カタブツ武士×小悪魔襲い受v 素直になれない男達の恋の行方は?

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作一期ノ夢

柳本宗次郎,旗本の次男坊で国学者
利助,深川で始末屋を営む町人

その他の収録作品

  • 一期ノ夢
  • 柳ノ雨
  • 雪中ノ棺
  • 八十八夜
  • 猫又ノ夜(描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー下(利助、宗次郎イラスト)

あらすじ

始末屋・利助の怪異事件帳
お江戸を騒がすあやかし退治はおれらふたりにお任せを。
ちゃらんぽらんな始末屋とカタブツ旗本次男坊の凸凹コンビが
怪異蔓延るお江戸の町で大活躍!

幕末近くの江戸の町で始末屋を営む利助のもとに
最近、頻繁に起こる怪異についての相談が持ち込まれた。
武家の次男で学者もどきの宗次郎とともに調査に乗り出すが
徐々に明らかになる事件の裏の悲しい真相とは…?
チャラくてビッチな利助と真面目で朴念仁な宗次郎の迷コンビが
事件を解決する毎に、互いの距離も縮めていき…⁉︎
宮本佳野が描くBL版お江戸怪奇捕物シリーズが待望のコミックス化!
描き下ろし番外編収録‼︎

作品情報

作品名
一期ノ夢
著者
宮本佳野 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
ISBN
9784812483688
3.7

(28)

(6)

萌々

(11)

(9)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
102
評価数
28
平均
3.7 / 5
神率
21.4%

レビュー投稿数8

粋な無粋

まさか宮本さんまでお江戸描きになるとは…と言う
軽い驚きはあるものの想い筋捌きの巧みさに舌を巻いて
いる評者です。
確かに帯の文句に釣られて前のめりになるとそのまま
つんのめって起き上がり難くなる可能性はあるものの、
四角四面に治めるよりも粋に治めてくれそうな人に
ちょいと頼んでみましょうかと言う気にさせる空気を
本文中で醸し出すのは流石の手腕かと。
それに恋の道行きも理詰めじゃなくて情を適度に
絡ませて無粋も粋にしてしまう様な手管で最後まで
持ち込んであるのですから舌を巻かざるを得ない。

このお二方がふらりと戻って来たならば、徳利一本でも
黙って差し出しましょうかね。

4

オカルト時代劇BL

幕末も近いお江戸の町で、始末屋稼業を営むハンパ者の利助は、吉原の揚屋(花魁と遊興する店。江戸末期には廃れてたらしいけど…?妓楼?)の依頼で、店に現れるという化け物だか幽霊だかの正体を調べていた。
そこで知り合った旗本の次男坊で国学の徒・宗次郎の助けを得て、謎の正体に迫る……

といった展開の、お江戸を舞台にしたあやかし退治譚BL。
細かいツッコミはともかく、オカルト時代劇として読んでも面白かったです。
絵が上手いだけでなく、オカルト描写も雰囲気出していて(特に呪怨顔!)良かったと思います。

BLとしても、宗次郎の生真面目で朴念仁なキャラと間の悪さが面白かったし、酸いも甘いも噛みしめた大人な相馬の旦那のキャラも良かったです。
(相馬の旦那と利助の関係は、恋人同士っていうより保護する者とされる者の関係だと思うので、旦那の綺麗な引き際もらしくて良いかな、と。)

でも第三話は、なぜ「起き上がり」をする必要があったのか、利助への逆恨み的復讐とどう関連していたのか、気になって仕方ありません。
中国の殭屍ネタとのことですが、日本だと死体を跨いだ猫が犯人っつーのがデフォ…と、どうでもいいオカルト知識も邪魔して、さっぱりわからないんですけどーっ。

2

お江戸のバディ

宮本佳野さんによる時代もの。
それも、お江戸の怪異ものです。もうそれだけで面白いですよね!
で、「麗人」レーベルですがエロは非常に控えめ、いやほとんど無く、宮部みゆ○作品的な読後感です。
内容は、短編のオムニバス。

「一期ノ夢」
江戸の何でも屋・利助登場!
吉原のある揚屋で立った妙な噂。そして目撃してしまう空飛ぶ首!
ひょんな事から知り合ったカタブツ旗本の宗次郎が怪異に対しての知識があり、共に調べることで少しづつ距離が縮まっていく。
この一編は「ろくろ首」ではなく中国の「飛頭蛮(ひとうばん)」が題材で、支那から売られて生き別れた兄妹の絆がテーマです。
BL的には、利助は妻持ちの同心と情を通じている(←セフレ?)が、酔って宗次郎にちょっかいを出します。カタブツの宗次郎にしてみれば、利助が気になるけど同心の存在が…というところですね。

このように、各編ひとの思いが起こす怪異に利助と宗次郎が関わって…という展開で続きます。

「柳ノ雨」
柳の木の精が護りたいのは、旅籠の跡取りの女装男子⁉︎
これは切なくていい話でした…しみじみと。
柳の精さん、もっと早く出て来ればよかったのに、とか。でもそれだと少年の成長譚にならないし、とか。
さびしいね…でもがんばれ、亮吉!
さて、利助と宗次郎。お気楽な利助はお気楽に宗次郎にチュ〜。

「雪中ノ柩」
死人が通夜の床で起き上がる!ゾンビか?いやキョンシーだ!
例によって怪異の知識がある宗次郎と騒動を追う利助。この一編では利助の出自と過去が明かされます。そしてずっと会ってなかった従兄弟の新之丞が突然現れる。新之丞が呪いの術者なのか?
恨み、復讐、同じだけの愛着。悲しい結末です。

宗次郎の生真面目さも好きな利助。同心の旦那とは関係解消を選びます。さて次は心置きなく宗次郎へ!…ってそういうのも宗次郎は苦手なんだって!

「八十八夜」
今回、仕事の依頼主は宗次郎!座敷童子が出るという旅籠に一緒に泊まろうという。
夜半、2人きり。宗次郎を誘う利助。ついに2人は結ばれます!

「猫又ノ夜」
新しく深川、利助の長屋の近くに居を構えた宗次郎。庭に住み着く猫は珍しいミケのオス。
毎日やってくる利助にやっと!ここに住んだらどうか、と言う宗次郎。
ミケちゃんが忍び込んだコソ泥を退治してくれます。どうやらミケちゃんは猫又らしいですよ。
そして、宗次郎と利助も収まるところに収まるハッピーエンディング。

2

新しい魅力が

いつもぼかしたような色遣いのカラーが、今回の時代モノに合わせたマット感のある版画調の色遣いとデザイン。
このカバーイラストに、この一冊の主要登場人物が全て入ってる♪
思わずドキドキしました☆

物語は、黒船が来航した頃の幕末江戸が舞台。
同心を旦那にしている、赤い髪を散切りにして頭巾をかぶっている始末屋の利助が主人公。
始末屋って今で言う所のなんでも屋?探偵稼業みたいなものかもしれませんね。
その持ちこまれる事柄が、奇異でな怪異なモノ。
遊郭で発生する空飛ぶ首の謎解きの折、そこへ太夫の身請けの為の下調べに来た旗本の次男坊で国学者の宗次郎と出会った事で、一緒に調査にのりだすが。。
といった、そんな不思議を軸にして展開していく物語。

あとがきをみると、それぞれの話しに登場する怪異の由来などが書いてありますので、参考になります。
最初は空飛ぶ首、次が柳の精霊、そして利助の過去が明らかになるそれにまつわるお話にはゾンビというよりキョンシーなのか(笑)そこには執着と悲しい怨念と、お口直しに座敷童子、ラストが猫又。
それぞれが人の気持ちというものにまつわるものゆえに決しておどろおどろしいものではありません。(ラスト2話は楽しいものですが)

利助、奥さんのある同心とねんごろではありますが、寂しがりなんでしょうね。
誘いながらも奥さんを気にしていますから、本当はいけないと思ってる。
そこへ現れたのが独身の宗次郎ですから、利助は盛んに誘うのです。
だけど宗次郎は朴念仁なのか初心いのか、なかなかそれに乗りません(残念w)
はっちゃき者の利助と、学者さんだけあって色々物事を知っている宗次郎が何となくいいコンビになっています。

座敷童子の調査に利助を誘って旅籠に行くのですが、これって本当は・・・?じゃないのか(笑)って勘ぐりましたが、座敷童子の正体に爆笑しました♪
ここで初めて結ばれます、二人v
そしてラスト、これってプロポーズよね♪なちょいツンデレで不器用な宗次郎が、可愛らしいと思ったお話。

最初利助の髪が赤い設定があったので、ひょっとして異人とのハーフとかそんな生い立ち設定かと思いましたら違いました(汗)
そして、家族が亡くなって一人ぼっちになった彼が何とか生きてきて~というのと同心が旦那という設定に、ひょっとして色子をした?とか思ったのですが、これも外れました(汗)
そういう意味で、予想を裏切らられたのはある意味、とても新鮮でよかったのだと思います。
時は幕末ですから、世は移り明治になって洋装になった二人が活躍するお話も見てみたいかな~♪なんて欲張ってしまいます♪
いつもと違う宮本作品、萌×2に非常に近い萌えです☆☆

4

お江戸怪奇捕り物

いつもの宮本さんの絵の雰囲気とちがったこの表紙の着色、とても気に入っています。
内容はお江戸怪奇捕り物という時点で人を選ぶ気がしますが、
私こそ選ばれし人間!ということで大好き路線なので読みましたw
このお話、帯や本体あらすじに「妖怪」捕り物ではなく「怪奇(怪異)」捕り物と記述しているところがにくい。妖怪は民族学では怪奇現象であって厳密には具体物ではなく現象のことを指すカテゴリーがあります。とくに現象を強調した学者もいますし、そのことを踏まえて小説を書いている人(京○○彦)もいます。ちょっとしたことですが「妖怪」と記述せずに「怪奇」と書いたところに妖怪オタクは心がくすぐられました。

時は幕末江戸の町。堅物な旗本の次男坊・宗次郎×ビッチな始末屋・利助の迷コンビが事件を解決するお江戸怪奇捕り物。
以下ネタバレ満載でお送りいたしますので閲覧注意でお願いします。

『一期ノ夢』
ビッチな利助と堅物宗次郎の出会いの序章。
利助は同心とセフレな関係。堅物な宗次郎は何だこいつは?といった目つきで見ています。
怪しげな女童の首が飛んでいますw
これまたろくろ首ではなく中国の妖怪「飛頭蛮」とするところが小にくい!!
そうです、日本の妖怪ろくろ首の元は飛頭蛮と言われています。
飛頭蛮は首から上が浮遊する現象を指します。特に子供に多いのだとか。

『柳ノ雨』
ビッチな利助は宗次郎にのっかるも自分の気持ちに気がついておらず、まだまだ進展のない二人。
柳の精のお話でした。
どちらのお話を参考にされたのかは不明ですが木魂婿入に近いお話かなと思いました。
あとがき解説には柳の精は男だと書いてありましたが、確かに男が多いですが地方に行くと女の精のお話もあります。

『雪中ノ棺』
死んだ人が起き上がるというお話でした。
どうやら利助の知り合いがこれに関係しているらしく…。
利助はセフレの同心とはお別れを決め、ついに宗次郎一本に決めます。
現代人のイメージでは起き上がりと言えばゾンビですが、
あとがき解説によると「子不語」のキョンシーのお話を元にされたとか。
キョンシーといえば霊幻道士!!霊幻道士オタクはみなぎりましたwww

『八十八夜』
座敷わらし…と見せかけた子供のお話でした。
おぉ、ついにオーソドックスな妖怪が!と思ったのですがニセモノでした。
そして利助と宗次郎はついに体をつなげるのでした。めでたしめでたし。

『猫又ノ夜』
描き下ろしです。
宗次郎の家に住み着いているネコが実は猫又だったというお話です。
宗次郎はやたらと妖怪を引き寄せる体質のようでした。

妖怪フリークとしてはマニアックな心を刺激して下さってありがとうという気持ちと、
宗次郎の研究の仕方がたるんでいるのが気になるwのと、
あとはこういう漫画につきものな調伏する人間がいないのが少し物足りなかったので、
中をとって萌評価です。
オーソドックスかと思いきやなかなかにマニアックなところを突いてくる、
マニア心を刺激する作品でした。
萌ですか?ゆる~い感じの利助と堅物宗次郎の面白い関係もなかなかにツボでしたよ♪

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP