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表題作新人捜査官の受難 ~夜は別任務

捜査局チームのチーフ 九條雅道
重大犯罪捜査局の新人 中川静音

その他の収録作品

  • おまけ「みんな気にしてないかもしれないけど、あのパンツはどうなったのかという話」
  • あとがき

あらすじ

重大犯罪捜査局のクールな新人・中川静音が配属されたのは、エリートと名を馳せた男・九條捜査官のチームだった。犯罪を解決していく中、新人らしからぬ的確さで務めを果たす静音。九條はかつての相棒とのコンビ解消により、内心誰も信じなくなっていたが、ぴたりと揃う息に、静音を信頼していく。二人の絆が強まり始めた頃、九條は任務中に傷を負ってしまう。自分のせいだと落ちこむ静音を、九條は激しく欲望のままに抱いた。しかし静音にはまだ告げていない過去があって……。

作品情報

作品名
新人捜査官の受難 ~夜は別任務
著者
義月粧子 
イラスト
海老原由里 
媒体
小説
出版社
ブライト出版
レーベル
ローズキーノベルズ
発売日
ISBN
9784861232817
3.7

(14)

(4)

萌々

(4)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
50
評価数
14
平均
3.7 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数5

静音が健気で男前でかっこよかった

静音は捨て子で、犯罪集団組織で特殊な教育を受け育ち、その後少年院で再教育され非公式の捜査官になったことから、無感情でマニュアル通りの言動や天然ぽいところが一生懸命で健気でかわいく見ました。

過去に潜入捜査中身元がばれ拷問され死にかけたところを別に捜査していた九條に助けられ恩人であるだけでなくひと目惚れしたという経緯があったせいで、特命である捜査局内のスパイ捜査の結果、九條のかつての相棒であった笹塚だったことを九條に言ってしまうんです。
静音も惚れた弱みなのか九條が特別な感情を持っている男だと知りながら。
二人が対峙するときのためにと理由は言っているのですが、むしろ試したのではないかと思います、命がけで。笹塚に知られれば自分が危険にさらされると知っていても自分と笹塚のどちらを信じるか賭けたのではないかと思います。結果信じてもらえず死ぬことになっても好きになった人を得られないのなら仕方がないくらいに考えていたとしたらあまりにも哀しいです。

その笹塚どうもムカつく男だった。九條が自分を信じ惚れきっていることをわかっていてスパイだと知っても撃つことはできないだろうと言ってのける。その通り九條は追い詰めた笹塚に銃を向けても撃てず逆に撃たれてしまうが、静音も撃てないと分かっていたから九條をかばって瀕死の重傷を負います。
笹塚の行為で多くの犯罪を見逃し捜査官が死ぬこともあったはずなのに、組織の犯罪の証拠のデータと引き換えに家族ともども身の安全を図り、自分と子供の命さえ守れれば他はどうでもいいとあまりにも身勝手で恥知らずな人間。子供はかわいそうかもしれないけれどきっちりけじめ付けてほしかった。

こんな笹塚に何年も惚れこんで捜査局内でも笹塚のために有利な仕事をし続けていたのですから人を見る目がないお人好しな九條もバカだと思います。恋愛感情で目が霞み本当に愛すべき人を死なせるところだったのですから。

九條は静音の体はすごく好みらしくアレコレしちゃいますが、重傷を負った静音に焦ったり死ぬほど心配していたけれど、節操なく妻子持ちの検事がセフレだったり、静音に笹塚の代わりにはなれないと言ったり、静音と同じ気持ちではないように思います。
静音のことは好きになったんでしょうが、それはたぶん九條を守って重傷を負い局長から静音の出生を知ったあとだったから、同情と感謝と自己嫌悪からのように見えました。
最後くらいちゃんと好きとか言葉で甘やかしてほしかったな。
それは今後の課題、でしょうか。
夜の別任務で愛を育んでください。

1

ミステリアスな受け

読み終えて思うのは、本当にこの本のタイトル通り、嘘偽りがなかったと
しみじみ思ってしまう内容でしたね。
そして近年稀に見ぬ程、受けである静音の過酷で残酷な過去は悲惨そのものです。
そんな静音がたった一つ過去の出来事で感謝し、今の命があることを感謝している相手が
新しく上司になった九條なのですが、その思いを口に出来ないまま裏切り者と
謗られたり、出世のために上司と寝るヤツだと蔑まれたりするのが憐れでなりません。

それなのに、作品を読んでそれ程悲しかったり切なかったりせずに淡々と読めるのも
この受けキャラである静音の、喜怒哀楽が乏しくて、感情の発露が見えないと言うか
見せないから、読んでいる方も冷静に読めるのかもと思えます。

舞台は重大犯罪捜査局と言う架空の設定なのですが、そこに新人として配属され
攻めである九條のチームに入るのですが、クールで寡黙、余計な事は何一つしない
完璧な捜査、新人とは思えないような修羅場慣れしたミステリアスな新人。
その上司の九條は信頼していた相棒が5年前に現場から引退し内勤になったことで
その後は誰も相棒になるような相手を作らず、自身のチームで捜査をする事もなく
他チームの補佐をするような立場で落ち着いている。

そこへ静音が入ったことで少しずつ状況が変わってきたり、やんちゃ系で遊びで
検事とセフレ関係になっているようなエロオヤジな感じもあるのですが、
自分が信頼していた相棒の事を内定して捜査しているのが静音だと知り、
信頼関係が出来たように感じていた二人の関係が最悪な結果になりそれが九條自身や
静音にも災難が降りかかる内容なんです。

静音にしたらまるで何も求めない健気な思いだけで懸命に九條の為にと思う事が
逆に全て裏目に出て、裏切り者と言われたり蔑まされたりと可哀想な展開。
それをしているのが上司の九條なのですが、過去の相棒に恋心もあったから
冷静に判断が付かないで最悪の結果になったりもします。
普通ならその前の段階で攻め受けキャラの誤解が解けてラブになるところですが
この作品は、かなり容赦無い感じになりますね。

それなのに重苦しい気がしないのは、全て受けキャラ静音の普通とは違う感覚や
出ていて、普通の中で生きて来たことがないから過酷な中にありながらどこか天然で
辛いことがあったことも仕方ない的な諦めを簡単に受け入れるからなのかもと
思ってしまいます。
九條は攻めキャラとしてはかなり最低の部類になると思うのですが、
それも人間臭いやんちゃさんだと思えば憎めないキャラではありますし、
結果的には自分の非を全て認めて静音を今度こそ守ると誓うからそれで全て
丸く収まるような流れでもありました。
九條には責任と溢れる愛情を持って静音を幸せにして欲しいと願う作品でした。

2

タイトルに反して中身は…

この、夜は別任務というネーミング、見ようによってはちょっと面白いかも…と思っていたら予想に反して中身はかなりシリアスでした。
このタイトルからして、二人が仕事でもプライベートでも最初からバディ的な関係にあるみたいに思えますが、そんなこともなく…。

今の日本とちょっと非なる設定で、武装した犯罪組織が増えたため、警察とは別の重大犯罪捜査局なるものが存在し、そこに主人公の静音が新人捜査官として赴任してくる…というお話です。
お相手になるのはコンビを組むことになった上司の九条。

この九条、仕事が出来て顔も広くてカッコイイ、と思ったら手が早くてちょっと個人的には軽いかも…と思わなくも。
カワイイ男の子は口説くみたいな姿勢だけならまあともかく、他の男性とも関係を持っていたり、昔の同僚に好意があるような素振りを見せたり…。ちょっと気が多いなあこの人^^;という感じでした。

静音は過去に秘密を抱え、正義感が強く嘘が付けないクールなツンデレで王道ですが、とても可愛かったです。
このカップル、組み合わせとしてはとてもいいなと思いました。

静音の過去が想像以上に暗くて、今は成人していますが、子供のときに酷いことがあったという設定に私は非常に弱く…静音が大怪我を負いながらなんとか助かるのですが、目を覚ましても誰もいない。間一髪で生き残っても喜んでくれる人が誰もいないんだと涙するシーンがじんとくる。

そんな静音を九条はもっとベタベタに甘やかしてくれたらよかったのですが、事件がメインなので肝心な糖度は抑え気味な気がしました。
最後のおまけで少し補充されてるかな、といったところです。

中身のシリアス度からしてタイトルがちょっとアンバランスかなあとも思います。タイトルそのものは好きですが、そんなにラブラブしているわけでもないので…。

カップルとしては好みの組み合わせなんですが、ちょっと萌えきれないところもあって萌えにしました。
最後の方は流れで2人は恋人のようになってますが、九条が結局、体の関係のあった検事とどうなったのかなというか…そもそもこの検事さんと関係があるというエピソード自体要るものなかしらと思いました^^;
静音に見られて迷惑そうな顔をした上でそのあと静音に手をだしてきたところとか、あと被害者に同情して容疑者を殴った捜査官に「有罪になるまで容疑者は犯人じゃない、法を守り自分をコントロールしろ」と諭す姿はカッコイイ!と感動したのに、後半で静音をスパイだと疑い首を絞めたのはちょっと矛盾してるんじゃないかと…。

九条がカッコイイと感じる半面、言動がふらふらしてる気がして、これが少し残念でした。
それでも、事件もので、トラウマのある受けが好みな方には楽しめる作品だと思います。

1

静音に幸せになってほしい

タイトル「~夜は別任務」のところに惹かれて^^;読んでみました。

舞台は架空の捜査機関「重大犯罪捜査局」内での上司と新人捜査官のお話。
優秀な捜査官だが絶大な信頼を置いていたパートナーが管理職への転向をしてから誰にも命を預けようとしない九條のチームへ新人捜査官の静音が配属された。

静音にはほとんど知られていない壮絶な生い立ちとこのチームへ配属された重大な秘密があった。
九條はからかい半分のように静音を組み敷くが、静音は動揺しつつも妙に冷静なところがあった。そんな静音は何を隠しているのか?

ある企業の事件から捜査局内部での裏切りが見えてくる。
いったい誰が裏切り者なのか?…

勝手にイメージした「~夜は別任務」とは違いましたがw
架空の捜査機関の舞台が上手く作り上げられ、その中で静音が悲しい生い立ちから這い上がり運命の出会いのように九條に惹かれていき、切ない気持ちを抱えていく様がとても良かったです。
九條に愛されて良かったね。静音。

0

背中を預けられる相棒

作者さんの既刊本『捜査官は眠らない』や『陥落のメソッド』と同じ重大犯罪捜査局が舞台。
しかし、出版社も違うのでスピンオフというものではなく全く独立した話です。

重大犯罪捜査局の九條チームに配属になった新人捜査官・中川静音。
新人とは思えない感の良さと敏捷さと何かを感じさせる、しかし掴みどころが見えない彼が九條にこだわる理由。
本当はとても優秀なのに、3年前とても優秀なコンビと言われた相棒でもあった笹塚が捜査局を離れコンビを解消してから、九條はチームとは言っても陣頭に立つわけでもなく、新人教育と云って或る程度まで育つと部下を手放し、チームのレベルアップを目指さない。
一見ひょうひょうとしてやんちゃな感じなのに、あえて一人で背負ってしまおうとする排他的な面を見せている理由。
ブラック企業といわれるゲイトグループ事件が実は大きな影響を及ぼしていた。
こうした日常の業務と事件と、それを通して九條が笹塚から卒業して静音が公私ともに相棒になる姿を描く。

静音に秘密があるものの、最初の登場から彼が九條にこだわりがある面がとてもよく見える。
その九條だけど、相棒だった笹塚は妻子があったのだが恋情はなかったのだろうか?
結構節操なしで、検事とセフレだったりもしていました。
そのシーンを目撃した静音はショックだったろうな~
しかし、以前はそんなじゃなかったんだろうと予測するとやはり・・・?
彼の笹塚に対する絶対的信頼が後半のクライマックスの危機を呼ぶのですが、その辺りがちょっとえ?え?と、弱い感じがします。
色々な秘密を抱えたまま、日頃の事件捜査や会話ややりとりの中で、キャラクターをみせて、関係を進展させていくので、それはとても自然な流れで愛してるだのどうだのが深く関与してない感じがします。
いきつくところ、背中を預けられる相棒。
こいつがいるから安心して動ける、あいつを守ってやりたい、とか、身を呈して働くあいつがかわいいじゃないか、というそういう感情の延長な感じなので、或る意味とても自然です。

自然に進むので、若干途中で飽きてしまって読むのが苦痛になる時が・・・
その為にこの評価です。

1

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