• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作つま先にキスして

東江忍,アイドル豪徳寺一姫のマネージャー
及川直樹,21歳,アイドルの身代わりになる魚屋二代目

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ガサツな下町男子・直樹は、大企業豪徳寺グループの娘でトップアイドル・一姫の影武者としてスカウトされ、徹底的に教育されるが!?

作品情報

作品名
つま先にキスして
著者
野原滋 
イラスト
鈴倉温 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344828858
3.3

(19)

(1)

萌々

(6)

(11)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
62
評価数
19
平均
3.3 / 5
神率
5.3%

レビュー投稿数6

おバカで素直で愛しい受けでした

テンション高めでコミカルなスタートと思われた作品が徐々にその色を変え
コミカルから切なさを感じさせる展開になり、後半では主人公の直樹が明るくて
素直でおバカ過ぎるからその身に受けたシリアスな展開に度肝を抜かれ、
展開にアップダウンがあるから余計に直樹の身に降りかかった肉体的な痛さに
思わず止めて~なんて思ってしまう内容で怖かった。
これがきっとPTSDになる出来事なんだろうと思わず真面目に感じてしまう。

内容は親にも友人にも心底バカだと言われている直樹だが、凄い才能があったりする。
それは人のマネが出来ることで声も高音低音なんでもござれでまるで七色の声の持ち主。
そんな直樹が町内の夏祭りで演じるのが、日本で1番有名なアイドル一姫のマネ。
それを見た一姫のマネージャー的存在の東江に病気療養中の一姫の影武者となって
欲しいと言われ、親に反対されながらも東江の必死な様子に心を打たれ
これから待ち受ける困難や苦難をおバカで想像できない直樹は安請け合いしてしまう。

でも半分騙された感じなのですが、やっぱりおバカで心根がピュアなんですよね。
おバカだから全力で頑張るし、手抜きをしない素直さが愛しくなる受けです。
自分の恋愛的な好きの感情も自身では気がつかないおバカぶりなのですが、
本物の一姫の夢を叶える為に一生懸命な東江、その東江への片思いの気持ちに気がつき
それでもその人の為に頑張る直樹。
直樹視点で描かれているので東江の気持ちが解らないから余計に直樹愛しく感じる。

そして後半でやっと傲慢オレ様な東江とおバカな直樹のラブな展開が待っている。
最後までおバカな直樹だけど、だからこそ愛しいときっと東江も思ってるのだろうと
思わず共感してしまうような展開で、もっとこの二人を読んでいたいと思える
お話でとても面白かったですね。

4

江戸っ子男前受けが可愛い

アイドルの身代わりになる江戸っ子魚屋の二代目、という設定がシュールで面白そうで読んでみました。

事前の情報通り、受けは健気でお馬鹿な江戸っ子で可愛い。やるとなったらがんばる健気さや負けん気の強さ、褒められたらやる気になる単純さがたまらなく可愛いです。
心底お馬鹿と思われている受けが、実際は丸暗記方面の記憶力が抜群に良いという方向から一気に才能を見せていくあたりが面白かったです。

攻めは冷徹なのかな?とおもいきやとあるキーパーソンとなる女の子にはめろめろに甘い部分があったりとギャップが面白い。
言うことがきつかったり、受けの本人も自覚していなかった恋愛感情についてきついことを言ってしまったりと読んでいる最中に嫌なやつ~と思わせるシーンもあるんですが、それでも最初の真摯に頭を下げるシーンがあったからこそあんまり悪い人とも思えず(とはいえ、それもキーパーソンの女の子のためではあるのだけれども)。
いうことはきついけれども、自分の行ったことを反省できるし、受けに対して次第に努力を認め優しい部分も見せるあたりが好きです。

エッチシーンの色気のなさというか、受けのあまりの江戸っ子っぷりというかお馬鹿っぷりというかに、話で一番笑ってしまいました。これは酷い(良い意味で)。読んでいて爆笑してしまうエッチシーンは初めてでした。

1

俺バカだから…。とんでもない!すごい才能と努力の子直樹。

一気読みでした。さすが野原滋さん!とっても面白かったです。

豪徳寺一姫というアイドルを作り上げるために、プロジェクトチームが、一流のプロの大人たちが本気で真面目にやってるのがシュールで。

直樹が親友の貞夫にプロデュースされ、豪徳寺一姫の真似をして納涼大会でステージをしたら東江にスカウトされて。
必死で冷静で色んな表情を見せる東江に、君が必要だと求めてもらえて、つい見捨てられず引き受けた直樹。

それが地獄の始まりで。

お父さんがこいつはバカだから無理だって言ってたのに…。

だけど、段々東江や直樹がお互いの頑張りに惹かれ合って。まさかの一姫の正体と東江の関係にびっくりでしたが。一姫を愛しがる東江に片想いしながらも、彼のために頑張る直樹が切なくて。
一姫になってれば東江が見ていてそばにいてくれるって。

直樹が一姫でいる限り東江は絶対に直樹を見つめ、何かあれば助けてくれる。切なさと安心感に揺れながら頑張る直樹。東江も打ち解けて笑顔をみせてくれるようになって。

そして一番大切なイベントにむけて頑張る一同。
なのに前日になって一姫の兄和也が急に呼び出して。

思わぬ大事件にプロジェクトも中止で、直樹もえらい目にあって。痛そう…。

その後はデリカシーやムードや情緒のない直樹と、そんな直樹を叱りながらやることやる東江が良かったです。

見つめ合う二人が印象的でした。

身代わりものかと思ったら、なんともお嬢様の希望を叶えるために、財力知力かき集めて努力で一姫を演じ作り上げて。何代目までいくんでしょうか。

直樹の才能と素直さとおバカさもとっても良かったです。

1

色気のない男前受け 江戸っ子でぃっ!

この作品、新人賞に投稿して小説花丸に参考掲載されたものを加筆修正した作品だそうです。
アイドルの身代わりモノという漠然とした前情報だけで読み始め、きっと頑張っていくうちにマネージャーとの間に愛情が芽生える話なんだろうな~というちょっぴり不安も持ちながら読み進めたのですが・・・
おおー!
一筋縄でいかない展開とクライマックス、そして何より主人公のキャラクターにキュンしてしまった(不覚にも)頑張る子って好きなんですね~

高校時代、当時爆発的人気だったアイドル豪徳寺一姫のモノマネが絶賛され、彼女が引退してからも町内の盆踊り大会で余興としてモノマネを見せていた魚屋の息子・直樹に、突然スカウトの声がかかる。
一姫が病気で入院しているのでその影武者になって欲しいという依頼でした。
一姫は引退したものの、国内の有力大企業の娘でその広告等としての仕事は続けており人気は衰えないというアイドルなのです。
大反対する父親だが、その高額の契約金と報酬に、そして何より人に頼られた嬉しさから直樹は了承して契約をしてしまうのです。
依頼に来た一姫プロジェクトのマネージャーという東江(あがりえ)は最初は丁寧な物腰だったのに、二人になった途端とんでもなく傲慢に直樹の事をオマエ呼ばわりし、厳しい態度で接します。
もう逃げ出したいと思う直樹でしたが2週間の特訓後、豪徳寺の家に連れて行かれ一姫の真実を知ります。
無事彼女とプロジェクトの責任者である妾腹の兄・和也の前で一姫を演じた直樹は一姫の影武者としてGOサインをもらい、大きなイベントとして半年後に控えた某国との接待パーティーに備え、細々したイベントをこなし、日々厳しい特訓を重ねて行くのですが・・・

直樹がとってもやんちゃです。
口は悪いし、自らバカと言い父親もバカというくらいに色々モノを知らなかったりちょっとおバカではあるんですが唯一の秀でた点がモノマネ、耳がいいのです。
そして人はいいのだと思うのです。契約したのも自分が人のためになると思えたこともあるのですが、家や家族の事を考えてですから。
思った事をすぐ口に出して最初は嫌がってたのですが、東江に褒められることが嬉しくて彼の為に頑張るようになっていったような感じに。
人のためにというのが、彼のいいところですよね~♪そしてやればデキる子っていうのも。
そのおバカなりに健気に頑張る姿と心に魅力を感じます。

東江は最初、とんでもない傲慢で嫌な奴だー!という印象。
直樹の態度に眉間にしわを寄せる描写があるのですが、最初メモを挟めるくらいだったのがポケットティッシュまでいきます(笑)
ところが一姫の家に行った時、一姫の事を「姫ちゃま」!一姫は東江の事を「あがりん」!と呼ぶ互いに超ビックリ!!
それで直樹は東江が一姫が好きなんだと察するのですが、車の中で卑屈な態度をとり、いきなり直樹が幼馴染で彼の親友だった貞夫が好きだったのだと唐突な事を言いだすのです。
この人どういう人~!嫉妬?蔑み?卑下?
でもそこでの直樹の態度や心に、、ちょっと切なくなってしまいましたよ。

そんな二人が直樹の頑張りで信頼が築かれていく中で肝心の某国とのパーティーの前日に起きた事件。
一姫の兄和也の策略というのが登場して、これがやられた!感のある意外性でした。
ここでの直樹の試練が痛いのなんのって!!

直樹がやんちゃで男前すぎて、肝心のエッチシーンの色気のないこと(爆笑)
早くやりたくてやりたくて、自らすっぽんぽんになってベッドにダイブして「はやくやろうぜ」って~初めてでしょ?
そしてちょっと気になるのが一姫・・・その実体に驚いてくださいw

最初と最後が楽しい雰囲気、中盤に萌えとキュンが訪れて、クライマックスは痛い~!
物語に緩急がありキャラクターの魅力が引き立つ物語でした。

3

馬鹿な子は可愛い!

電子書籍で読了。挿絵なし。

結構、あちこちにサプライズが置いてあるお話なのでネタバレは少しだけ。
魚屋の二代目、直樹は自他共に認めるお馬鹿でお調子者。でも、耳が良く、声が良く、ダンスも上手い。高校時代、絶大な人気を誇るトップアイドル一姫の大ファンだった友人、貞夫のプロデュースで物まねライブを行ったらそれが大評判を呼び、一姫が引退した後も町内の盆踊り大会では直樹の『一姫ライブ』がメインイベントになっているほど。今回のライブも大好評で、後は商店街の幼馴染み達とワイワイ打ち上げをするだけとなったところに、一姫のマネージャー東江が、病気の一姫の影武者として直樹をスカウトしに来て……

お馬鹿なんだけど素直でみんなに愛される、考えなしの江戸っ子、直樹がとても可愛いのです。一姫になりきるために受けるマナーや外国語教育に七転八倒する様子などもとてもほほえましい。
ツンツンしている東江が、いつデレるのかを心待ちにしていたら、あれ?途中からお話がドラマチックに展開して、一姫の正体が「ええええええ~っ」という形で明らかになり、それが直樹を傷つけるだけではなく、その正体に端を発する大事件が起き「あああああああーっ」と怒濤の展開に巻き込まれます。
読み終わってから「作品のトーンに、コミカル・シュールとシリアスが並べて書いてあるのはそういう訳だったのかぁ」と膝を打つほどの振れ幅の大きさ!
でも、やはり直樹は、お馬鹿で素直で、そして頑張り屋さん。
ひたすら可愛いのです。
野原さんのストーリーテラーぶりを堪能出来る一冊です。ドラマチック展開がお好きな方は、ご一読を。

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP