京の街ではんなり紡がれる恋双紙!

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表題作京恋路上ル下ル

里見颯馬,19歳,大学生
木嶋伊織,26歳,古書店・一葉堂の店主

その他の収録作品

  • 恋迷路入ル
  • 恋路の行方
  • あとがき

あらすじ

京町屋で古書店を営む伊織は、家庭を大切にする年上の男が好みだ。
だから大学生の颯馬に告白されても拒絶する。
己が失った家族の愛に恵まれた颯馬には、真っ当な恋をしてほしいから。
けれど颯馬はいけず美人の伊織に焦がれ、追い続ける。
伊織には幸せな恋をしてほしいし、自分がその相手に不足だとは思わないのだ。
交わらぬ恋の道で、ふと大人びてきた颯馬に伊織が気づく時……?

作品情報

作品名
京恋路上ル下ル
著者
夕映月子 
イラスト
まさお三月 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523380
3.3

(81)

(23)

萌々

(23)

(13)

中立

(5)

趣味じゃない

(17)

レビュー数
14
得点
251
評価数
81
平均
3.3 / 5
神率
28.4%

レビュー投稿数14

京都に行きたくなる。

京都が舞台で、ならではの食べ物や甘味、行事などが、なんとも魅力的。
行ったことがないので、憧れの地『京都』
あぁ、行ってみたい、としみじみ感じてしまいました。


受け様は、古書店を営む伊織。
ゲイということを受け入れられない家族から祖父母へと、捨てるように預けられ今に至る。
"いけず"という言葉がぴったり、と思っちゃう京美人。
また、京言葉が似合っていて美人度が暴上がりです。

そんな伊織に一目惚れしてアタックしてくるのが攻め様である大学生の颯馬。

家族から捨てられたせいか、伊織は家族を大事にする年上が好み。
なので、年下の颯馬は範疇外。
颯馬をかわいく思い大事にしたいからこそ、普通に恋愛してほしい、と袖にする伊織なのだけど。

伊織のことが好きで好きでたまらない一生懸命な颯馬が、私もかわいくて。
年下攻め様っていいわ〜です(#^.^#)

両視点で進むので、2人の気持ちの揺れ動きがよくわかってきゅんを噛み締めました(*´∀`)

恋人になるまでもよかったですけど、なってからの2人がまたそれ以上によかった!

颯馬が、年下攻め様のかわいさと一途ないい男に育ってきたなぁとをあわせ持って、めっちゃ萌えました(///ω///)♪


イラストはまさお三月先生。
お話のイメージぴったりで、にまにまさせて頂きました(#^.^#)

1

お尻の青い生意気年下小僧が、スパダリへと変貌を遂げるまで

いや〜これ、年下攻め好き、そして京都好きの方にはたまらない作品じゃないでしょうか!

余裕のある年上攻め様好きな私も、青臭いけど一途に受け様を追ってくる大学生攻め君(7歳差!)に不覚にもキュンとしてしまいました。。+゚*(о゚д゚о)*゚+.

颯馬(攻)のアプローチを笑って袖にしていた受け様だけれど、少しずつ少しずつ熱意に絆されていって…だんだんと頑なな心の隙間に颯馬が入ってくる様子に、ときめきが止まりませんでしたよ…

伊織の京都弁。方言萌えな自分にはこれもたまらなくて。
作中に何度か出てくる「ほんなら、おきばりやす」という言葉…この言葉の持つ意味と熱と優しさが、序盤とラストでは全然違うんですよね。。あーーーーもう好き!!!

読んでいて猛烈に京都に行きたくなりました。そうだ、京都行こう。(`・ω・´)

そして個人的に、伊織の家族との確執が最後まで埋まり切らないのが、リアルでとても良かったな、と。
いくら血の繋がりがあっても分かり合えない部分があり、血の繋がりがある関係だからこそ、溝は深まってしまう。仲直りしてはいハッピー、という結末ではなく、切なさの残るラストが胸を打ちました。

伊織の心にぽっかりと空いた穴を、家族愛とは違う、颯馬の愛がこれからゆっくりと深く深く埋めていくんですよね。

生意気自信過剰な年下男子がスパダリに変わるまで。そして、意地っ張り美人受け様がゆっくりと心の扉を開けていく様子に萌えが止まらない、素敵な物語でした✨

あーーーー、京都!京都行きたい!

0

優しく愛したい

京都を舞台にした物語、その風情を味わえる場所や行事や食べ物の描写はそこに住んでいない自分をその場所に案内してくれるような臨床感を与えてくれました。
また、登場人物のキャラクターにこのまさお三月さんのイラストがとてもマッチしています。


親から捨てられ、古書店を営む祖父に引き取られ両親家族と絶縁したゲイの主人公・伊織と、彼に一目ぼれした伊織がほのかな恋心を抱いていた大学教授の息子である颯太との物語。
颯太は6年前の子供の頃、父親と一緒にいた伊織に一目ぼれし、大学に入る前父親の遣いで再会してその初恋がもう一度再燃。
いきなり告白するがすげなくあしらわれ、しかし、古書店の隣の銭湯に下宿することになった為、いつの間にか伊織は颯太にその距離を縮められている。
人の懐に入り込むのが上手い颯太に多少の関心を抱く伊織の言動の、そのあいまいさが颯太に希望を持たせ、そしてその好意を颯太のプライドを傷つける形で手ひどく振り、二度も失恋させてしまう伊織だが、キスしているところを颯太に見られ、嫉妬に駆られた颯太に襲われた事で颯太は伊織に申し訳なく思い避けるように。
同類の集まる店に行っても気持ちは晴れず、そんな時に祖父が怪我をして入院してしまう。
そこで初めて自分の気持ちを素直に認める事ができる伊織。

伊織は恋愛をしたいと思っているのではないと言います。
彼が両親から捨てられた事が心に根を張り、そんな自分を受け入れてくれた祖父母を愛しており、伊織にとっては温かい家庭を作って持っている男が好きなのです。
だからいつも叶うはずのない人を思ってはそれで満足しており、身体の欲求についてはあとくされのない場所でその場を楽しむという過ごし方をしてきた人。
欲しいモノは手に入らないと最初から諦めている感じがします。
だから、「好きだ」と真っ直ぐぶつかってくる人は颯太が初めてだったのだと思います。
彼は女性とも恋の出来る人だから、好きだった先生の息子だから、だから恋愛対象にしてはいけないというブレーキが無意識に働いているのでしょう。
そして年上の矜持もあります。
はんなりとした京都弁でやんわりと、そして時にキツい口調で嫌味を言う。
それに京都弁は絶大な効果を与えているような気がします。
颯太が真っ直ぐで一途なワンコの部類にも入るのかとは思いますが、伊織の言葉に傷付いたり、一度は諦めたりもします。
猪突猛進だけでない、彼の心の揺らぎも見える部分が伊織の心の変遷とあいまってとても自然に綴られている気がします。

【恋迷路入ル】
恋人になって半年か1年くらいでしょうか?
彼等の些細なケンカは犬も喰わない痴話げんか。
もっともっと愛したいのに、伊織が声を我慢して思い切り愛し逢えないことでケンカするなんて(このあたりは、伊織の意地っ張りと恥じらいなのだとは思う)
そこでホテルで思い切り愛し合うという、ゴチソウサマな甘いお話。

【恋路の行方】
付き合って2年半、颯太は就職の時期を迎えます。
ずっと伊織の側にいたい颯太の選択の話しと、伊織の絶縁した親兄弟が登場して、彼のトラウマの深さを浮き彫りにする話しが平行して進みます。
自分を否定した母親と、まだ小さかったから自分の意思ではなかったかもしれないが同じく自分を否定した弟。
父親が単身赴任で地元におらず、弟は就活で母親が入院・手術で心もとなく伊織に助けを求めに来る弟という出来事があります。
情はまだあるんだよと訴える弟の言う通りにしなかった伊織と、ラストの伊織の対応にすがすがしさを覚えました。
ここで家族が仲直りでめでたしなんてあったら、この話の評価が変わるところでした(汗)


主人公達の心の動きが実感できる誠実さ。
ところどころはっとさせられる文章の描き方。
人物も物語も誠実で飛びすぎない等身大に、親近感を抱きます。
本当は寂しくて愛情が欲しい伊織のツンデレさんに、優しく愛したいと願う、出会ったころよりも男として頼りになる成長を見せる颯太。
そんな二人に愛おしさを感じる物語なのです。

13

はんなり京都で優しい恋路の波

端的に言えば、タイトル買いしました。
新刊チェックで、まだタイトルだけしか公表されていない初期の頃に、
このタイトルを目にしただけで、はんなり京都のお話かなと勝手に想像が膨らみ、
興味津々でした。
あらすじを読んで想像に近く、特典ペーパーが付くということで、
いつもの書店で予約して購入しました。

読んでみて、初めて想像した時や粗筋を読んだ時の想像と大差ない内容で、
古き良き京都の雰囲気が伝わってきて、はんなり気分を味わえました。

昔、京都出身の知人が居ましたが、伊織さんが話すような京都弁は
聞いたことがなかったので、所々分からない方言がありました。
しかし、伊織さんの台詞から優しくて落ち着ける口調が伝わってきて和みました。

伊織さんのお店、一葉堂は、日本文学系の専門書を扱う老舗の古書店で、
中でも江戸風俗の分野では全国的に有名で、艶本や春画を扱っているという
ことですが、作中に春画についての記載があり、参考になり勉強になりました。
また、仕事で古本まつりに出店する場面が何度か書かれていますが、
京都に行く機会があれば、古本まつりに行きたいなと思いました。

受けの伊織さんは、本来は家族を大切にする包容力のある家庭持ちの
年上の男の人が好きなのに、好みとは反対の颯馬くんに告白され、
断っても挫けずに言い寄る颯馬くんの気持ちを真摯に受け止めていこうとする
ところに好感を持ちました。
葛藤したり、心を鬼にして酷く振って心を痛めたり、
伊織さんの様々な感情が伝わってきました。
また、物語の後半から最後にかけて伊織さんの理不尽な弟が登場しますが、
弟に対して甘くなったり屈したりすることなくバッサリと切り捨てる伊織さんに、
思わず「よく言った」と心の中で拍手を送りました(笑)。

攻めの颯馬くんは、本当に好青年だと思いました。
小学生の頃の純粋な心が消えることなく、大学受験で再会して以来、
伊織さんに優しい愛情を常に注いでいるところに好感を持ちました。
伊織さんの想い人の存在や、酷い振られ方に何度も挫けそうになっても、
それでも一途に想うところにも好感を持ち、また、最後の書き下ろしで
「…俺がこの人を甘やかしまくって幸せにしようと思っている…」
という台詞に、伊織さんと同じように心を打たれました。
そういえば、颯馬くんの和服姿の挿絵がありませんでした。
颯馬くんの和服姿もぜひ見てみたいです。

伊織さんのお祖父さんである留蔵さんもお気に入りです。
颯馬くんの和服姿と同じように、留蔵さんの挿絵も無かったので、
ぜひ挿絵で留蔵さんにお目にかかりたいなと思いました。
また、颯馬くんと囲碁をしているところも見てみたいなと思いました。

表紙の題字のデザインがお気に入りです。
特に漢字の「上」や「下」は文字を書く筆順の向きに合わせて波打っていて、
二人の関係の波を表現しているのが粋だと思いました。
また、「上ル下ル」という表現も、恋の波を京都の住所表記と上手く融合させて、
京都らしさを醸し出しているので、とても理に適った良いタイトルだと思いました。
サブタイトルの「恋迷路入ル」もお気に入りです。

今回の評価は、迷うことなく「萌×2」です。
物語の内容や展開、人物設定、絵など、とても萌えました。

6

何度も胸がきゅんと致しました!!

話している事と腹の中で思っている事が違うというタイプは
実はとても苦手なんですがww
今回の受け・伊織は、綺麗で色っぽくて意地悪で頑固な面があって
ときおり見せる寂しさがとても魅力的でした!!
春画やあぶな絵を平然と扱うギャップもw
それに対して真逆ともいえる健康的な色男の颯馬の
若さゆえの言動が自然でぐいぐい引っ張られます!!

老舗古書店を継ぐ、ただならぬ色気をまとう伊織が
大学生の頃秘かに好きだった准教授。
一葉堂の常連と言っていい人物で祖父と旧知の中で
お世話になっている里見なのですが
その息子・颯馬との初対面で、家族からも周りの皆からも愛されて育つ
明るい溌溂とした雰囲気がうらやましくもあった過去があり、
まさかその颯馬が大学受験で自分の店に訪れるとは…。

颯馬自身、恋愛に不自由した事も振られた事もなく、
誰からも好かれる自負があったにも関わらず
一目惚れした初恋の相手の伊織にアプローチしてもことごとく空振り。
一度目は「根拠もなしに強引でわがままな年下なんてありえへん」、
二度目は「初めて手に入らんもんがあったからムキになってるだけや」…。
プライドを傷付けられ、やめよう、諦めようとするのに
どうしても伊織が欲しくて欲しくてたまらなくて
強硬手段に出てしまいます。
…無理矢理関係を結ぶのは良くないよ!!って思いながらも
その切実な想いにきゅんきゅんしっぱなしでした!!
(ココで早いのとか、愛おしいったらない!!w)

ツレナイ言動ばかりの伊織も徐々にほだされていき、
自分との事を過去のように話す口調につらくなってしまって
体を慰める相手ならいた伊織も、そういう相手を探したくなくなり
颯馬があの出来事の後、
以前のような明るさに影を落としたような笑い方や表情に胸を痛め…。
も───う!!!悶えました!!!
一人の男の(正確には二人)人生を変えてしまう程の恋って!!!

自分が「もう二度とぼくに触らんといて」と決定的に突き離したのに
触れてもらえない、口説かれない寂しさにおそわれる伊織。
こういうのがあるから“押して駄目なら引いてみな”なんですよね!w

大事な祖父の腰の怪我でまた少し縮まったような距離にも
微妙な空気で落ち着かず…。
でも、伊織の誰にも話した事のない自らの過去を颯馬に語った事で
心を許しているのは明らかでした。

伊織は自分が味わった寂しい実の家族との諍いがあったからこそ
自分と違ってゲイじゃないのなら
颯馬には真っ当な道を歩んで欲しくて遠ざけたけれど
どうしても伝えずにいられなくなってしまったクライマックスは
ロマンティックが止まりませんでした!!!w

晴れて恋人同士になった後の、
甘々ながら小さい喧嘩もしてやっぱりラブい『恋迷路入ル』も、
颯馬の就活であれやこれやすれ違う想いの『恋路の行方』も
あますことなく楽しませていただきました!!

年下男だから、自分の父に想いを寄せていた伊織だから
自分ではまだまだ相応しくないかもしれないけど、と悩む颯馬、
年上だから、同じ男だから、就職という人生で大事な時に
簡単に「側にいて欲しい」なんて言えない伊織。
どちらの気持ちにも共感出来てきゅきゅ──ん…。

京言葉にも相当悶えさせていただきましたが
まさおさんのイラストもまたはんなりな感じでうっとり♪
伊織が揺るぎない愛を見つけられて本当に良かった!!!
愛のあるHに感じすぎてしまったりとかたまらなかったですし…!
素敵なお話、読めて幸せです!!

4

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