夜空の灯・星は、人の想いを映して創られる──。

ステラリウム

stellarium

ステラリウム
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神40
  • 萌×213
  • 萌11
  • 中立5
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
20
得点
290
評価数
72件
平均
4.1 / 5
神率
55.6%
著者
 
媒体
コミック
出版社
プランタン出版
シリーズ
Cannaコミックス(カンナコミックス・プランタン出版)
発売日
価格
¥638(税抜)  ¥689(税込)
ISBN
9784829685372

あらすじ

星の製造工場に勤めるカナタは、亡き恋人を想い残業中にもかかわらず酒に溺れて、涙を零した。
すると、研究していた素材の中から少年が生まれ出る。
星以外の製造物は破棄する決まりだった。だが人の形をした彼を破棄することはできず、アルレシャと名付けて育てることに。
喪失感で苛まれていた日々に、そっと寄り添ってくる無垢な瞳にカナタは……。

表題作ステラリウム

同時収録作品ステラリウム【埋み火】

後輩研究員 キケ
星製造工場の先輩研究員 レオシュ

同時収録作品真空庭園

透の体から生える植物で生きる はるか
はるかの呼気で生きる 透

その他の収録作品

  • 窓辺にて
  • あとがき

評価・レビューする

レビュー投稿数20

ファンタジーが自然な世界観

背景がとても丁寧に書き込まれていて、ただページをペラペラめくっているだけで外国の絵本を見ているような気持ちにさせてくれます。

表題作のステラリウムでは、人工で作った星から人が生まれるのですが、それを大げさに驚くこともなく、こんなこともあるんだなと受け入れられる世界観が作品の空気感になっていたように思います。どこか静かでセンシティブで優しい空気感の作品でした。

ステラリウム 夜明け前
愛する女性を喪い、その女性を忘れることができずにその人を思って彼女が苦手な真っ暗な夜を照らしてくれる星を作る研究に没頭するカナタ。研究に集中していて彼女と一緒の時間を過ごせず、重い病を抱えていたことに気付けないまま別れがやってきたことで自分を責めてずっと苦しんでいた人です。そんなカナタに彼女からのメッセージを託されていたのが星から生まれたアルでした。
カナタの苦しみ、アルのじんわり優しい想いが、青井先生のどこか懐かしさを感じる絵柄で素敵に描かれていました。

ステラリウム 埋み火
カナタが務める研究施設の同僚、キケとレオシュのお話。夜明け前編より恋愛色が少し濃いめでした。
それでも恋続きだけじゃない人の感情の動きが、静かな世界観のなかで繊細に描かれていて、突然激しく動き出したりジリジリ少しずつ変化していきます。そんなキケとレオシュの感情に夢中になって読み進めていました。

真空庭園
はるかと透はお互いがお互いを生かすために必要な二人。そこに恋愛という感情を挟み込んでしまう自分は汚いと苦しむ透。この二人も特殊な体質をもったファンタジーな世界観の中で描かれていて、とても素敵でした~!!ファンタジー大好きな私はキュンキュンしっぱなしでした。すれ違いから寝たきりで目を覚まさなくなる透にキレイな存在だな~と思いつつ、透が再び目を開いたときに見たはるかにこの作品中で1番ときめいたかもしれません。こういう展開大好きなんだー!!

王道的なストーリー展開ではありますがどれも世界観がファンタジーになっているぶん新鮮でキレイでより楽しめるものになっていました。語りすぎないところがいい塩梅なのかもしれません。

1

もっと大きな紙面で見たい

Cannaコミックスから新刊が出るので、未レビューになっていた去年の本を発掘。

細密なきれいな絵で、静かにつづられる物語。
「星を作る工場」の設定や、この世界観は好き。
繊細な絵柄もきれいだと思う。
ただ、このコミックスのサイズ感や紙質だと、せっかくの細密な絵柄の良さがいかされない感じですごくもったいない。
っていうか、はっきり言って読みにくい。
構図もすごく洗練されていて,ふきだしの位置とか大きさとか、とっても気を遣っているんだろうとは思うけど、誰のせりふかわかりにくい。
モノローグの位置やフォントやサイズもすごく計算されているんだろうけど、印刷によってはつぶれて見つけにくい。
たぶん重要なアイテムの星の素とか、もっとちゃんと細部が見たい。
ストーリー自体はシンプルだから、話の流れはざっと流し読みでもわかるのだけど、せっかくこんなに描き込まれているのに、ストーリーをさらっと追うだけじゃもったいないし、もどかしい。
この作品、原画サイズ(本当の原稿は紙じゃないかもしれないけど、よく書店で原画展とか複製原画と称して飾られたりする、あの大きなケント紙のサイズ)で見た続きら、すごく感激すると思う。
紙の質感とかは好みの問題ではあるけど、せめてもう一回り大きなサイズで、紙ももっと白くて硬い紙の本だったらよかったのになぁ。

2

残念

表題作のステラリウムは「夜明け前」と「埋み火」の2編構成です。
ストーリー説明やレビューで見ていたのと読んでいて印象が結構違いました(^◇^)

【夜明け前】
星の製造工場に勤めているという設定だったのでこう・・・大きな星に囲まれていて選別作業などをしているものだと思っていたのですが、
理科の実験的な感じですね笑 試験管とか使っているので
主人公カナタは過去に恋人(女性です笑)を失っているという悲しい思い出があります。
星を製造していく過程で人の形をしている(顔が亡き恋人に似ていた?)モノが出てきて、捨てられなかったため彼にアルレシャという名前を与えて育てることになりました。
まずこの表題作キャラクターがどちらも無表情無口系でこれが恋愛になるとは思えないなぁ~と思いながら読んでいましたが、
私的には納得(?)出来る結末にはなりませんでした(´・ω・`)
私には亡き彼女をアルレシャに重ねているとしか思えないし、愛し合っているのかも分かりませんでした。
長く二人で暮らしていくにしてもカナタは彼女を重ね続けるけれど、アルレシャは分からないため自分が愛されていると思ってい続きるという悲しいことにしかならないような気がします。

この本はファンタジー好きだったのでファンタジー目的で購入したのですが、ファンタジーが読みたいからという方にはオススメできません"(-""-)"
話も起承転結の激しさがあまり感じられませんでしたので残念ですがこの評価です。

埋み火はまた時間があれば追記します><

2

儚いモノ

全部で3つのストーリー入り。
2つは同じ工場の中のストーリー。
1つは、別のお話。
どれも静かなお話でした。

特に3つめのお話は、最初にサラッと読んだのですが
本当の意味での理解は難しかったです。
そしてもう一度読んだ時、とても切ない気持ちになりました。
短いストーリーの中に、お互いが相手を思いやるがゆえの擦れ違いなど
心の機微がしっかり描かれていたように思います。

一冊すべてどの作品も、BLというよりも
絵画に詩をつけているような、そんな雰囲気の作品だと感じました。

0

星が綺麗なのは。

まず、絵の繊細さに惹かれました。
あと星は人の手で作りだすもの、という発想も好きです。
星が綺麗にかがやくのは、作っている人の心が綺麗だからなのかな。

ステラリウム <夜明け前>
星を人の手で生産する工場に勤めるカナタ。
恋人をなくしてしまい、多少やけになっていたところ廃棄される星の欠片に
カナタの涙が混ざってアルレシャが生まれた。
しかし時折アルレシャの姿が亡くなった恋人に重なってしまい…

ステラリウム <埋み火>
同じく星を生産する工場に勤めるキケは主任のカナタの事が好き。
部下のレオシュは星の存在の素晴らしさを教えてくれたキケに尊敬の気持ちと
愛する気持ちを持っている。
キケがカナタとレオシュに抱く劣等感に耐えられなくなり仕事をやめると言い出して…

真空庭園
植物を生み出す透と、透が生み出した植物を食べる、はるか。
お互いは、なくてはならない存在で、お互いを必要としている。
しかしある日、透にはるかが言った一言で、透が仮死状態になってしまう。

どちらかが眠り続けて目覚めたとき、最後にあった時から数年たっていて
年を追い越してる。続き眠っている間、もう一人はずっと苦しんで…
たくさん言いたいことがあるけど、その前にぎゅってする、みたいな展開が好きです。

1

美しい画面で綴られる淡々とした物語に癒されました。

青井さんの(当時)新刊を発売日に買ったにもかかわらず、何故か読めないでおりました。
忙しいのもあったんですが、何故かファンタジー設定のBLって苦手な事が多くて。
多分、設定がファンタジーだと人外とか平気でいるので、ゲイなんてなんでもないじゃない!人間なだけマシ!という事になってしまうからじゃないでしょうか、何となく。

それで読んでみましたが、普通に良かったです!
もう少し早く読めば良かった!
よくよく考えてみたら、青井さんの著作でゲイだからっていう葛藤はほぼなかったですね。それよりも個人が受け入れてもらえるかとかそっちの方向性でした。
星を作る工場の話でしたが、美しい画面で綴られる淡々とした物語に癒されました。
あらすじ読んだ感じだと長野まゆみが好きな方にはいいかなあと思いましたが、あそこまでこてこてじゃない上に少年趣味でもないので、ちょっと外れてしまうかも。
逆に長野まゆみは卒業してしまった私には、とても好みです。

でも、青井さんの著作は「爪先に〜」の方が好きかなあ。
どちらも素敵ですけれど。

5

聖夜のような美しく包み込む夜

「爪先に光路図」を読んで、この雰囲気は何かに似ていると思っていたのが、これを読んでわかりました。

ますむらひろしや宮沢賢治の世界観に通じるところがあると思います。とても現実離れした世界の中で、とても純粋で人間らしい気持が行き来する美しい世界でした。

大切な人をなくしていたり、報われない想いを描いてはいるのですが、この人の描く夜は温かい。「爪先~」でもそうでしたが、夜にたたずむシーンでも星や月の光に明るく照らされているのです。
夜も闇も恐ろしいものではなく、休息を優しく包む柔らかなもの、子どもたちを包む母親の腕の中のようでした。

どろどろとしたものすべてを手放して、純粋さだけを残した絵本のような世界がとても美しい。
聖なるひと時を感じさせてくれる一冊でした。

2

うん?ボーイズラブ??

これまた不思議なファンタジー(?)ではまっちゃいました。

今回はなんと星の製造とな?!
前作も思ったけど、本当に不思議な世界観です。
だけどその世界に引き込まれるから不思議。

星の製造過程で誤ってできた少年とのお話ですが
すぐには受け入れられない。
少しずつですが、歩み寄っていく感じがいいですね。
この2人はゆっくりと進んでいけばいいと思います。

後半はこれまた不思議なファンタジー。
お互い相手がいないと生きていけない存在。
だけど相手のためを思っての行動で6年もの歳月が…
この2人はお互いの気持ちを伝え合うことから始めなきゃね。

次に出る本もこういう雰囲気を期待します。

3

足りない

とても優しいお話でしたし
作品としてもっと読みたいなと思える作品だったのですが

もっと読みたかったなと
消化不良な気分になりました。

素材の中から生まれた少年この設定とても好きですが
だから?なにを?という
部分がなくて、想像の世界というか、スケールが大きいのかもしれませんが、私にはとても大雑把な話の進みかただなと感じてしまいました。

もっと知りたいという部分が多すぎて、面白いと思ってしまっただけに、がっかり感が強かったです。

blだと思わなければ良いのかもしれないし、BLである必要がない作品なのかもしれないなと
思いました。

7

BL感が薄い、童話の様な美しい作品。

表紙のカラーは勿論ですが、
其々のお話のモノクロ扉絵、
物語間に挟まれる、
星の基を閉じ込めた小瓶の一枚絵。
繊細で、「見入ってしまう」という
感想がぴったりはまる。

青井さんの活動に詳しくはないのですが、
BL以外の絵のお仕事は
されていないのでしょうか。
通常のファンタジーものの挿絵も
とても似合うように思います。
「原画を見てみたい」と思ったのは、
明日美子さん以来かもしれません。
前述の中村明日美子さんや
BLではありませんが楠本まきさんの絵を
見た時に感じたような繊細さ。

そして絵だけではなく、物語も
独特の空気感がありますね。
でも、世の中でいう「BL」というよりも
その香りがするファンタジーもの、という印象。
特に、同時収録の【真空庭園】は、
中学生の女の子が思わずドキドキして
しまう文学作品の様な世界観だな思ったのです。
表題作は、あらすじが比較的明快なのに、
空気感が大事な作品ゆえレビューはしにくかった。
でも、ファンタジーながらも設定が細かく、
細かいけれど説明しすぎてもおらず、
全体の物語の根幹はシリア続きス。
だからファンタジーで感じがちな
違和感が残りにくいのだと思います。
謎は色々と在るものの、
それでいいと思わせる空気感があります。


丁寧な物語が好きな方におすすめ。
BLにおけるファンタジーが好きな方と言うより
物語としてファンタジーというジャンルが
好きな方に好まれると思います。

個人的には、前作『爪先に光路図』のほうが
切なさや美しさを強く感じて好きだったので、
本作の評価はそれよりも低め。
前作よりもよりBL感が薄いと思います。
だから、イチャラブとかきゅんきゅんを
求める方には向かないと思います。


ただ、この作家さんは稀有な存在だなと思う。
童話とかも描けそうなこの感じ。

2

青井秋さんだからこその素敵な一冊。

すごくお恥ずかしいことながら、
この本がちるちるのランキングに入ってしばらくした頃にやっと、
この本が「爪先に光路図」と同じ作家さんの本だと気づきました…。
青井秋さんのお名前、
今度こそボケたこの頭にもしっかりインプットしたいと思います…!


今回は丸々一冊ファンタジーなんですね。
青井さんは絵でしっかりと世界観を表現して魅せてくれる作家さんなので、
ファンタジーがとても向いているなぁ!
絵による説得力があると惹き込まれ方が全然違うなぁ!
と感じました、ホント素敵ですね。
想像から世界を構築し、
その中で魅せる&読ませる物語を創る作家さんは、本当に素晴らしいと思います。

この本の物語はどちらもそんなに長いストーリーではないのに、
特に説明的だなと感じさせることなくスルッと世界観になじめました。
星を創る…なんて素敵な仕事でしょう。


喪失感を埋めてもらい癒されていくという展開も、
長い時間をかけて愛情の深さを証明するという展開も、
個人的にとても好みで、穏やかな感動がありました。

最初の【夜明け前】はもう少し読みたかったなぁと思続きいましたが、
最後の【真空庭園】では、
短いお話ながらも時間の経過をしっかりと感じられて、
とても爽やで満たされた幸せな気持ちになって本を閉じました。

でも…、
激しい感情的な波が見える話も、いつか描いてくれたら…読めたら嬉しいな…
素敵だからこそ、そんなこともちょっと欲深く思ってしまいます。

4

美しく無垢な星の子

いったい、どうレビューすれば伝わるでしょうか・・・

「星」を製造する工場に勤める、繊細でやさしい人々と、
「星」になる筈だった「もの」と想いのこもった涙から生まれた、無垢な少年。
大切な存在を亡くして深い悲しみに沈むカナタを、星の子が癒していきます。

儚く美しいストーリー。本当に素晴らしかったです。
そしてこのお話のやさしい世界は、美しい青井秋先生の絵があってこそでしょう。
どこもかしこも、すごく繊細で感動的だったのですが、
私が一番好きなのは、夜の海辺のシーンです。
これといって何もなく、ただカナタがアルレシャを迎えに来ただけの場面なんですが、
アルの表情と夜の風景が、胸が締め付けられる程の静かさと美しさでした。

そして島での休暇。
アルの「ぼくがまだ海の中のなにかだったころ」のセリフが印象的でした。
最後にアルを通して蘇るエレインの言葉。
――どうか、あなたの心のまま――
じんわり涙が出るほどの、静かな感動のあるお話でした。


表題作の『ステラリウム 夜明け前』以外の他の二編も、良かったです。

『ステラリウム 埋み火』は、カナタ続きと同じ星の工場に勤めるキケとレオシュの話。
キケの、カナタに対する長い間の想いが。
レオシュの、キケに対する子供のころからの憧れが。
『夜明け前』程ファンタジー色は強くありませんが、
やはり美しい絵とやさしいストーリーに、しみじみとした感動がありました。

『真空庭園』も、不思議でやさしいファンタジーでした。
――僕らは循環するひとつの器官だ――
お互いが生きるために、なくてはならない存在である、はるかと透。
だからこそ、相手を想うあまりの苦悩があって・・・


ここ暫く、なかった種類の感動でした。
私はやっぱりファンタジーが好きなんだなぁ・・・と改めて実感。

BL的な萌えは期待せずに、ぜひ読んでいただきたい作品です。

7

淡いけれどくっきりとした世界

大好きな青井先生の二作目。

今回はファンタジーを織り交ぜた優しいお話でした。

自然や生き物を愛する、とても青井先生らしいお話です。

表題作「ステラリウム」
星というテーマと幻想的な世界観で、最初、登場人物たちはどこか淡く、地に足のついていない様な感じがします。けれど各々が、自ら望んだ仕事でもあり、一等愛する星を通して、自身の星の居場所を見つける。そうして再び歩き出し始める。

星ってずっと宇宙の果てからやってくる、決して触れられない光なのに、地上にいる私たちの目にまではっきり見える。曖昧で不思議、けれども確かにそこにある。
この物語もそんな星のようなお話だと思いました。


もう一つのお話「真空庭園」
一人は体から生える葉を与え、代わりに空気を貰い、一人その葉を食べて空気を与える。
お互いが無くては生きてはいけない二人。透とはるか。
循環する一つの器官だという二人ですが、けれど彼らが別々の個体として生まれたのにはきっと意味があるのでしょう。
互いが互を生かし合うという深い部分で繋がり合っているけれど、恋愛感情は互いにまだ内にしまっていて、優しさと続きあたたかさがほんのり染み入るお話でした。二人の愛しげな表情に惹かれます。

あと個人的にこういう植物と人の交じり合う設定大好きです。


この本はシチュやキャラで萌えを得る作品というよりも、
青井先生の織り成す世界観や、丁寧に描かれた風景、物語の彼らの心情など、
それらを読み手が思い思いに感じ取り、ひっそり堪能できる作品なのではないかと思います。

何度も読んで、最初は気づかなかったなにかを見つけたり、これはなんだろうと空想してみたり。とても素敵な作品でした。

4

長野まゆみ好きはぜひ

星をつくる研究所、工場が舞台。
この星のつくり方が描写に出てくるのですが
「夜光虫に浸した海星(ヒトデ)に蛍石の粉と白蝶貝の粉を混ぜて…」
というように、この世界観だけでも、好きな人にはたまらないものでしょう。
長野まゆみや稲垣足穂の世界観。

実験途中に偶然できてしまった無垢な星の子供アルと、傷ついた過去を持つ大人カナタ
の表題作は切ないです。

もうひとつ、カナタの同僚とその部下のお話も含まれていますが
どちらもほんのりとかすかな想いが描かれるだけで、そこまで恋愛関係に
なっていないところが、世界観を崩さずにいて素敵だなと思いました。

最後に短編で入っている、「僕らは循環するひとつの器官だ」というふたりのお話も
設定勝ち!だなと思いました。この二人のお話がもっとたくさん読みたいな。

3

ほんのり灯る星のように

やさしく、静かな物語が三編ありました。

言葉を伴わない音楽、まるでインストゥルメントのような作品集でした。
そう感じるのは、おそらく文字情報以外の要素が大きな意味を持つ作品だからだろうと思います。
コマや言葉が足らないのではなく、あえて想像を掻き立てるような描き方をしているのだろうと思います。
従って文字情報に頼るタイプの人にはよく理解できない部分もあるかと思います。
ノンバーバル(非言語/見た目・しぐさ・表情)を読むのに長けた人向きだと思います。
最大限に想像をふくらませ、その世界に飛び込めばとても楽しめる作品だと思います。

今回も表紙が素敵でした。
カバー表紙の落ち着いた銀箔の色合いが、絵の雰囲気にとてもマッチしていてお洒落でした。
ページのナンバリング横に小さな挿絵が載っているのも気の利いたお洒落!
もちろん背景や人物の丁寧な描写は健在で、ぬかりない書き込み具合に感嘆するばかりです。


『ステラリウム 夜明け前 前後編』
星の製造工場に勤めるカナタは、ある日、星を作ろうとして失敗してしまい、「星の子」を創り出してしまいます。
失敗作とはいえ続き、人型をしているので破棄はやめて「アルレシャ」と名前をつけて様子を見ることにします。
アルレシャはいつもそっと寄り添うようにカナタの傍にいます。しかしアルレシャが傍にいてもカナタは亡くなった彼女・エレインのことを思い出し、喪失感が拭えません。お酒に溺れるも、その悲しみを癒すことはできずにいます。
そんな中、カナタの傍にいると徐々にアルレシャにも誰かの声が響いてくるようになります。
それはカナタの亡くなった彼女・エレインが伝えたかった想い。
アルレシャは、自分がエレインがよく見ていた海にいた「何か」だったことを思い出します。そして頭の中に流れてくるエレインの想いをカナタに告げます。そのことによってカナタは想い人を亡くした悲しみが癒えていきます。
次の日、カナタとアルレシャは海に向い、カナタは海に向かって弔いの花束を投げます。ずっと受け入れることができなかった恋人の死に、カタナがようやく向き合った最後でした。
星を作る時に、エレインがよく眺めていたあの海の中にいた貝殻と、エレインの幻と、カナタの涙が融合して出来た奇跡がアルレシャでした。アルレシャの存在は失敗ではなく、必然だったように思いました。
一人ぼっちだったカナタの心に、アルレシャという星の光が宿ったようです。
静かに寄り添う二人に、切なくも暖かい気持ちになりました。

『ステラリウム 埋み火 前後編』
前作と同じ星の製造工場に勤めるキケとレオシュのお話し。
レオシュは小さな頃、工場見学に来た時に、子供達に工場の案内をしていたキケに憧れて星製造の仕事に就いたのでした。
そんなわけでレオシュはキケに憧れと恋心を抱きながら、でもどうすることもできないと思いながら一緒に仕事をしています。
ある時、主任のカナタとキケが、何やら親密な雰囲気で話をしており、キケがカナタをそっと抱きしめているところを見て、レオシュは嫉妬します。
そしてレオシュは思わずキケにキスしてしまいます。ここはちょっとBLらしい展開にドキドキ。
その後、キケは仕事を休んでしまうのですが、そこにレオシュがお見舞いにきます。
キケはレオシュの想いに答えることはできないと思いながらも、何故か胸に小さな火が燃えるような痛みを感じます。
このキケの胸に埋まる火、これがタイトルの「埋み火」の意味だと思いました。
お話しはここで終わっています。その後キケとレオシュはどうなるのでしょうか!?
続きがあったらぜひ読みたいです。

『真空庭園』
混じりっけのない二人だけの世界を意味するようなタイトル。
はるかと透は循環するひとつの器官のようなもので、はるかは透の葉を、透ははるかの呼気を吸い、循環し合って生きています。
相当ファンタジックな二人の不思議な関係です。
循環するためにキスするシーンはBLらしくて萌え萌えします!!
けれど透はふたりの関係に、それ以上のものを求めてしまい辛いので、
循環しあわなくても良い方法を川端という研究者と研究していました。
そのことをはるかが知り、透が自分から離れていくのではとショックを受けて、暴言を吐きます。それに反応して、透の体から珪素が放出され、透は仮死状態に。
透の体から生えているシダ類の描写が美しくも不思議でした。
六年後、透が目覚めると、はるかは男らしい青年に育っていました。大人なはるかの姿に萌えてしまいました♪
はるかは目覚めた透に「好きだよ、きみに伝えたいことがたくさんあるんだ」と言います。
六年前、お互いに伝えあうことが出来なかった思いをたくさん伝え合って欲しいと思いました。
今度は二人の気持ちも循環しはじめる予感です。

私にとってはもうBLかどうかなんて、カテゴリーなんてどうでもいいと思えるほど好きな作品でした。しかし普通のBLらしいBLを求めている人には勧められない作品です。私にはBL要素もかなり感じられたのですが、多分この作品は一般的な萌えは得られない内容だと思います。そのあたり、求めるものを間違うとハンパない外した感が出てしまう作品ではないかと思います。ファンタジー要素が強めですので、ファンタジーがお好きな人、そして絵から何かを想像することがお好きな人にはお勧めの一冊です。

個人的に大好きな神絵師さま、青井さんの2冊目が読めてとても幸せです。
次回作も楽しみに待っています。

9

ステラ(星)+リウム(~に関する、~の為の場所)

題名の《ステラリウム》は、造語だそうです。
青井秋先生が【ステラ(星)+リウム(~に関する、~の為の場所)】で【ステラリウム】とつけたことをツイッターで呟いておられました。
私は《ステラリウム》という言葉の響きが、すごく綺麗で題名にぴったりだなあと思いました。
青井秋先生、暴露してすみません。
《ステラリウム》《窓辺にて》《真空庭園》
何度も何度も繰り返し読む事をおすすめします。
すべてが美しいファンタジー。心にじんわりと心地よく沁みていきます。
読む度に感動がジワジワと湧き上がってくる本。大切にします。

うお座の人、テンション上がりますよー。私、グワッと萌えました!(うお座の私)

5

星に願いを

空の灯火を作る工場、凄いファンタジーですよね、星を作って空に明かりを付ける、
届きそうで届かない星を人が作る不思議な設定なのですが、
そこで働く人たちの心に染み入る様な優しさをたっぷり詰め込んだような作品ばかり。

BL的な要素は匂い系なのですが、そんなことはどうでもいいくらいに素敵な内容です。
タイトルを見た時は私も愛用しているのですがプラネタリウムソフトなのかと
一瞬思いましたが、読み始めると不思議な内容なのに目が離せない。
美しく輝く星を作る研究をしている主任は心に悲しく苦しい思いを抱えていて、
失くしてしまった大事な人を思い星を作ることに身体を壊してしまうのではと思える
状態になるまで精神的に追い詰められている感じでした。

そして作っていた星が、培養途中で誤って落としてしまい、その星が壊れたと思ったら
何故か人の姿をした少年が現れる。
お酒の飲み過ぎだと、幻覚まで見えると思っていたら、それは現実のもので、
しかし、不出来な星は廃棄する決まりだとやって来た同僚に言い切る冷淡さ。
心に余裕もなく、生きている事に意味を見いだせないような主任がその星から続き生まれた
アルレシャと名付けた星の子と過ごす事で過去のこだわりから救われるような
優しさが溢れているような内容なのです。

もう一カップルは同じ工場に働く先輩後輩の二人で、こちらの方は不思議系よりも
人間味のある人への憧れが出ている感じですね。
ラストの収録されているのはもしかしたら擬人化なのかとビックリしたのですが、
二人で一人、互いに共生しあう不思議な体質のお話で、ちょっとした年齢差があり、
生きるためのだけの共存の関係に恋愛感情が出てしまった時に相手を思うが故の
行動が誤解を招いてすれ違い、その衝撃に深い眠りについてしまった相手を
大人になったはるかがひたすら待っている話で切なさにやはり優しさが散りばめてある
そんな素敵な作品のかたまりみたいなファンタジーでした。

6

うつくしい

あちこちで書かれている発売日と入荷の予定日との入れ違い食い違いで「こんなにも読みたいのに手に入らない~!」状態に歯ぎしりをしていた一冊です。
カバーイラストは青井先生独特のイラストでweb上の参考画像を見るだけでも美しいのですが、こちら実際のものも綺麗です。厚めの紙に印刷されてあり、ところどころ金・銀色のインクが入っているのでななめに光をあてるとキラキラとして、まさに星のきらめき。

サイエンスファンタジーと、いうのでしょうか。
ボーイズラブという観点を抜きにしたらこの方は絵本を描けるのじゃないかと思うほど幻想的な世界です。ステラリウムも、収録されている真空庭園も。
(男性同士の恋愛を好んで読むということは万人に受け入れられるというわけでもないので)特殊な嗜好ですから、子供に見せられるかと言えば難しいです。でも星がどうしてまたたき輝いているかという理由が“夜光虫を使ったり発光プランクトンを培養させたり、様々な配合を試しながら人が作って空に送っている”なんて設定、すごく夢があってそれが正解なんじゃないかと望んでしまいます。
化学反応で燃えてるとか、他の恒星の光を受けて光ってい続きるように見える、とかよりもずっと夢がある…子供の頃にそんな話を読んだら星を好きになると思うんです。

前作【爪先に光路図】もそうでしたが、今作も性的接触はほぼありません。一切ないわけではないのですが、回数に含んでいいのか…と感じるような淡いものばかり。
ステラリウムのほうは確かに恋愛感情ありきの接触ですが、空中庭園は「循環している」からこその接触ですし、ぎりぎりのラインをゆったりとたゆたうような世界観。
JUNEに近いと思います。退廃的とも耽美とも違う、ぼんやりとした…うまく言い表せませんがだがしかしそれがイイのです。
収録作の【ステラリウム】と【空中庭園】。
そのいずれもが現実に存在するものなのかと錯覚します。いやファンタジーだからと考えるのですが、例えば電線があったり電子機器があったり電車が走っていたりと、そういうところは現実的だからです。

【ステラリウム(夜明け前・埋み火)】
星のもとと愛おしさの涙から生まれたアルレシャがきれいです。くりくりの双眸がカナタをじっと見つめる姿もまた美しい。
カナタが、名を与えたときのあの喜んだ様子が特にいいと思います。喋れたのは、名を与えてもらったからなのでしょうか。
逝ってしまった恋人エイレンとの思い出のなかに生きてそこに活路を見出そうともがいていたカナタを救ったアルレシャ。エイレンは、海のなかのなにかだった頃からアルレシャに想いを託していたのかもしれません。

年の差好きとしては、埋み火も良かったです。
心追い詰められたときにこそ、過去のふとした優しい思い出に救われますよね。キケにとってもレオシュにとっても、互いがそうだったのかなと思いました。
結局、キケはカナタに恋愛感情を抱いていたのかどうかは定かではないのですよね。なんとなくそうなんじゃないかなぁなんて思うのですが、作中でキケ自身の口から語られているようにカナタが壊れかけていたときに支えられなかったことに対する申し訳なさかもしれないし、ただ友人が遠のいていってしまったことに対する漠然とした喪失感かもしれない。
キケとカナタの会話を、恋愛のソレと思ったのかレオシュは少し強引で可愛らしいと思います。きっと彼はまだ子供なのでしょう。
願わくばキケの心に宿った甘いちいさな炎が恋のそれでありますように。

アーモンドの花って、桃のような桜のようなきれいな花なのですね。
ふたりによく似合う。

【真空庭園】
循環する器官であるにせよ、依存しあう関係というのは惹かれます。
目の中に虹が見えるというあたりもまさに青井ワールド。透青年は結局人なのでしょうか。(某11人で宇宙大学テストを受ける漫画の、体内に葉緑素入れてアレコレのキャラクターを思い出しました、彼もまた人でしたよね)
依存しあうばかりではいけないから、天才のはるかを解放してあげなくちゃ。きっと彼のなかでものすごく葛藤があったんだろうなぁ。疑似光合成の薬もあるし、離れても大丈夫って、思ったのかな。
大人になったはるかがすごく男前で、きっと透はふたたび彼に惚れてしまったろうと思います。

全編通して青井先生の世界が存分に染み渡っています。
とにかく、ファンタジーです。触れる触れないくらいのギリギリのラインです。カバーイラストのイメージそのまま。
とても満足しました。この方の描かれるイラスト、お話は植物の根のようにみっしりとゆっくりと私の胸に広がります。次作もこのうえなく楽しみです。

7

青井ワールド全開!!

青井秋さん2冊の作品!!

デビュー作も不思議な世界観だったが今回も不思議でした。

今回は、星を作る工場のお話。
恋愛に発展してるの??って感じで読む人によっては、モヤモヤするかもしれないけど、ゆったりした時間が流れてて、柔らかいとってもステキなお話でした。

同時収録作の「真空庭園」は、これまた不思議!!
でもこの話が一番好きだった(^^)
植物が生える少年とそれを食べ呼気を供給する少年の話。
お互いがお互いを必要として生きている2人だが、このままだといけないと別れる決意をする話。
純愛でとってもよかったー!!

今回もとってもステキな世界観でした。
ページ数の所にまで絵が描かれていたり、細かい所まで描かれていたり、まるで絵画のような作品でした。
次回も楽しみですな!!
今度は、長編が読んでみたいなー(^o^)

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やさしさと思いやり

ボタニカルアートのような細密な絵が魅力的な作家さんの2冊目は、ファンタジーの1冊になりました。
とても雰囲気系の作品ですが、ジワジワと染みいるものがあり何度も何度も繰り返し読んではまるで、ほんのりと心に灯がともるような柔らかさと温かさがあります。
それがとても居心地がよいのです。

表題の『ステラリウム』は星の製造工場を舞台にその主任のカナタのお話【夜明け前】と、同僚のキケとレオシュのお話【埋み火】の2編で構成されています。

【夜明け前】
星の製造過程でカナタの泪が入り生まれた人型をした星の子。
失敗作は廃棄ときまっているものの、人の形をしているだけにそうはできず、アルレシャ(うお座のリボンの結び目)と名付けます。
彼によってカナタの心残りとなり悩みと悲しみの原因となっている、亡くなった彼女への想いを昇華することができるという話。
【埋み火】
カナタの同期で面倒見のよいキケは、カナタの彼女が亡くなっていたことを知らずにいたことで自分を責め、仕事に影響することでもう辞めようかと考えていました。
それを聞いて、キケを想っている後輩のレオシュはそれをキスで知らせます続き
以前にも悩んだキケが自分がこの仕事を続けようと思ったきっかけを思いだした時、夢に出てきたその時の子供。それによってまた続けようと決意するのです。
そして、その子供はレオシュであり、レオシュはキケに憧れてこの仕事についたのだと・・・

これらの物語は多くを詳しく語りません。
ただ、その前後から「あっ、、」と気付かされもしますし、自らその想いを予想し、そうなんだろうな、とあてはめるのです。
それが正解であるのか間違いであるのか正確な答えではないと思うのですが、きっと、多分ニアなゆるい範囲を持ったどれも正解なのだと思うのです。
アレルシャの生まれた理由を想う時、彼の元となった貝殻はカナタの亡くなった彼女の声を聞いて知っていた。そこにカナタの涙が入ったことで彼女の想いがまるで遺言のようにアレルシャを通してカナタに伝わったんではないだろうか?とか。
キケは、ずっと一緒にいるカナタに実は叶わない片思いをしていたんじゃないだろうか?とか。
描き下ろしの【窓辺にて】でその後の彼等は実におだやかな時間をすごしています。
そこにも色々な想いを馳せてみながら、自分の中で彼等の物語が作られていくのです。

『真空庭園』
透の体から生える植物を食べて生きるはるかと、その植物を食べて出す呼気を吸っていきる透。
こうした循環する器官となる、別の個体なのに一心同体の関係。
かなたは少年で大きな腕で透を抱きしめたいと願っているし、透もかなたを好きだ。
しかし、透が科学者にはるかへの想いを吐露しているシーンをはるかに見られて誤解されてしまった事で精神的動揺により透が仮死状態になってしまう。
・・・まるで眠り姫のような?
彼等は二人で一人だから離れられるはずがないのです。
このラストといい、非常にトキメキを覚える作品です。

今回も細密な絵柄にため息しつつ、その世界を堪能いたしました。
本のページの数字部分に一つ一つ付いてる貝殻やサンゴや植物のイラストがまた洒落ているじゃないですか♪
このステラリウムの世界を想像する時、この世界はひょっとしてどこか未来の宇宙空間に浮かぶ星にあるドームに覆われた地球を模したコロニーなのでは?とか、どの世界にもとても想像力をかきたれれる素敵な夢がありました。

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この作品が収納されている本棚

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