闇に生きる二人の、甘く危険な恋

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表題作狼憑きと夜の帝王

御門礼司・ウォータービジネス界で帝王と呼ばれる男
犬神煌・一族本家の末裔で狗神銀と逃亡中のホスト

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

最強の霊力を持つ狼憑きで、狗神を使役する一族の末裔である煌は、忌まわしい因習を嫌って出奔し、逃亡を続けていた。出自を隠してホストクラブで働いていたある日、ウォータービジネス界の頂点に立つ夜の帝王・御門礼司の指名を受ける。一族の中でも限られた者にしか見えないはずの狗神・銀の存在を御門に見抜かれた煌は危険を感じて逃げだすが、呆気なく彼の手に落ちてしまう。それは甘く危険な恋の始まりで!?

作品情報

作品名
狼憑きと夜の帝王
著者
犬飼のの 
イラスト
山田シロ 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048919661
3.6

(37)

(8)

萌々

(15)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
131
評価数
37
平均
3.6 / 5
神率
21.6%

レビュー投稿数10

共に一代で果てよう!

これは個人的にかなり面白かった、犬神伝説と言うか由来をベースにした話で
今でも四国方面では狐憑きと同じように有名なのではないでしょうか。
そんな狗神憑きである主人公の犬神煌、犬神家の末裔でありながら、
その犬神家が先祖代々して来た動物に対する残虐な行いを嫌悪し自分の代で
一族を終わりにしようとしている。

一族は直系男子で唯一狗神憑きの煌が一族を飛び出し逃亡しているのを
執拗に追いかける、それは一族を存続させるために煌に子供を作らせようとする為。
狗神は使役される相手を末代まで呪うもので悲壮な恨みを抱く者の一族に使役される
皮肉な関係であり、煌が女性と肉体関係を結び、子供が出来ればその女性は破滅する。
それを回避する為に一族から逃げ続ける煌。

そんな煌は一族の目から逃げるように夜の街でホストをしているが、霊能力が強く
女性に対し負い目の感情がある為に霊障で困っていた客を助けた事から
たまにその手の問題で頼まれごとをするようになっていて、夜の帝王と言われている
攻めになる御門から霊的な事で依頼を受けた事がキッカケで出会います。

初めは御門が一族の回し者だと勘違いして逃げようとするのですが、その原因が
煌の傍らにいつもいる狗神の狼の銀の姿が御門に見えてしかも触ることが出来たから。
御門も薄いですが、一族の血を持っていた事で生死を彷徨った2か月前から人には
見えないものが視えるようになっているのです。

幽霊が見えたことで煌に元恋人が何を言っているのか知りたいと依頼し煌は
その幽霊に憑依されて、帝とHしてしまう展開。
そこから二人は関係を深めて行きますが、一族の呪いのせいで性的な事とは
無縁の煌は同性同士とは言え初めての恋心に戸惑いますが、その様子も微笑ましい。
狗神の銀がボロッと恥ずかしいことを言って煌を居た堪れなくする展開があるのですが
お気の毒な程の恥ずかしさが伝わってきます。

そして、御門は基本的に煌には優しく、銀も懐いているのですが、
煌には見せない裏の顔を持っていたりと魅力的な攻めでした。
新しい道を銀と共に進む事になる煌とそれをバックアップする御門との今後を
もう少し読んでみたいと思わせる作品でとても良かったです。

8

狼憑きの初めての恋

犬飼ののさんの作品で一番好きです。

とにかく、煌がいい子です。一族の忌まわしい因習は、自分で終わらせると誰も愛さずに孤独に生きてきました。ホストをしているのに、ストイックです。銀のことも大切に考えています。懸命に生きている姿が好きです。

そして、御門は、文句なくカッコイイです。銀を受け入れる柔軟性があるところも、好感が持てます。煌への真っ直ぐな気持ちが、読んでいてキュンとなります。

煌の生い立ちや、一族の秘密。設定も、面白くて引き込まれます。
最後の、銀も混ざった(?)エッチシーンでは、イラストも良くて萌えました。



4

攻めの台詞に射止められてしまいました。

新刊チェック時に知り、あらすじを読みましたが、人外モノだと思い、
特典ペーパー付きでしたが購入しませんでした。
しかし他の商品を購入する時に送料の関係上、金額調整のため、
これを機に新刊で購入しました。
いつも利用している書店では在庫が無くなって注文できなくなってしまったところ、
今回、購入しようとしていたお店では運良く特典の在庫があったので良かったです。

受けについて、追手から逃げる生活をしている様子や、負の連鎖を自分の代で
終わらそうという真剣な気持ちがとても伝わってきました。
狗神の銀に対して「お前の呪いは、俺が終わらせるよ」という受けの台詞が、
とても重みがあり、一族を絶えさせようという強い意志が伝わってきて、
強く印象に残りました。
銀に、攻めを想っての秘め事を暴露され、羞恥で逃げ出して泣く姿が
初々しくて萌えました。
双子の従兄たちに拘束されても、女の人達が被害に遭わないために
必死に耐える受けに好感を持ちました。

攻めについて、最初の濡れ場で受けを利用してしまったことをきちんと反省し、
謝罪したところに好感を持ちました。
受けへの想いが芽生えてからは、受けを見る目がのぼせるくらい温かく、
とても甘々で溺愛しているのがとても伝わってきました。

狗神で狼の銀が、どうしても犬に見えて、犬にしか思えなくて仕方がありませんでした。
攻めに懐く銀の姿が微笑ましくて、そんな姿を見ていると、
とても怨念などから創り上げられた狗神には全く見えませんでした。
銀も怨念などに縛り付けられて永く苦しみ続けていますが、
銀の口調から人間のような感情を持たない印象を受けました。
しかし、ちゃっかりと受けの秘め事を攻めに暴露したり、
受けの言霊による命令とは関係なく、受けと攻めの仲を
取り持ったりする銀が良い働きをしているなと思いました。

最初の濡れ場では、お互いに利害を理解していても、いくら恋愛感情が無かっても、
やっぱり攻めの亡くなった元恋人の霊に憑かれて体を利用されてしまうのは、
精神的に非常に痛々しくて読むのが辛かったです。

最後の濡れ場では、攻めの「俺と共に一代で果てよう」という台詞が
とても強く印象に残りました。
とても深く重みがあって、私に対して言ったわけではないのに、
この台詞に思わず落ちてしまいました。

また、攻めが銀に「見物していないで舐めてやったらどうだ?」と言った時には、
その台詞のある次のページに銀が受けの乳首を舐めている挿絵があるので、
まさか獣を交えた3P?と思ってショックを受けてしまいました。
しかし、銀が即答で断って直ぐに
「交われなんて言ってない。煌と交わっていいのはこの世で唯一人、俺だけだ」
という攻めの台詞に安堵しました。

読む前は人外モノと思っていましたが、読んでみると人外ではなく、
霊力を持つ人の中でも霊力の強い攻めと、その攻めより遥かに強い
霊力を持つ受けの物語だったので、とても読みやすかったです。

受けの台詞で、「一緒に死のう」と、受けと銀が誓い合った台詞が
あったと思うのですが、何度、読み返してみても見当たらず、
何度か読んでいるうちに、いつの間にか、この台詞があると
思い込んでしまったのかな?と思ったりしました。
また、攻めの「一代で果てよう」という台詞も、作中に2~3回は
登場したと思うのですが、これも何度、読み返しても見当たらず、
読んでいるうちに、いつの間にか何度も登場したと思い込んでしまったのか、
それとも、物語の後半になって結末が待ちきれず、誘惑に負けて会話文だけ
先に軽く読んでしまったのですが、それが原因で、本当は一度だけしか
出てこないのに、何度も出てきたと勘違いしてしまったのかな?と思ったりしました。

受けの双子の従兄たちが最後に登場し、会話文が高知弁で書かれていますが、
標準語訳が無いので、何を言っているのかサッパリ分からない単語も多々あり、
困りました。
受けや銀の台詞、情景描写から想像して解釈しましたが、括弧書きで会話文の横に
翻訳を記載するか、注釈をつけて本の最後のページなど別のページに訳を
記載してくれると助かるし、作品の好感度が上がると思いました。

今回の評価は、「萌」と「萌×2」で迷いました。
「萌」評価にすると、評価に物足りなさを感じるし、
「萌×2」だと少し甘いような気もするし…。
しかし、やはり攻めの「俺と共に一代で果てよう」
という台詞に射止められたのが決め手となって、
最終的に「萌×2」評価に落ち着きました。

そういえば、犬飼先生の作品で読んだ作品は、『砕け散る薔薇の宿命』、
『ブライト・プリズン 学園の美しき生け贄』の順で、
そして今回の作品となりますが、これも何かの縁なのか、
どれも全て血筋などの曰くつきの「血」に纏わる作品でした。
今回の作品は上記二作品に比べると「血」による拘束が随分と緩く、
ほの昏さや重々しさが無くて、読みやすいと感じました。

3

心の清らかな狗神使いホスト

犬飼さんはいろいろな設定をBL仕様に上手くアレンジするのが上手いなぁといつも感心させられる。

正体を隠してホストとして働いている煌は、ウォータービジネス界の帝王・御門から元恋人の霊障の相談を持ち掛けられたのをきっかけに、普通の人には見えないはずの狗神・銀(しろがね)の存在があっさりばれてしまう。
しかし、御門は銀の存在を何の抵抗もなく受け止めて、煌は逃げる事も叶わずに関わっていくようになる。

攻めの御門の飄々とした受け答えや、理屈よりも感覚優先で速攻で銀の存在に馴染んで、惚れた煌に対してのアプローチぶりも読んでいて気持ちいい。

また、受けの煌自身は因習を断ち切りたい為に実家から逃げ回らないといけない状況。
なのに、霊障で困っている人を助けたり、御門を好きになった事に素直に向き合い、自分の客の恋愛にも寛容になるしで元々の性格が素直でホストらしくない心の清らかさに好感が持てる。

それから常に煌に憑いている狗神の銀もどうもワンコ然としていて(?)、随分と人間の普通の生活に馴染んでいるところが妙に微笑ましい。

話もオカルト要素(因習?)を盛り込んでいるのに重苦しさを感じずに読みやすい。
何故かなと考えてみると、今回は女性が絡んでいないので銀の狗神の呪いが発動しないのと、陽のパワーと守護霊の強そうな御門が夜の帝王としておそらく過去に手を汚してきただろう後ろ暗い行いとか、ドロドロした部分をあえて伏せているからな気がする。

今回出番の無かった煌の曽祖父と犬神の家の執念がまだ解決していないので、もしも続篇が叶うならこの点も楽しめるかもって期待がある。

2

舐めてやったらどうだ?

どっぷり犬飼ワールドにハマっている今日この頃。
今度は狗神使いのお話です。

さすがは犬飼さん。
普通なら狗神使いの主人公は獣を従えてかっこよく活躍!のようなお話になりそうなものの、この狗神使いはこんな呪いは自分の代で終わらせようとしています。
設定が面白い!

最初、御門の行動(憑いてる霊とエッチしちゃった)に関してはなにをしとんじゃい!と憤りを感じましたが…煌に一目惚れしてあえてあんな暴挙に挑んだ、と自分に都合よく考えることにしました(笑)

誰も呪われないようにたったひとりで生きていこうとする煌の前に現れたウォータービジネス界の帝王、御門。
めちゃくちゃいい男です。
銀まで手懐けてしまうあたり、ほんとタラシ(笑)

『俺と共に一代で果てよう』

この言葉はグッときましたね。
さすがいい男は言うことまで男前です。

銀の呪いが母を殺したと知ってから銀に触れなかった煌。
しかし無感情に見える銀もどうすることもできないジレンマを抱えていると気づく。
煌が銀を抱きしめて帰ろう、と言ったところでうっすら涙ぐんでしまいました。

最後、まさか銀も混ざって!?と鼻息が荒く(←)なってしまいました。
ペロペロだけだったけど、それがなんとも萌えましたね。

銀と煌で御門をサンドイッチがめちゃくちゃかわいかったです。

2

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