俺たちは一緒に死ぬのさ。 真の恋人が運命づけられているようにーーー。

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表題作アドリアン・イングリッシュ(1) 天使の影

あらすじ

LAでミステリ専門の書店を営みながら小説を書くアドリアン・イングリッシュの元をふたりの刑事が訪れる。
従業員であり友人のロバートが惨殺されたのだ。
前日レストランで口論して別れたアドリアンに、殺人課の刑事・リオーダンは疑いの眼差しを向ける。
調査に乗り出したアドリアンだったが、犯人の深い憎悪と狂気はやがてアドリアンに向かう。
彼の危機に飛び込んで来たのは!?
それぞれの運命と向き合う男たちを描き上げたM/Mロマンスの金字塔、ついに刊行。

2006年ブックニュースアワードGLBTフィクション部門受賞作(シリーズ第三作「The Hell You Say」が受賞)。

翻訳:冬斗亜紀

作品情報

作品名
アドリアン・イングリッシュ(1) 天使の影
著者
ジョシュ・ラニヨン 
イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
シリーズ
アドリアン・イングリッシュ
発売日
ISBN
9784403560156
4.1

(133)

(69)

萌々

(32)

(22)

中立

(6)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
24
得点
545
評価数
133
平均
4.1 / 5
神率
51.9%

レビュー投稿数24

非常に出来の良いBL

ミステリーのネタバレはしないようにレビューします。

本格派ミステリーの中に織り込まれたBL。読み物としてクオリティが高く最後まで息もつかせず読ませます。(しかし、本格ミステリーとまではいかない)

シリーズ5作で完結ですが、この1作目は執筆当初は当然単発として書かれたのでしょう、この作品だけでさわやかなBLとして読めます。

体の弱いアドリアンと、ひたすら強い男、ジェイク。ジェイクは寡黙で自分を外に出さない、王道攻めキャラで、ここが作品のポイントでしょう。

なぜか事件に遭遇しやすい(お約束)アドリアン。本屋経営の傍ら執筆活動もする美青年。しかし彼の事件に対する好奇心は誰に求められません。彼が雇っていた同級生が亡くなったことから事件は始まり、捜査に当たった刑事のジェイクは事情を聞くためにアドリアンの元を訪れます。

出会ったとき、ホモフォビアのような態度だったジェイク。しかし、事件を独自に調べるアドリアンと、半ば個人的な交流の中で協力して事件を解決に導きます。

そして、どうしようもなくアドリアンに惹かれてしまうジェイク。事件の緊張がどんどん高まるクライマックスの直後、二人のプライベートな関係に兆す予感で心が温かくなるラストでした。

アドリアンはエイドリアン(ロッキー。。。)でもいいと思いますが、一般に女性の名前ですね。外見は華奢でも事件となると男前な受けでした。

個性豊かな脇役が多く登場しますが、色々な理由で続編には出てこないのが残念ですね。特にカフェ・ノワールのおフランスかぶれなクロードがよい味でした。


10

腐女子なら一度読んでもよいと思う

名著である。
間違いない。ただ、一巻だけ読んでもその良さは解らない。
全巻完結まで読んでみて、多分素晴らしいと気づく。そんな本だ。
一度腐女子なら読んでみて、損はない。

アドリアンは美しい男で、品がある優美さを兼ね備えた黒髪で背が高く、地中海を思わせるような瞳の色をしている。
そんな男が、ちょっと古いホテルを改装した本屋を経営していて、名画のように収まっているのは想像してみると相当見ごたえがある。
そんなアドリアンはゲイで、ちょっと美しすぎて品の良い色気のある男はなかなかにいないから、そういう人をゲイと間違える人が多いように一目でゲイと看過される。

そんな彼が事件に巻き込まれていく話だけれども、見所はいくつもあって
おそらく初めからアドリアンに心を奪われただろうジェイクは、In the Closetの男だった。
In the Closetは、秘密を隠し持つこと。ゲイであることをひたすらに隠しているということにも使われる。
社会の中で、様々な差別が語られて、人権だのなんだのと騒ぎられているが、そういう主張を聞くよりも彼らが何を恐れているのかが
全巻を通すとゆっくりと見えて、社会の中での生きにくさというのが深く感じられる。
アドリアンシリーズの凄いところは、押しつけがましくなく日常的な生きにくさ、悲しみ、苦しみがほのかに見えるところにあると思う。
そして、In the Closetであるジェイクは自分の生き方にずいぶんと苦しいんでいる。
彼が言う「女は好きだ。けれども男はもっと好きなだけだ」というようなセリフは、苦しみをよく表しているし、深く考えさせられる。
ジェイクは必死に、警察というゲイを好まない団体の中でまともであろうとしている。
それでも、生来から持つ「好き」という感覚はおそらく止められないだろうし、生きていくうえで必要なものであるから、彼は自分の中の矛盾を許せずに苦しんでいる。
様々な生きづらさ、いじめの問題など社会的な要素が絡まって見える一巻である。

人は誰にでも生きづらいような秘密はどこかにあって、大なり小なり悩んだり悲しんだりする。
そんなな中でも、性向というのは生きている根幹的な部分であるから、その悩みや生きづらさは深いだろう。
自分としてどうやって生きて行くのかというのは壮大なテーマだと思うが、誰もが抱えているものでもあると思う。
その生きている困難さが、とてもうまく描かれている。

本としても本当に面白い。
ジェイクとアドリアンの関係を見ていくのはハラハラさせられる。

よんだあと、おもしろかった!というだけではなくて、きっと心に残るものがある。
そういう本だと思う。
私は強く勧めたい。

9

いつか受のように「ベイビー」と呼ばれてみたい…ッ!

気になりつつも海外物に苦手意識がありまして、手をつけてなかったのですが偶然機会を得て読んだところ面白いのなんのって読み終えないうちに最終巻までポチってしまいました。
はっきり言って表紙や挿絵の漫画絵に助けられたことは間違いありません。原書のリアル系表紙じゃあ全く妄想が掻き立てられないどころか、門前払いされている気分になったかも。改めて日本の萌え文化は素晴らしいと感じました。
内容に関してですがシリーズ通してほぼパーフェクトで大好きです!
自分がゲイであることをことさら強調したり嫌悪したりっていうのは、あまり日本のBL作品では見ないので新鮮でしたし、アメリカ社会でのゲイの立場を意識させられる場面も多く興味深かったです。会話も無茶苦茶楽しくてですねぇ…外国小説の面白さを思い出させてくれました。第一巻はほぼ恋愛過程無しなんですが、だからこそ貴重な二人のシーンを何度も何度も嘗めるように読み返しました。そして二巻でやっとラブい関係なったと思いきや、すぐさま三巻で叩き落す鬼畜っぷりときたら…比較的多くのBL小説を読んできたと自覚する私も「お行儀よくするか?」「ハイ……マスター」ってなもんですよ!

5

読み終わっちゃってつらい。もっと読みたい終わらないでってなる感じ。

シリーズまとめて一気読みしました。一巻ごとに書くか迷ったんですがまとめて感想書きます。

読み応えがあって、とても面白かったです。アドリアン視点一人称視点描写ですがミステリと一人称視点は相性が抜群だなと。

受け:アドリアン…心臓の弱いミステリ作家+書店主、ゲイ
攻め:ジェイク(リオーダン)…刑事、ゲイだけど隠している

・ジェイクが自分がゲイだというのを隠している&普通じゃないのを気にしていて、アドリアンのことが好きだけど女性刑事ケイトとも結婚前提の付き合いをしている。

・付き合うようになってからも二人の関係は秘密で、男とキスするのに抵抗がある(けどキスできるようになり、セックスもする)←ここがとても美味しい。

・ジェイクは40歳という微妙なお年頃で普通の家庭への憧れがあり、子供を作るタイムリミットを意識している。ケイトとも付き合いを継続していて、ジェイクが入院したときアドリアンは家族&ケイトがジェイクを囲んでいる光景を目にして傷付く←つらい

・ケイトが妊娠して「普通になるチャンスなんだ」とジェイクに言われて別れる←つらい
さよならして関係を断ったけどジェイク側は友達として関係したかったらしい←関係切られてジェイクがつらくなったやつ(美味しいやつだ…)

・二年が経ち、アドリアンはガイという当て馬(?)と恋人として同棲みたいになってたけどジェイク&ガイの元々の想い人が同時に二人の人生にまた関わるようになって相互嫉妬からの~相互元鞘(かな?)…という

アドリアンがしんどいしんどいってなるんですがそれが何故か萌えてしまって美味しい…ああしんどい美味しい…ってなりながら続きを読む手が止まらない、そんなシリーズでした。
ハッピーエンドだとわかってて読んだのも大きかったかなと(途中つらいほど最後に昇華されるから最後まで読むぞって)。

学生時代に周りの友達みんなして読んでた小さくて薄い推理小説シリーズ(男性バディもの)とか思い出しました。
楽しかったです。ずっとこのシリーズを読んでいたいってなる感じ。

ジェイクが結構酷い男なムーヴをかますのですが、ゲイ蔑視のある世界観とか普通の家庭への憧れ+子供を作りたいけど年齢的にそろそろぎりぎり、という当事者の気持ちを考えるとジェイクもしんどいと思えるので。
「蔑視されてたり子供がつくれないことに苦しむメンズラブ、最終的には二人で生きていく決断をする」という重たくてしんどいものを凄くまじめに描かれたんだなって。

ケイトも素敵な女性で、しかも流産してしまうのでつらいんですが…お互いの家族も良い感じで。ジェイクの家族がケイトと良好だったのにアドリアンを受け入れてくれるんですね、そのエピソードがつらい&とうとい。あと6巻のクリスマス編にリバがあるのですがそこまでの二人のしんどさが積まれていると苦手な方でもたぶん「この二人なら」みたいに喜べると思い…苦手な方はそれでも苦手かな…?私は大丈夫でした。
濡れ場はちゃんとありますが喘ぎ声がセリフとしてないので、落ち着いていてとても上品です。

しんどくてつらいけど素晴らしい、そんな作品でした。
続き読みたいってなってますもん。読み終わっちゃってつらい。もっと読みたい…終わらないでってなる。そんな良さがありました。最高。

5

俳優さんのイメージは007

書店を営みながら小説を書くアドリアン
ゲイ
心疾患があり、どことなく儚げなイメージ
皮肉屋で会話も刹那的


そんな彼に疑いの目を向ける刑事・リオーダン
長身・威圧的でゲイフォビア
アドリアンに対しても差別的



この二人がある事件をきっかけに出会い、惹かれ、葛藤し、最終的には、、、
シリーズを通して一つの映画を観ているよう。


天使の影(本作)が第一作目

以下
死者の囁き
悪魔の聖餐
海賊王の死
瞑き流れ
So This is Christmas
と続きます。


草間さかえ先生の挿絵も秀逸

ただ、私には
アドリアンは007のQ、ベン・ウィショーでした笑
ということはリオーダンは、、、

3

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