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表題作神王の禁域

国を護る蛇神 ナガ
奴隷出身の第二十七代国王 シンハラ

同時収録作品神王の舞踏

国を護る蛇神 ナガ
第十五代国王 ソリヤ

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「お前の聖液は極上の味がする」
奴隷の身分を隠し、成り上がって王の位についたシンハ。王としての最初の仕事は、ひとり神殿へ赴くこと…しかし真の国王の務めとは、毎夜蛇神に自らの精液を与え養うことだった!
国の繁栄を願う儀式を隠れ蓑に、夜ごと蛇神ナガの赤い舌でねぶられ淫蕩な愛撫を受けて、シンハはたまらず精液を溢れさせる。
猥らに啼かされて、ついには貫かれる…余人は立ち入ることを許されぬ聖なる神殿で。
桑原水菜待望の濃密エロス登場!

作品情報

作品名
神王の禁域
著者
桑原水菜 
イラスト
高嶋上総 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイSLASHノベルズ
発売日
ISBN
9784799713549
3.1

(22)

(4)

萌々

(3)

(11)

中立

(0)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
6
得点
65
評価数
22
平均
3.1 / 5
神率
18.2%

レビュー投稿数6

やっぱり桑原先生はすごいぜ!

単純に、ほんっとうまいなぁ〜と感服。
作家の持ち味をつぶす傾向があるといわれるリブレスラッシュで
これだけのことをやれるって、すごいなぁ。
まず、次を読ませる力はフツーのBLじゃありえないレベルだし、
ザックリ流し読みしがちな箇所では、わざとバランスの悪いキーワードをいれて
視線を止める。こういう憎い演出を自由自在にあやつれるBL作家が何人いるんだろ。
ほのミラの初期なんかは、ストーリーテリングだけでひっぱってるイメージありましたが、とんでもない。
桑原マジックにやられた感じ。はやくも今年度のBL大賞候補に入れたい作品。
これだけではなく、いろいろなBLレーベルで書いてほしいです。

5

聖液グルメ

前作の『犠牲獣』もそうでしたが、古代を舞台にした神事を絡めたBLというのは、JUNE的な感じもありながら、ファンタジーとして純粋に楽しむことのできる好きな展開を見せます。
そこにあるのは、バッドエンドではなくて「永遠の愛」のような気がするからです。
またこの作家さんのイチモツの表現が蛇神だけにコブラ表現されていたり、神であることから金剛杖とか、中々にユニークな表現がされていてそれもまた楽し♪

本当は奴隷であったシンハはある特殊な力を持っており、それを武器として生き抜き成りあがり、この度王の娘を娶り、新王として即位したのでした、
シンハラ王となった彼に課せられた王としての義務は、九つの頭を持つ蛇の精が住まうという蛇神の宮殿を訪れて蛇神の女と交わらねばならぬという儀式。
しかし、宮殿に赴くとそこにいるのは女ではなく赤い髪をした紅の瞳を持つナガと名乗るう男。
彼が宮殿の主であり、この国の水を支配する蛇神だったのです。
彼の糧は王の性液。それを与えて加護をもらうのが王の勤めなのです。
代々の王の精液を啜ってきたナガにとってシンハのそれは特別な味がし、いつしか欲情も抱き王を抱くまでに。
シンハはその特殊な能力ゆえに常に気を張って生きているのだが、ナガにだけはその力は通じない為に、彼とのひと時は唯一素直になり安らげる相手となる。
初夜をナガに奪われ嫉妬する后の純粋な心にシンハは苦しめられ、それはシンハとナガを危機に陥らせるクライマックスへと進展していくのです。

古代であるがゆえに、神という存在がある為に全てが許容できてしまうこのおおらかさ。
すっかり最初から引き込まれてしまいましたので、突っ込みもなくスムーズに受け入れられてしまう。
王の苦悩も、ナガの苦悩も、互いの存在が二人で一つの様に見えました。
ナガが蛇神になった理由、シンハの力の理由、そしてどうして二人が惹かれあうのか?
それは本編の中でもわかるようになっていますが、更に裏付ける確証として【神王の舞踏】において、ナガがシンハと出会う前に唯一特別な味がしたという楽士から王になった男との出会いと邂逅がえがかれてあり、これがトドメとなります。
実はこの話がとてもいいのです!

また冒頭に描いたイチモツ表現もですが、精液を糧としているだけあって精液グルメな部分が思わず笑いを誘います。
どうやら王家の血筋が薄いのがおいしいのか?それとも好きなタイプの子のモノがおいしいのかw
「うーむ、まろやかであった。次はコクを加えてやろう」とか(笑)

イラストも、いかにもな「ザ・挿絵」風で数は少ないのですが雰囲気がとても出ていて素敵でした。

6

インドの神話みたいな話

蛇神が住まう神殿へ毎夜精液を捧げる秘儀が王族の中で受け継がれていて、
それが国を繁栄に導く手段で、1日でも怠ると国が滅んでしまうと言う背景に
蛇神であるナガと新しい王で、元は奴隷上がりながら、策略と持って生まれた
特殊な力で国王にまでなったシンハラとの不思議な運命に導かれたようなお話です。

しかし、なんとも凄まじい設定ですよね、神が生きる糧が王族のそれも王の精液、
その精液を与えているうちは、水の神である蛇神が国に雨を降らせる。
約束を違えば、日照り続きで国が亡ぶ。
それでも蛇神なのに、精液を飲まなければ生きられないって不思議設定です。
後に蛇神の本当の姿が解るのですが、やはり初めは屈辱的だったのではと
思ってしまう。

そして、蛇神の元へ通わなければならなかった王もまた、屈辱的な気がしますが、
新しく王になったシンハラは命一杯悪に染まって生きてきたから、
折角王になったのに精液を搾り取られるなんて許しがた屈辱なのでしょうが、
初めて得る快感にそれどころではない思いも抱いていましたね。
そして、毎夜神の元へ通ううちに糧としてだけでなく、欲情込みで抱かれる関係に、
蛇神も何故と思う程シンハラにのめり込んでいき、シンハラも同じようにのめり込む。

その理由も後半に全て明らかにされ、初めのエピローグ的な一件のがここで
繋がっていくのかと納得する。
普通のハッピーエンドものとは少し違う気がしますが、神話的な感じで
こういう展開はアリだと思えるし、王の能力故の苦悩や、その周りの人間たち、
それも王妃の心の弱さが引き起こす憐れな末路、読みごたえもあって楽しめました。

4

蛇神×成り上がり王

個人的にはまず高嶋上総さんがイラスト担当というだけで嬉しい一冊でした。
高嶋先生の数少ないBL作品のうちの一つ「ワイルド・ロック」にも通じるこの古代人を描いた挿絵、作品の雰囲気と先生の挿絵とがとてもマッチしていました。
期待通りの筋肉美がほどよく描かれた素敵な挿絵でした。

桑原先生といえば濃厚な歴史+ファンタジーが素晴らしい作家様ですよね。
炎の蜃気楼でドはまりした作家さまなのですが、その後もイルゲネスなど追いかけている作家さまです。
前作の「犠牲獣」も濃厚な歴史+ファンタジーでしたが、今回もその路線でした。

内容は良い感触ですがライトに感じました。
前の作品のときも思ったのですが、率直に感じたことを言うと桑原先生はやはり長編向きの作家さんなのかな?と。
設定自体も素晴らしいし、壮大で濃厚な歴史+ファンタジーな世界観も良いです。
しかし収めなければいけないページ数の制約なのか、お話の尺が足りないなと感じました。
ファン目線で読んでしまうので、どうしても期待値が上がってしまう(濃厚な作品を期待してしまう)ためにこのように感じるだけなのかもしれません。

○以下過度なネタバレを含みますので閲覧注意でお願います。
作中気になったのは后の扱いです。
BLなので女キャラは付け合わせのパセリぐらいの扱いでも問題ないととらえて読めば吉ですが…。
他にも神との契約の条件って何が揃って契約ができるのか?とか色々疑問に思えるところがありました。
王のシンハラも読心術を駆使してのし上がってきた人物の割には覇王というより案外センシティブな人で、ん?と思いました。
変に后に情をかけるシンハラは思ったより冷酷非情な人間ではなくて拍子抜けしました。
とは言っても、キャラ的には「案外いい人で良かった」のパターンのほうが読みやすいと言えば確かにそうなんです。
このあたりがBL向きに捻じ曲げられたキャラという感じがして少し微妙に思いました。
個人的には少女小説の覇王でももっと非道いキャラが出てくる作品はあるので、BLでもやっちゃって構わないと思うんですけれども…。
色々制約がありつつの遠慮したキャラ設定や筆なんだろうかとも思ったり。
設定を無視して二人の関係だけを楽しむには、あまりに二人の背景にあるものが重すぎるのですよね。なんせ受けであるシンハラは一国の王ですから、世継ぎ問題は相当深刻な話で、気になるところです。

蛇神ナガの影響で人間らしくなっていくシンハラの展開は好きな展開でした。
覇王(武力)→覇道(知徳・武)という変化は個人的には好きな展開です。
覇王としてはナガに対してもっと冷たい人物であってもおかしくないかなとも思いますが、
ナガと一緒にいることに安らぎを感じている部分は、王の顔をしているときの冷酷なシンハラと違っていて、ギャップ萌を感じます。
そしてナガを受け入れていくシンハラと、シンハラに夢中になるナガは溺れ系の萌を突く関係萌もありました。
そして桑原先生と言えばやはりアレですね!魂の流転。
これは個人的に大好きな設定なのでもうツボとしか言い様のない部分です。
あとはアレの表現がコブラとか金剛楔など、すごく強そうでした!
こういう表現を読むと先生はのりのりで書いたんだろうなと思わず微笑んでしまうのでした。

なんだかんだ言ってもこれからもチェックするだろう思い入れのある作家様です。
これから先、果たしてどのくらいBLレーベルで作品をお出しになられるのかわかりませんが、
一度BLレーベルで上・中・下ぐらいの長編でどういったものをお書きになられるのか読んでみたい気もしました。

7

タントリズムな蛇神様

奴隷出身で元盗賊の一味だが、人心を読むことのできる特殊能力を武器に成り上がり、前王を殺して王位に就いたシンハ。
しきたりに従い、后との初夜の前に蛇神の女と交わるため神殿に赴く。
しかし、出会ったのは人間の風体の赤髪の男。
ナガと名乗る彼は、王の精液を栄養源とし、国の水を司る蛇神で
シンハは毎夜ナガに抱かれるうち、人間臭く情熱的な彼に惹かれていく。
ナガによる雨の恵みや、領土拡大の成功により栄華を極めるシンハ。
しかし、后の不義密通、干ばつ、不穏分子の暗躍等により徐々に暗雲が立ち込め…。

ナガとシンハの性交表現が独特で、
男根は当然"リンガ"のルビ付で、「いきり立つコブラ」とか「赤銅色のコブラ」が泉の核心をこづきまわしたり、ナガの身体が乾いた赤い大地のように熱かったり、なんか超大自然スペクタクルな!!!神様とのまぐわいだけあるわ~って感じでした。
質の高い精液を求めて飲精・愛撫に工夫を凝らすナガの美食家ぶりも、ねっとりしていて良い!!ww

ナガは国の水を司る神ですが、
シンハを情熱的に襲ったり后に嫉妬したり、かなり人間臭い。
シンハも、普段は冷静で男気ある王だがナガの前では乱れまくり(后に覗かれていたことを知って、更に興奮…w)、ナガが望むまま精を与える包容力のようなものも感じさせる。
なぜ互いにのみそれほどの執着を見せるのか?ってところが肝であり
王国が混乱に陥るクライマックスに秘密が明かされます。

ネタバレは控えますが、その秘密が
彼らの意志とは無関係なある大きな存在によるものと片付けられてしまったことが残念。
ラストも、長い目で見れば国のためになるかもしれないが、この二人が一緒にいるため不幸になった后や、シンハ治世下の民を思うとスッキリしない。
不穏分子のその後もぼかされてるし、二人の世界に終始した視野の狭さが苦手でした。
神話を題材にしたファンタジーとしては外連味はあるが
人間自ら運命を切り開く意志のようなものが弱く、
大きな感動や充足感は得られなかったかなと思います。

しかし、クメール王朝や寺院ピミアナカスから着想を得たストーリーラインは面白いし、
JUNEのような悲壮感的雰囲気・結末は切なくて好きです。

表題作よりも、300年前のナガと若き王を描いた【神王の舞踏】の方が、神設定を取っ払い人の命の儚さと生命力、純愛というシンプルな題材を書ききっており、胸にズシンと来るものがありました。

5

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