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表題作アイスクリームライン(下)

夏海光太
尾栗満

同時収録作品番外編

夏海光太
尾栗満

あらすじ

修学旅行での出来事をきっかけに、光太(こうた)は満(みちる)への好意をはっきりと自覚する。

自分の気持ちにケリをつけるために、告白を決意。
雪の降る中、懸命に想いを伝える光太。
しかし、満の答えは───…。
曖昧な言葉に悩みながらも自分自身と向き合いはじめる光太。
季節はまた、駆け足で夏に近づいていく…。

作品情報

作品名
アイスクリームライン(下)
著者
たし 
媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
シリーズ
アイスクリームライン
発売日
ISBN
9784758072731
3.8

(34)

(13)

萌々

(9)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
125
評価数
34
平均
3.8 / 5
神率
38.2%

レビュー投稿数7

これなのよ!!!

とりあえず、評価は神だけど、この作品の、この結末、
神とは違うベクトルで、
萌×5とか、萌×10とか!
そんな勢いで、
萌で転がり回りたくなるくらい好き!

どこがいいって、
何年もかけて、ようやくお互いの「好きの気持ち」が通じ合って、
それで、最後の最後に、半分見切れでのチュウ。
ここまでじっくり育てて、この、少女マンガレベルのチュウで終わる、
何という、潔さ。

そうなのよ、
いくらBLだからって、無理くりいきなり挿入セックスになだれ込まなくていいのよ。
何のために上下巻冊も使って、丁寧に高校生活を描いてきたかって言うのよ、
ここで、いきなりサカったりしたら、今までの展開が台無し。
BLに求めるものは、エロだけとは限らない。
エロを求める方には全く物足りなくて退屈かもしれないのでおすすめしないけど、
私が本当に好きなのは、これなのよ。

6

見つめる恋から

上下巻セットでの発売です。表紙もお揃い…のようになっていますが、上巻も下巻もよく見るとミチルが夏海のことを見つめているんですよね。ああここに長い片思いの期間が表れているのかなぁと思いました。

夏海とミチルの中身はずいぶん違います。
でも境遇といいますか、努力していたことに対して心が折れたことがある、そういう経験は似ているんですよね。夏海にとってはそれが何より大きかったんだと感じました。だから親近感を持つし、だからミチルのことを知りたいと思う。ミチルとは思考回路も違うから、読めないだけに。
このふたりの気持ちのいいところは、下巻冒頭で夏海が思い募らせてミチルに告白してしまったあと、気まずくならないところなんです。ふつう気まずいのが当たり前なのですが、なんでだろうきっと夏海の性格とミチルの色々諦めているところが理由なんでしょうか。自然です。
そしてなにより 夏海ってば… と思うのが、ミチルの真意を聞いたあとのこと。普通、そこは今すぐミチルのところへ走る…んじゃ!!というのに夏海はサーフィンでお世話になった鵠沼さんのバーなわけです。んもうバカ、でもそれでいいんですよね。ミチルが頑張っていたように、夏海もなにかに立ち向かってがんばって、ちゃらんぽらんじゃなくてかっこいいところのひとつ、見せたかった。ミチルと同じ立ち位置に居たいと思って、そうして逃げていたサーフィンに向い合うこともできた。良介くん誘ってた甲斐がありましたね、いやほんとポッ◎ーをスッと差し出してきたりとかほんと男前なのですよ良介くん…。

波のうえを踊るように進むサーフボードと夏海、それを偶然見ることができたミチル。
そりゃあ見たいに決まっていると思うんです。ミチルのいいところは、夏海の知らない一面を見ても卑屈にはならないところで、だからこそミチルには夏海の姿を見て欲しいとただの読み手の自分は思いました。きっとミチルなら、きらきら目を輝かせて夏海のこと見つめるんだろうな、と考えたからです。
この、ポロシャツについているタイピンは夏海からあの日もらったプレゼントでしょうか。
ふたりで出かけるから、付けてきたのかな。なんだかもうそういうところもミチル、可愛いんです。ルックスとかよりもとにかく中身が可愛い…!

ようやく恋人になった本編のなかでは、ずっとふたりの心の揺れ具合や想いが近寄る過程が緻密に描かれていました。
なので番外編は読み手に対するご褒美…!!そんな内容で、今までまともな接触がなかっただけに雷と雨との明暗で映るふたりの姿や、キス(きっと)に、ときめきました。
果たしてこれからふたりがどうして繋がりあっていくんでしょうか。離れても、大丈夫。ミチルは自分が…と思っているようですが、おそらく夏海こそミチルの心配しちゃったりするんじゃないかな。
お話の合間合間に挟まれた、それぞれのキャラクターのワンカットもイメージがあらわれていてよかったです。下巻七話後のうずくまる夏海や、上巻一話後のミチルの後ろ姿、そして最終話のふたり。
恋愛に対してすこし不器用なふたりが、青春のなかで織りなすふたりならではの恋愛模様でした。歯がゆさもありながら、それでも好きという気持ちを大切にしていた素敵なお話です。

9

一瞬は煌めく

中学3年の時に出会って、高校2年の冬休みまでの
戸惑いを経て、高校3年の夏に恋愛を始めるまで。
少年だった二人の約半年を費やした想いの成長を
描いた完結巻となります。

少年達、いえ、青年達の恋愛譚と言うよりは
成長譚に限りなく近い物語ですね。
成長の為に想いが起爆剤になったんだから恋愛譚で
良いんじゃないの?と言う見方もありましょうが、
評者は想い云々には賛同できても恋愛かどうかと
問われればまだと首を傾げてしまいます。

この二人のこれからは、夏らしい一瞬の煌めきのその後に。
ここまでを静かに伴走してきた二人なら、これからも
きっと大丈夫でしょう。

6

海が好きー!

夏はやっぱり海だ~。
海へ行って泳ぎたくなるような夏のお話です。
上巻より先にこちらの感想を書きました。

たし先生は「かきかけとけしいん」という非BL作品で出会いました。
毎度の事ながら、本屋さんでジャケ買いでした。
今回は、たし先生だから買いました!
デジタル仕様の絵柄はスッキリとしていて読みやすく、とても綺麗です。

上下同時発売で、なんとオール書き下ろしだそうです!
中学から大学まで(大学は任意?)エスカレーター式の学校に通う二人のお話です。
中三の体力測定で話をしたのがキッカケの夏海とミチル。

上は、中三~高二の修学旅行後まで。
下は、その続きから高三の夏休みまで。
エロなしの青春ストーリーです。

上巻に二人のキャラを書きました。
そんな二人にとって、後半キーポイントとなるのは、それぞれのライバルの存在。
夏海には、昔から一緒にサーフィンをしている幼馴染み。
ミチルには、いつも様々な事で比べられる兄。

それぞれ、優秀な相手に嫉妬したり、駄目な自分に失望したり。
そんな二人のトラウマを取り除くのは、お互いの生き方や存在感。
不器用な二人の、じんわりと染み込むお話でした。

下巻では、ちょっぴり言葉足らずな二人にヤキモキしたりもするのですが。
上巻で夏海がミチルを好きになる過程が丁寧に描かれているので、二人の気持ちをどこまでも信じられます。
エロは無いけど、夏の海が青春でした♪

嗚呼、海へ行って、海が好きー!と叫びたいぜぃ。
※実際にそんな台詞はありません。読んでる時のウチの叫びです。

同時発売の上下とも感想を書くのは、なかなか難しいものですね。

4

自分のラインを乗り越える、成長物語。

ジャンル分けするならばBLなのだろうけれど、
俗に言うBL感は極めて薄い。
爽やかで懐かしくて少し照れくさい、
青春小説の様な印象が強いお話でした。


上巻でミチルへの想いが恋かもしれないと
自覚した夏海が告白、するも振られる…
…っていうところから物語はリスタート。
上巻のじっくり具合に比べたら、
下巻は比較的要素が詰め込まれているけれど、
心情描写はやはりとても丁寧です。
終始、視点が夏海に固定されているので、
感情の変化も理解がしやすい。
個人的には
「理由なんかなくたってそんなことの積み重ねで
 心は折れるもんなんじゃないのか」
っていう夏海の言葉がとても印象深かった。
共感に近い感情が湧いたというか。
そういう気持ち、青春時代に自分も
感じたことがあるような気がしてしまったのだ。

全編通して自分の在り方について悩む様子が
懐かしいお話でした。
BLではあるけれど、恋物語と言うよりも、
恋を主軸にした彼らの成長物語だったと思う。
実際人は恋愛ばかり考えているわけじゃない。
やりたいことがあって、
好きな人がいて、友達がいて、家族がいて、
色んな事に思い悩む。
だからこの物語はとてもリアルで身に覚えがあって、
感じるところが多いんだろう。
私自身、ふたりの恋に萌えたというよりも
青春の悩みを懐かしく感じた
という印象が強いのです。

ただ、共感度は高いものの、
BLとしては物足りない人も多いと思う。
キスすら直接的には描かれず、
あまあま度も低いので。
匂い系の青春小説に近い印象です。
BLにはエロと甘さが欲しい!
っていう方には向かないと思います。
恋の自覚までのモダモダは
少女漫画的でもあるので、
それが苦手な方にもオススメしません。
ただ、ひとつのお話として
とても丁寧な良作だと思う。


タイトルの【アイスクリームライン】。
「[Line(ライン)]は色んな意味がある単語」と
著者・たしさんがインタビューで
答えていたのだけれど、
色々とそのタイトルに想いを巡らせながら読了。
友情と恋の境界線の様な意味もあり、
自分の中の越えるべきハードルの様な意味もあり、
ふたりをつなぐ絆の様な意味もあり…
そうやって考える余地があるのも素敵だなと思った。

3

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