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表題作不誠実でわがままで

久坂貴志,大学病院の病理部准教授,研修指導医
目賀田輝,28歳,研修医

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

天才肌ながら、奔放で無遠慮な物言いをする久坂。そんな彼の下、研修医の目賀田は「こぶたちゃん」と呼ばれ、意地悪にからかわれては振り回されていた。だが目賀田は、久坂の才能を尊敬している。密かに恋してもいたが、地味で不細工な自分が彼に相手にされる訳がないと諦めていた。なのに、その気持ちを弄ぶように「気まぐれだけど抱いてあげる」と、ちょっかいを出され……。(出版社より)

作品情報

作品名
不誠実でわがままで
著者
明日香登美 
イラスト
乃一ミクロ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625576
3.6

(33)

(10)

萌々

(11)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
115
評価数
33
平均
3.6 / 5
神率
30.3%

レビュー投稿数7

ヘンカワって、ただの惚気にしか聞こえない

最初は、目賀田くんを心底からかってる節のある久坂が嫌で嫌で仕方なかったのですが、読み終わった今思うのは、久坂が実年齢より幾分も中身が子供で、でも好きな人にはとにかく優しく甘やかす大人な面もある素敵な人だと分かり、ほんわかした気持ちが広がっています。

見た目を気にして生きてきたので卑屈になってしまった目賀田くん。
本気の恋を知らず、可愛い=好きだと勘違いしてた美形な久坂先生。
一見正反対の二人が実は恋が実るのが初めて同士で、読んでいて
こちらも恋をしたくなるような幸せな気持ちになりました。
くっつく前でも途中からは、目賀田くんをからかう久坂先生という構図が
いかにも好きな人をいじめる男の子(小学生)と重なっていて、
好きなんじゃん!って、早くくっついてよ!って、読んてるこちらがもだもだなるほどお互いしか見えてなかったのが、当てられている気分でした笑。

また、この作者さんは医療系のお話を深く掘り込んでいたので
ただの恋愛ものじゃなくそういった仕事面でも楽しめました。
こんな素敵な作品を書いているので、次回作が出るのを楽しみにしたい作者さんの1人になりました。

2

こぶたちゃん♪

作者さん初単行本?
身長が160に満たない上、デブとかブタというほどの肥満ではないもののすっきり体型ではなく(多分ぼっちゃり)一重まぶたで目は重そうで鼻はぺちゃりに口はへの字に曲がっていて容姿についてはもう諦めている、指導医に「こぶたちゃん」と呼ばれる病理の研修医・目賀田が主人公。
彼の指導医は、研究者には変人が多いと言われるがまさにそれ。見た目は超イケてるのに口が悪くゲイで有ることを公言して綺麗なモノ好きな、だけどとても才能のある優秀な病理の准教授・久坂。
目賀田をこぶたちゃんとよぶのは彼。
乃一ミクロさんのイラストが素敵でした。

本当は久坂が好きなんだが、しょっちゅう外見の事をバカにされたような発言をされているからそうでない仕事と研究の分野で頑張ろうと、そして仕事の面では久坂を尊敬しているから、久坂の無茶ぶりについていけなくて脱落する研修医が多い中、必死で喰いついてスキルを身につけ、久坂に意見もできるのは目賀田だけ。
お話的には、そんな諦めの塊の目賀田の恋が叶うお話ですが・・・

エッチシーンが切なくて、こぶたちゃんの気持ちを思うと涙が出て仕方なかったのは超驚きです!!
久坂が好きということがバレてしまって、それならいいだろうと無理矢理宿直室に押し込められて。
本当は好きな人に触ってもらえて嬉しいはずなのに、久坂は綺麗な人が好き、自分何かは範疇外。
自分は汚い、久坂が汚れるからと抵抗するこぶたちゃんが悲しくて。
こぶたちゃん、久坂が好きって言ってくれたら違ったと思うんだ。
それまでの久坂の所業をおもうと、からかいと興味の一つにしか思えなくて。
抱かれてしまって期待して、どうせすぐ捨てられるのはわかっているから、ただ一度だけと許してしまうんじゃなくて、どうせなら触って欲しくない。
いつまでも「好き」という気持ちを持たせていて欲しいと願うそのこぶたちゃんの気持ちが切なくて悲しくて、、、、
エッチシーンなのに泣いてました(号泣)

こぶたちゃん、決してヘタレのネガティブなわけではないです。
仕事的にも久坂を尊敬していますから、外見からすでに恋は諦めていたから仕事の分野で彼に認められたいと必死だったんです。
こぶたちゃんチビだな~、チビでおデブでそんな仏頂面だと人生つまんなくない?
かわいくないね~
どうせ君には恋愛なんて遠い国のお話だもんね、、、etcetc...
久坂はセンシティブな人間だったらもうへこたれて泣きたくなるくらいグサグサと容姿などについて酷い言葉を投げかけます。
そんなのわかってる。とうにあきらめてる。
こぶたちゃんはあきらめることで、他にひいでられる分野で頑張るしかなかったんです。
かといって人づきあいが悪いわけじゃないし、ネガティブなのは恋愛だけだったと思うんです。

久坂はこんなですから、彼の悪口を言う人もいて、
そういうのを聞くのがいたたまれなくて、でもそれをきいてしまっても平然としている久坂が悔しくて、悪口を言う周囲に悔しくて、
そんな事があったりして、こぶたちゃんの気持ちが久坂にバレてしまうんです。
久坂、外見もいいしきっと男に不自由しなかったんでしょう。
どうも恋愛というものが解ってなかったようで。
こぶたちゃんの気持ちが解らなくて、そこで初めてどうしてそんなこぶたちゃんが気にかかって仕方ないのか解るのです。

好きになったらあばたもえくぼ。

病理と病院が舞台で、結構専門的な言葉ややりとりが出てきますが、それが小難しいとは思いません。
むしろ自分がそういう世界と全然関係ないのでふ~ん、、程度で、そして彼等のやり取りがすごいな、くらいのまっとう性の演出にしか感じなかったのでその点をうっとうしいと思うことはありませんでした。
それ以上に、こぶたちゃんと久坂のやりとりに、こぶたちゃんの心に感情移入をさせられましたから。
とってもとっても良かったデス!

10

分類はブサイク受け

研修指導医と研修医とのラブなのですが、この指導医の久坂が口が悪くて性格も
かなり悪い、自分が指導する研修医の目賀田を「こぶたちゃん」と呼んで苛めてる。
子豚と言う程太っているキャラでは無い感じだけど、名前ももじられていじられてる、
まるでパワハラですかと言う感じで、いい大人なのになんでこれ程、目賀田が
気になるのか解らない美形好きで遊び人の久坂の不器用ブリと困惑が読み込むほど
伝わってきて、結局はブサイク顔の目賀田に初めて本気の恋をした内容です。

目賀田も昔から自分がブサイクだと自覚してて、時には自虐的になるのですが、
基本真面目で研修医の中では優秀で性格もいいのですが、変人でゲイの久坂に
毎回いじられ振り回されて、お気の毒なのですが、それでも医師としての才能と
志に尊敬を抱いているのですが、本当はそれだけでない思いも持っている。
でも自身を冷静に判断しているので美形好きな相手に自分では全然相手にされないと
端から諦めて、自分は久坂を好きなのでは無く尊敬していると思い込む。

そんな均衡が崩れるきっかけが2泊の学会で、最終日にブサイクで恋愛からは
程遠いだろうと抱いてやる状態で、またからかわれていると思うが以外にも
やる気で向かってこられ、何も知らないと久坂が思い込んでいるので、
目賀田は自分はゲイで、既にその経験もしていると告白した事で収まる。

もう、この辺で、久坂の機嫌が悪くなり始めるのですが、本当に遊び人なのに
本気の恋愛とは無縁だったのか、不器用で大人げない態度で笑えます。
目賀田の好きな人とやれたから良しとするある意味謙虚で健気な感じも自虐的ですが
相手からの気持ちよりも自分が相手をどう思っているかに重点を置いているので
潔い片思いって雰囲気で意外とキャラ好きしました。
ブサカワに本気の恋した久坂ですが、言っていることはホントに失礼でタイトル通り、
好きな人からヘンカオとかブサイクなんて言われるのは微妙に嫌ですが、
そんな変人を好きになったのですから目賀田も幸せかもと思えるお話でした。

8

こぶたちゃん

コミカルで軽快な文章で、すらすらと読むことができました。
病理学の現場についても丁寧に取材されていて、読み応えがあります。こういう作品はいいですね。

主人公は、”こぶたちゃん”。容姿にひけめがあるけれど、今は仕事を一生懸命がんばり、実力もついて自分に自信がでてきたインターン。
一方、天才と呼ばれる上司の准教授、久坂は、ゲイであることを公言してはばからず、たくさんの美人と浮き名を流している傲岸男。

最初は、こぶたちゃんというあだ名をつけられ、からかわれていた目賀田も、厳しいしごきに耐えて成長し、ちゃらちゃらと適当そうな久坂が、仕事には真面目で妥協せず、患者思いであることを知って尊敬している。
しかし、日々からかってくる久坂を、ぴしゃりとしかりつける目賀田はすでに夫婦の域で、呼んでて楽しいですね。

ただ、久坂の俺様キャラが、目賀田の容姿をからかったり、目賀田がどこまでも恋愛には卑屈だったりするあたりは私の好みから外れていて、はやくうじうじモード脱出しないかなと思いながら読み進みました。

文章のうまい作家さんだと思いますので、他の作品も読んでみようと思います。


1

お仕事描写が詳細な病理医BL

病院を舞台にした病理医同士のお話。大筋は上司×部下の職場内恋愛……にしては二人ともちょっと子供っぽい。主人公のブサぽちゃ描写がBL小説としては珍しい気がした。

特筆すべきはお仕事描写の詳細さ。病変部位の問題やカンファまでよく調べたなあと圧倒された。
笑ったのは目賀田の医師に関する愚痴があるあるすぎた点。実際に医療現場で働く誰かの愚痴を聞いて書いたんじゃないかな。自分もこれ愚痴ったことあるなってのが結構あった(笑)

目賀田は周囲に不細工でぽっちゃりと言われてばかり。自分だけがそう思ってるんじゃなく、客観的な評価でこれっていう言い訳のできなさ。でもだからこそ仕事だけは頑張って、そこにプライドを持っているキャラ。
久坂に好意を持ちながらもドライな態度で接するのは小気味良い。無意識に久坂を刺激し振り回していて面白かった。

久坂はセクハラと容姿揶揄を公然と行っており、あくが強く、天才といえばこういう変人というテンプレ感がある。
未熟だった精神が目賀田を知るにつれ育っていき、目賀田を懐に入れると今度はバブみを出していた。常に自分に素直で面白い。

せっかくのお仕事描写だが、BLに発展するのが病理医ならではのエピソードじゃなくてもったいない!久坂が目賀田を決定的に気にし始めるのは、過去の男性経験を告白されてから。その後も他の人との違いを見つけて恋になっていくので、別の仕事に替えても同じ流れが成立する。
ここまでしっかり描写してあるんだし、BLに活かして欲しかったと思う。仕事してますできます感や二人の姿勢を見せる役割は果たしているが。とにかく惜しい。

BLだけ見るととても納得の展開で、久坂が目賀田にハマっていくのは自然に思えた。
目賀田は容姿に自信がなく、だから他のことで、という主には自分を守るように内側に向けたプライドを育てていた。キレイな人を好んできた久坂には新鮮に映るだろうし、そもそも久坂の周りに目賀田のようなタイプは(仕事でもない限り)寄り付かなさそう。だから本当に他の人とは全然違うと感動したんだろうと思った。

最初は相性が悪そうに思えた二人だが、恋を知って即変わった久坂なら、目賀田の心労はありながらも上手くいきそう。

ただこのカプに萌えるかといわれると……。目賀田を言いくるめてヤっちゃうシーンの久坂の酷いセリフがしつこくて、あそこまで言われてもヤられるのを喜び、それにお礼を言う目賀田のプライドの捨てっぷりがしんどかった。
あの中盤のシーンで作品から心は離れていたように思う。好きな相手なら何でも許す卑屈受けは苦手。目賀田が突っぱねてくれていたら良かったのにな。

1

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