この瞬間をもうずっと長い間待っていたのだ。 長すぎるほどにーー。

死者の囁き~アドリアン・イングリッシュ (2)~

shisha no sasayaki

死者の囁き~アドリアン・イングリッシュ (2)~
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神10
  • 萌×28
  • 萌4
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
3
得点
95
評価数
24件
平均
4 / 5
神率
41.7%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
新書館
シリーズ
モノクローム・ロマンス文庫(小説・新書館)
発売日
価格
¥900(税抜)  ¥972(税込)
ISBN
9784403560163

あらすじ

行き詰まった小説執筆と微妙な関係となったジェイク・リオーダンから逃れるように、
祖母が遺した牧場へとやってきたアドリアンは道ばたで死体を発見する。
だがその死体は保安官が来た時には跡形もなくなっていた。
敷地内のスパニアード・ホロウ峡谷では学者たちによる発掘作業が行われていたが、
謎の呪文や飼い犬の変死にスタッフは不安を覚えている。
そして牧場の郵便受けにはガラガラヘビが。これは谷の安らぎを守る「ガーディアン」の呪いなのか?
アドリアンを追ってやってきたジェイクとの関係も事件を通してゆっくりと動き出す、シリーズ第二弾。

2006年ブックニュースアワードGLBTフィクション部門受賞作(シリーズ第三作「The Hell You Say」が受賞)。

翻訳:冬斗亜紀

表題作死者の囁き~アドリアン・イングリッシュ (2)~

ジェイク・リオーダン LA市警の刑事 39-40歳
アドリアン・イングリッシュ 書店主で小説家 32歳

評価・レビューする

レビュー投稿数3

このカップルは好きですね、不器用で

『アドリアン・イングリッシュ』の二巻です。
電子で安く売っていたので購入しましたが、この作品は登場人物紹介が最初のページに載っているため電子ではひじょうに読み辛いです。
たびたびそのページへ戻るのが面倒で。
翻訳物は紙媒体の方が読みやすいかな。

********************
受け攻めともに今回も変わりなく、心疾患を抱える32歳のアドリアンが受け。
攻めは刑事のジェイク、40歳。
といっても、序盤は攻め受けなどと書くのも違うような雰囲気です。
********************

一巻で起きた、『ゲイ切り裂き魔』とマスコミから揶揄される事件で知り合ったふたり。
アドリアンはゲイで、最初それを軽蔑しているように見えたジェイク。
が実は彼もゲイで、それをひた隠しにしています。
一巻ではまるでゲイフォビアのような態度でしたが、それは長く己の性癖を隠し続けていたことで、『自分はゲイではない』と脅迫的に思い込むようになっていたせいかなと思います。
目を背けるといいますか。
そんなジェイクでしたがアドリアンと出会い、今巻では付き合うようになっていま続きした。
ただ、ジェイクはSM行為やセックスには慣れていても、キスしてハグしてというような、普通の恋人同士でのスキンシップは経験がないのでギクシャクしております。
個人的には無敵のような刑事がアドリアンには不器用なところ、とっても可愛い(笑

今回はアドリアンが相続している牧場が舞台。
事件に巻き込まれるアドリアンですが、ある意味でアドリアン自身は自分の命に対しての執着がないのです。
心疾患によってつねに命と隣り合わせの生活をしていたので。
そんなアドリアンですが、ジェイクに命の危険が降りかかった時には今まで経験したことのない喪失感を味わうことになります。
いつかジェイクは女性と結婚し子供を授かりと、アドリアンの人生とはかけ離れたものを歩むのだろうけれど、それでもジェイクという人間に惹かれずにはいられない、そんな必死さと反面の諦めが表現されていて切ないなと思いましたね。

一巻よりも怪しい人物が多かったですし、あまりわたしは思いつかない人が犯人でした。
というか、この作品は犯人を推理しながら読むお話ではないのですよね。
そういう物が欲しければ純粋に推理小説を読めば良いことで。
このシリーズは、事件が絡む恋愛に不器用なふたりを味わう作品なのだと思います。

4

出力の加減

シリーズ第一作の『天使の影』にてこずっただけに
ページが進められるかどうかかなり不安だったのですが、
今作は余りつまづかずに読み進める事が出来ました。
ロマンスと言う部分で予想以上の進展があったので
その部分でも食欲が進んだのやも知れません。
ただ、ロマンス以外の部分と言うと…ある意味では
『天使の影』に軍配を上げてしまいそうな感じです。
ロマンスと言う部分に重点を置かれる方は先ずこの巻を
読んで補完として前作の『天使の影』をさらりと読む、
と言う流れの方が良いかも知れません。

味わいは悪くはないんです。
ただ、活字で読むより3時間のテレビドラマにした方が
判り易いかなと思ってしまうだけで。

2

それぞれの葛藤

1巻と同時発売の、シリーズ第2巻です。

【あらすじ】
アドリアンは、刑事で隠れゲイのジェイクと微妙な関係に。
性癖を隠しノンケとして生きてきたジェイクは
男と付き合ったことがなく、ゲイになる覚悟もないため
アドリアンとセックスはおろかキスも出来ない。
不毛な関係に疲れたアドリアンは
祖母の遺した田舎の牧場を訪れるが、そこで殺人事件に遭遇。
追ってきたジェイクと生活を共にしながら事件を調べることに…。


【感想】
ジェイク(攻)の屈折した人物像が興味深いです。
ゲイの自分を嫌悪し、鬱憤を晴らすかのように
SMクラブで男達を痛めつける(なのにアドリアンには何もできない)。
アドリアンと一応付き合っていながら、
結婚を考えている彼女もいるらしい(これは真偽不明)。
そんな傲慢で苛烈な性格なのに、ときに驚くほど優しい。

矛盾に満ちた言動から見えてくるのは
自己を抑制したまま40歳を迎えた男の哀愁と、不器用な愛情。
アドリアンと生きる決心がつかない往生際の悪さにはイライラさせられますがw、魅力的なキャラであることは確かで、彼が自分の性癖とどう折り続き合いをつけていくのか気になります。

アドリアン(受)は、そんなジェイクに辛抱強く付き合う。
つい皮肉を言ってしまったり、
同じベッドで眠るジェイクに発情して、勃たせたまま朝を迎えたりw
健気なだけではない人間臭さが魅力です。
でも、ジェイクが逃げるのを恐れてか
踏み込んだ議論を避けている臆病な面もあります。
未来がなくてもいい、ジェイクを愛していると自覚した彼は
ジェイクが覚悟してくれるのを待つのか、それとも自分からガンガンぶつかっていくのか。このへんも気になるところです。

まだ恋人になったとは言い難い二人ですが、
一緒にいることで少しずつ互いを知り、スキンシップも増え…
ついに初めて身体を繋ぐ場面はラブラブです。
ジェイクの「くそっ――ベイビー…」はヤバかった!
体育会系VSインテリで衝突しがちな二人に
ごくまれに訪れる甘ーーーーく穏やかな空気がたまりません。
銜えられてテンパってるジェイクも可愛かったし、
こんなシーンが続刊でもっと見られるといいなーー
(調べたところ、なんかそれどころではなさそうですが…w)


このように、恋愛部分は面白かったのですが
ミステリとしては、というかストーリー全体はいまいち。
登場人物へのアドリアンの観察眼が1巻ほど鋭くないし
事件も、インディアンの伝説だの黄金だの出てくるわりに
展開は淡々と日常を描く地味なもので、どっちつかずな印象。
社会の中のゲイや人間関係を繊細に描いていた1巻の方が
面白かったかなと思います。

以上の点から、評価は萌で。
しかし、来年夏頃出るらしい続編は楽しみです。

7

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