壁の中の嘘と秘密

kabe no naka no uso to himitsu

壁の中の嘘と秘密
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神0
  • 萌×28
  • 萌19
  • 中立2
  • しゅみじゃない5

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レビュー数
7
得点
91
評価数
34件
平均
2.9 / 5
神率
0%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
海王社
シリーズ
ガッシュ文庫(小説・海王社)
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784796404709

あらすじ

全寮制の男子校に通う香司は、寮に女子を連れ込んだ所を学級委員の昴に見られ、口止め代わりにあるお願いごとをされて…?

表題作壁の中の嘘と秘密

花塚香司,高校2年生,学年一のモテ男で政治家の息子
青山昴,学年一の優等生で天体観測好き

その他の収録作品

  • あとがき 高遠琉加
  • あとがき 小椋ムク

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レビュー投稿数7

後半で急展開

全寮制男子校に通う、人気者でチャラ男の香司と優等生の昴という正反対の二人。
香司が合コンで知り合った女の子を寮の屋根裏部屋に誘ったところを昴に目撃され、それを黙っている代わりにと交換条件を出されたことで二人だけの秘密が始まります。

真面目な昴は負担は全く心を開かないのに、大好きな星の話をしている時だけは生き生きと饒舌になります。
そんな自分にしか見せない顔に香司はどんどん惹かれていきます。

「なんか気になる→気づいたら好きになってた」という感じです。
香司の「試しに付き合ってみない」との軽い提案に、昴があっさり同意して付き合い始めたふたり。(これには深い事情がありました)
中盤、香司の昴への「好き好き」アピールが続きちょっと中だるみでしたが、後半の50ページで今までのもやもやがどんどん解消されて話も盛り上がってきます。
(この盛り上がりがなかったらちょっとがっかりなお話だったかも)

0

壊れそうで壊れない

スピンオフの『君は僕お初恋の人』を読んで本作品を思い出しました。
なのでこの機会にレビューを追加しておきます。

 ――― とってもネタバレなので未読の方は読まないでくださいね ―――

政治家の息子とその政治家の罪を被って失業中の元秘書の息子との出会いと恋の始まり。

二人が出会ったのは偶然なのか必然なのか。
学校一のモテ男 香司が寮の屋根裏部屋に女を連れ込み、それを知った同級生の昴が黙っている代わりに自分が校則で禁止されている深夜バイトをするときに無断外出の手伝いをさせることになるというのは偶然の出会いのようですが、実は昴は親の仇打ちのために近づく機会をねらていたのです。

昴は母親の病気と父親の濡れ衣と失業に生活費の心配など、この年の男子にとって重すぎる荷を背負っています。
それでも父親に聞いた非公式の星の観察場所で密かに星を見ることだけが癒されるひと時だったように思います。
そんな場所で出会った仇の息子に、計画通り復讐しようとしていたのにいつしか違う感情が芽生えてきたことから苦しむことになるのです。
舎監の先生しかいない閑散とした夏休みの寮で、夏のひと続き時を楽しむ様子が刹那的で昴の心情を思うと切ないです。ずっとこのままの関係でいたいという気持ちと復讐を諦められない気持ちのせめぎあいで苦しんでるんだろうというのが、全部読んだ後からわかって長閑で明るい夏の景色が逆に哀しさを浮かび上がらせるようでした。

香司をおいて逃げた昴が理由は分かっていてもちょっと許せない気持ちになります。
親の事情ですれ違うことになった二人ですが、一方的に昴の気持ちだけで相談もなく切り捨ててしまうのは自分勝手な気がします。
いろいろあっても香司の昴への気持ちに嘘はないのだから。そこのところは疑っていけないと思います。そしてそのまま別れてしまえば二度とお互いの本当の気持ちを伝えられないまま中途半端にされた恋が後を引くと思います。
(そんな、中途半端なまま離れることになった先生カップルのこじれた初恋が10年以上たって再燃するまで二人の中で燻り続けしまうお話が次作の『君は~』となるわけです。
個人的には大人カップルのスピンオフのほうが面白かったです。)

でも、昴が逃げた数年後、「壁の外で会おう」という約束を香司が忘れずに実行してくれてよかった。
ちゃんと話し合って大人の事情は置いておいて二人の気持ちを大切にして付き合っていけそうな終わり方だったのでほっとしました。

0

男子寮は難しい

全寮制の男子高校を舞台にするのは、BL的にはテッパン設定なだけに、期待値のハードルが高くなるというか、
すごく美味しそうな設定に釣られてみるけど、なかなかクリーンヒットに巡り会えないというか、、
寮の屋根裏に隠し部屋があって、そこでの秘密の天体観測とか、とっても萌。
チャラさはナイーブな内面を隠す仮面な花塚と、すべてを知っていながらすべてを抱え込んで隠している青山。
親の因果という子供にはどうにも出来ない嘘と秘密を壁の中に置いて、壁の外でもう一度出会い直すラストもいい。
ただ、やっぱり、男子寮物は学校のある場所が難しい。
満天の星空と夜のアルバイトを両立させるような場所はちょっとイメージしにくくて、萌一つマイナスかな。

4

高校の寮もの、ですが。

高遠琉加さんは、雰囲気が好みで作家買いする作家さんのお一人。
その新作。
「これ書くより、皆が待っている続きをさっさと書いて下さい!」と思わなくはないが、
それはともかく、タイトルのつけかたも高遠さんらしいと思いながら手に取る。

壁……といえば「刑務所」だが、今回の壁はさにあらず。
山の中にある寮制男子名門高校の壁。

高遠作品らしい、切なさはある。
まぁ、悪くないけれど、ツボの真ん中にはこなかったかなぁ。



寮物なんだけれど、主な場面が夏休みなので、寮は人口密度が極めて低い。
主人公達と、教師が二人。
夏休みだから私服でいるものなので、制服の描写もない。
ちなみに教師二人は、なにやら気になる感じなので、
これはスピンオフの伏線かもしれない。
(彼らの高校時代から始まる話だろうか?)

チャラチャラしているようで、実は純情な攻めも
真面目で優等生で心に思いを秘めている受けも、
自分たちがまだ子どもで何もできないことを分かっていて、口惜しくて、
あがいている感じがいい。

親同士の経緯は、途中からそうかなぁ?と予測はついたが
これ続きを全く知らなかった花塚は、ちょっと脳天気過ぎるのでは?と思った。
彼は交友関係も広くて、そういうことに疎いとは思えないのに。
学校の中でも噂とかにならないのかなぁ〜?



あ、最後の舞台になった、T大学。
来年から掲示板発表を取りやめるようですね。
掲示板発表をしているうちで良かったね?花塚くん。

絵師の小椋さんは、時折私の好きな作家さんの挿絵を担当されるが、
どうも今ひとつ好みではなく、やはり今回もイメージにピンと来なくて
星空とか屋根裏部屋とか美味しい題材なだけに、個人的には残念でした。

7

親の因果が子に報う・・・でも愛が上回る!

あとがきで、イラスト担当の小椋ムクさんが泣けて泣けてほっとして~と書かれていて
これはハンカチ片手に読むべき本なのかと思ったのですが、私は泣けませんでした。
う~ん、泣かせる話なのですが、どうも個人的なお涙琴線には触れませんでした。

簡単に内容を言うなら『親の因果が子に報う』だと思うのです。
攻めの香司の父親が政治家で受けの昴の父親がその秘書、政治献金疑惑の全ての罪を
昴の父親が被り秘書を辞めて無職になり、母親は白血病で闘病中。
香司は父親と折り合いが良くないので父親の秘書の名前すら知らない。
しかし、昴は知っていて、香司に対していい感情を抱いていないところから始まる。

あることを切っ掛けに話すようになり関わりが深くなると香司から交際を申し込まれ
お試しのように付き合いが始まるが、その時点では昴は香司を傷つけようと
思っていたりしますが、香司の本質を知り、優しくされ労わられ、次第に昴自身が
香司に対して罪悪感を抱くようになり、好きだと告げる香司に本心を告げる事も
憎しみをぶつける事も出来ない中で昴の妹が現れた事で全てが明かされる。

初めは自分の家庭続きが大変なことになっている事で香司に父親の代わりの傷つけて
やろうと思っていた昴がいつしか恨むはずの相手を好きになるが、親の加護でいる
学校を囲む大きな塀の中では自分の本心を告げる事も出来ずに結果的には
香司を大きく傷つけて、学校を去ることになる昴。
それでもいなくなる前日に全てを知り自分が騙されていた事を知り傷ついた香司に
初めて好きだと告げて、嘘だと思っている香司に抱かれる。
昴の塀の中で、最後だから言える精一杯の本音と行動。

付き合い初めて、香司が塀の外でいつか会いたいと言った言葉が、
現実のものになるのは二人が別々の高校を卒業した後になるのですが、
ここで、ほっとする展開になるラストを迎えることになるストーリーでした。
塀の中、それは親に守られている自分一人の力では抜け出せない、物理的にも
大人になれない、そんな悩みとジレンマを抱える青い時代の1ページのように感じます。

4

壁の外へ出る時

全寮制の男子校を舞台にした物語。
しかし、そこに普通に想像するようなBLの世界はなく、終わりは壁の中にいた時の子供だった自分達から少し脱皮して大人になろうとしている主人公達が今度こそ真っ直ぐ向き合うという場面で終わっておりました。

受け視点で物語が進む事が多いのですがこの作品は攻め視点。
これが逆転していたらものすごく切なく苦しい物語になっていたかもしれませんね。
この攻め視点であることが「嘘と秘密」をクローズアップさせて痛みを軽減しているかのようでした。

合コンで知り合った女子をこっそり持ちかえりして寮の立ち入りが出来ないようにしてたる部屋でこっそり頂こうとしていた香司だが、その部屋の天窓の外に人がいて連れ込みをみられてしまい結局おじゃんになる。
その天窓の外にいたのは同級生で優等生の青山昴でした。
その晩の出来事を黙っていてもらうために、バイト帰りの昴をこっそり寮に上げる手伝いをするようになり、学校で認められた以外の深夜バイトもしていることを知り、そこでわかった昴が金を必要としている事実。
女子を連れ込んだ事をだまっていてもらう、代わりに金を貸すから深夜バイ続きトをやめてくれと、そして昴がしている天体観測を一緒にさせてくれと。
こうして、一緒に天体観測をする時間につれて昴に沸き起こる香司の好きという気持ち。
しかし、昴はキスは受け入れても激しく拒否をするのです。

今まで話した事のない人物と会話をする、興味が動く。
彼の秘密を知る(それは一部だけだが)、更に興味がわく。
一緒に過ごす、そしてそれは好意へ変化していく。
親が政治家でそんなものには関わりたくないと、自分の事だけ考えて適当に普通に高校生活を謳歌していた香司ですが、それは枠からはみ出るほどのものではない。
親から与えられた充分すぎるほどの金を持ち、それは使うあてもないし、目標もあるので貯金をしてはいるのだが、恵まれた彼はまだ親の庇護の元守られた存在の子供。
「好きだ」という感情も、昴に金を貸しているだけの金づるかと気がついても、一方的に押しているようなところがある。一途ともいうのだろうが。

昴のそこまで拒否する姿に、その心の描写はないので推測するしかないのだが、決して100%拒絶しているようには見えない。
何となく迷いのようなものが見える気もするのです。
その理由が夏休みに明らかになります。
結局、彼は逃げてしまったけどそれは葛藤したからだと思います。

ラスト再会のシーンは昴視点で描かれます。
それによってその想像は間違ってなかったのだと答え合わせができました。

昴の抱えるものが深刻だっただけにやりきれないものがあったのですが、彼等なりにそれは消化できたというより、真正面から受け止めたということになるのでしょうか。
星空効果なのか、どうなのか、香司の好意が持続するそのパワーがすごいと思いました、
普通なら、あれでサヨナラだよね~って思ってしまうのです。

8

儚くて強い恋

全寮制の高校の、学年一のモテ男と学年一の優等生。
正反対の二人が屋根裏部屋で共有する秘密と悲しい嘘。
その嘘は、大人びていてもまだ親の庇護下にある
学生という存在のか弱さを感じさせるもので
10代特有のもどかしい気持ちに共感できました。
全体は優等生的な仕上がりで面白味に欠ける気もしますが、
とてもキレイに爽やかに纏まっています。


各界大物の息子が集まる山奥の城壁に囲まれた全寮制男子高校。
そこの2年生で政治家の息子・香司が
寮内の屋根裏部屋に彼女を連れ込むが
誰もいない筈の部屋には学年一の優等生・昴が。
女の子を連れ込んだ口止めに深夜バイトに行く昴の門限破りを手伝ったり、
屋根裏部屋で一緒に天体観測をしたりするうちに仲良くなる二人。
香司の告白でつき合うことになるが、
最後の一線を拒み続ける昴には秘密があり・・・。




※※以下ネタバレてます※※

親のことで香司(攻)に復讐するつもりが、明るく一途な香司に絆されてしまう昴(受)。
裕福でない昴を心配して頼まれるまま金を貸し、
裏切られたと知っても、昴のことを好きでい続ける香司続き
どちらの気持ちも純粋でまっすぐ、
しかし親のしたことが原因ですれ違ってしまう切ない関係です。

傷ついた香司に、昴は今まで絶対言わなかった「好きだ」を連呼し
いつもの屋根裏部屋で、自分から誘って香司に抱かれます。
そして、香司の前から姿を消す。
二人で何度も見た星空も、香司への気持ちも壁の中において・・・。
その後、大学の合格発表を見に行く昴視点のエピローグから
香司を好きになるにつれ、騙しているのが辛くなっていった気持ちが分かります。

しかし、いくら素直になれなくても
一夜を過ごしたあと香司に一言もなく転校した昴は、自己完結しすぎなような…。
香司が「壁の外で会う」約束を守り会いに来てくれる健気なヤツだったからうまくいったようなもので、普通ならダメダメだと思いますw
それに、確かに物理的には壁の外に出られましたが、
大学生も大人に守られている壁の中の存在だと思うので
(作中でも、まだ子供だが少しずつ力をつけよう・・と結ばれています)
頼りなさの残る、個人的にあまりスッキリしないラストでした;
できれば社会人として本当に「壁の外」に立った二人が
一緒に歩いて行くところまで見届けたかったです。

もう一冊出るらしいスピンオフ(先生二人の話?)に
大人になった香司と昴が登場してくれたらいいなと思います。

6

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