり読めないので、いちいち止まってしまい…
また文章もこだわりがあるのだなと思うような読み難いものに感じて、
そのこだわりに好感はあるんだけど、でもやっぱり読み辛く…漢字も読めないし…
結果、雰囲気は好きなんだけど、面白い気はするんだけど、好きな気がするんだけど、
やっぱり正直あまりよく解らなかった、面白くなかったっというものがありました。

ですが今回はその漢字問題はあまりなく、
また文章も軽い感じではないんだけど読み易く、読んでてどんどん世界に引き込まれていきました、
作者さんが仰ってたレトロな感じ。
そのレトロなゆったりとした雰囲気の中、
淡々と日々が過ぎていき、その中で自分と向き合いながら、お話が前に進んでいく感じが良かった。
本当日常を切り取った感じ。
日常に近いお話ってたくさんあると思うんですけど、
でも結局は、すごいデキるサラリーマンだったり、着る服に気を遣ったら実はかっこ良くてモテてもおかしくない人だったとか、
なにかしら「実は○○な人」が出てくる気がするんですよね。
惚れるだろーみたいな。
勿論そういうのも読んでて楽しいし、好きなんですけど、
今回はそういうのがあまり前面に出てなくて、
ただその人と一緒にいるだけで心が暖かくなって惹かれていくっというのが好きでした。

後、「わ!きゃ!かっこいい!」っていうクサイ台詞も最後だけってのも好きでした。
「大人の本気」、やられましたねー。
ラブシーンも本当最後だけ、
しかも短いってのが、なんか逆にかっこ良かったし、ドキドキしましたねー。
こういうのもいいなーと思いました。
商業的にはなかなかチャレンジャーな事なんだろうなと思うし、相当腕も必要なんだろうなと思いますが。

なんて事はないお話だと思います。
でもそれがいいってのが良かった。
逆にそれは凄いと思ったし、作家さんの腕がないと書けないんじゃないかなと思います。
もうちょっとこの作家さんの他のものも読んでみようと思います。

本当題名通り、内容も心地よさも。
何度でも読み返したくなる本になりそうな気がします。

2

一期一会

独特の漢字使い、独特の文章、の印象が強い作家さん。
今回もプロローグとエピローグを攻め視点、主要の本体を受け視点をいう構成で見せています。
「ひだまりの猫」その題名が意味するところは居心地のよい場所。
自分の気持ちを閉じ込めて、なかったことにしようとする男と、
自分を押し込めて向きあわずに逃げいていた青年と、
そんな二人が偶然出会って、一緒に過ごすことでそれらが溶けだして、それぞれがとどまっていた場所から一歩を踏み出すことができる話。
小路龍流さんのイラストがとても雰囲気があり、猫の絵もその毛並みのなめらかさが再現されていて素敵です。
日々のやりとり、一見とても優しくそして何気ない日常の会話で流れて行きます。
そこの中で主人公が自分の気持ちに気がついていく様はあまりにおだやかで、一読目は評価をしづらいモノがあったのですが、一読して彼等の概要を知って読めたせいか、彼等の気持ちとやり取りの意味、そんなものがスルスルと入ってきて、再読で評価が上がりました。

「いってきます」ただお使いにでただけの妻が事故にあって帰らない人になって7年。
祖父の古物屋”猫の皿”の店主をしている眞分(まわけ)は、妻の命日の朝、駅前で足が止まってしまいたちすくんでいるところを、ベンチにうずくまっている青年に「大丈夫ですか?」と声を掛けられる。
「何をしているのか?」と聞くと「帰るところがわからなくなってしまった」という。
眞分は、墓参りに行けない言い訳に、彼を連れて帰ることにするのでした。
その青年は、城野潤といい、父を子供の頃に亡くし、母親は再婚したのだが、義父は母親の夫であって自分の父親とは思えない。大学も目的もなく行くのがいやでフリーター生活をしている。
義父に気を使う母親への対応に困り、義父への意地で家へ帰れないでいたのです。
こうして、「猫の皿」で住み込みのバイトをすることになるのです。

眞分は36歳なのに、まるで御隠居のような「あたしはね・・・」みたいな口調です。
店は、古い古物を扱う店なら住まいも昭和やレトロの雰囲気をそのまま残したたたずまい。まるで時間がとまったような~
しかし、それには全て意味があったのです。
亡くなった人への想いが強すぎて、いっそそれをなかったものにする。
彼は自分でもわかっているのですが、それは彼の幼馴染で妻とも幼馴染であった吟遊詩人だという明穂にも、変えることはできない。
潤も亡くなった父親にこだわりがあり、自分で殻をつくって閉じこもってしまっている。
二人はどことなく、抱えるモノに似通ったものがあるのです。
しかし、そんな二人が傷の舐め合いをするのではなく、
”古物”というモノを扱うことで、何も知らない眞分の事を知っていくことで、潤は自分には何が必要なのか見えてくる。
眞分も、純の素直で気遣いのできる態度、そしてさりげない言葉に自分を気づかされる。
上手い具合に作用しているのです。
幼馴染の明穂の存在は、かなり大きいです。彼女がいなかったら彼等は進展しなかったでしょう。

この眞分と潤の関係は、潤が先に恋を自覚します。
そして、告白をします。
眞分が、幾分枯れたような男ですので、欲情込みの関係は想像できないのではありましたが、いよいよの晩、その時は「あたしは~」というご隠居言葉はなくなって「俺」という男を示す言葉遣いになっていました。
エッチはいらなかったな~キス止まりでよかった感じもしないでもないのですが、
自分としては、後日談として言葉遣い、着るもの、などの眞分の色々な変化を見せた上でのラブ甘話があったほうが?と思わなくもないです。
この本の舞台だけ、独自の、独特の時間が流れているような、そんな雰囲気を感じるお話でした。

6

この作品が収納されている本棚

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